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マタニティー歯科の勧め マイナス1歳から始める虫歯予防②

2024年10月30日

「人生100年時代」と言われるように、日本の平均寿命は延び続けていますが、日常生活に制限のない、自立した生活を送れる期間である「健康寿命」と平均寿命の間には、約10年の開きがあります。

健康上の問題などで、支援や介護を必要とする日常生活に制限のある期間が、約10年もあるということです。

いつまでも元気に過ごすためには「健康寿命」を延ばすことが大切です。

生きていくために欠かせないことは、「呼吸をすること」と「食べること」。
呼吸が楽にできる鼻、きちんと噛めて飲み込める口は、人生の質を左右します。
そして、一生使う口の土台は、お腹の中にいる時=マイナス1歳から作られるのです。

【目次】

  • ◯口腔育成の第1段階は、3歳までが重要
  •  ◆上顎の成長
  •  ◆赤ちゃんの食生活と口腔との関係
  •  ◆早めに受診しよう
  • ◯「かかりつけの歯科医院」の勧め
  • ◯まとめ

口腔育成の第1段階は、3歳までが重要

「三つ子の魂百まで」と言われますが、「マイナス1歳から始める虫歯予防」のためにも、3歳までが重要な時期になります。

生まれたばかりの赤ちゃんの口の中は無菌です。
生まれてから、接する周囲の人からの細菌が赤ちゃんの口の中に移って定着し、その人固有の細菌の集団(細菌叢)が形成されます。細菌叢の50%が、いちばん接する時間が長い母親由来と言われています。特に虫歯菌は、乳歯の奥歯が生え始める18ヶ月(1歳半)頃から乳歯が全部生え揃う31ヶ月(2歳半)頃の間に最初の感染が集中しているとの研究があります。また、歯周病菌は、保護者、特に母親が歯周病を発症していると、その子供からも同じ歯周病菌が検出される率が高いことが明らかになっています。

細菌叢が善玉菌優位になるか、悪玉菌優位になるかは、3歳頃までにほぼ決まり、それが生涯に渡って続くと言われています。

上顎の成長

呼吸=鼻の土台となる上顎の前の部分(切歯骨)は、生後3ヶ月~6ヶ月の変化が最も大きく、永久歯が生える頃にはほぼ成長が終わります。

上顎を「歯が並ぶ土台」として見た場合、幅が広い方が、なんとなく将来、余裕をもって歯が並びそうだと思いませんか?
上顎、特に切歯骨の成長には、適切に哺乳・嚥下ができていることが重要です。

赤ちゃんの食生活と口腔との関係

0歳~1歳頃の赤ちゃんは、離乳食を通して、味を食感、舌触り、温度、匂い、色彩などの五感で感じながら、食べ物のおいしさを知っていきます。

「味わう」ためには、食べ物をよく噛み、舌で移動させ、舌の上の味を感じる細胞である味蕾(みらい)の色々な場所で味を感じることが必要になります。動かすことでおいしさが持続するため、食べ物を口の中に留めて舌で感じたり、よく噛んだりすることは、味覚を発達させるうえでとても重要になります。

よく噛んで味わうためには、赤ちゃんの状態に合わせた食べ物の形状を選択すること、適切な食べさせ方をすることが大切です。

また、食生活と虫歯が密接に関係していることはご存知だと思いますが、2歳~3歳は自我が発達して好き・嫌いを判断するようになります。早い時期に虫歯ができて歯科医院を受診する子供は、既に甘い物が好きだったり、 歯磨きが嫌いだったり、寝る時間が遅いなど、生活習慣が偏っていることがあります。
3歳までに身につけた嗜好や基本的な生活習慣は、その後、変えることが難しくなります。

基本的な生活習慣が確立した後から、「食生活に気をつけてください」「仕上げ歯磨きを頑張ってください」と言われても、 保護者も子供も大変な思いをすることになります。

早めに受診しよう

赤ちゃんが最初に歯科を受診するのは、1歳6ヶ月検診であることが多いと思いますが、その頃には、生涯に渡って影響する大事な時期が過ぎてしまっていることもあるのです。

この重要な時期に、歯科が関わることで、お子様が一生の財産を手に入れることができるよう情報提供し、お口の健康のお手伝いをしていきたいと思います。
マタニティの時期から、生まれてくる赤ちゃんの将来を考えて、保護者がお口を健康に育む知識を身につけることで、大変な思いをすることなく機能的で健康な口と身体を目指すことができます。

「赤ちゃんの時に知っていれば…」とならないためにも、生まれてくる赤ちゃんのことを一緒に学んでいきましょう。

「かかりつけの歯科医院」の勧め

「マタニティー歯科の勧め マイナス1歳から始める虫歯予防①」と今回で、マタニティー歯科をお勧めする理由を述べてきました。

マタニティー歯科は、「口の中の状態が悪くなったから、歯が痛くなったから行く」所ではありません。妊婦さんと生まれてくる赤ちゃんの「お口の健康を守るための歯医者」です。

「お口の健康を守るための歯医者」、それが「かかりつけの歯科医院」です。

「かかりつけ歯科医院」のポイントは、「リスクに応じたケア」を実施することにあります。一人一人の生活背景を把握し、病気のリスク因子をきちんと検査・分析して、リスク管理=定期的なメインテナンスを行うのが、かかりつけ歯科医院の役割です。

痛みやトラブルが起こった時に処置に行く歯科医院は、本当のかかりつけではありません。
虫歯で処置を行った歯は、元の健康な状態に戻ることはありません。虫歯を削って、詰めたり被せたりすれば、噛めるようにはなりますが、それは虫歯が「治った」のではないのです。

視力が悪い人が、眼鏡やコンタクトレンズを使うことに似ています。眼鏡やコンタクトを使えば「見える」ようになりますが、視力が良くなった訳ではありません。

虫歯で詰めたり被せたりした部分は、その後虫歯が再発するリスクが高くなります。何か起きてから対処するを繰り返しているのでは、口や歯の状態は以前より悪くなってしまうのです。

まとめ

・赤ちゃんのために、安心できるかかりつけの歯医者を見つけましょう!

・生まれてくる赤ちゃんのために、お母さんの口の中を健康に保つことも大切です!

マタニティー歯科の勧め マイナス1歳から始める虫歯予防①

2024年10月25日

「人生100年時代」の土台はお腹の中で作られる

「人生100年時代」と言われるように、日本の平均寿命は延び続けていますが、日常生活に制限のない、自立した生活を送れる期間である「健康寿命」と平均寿命の間には、約10年の開きがあります。

健康上の問題などで、支援や介護を必要とする日常生活に制限のある期間が、約10年もあるということです。

いつまでも元気に過ごすためには「健康寿命」を延ばすことが大切です。

生きていくために欠かせないことは、「呼吸をすること」と「食べること」。
呼吸が楽にできる鼻、きちんと噛めて飲み込める口は、人生の質を左右します。

「マタニティー歯科」という言葉を聞いたことがありますか?

「マタニティー歯科」は、妊婦さんと生まれてくる赤ちゃんを対象にした歯科です。妊娠がわかっている方だけでなく、これから妊娠を望む方や、授乳中の方も対象に含まれます。妊婦さんや赤ちゃんが生まれた方に特有の身体や体調の変化を考慮した検査・歯科処置・予防処置を行います。

「妊娠・出産と歯医者って、何の関係があるの?」と思う方もいると思います。実は、妊娠・出産と歯科は、密接に関係しているのです。

マタニティー歯科は「お母さん」のため

出産した後のお母さんは、「歯がボロボロになってしまう」「お口の状態が悪くなってしまう」という噂を聞いたことがありますか?現在60代~80代の方が「お母さん」だった頃は、「子供を1人産むと歯が1本無くなる」と言われていたそうです。歯科医院でも、「子供を生む度に歯が悪くなって、もうボロボロ」「子供に栄養を取られたから、骨も歯も弱くなった」と仰る高齢の女性は少なからずいらっしゃいます。

調査内容・結果

2014年4月、東京医科歯科大学の研究者グループにより、以下のような疫学調査の結果が発表されました。

〝出産回数が増えると将来、歯を失いやすくなる――。東京医科歯科大学の植野正之准教授らのグループは16日、こんな疫学調査の結果を発表した。妊娠や出産の過程で虫歯になりやすくなるうえ、歯科治療を受ける機会が減るのが原因と考えられるという。妊娠中も虫歯予防や治療に積極的に取り組むことが必要だという。

1990年に秋田県に住んでいた40~59歳の男女に歯科に関するアンケート調査をし、2005年に歯科検診を受けた約1200人(男性562人、女性649人)の結果を解析した。女性は出産回数を「0回」から「4回以上」まで5グループに分けて、親知らずを除く28本の永久歯のうち残っている数を比べた。

その結果、4回以上出産しているグループの残っている歯は約15本。0回の約18本や1回の約19本に比べて約3本少なかった。回数が多くなると残っている歯の数が減っていた。かみ合わせに大事な奥歯の上下のペアの数を見ても同様の傾向を示した。
男性では子供の数別に比べたが、残っている歯の数と関連はなかった。

妊娠・出産ではホルモンや口の中の細菌のバランスの変化で免疫力が低下し、虫歯や歯茎などの歯周組織が壊れやすくなる。このため「妊娠が繰り返されると歯を失うリスクが上がる」(植野准教授)。

妊娠中の歯科治療が胎児に悪影響を及ぼすという説のため治療を避ける妊婦もいるが、通常の虫歯治療ならば問題はなく、科学的な根拠はないという。〟

(日本経済新聞 2014年4月16日号 https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1600I_W4A410C1CR0000/

この調査から考えられることは?

結論は「出産回数が増えると、歯を失うリスクが高まる」。
しかし、お腹の中の赤ちゃんに骨や歯のカルシウムが取られて歯を失ったわけではありません。このような結果になったのは、妊娠中や出産後のお母さんの口のケアが不十分だったからです。

妊娠・出産をすると、心と身体はいつもとは違う状態になります。口も身体の一部ですから、口の中もいつもとは違う状態になります。以下のような理由から、虫歯や歯周病が悪化しやすいと考えられます。

  • ①母体から見れば「異物」である赤ちゃんを母体の免疫機能から守るため、妊娠中は体全体の免疫機能が低下します。虫歯も歯周病も感染症ですから、悪化しやすい状態になります。
  • ②妊娠中は、唾液の分泌量が低下すると共に、唾液の質が変化してネバネバした状態になります。また、いつもは中性の唾液がやや酸性に傾き、虫歯菌が産生する酸を中和する働きが弱まるため、歯が溶かされやすい状態になります。
  • ③女性ホルモンの分泌量が変化して、女性ホルモンを栄養源とする歯周病菌が増える傾向があります。女性ホルモンの影響で、普段よりも歯肉が腫れやすくなり、妊娠性歯肉炎を発症しやすくなります。
  • ④悪阻により歯磨きが難しくなることがあります。また、悪阻による嘔吐で歯が溶かされやすい状態になります。
  • ⑤味覚が変化して酸っぱい物を好むようになり、口の中が酸性に傾き、歯が溶かされやすくなります。
  • ⑥悪阻で小分けにして食べるため、飲食回数が増えて、口の中が酸性になる時間が長くなり、歯が溶かされやすくなります。
  • ⑦悪阻や体調の変化、授乳により歯科の受診が難しく、処置が中断したり、処置が必要な歯が放置される傾向があります。
  • ⑧妊娠・出産で生活パターンが変わり、子供優先となるため、自分のことが後回しになりやすく、歯磨きや通院が疎かになりがちです。

マタニティー歯科は「赤ちゃん」のため

子供の口や歯を健康に育てる口腔育成は、お母さんのお腹の中にいる時=マイナス1歳からスタートしています。

唇や上顎(口蓋)は、妊娠8週~10週頃にでき上がります。上顎の形は、健全な呼吸機能に影響します。妊娠7週~10週頃には、子供の歯(乳歯)の芽となる歯胚(しはい)が形成されます。また、妊娠3か月半頃になると、大人の歯(永久歯)の歯胚の形成も始まります。妊娠4~5ヶ月頃には歯胚が硬い組織になる石灰化が始まっています。石灰化に必要なカルシウムやリンは、お母さんの血液から供給されます。歯胚は、歯を支える骨(歯槽骨)の中で時間をかけて発育し、やがて歯として口の中に生えてきます。

妊娠中のお母さんの健康状態や栄養状態が、赤ちゃんの口や歯に大きく影響するのです。

また、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中は無菌ですが、身近で接している人から徐々に細菌が伝搬して、その人固有の細菌の集団(細菌叢)が形成されます。

細菌のDNAを解析した研究によると、細菌叢の50%が、いちばん接する時間が長い母親由来なのだそうです。細菌叢の細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類に分類されますが、お母さんの口の中の悪玉菌を減らして、赤ちゃんに移さないようにすることが、生涯に渡って虫歯や歯周病になりにくいお口作りのためには大切です。

歯周病菌が血管内に入り込むと、歯周病菌が作り出す炎症物質が胎盤を刺激して、子宮に陣痛に似た収縮を引き起こし、早産・低体重児出産などのリスクが高まることも明らかになっています。
お腹の赤ちゃんのためにも、お母さんのお口の中を健康に保つようにしましょう。

まとめ

・マタニティー歯科は、妊婦さんと生まれてくる赤ちゃんを対象にした歯科

・妊娠中や出産後は、虫歯や歯周病のリスクが高くなる

・生まれてくる赤ちゃんのために、お母さんの口の中を健康に保つことが大切

摂食嚥下とは??

2024年10月14日

『山形県の日本料理店が、摂食嚥下がうまくいかない人にも見た目や味が楽しめる「ハレの日の食事」を提供している。』と今月、報道されていました。この日本料理店の支配人さんは、地域の医療・介護関係者が始めた「摂食嚥下がうまくいかない人の食事を考える研究会」に参加し、管理栄養士や言語聴覚士からアドバイスを受けながら、レシピを開発してきました。 地元産の地魚の握りずしや庄内牛のステーキなど、見た目がほぼ同じ料理を家族と一緒に楽しめることは、摂食嚥下がうまくいかない人にとって大きな喜びだそうです。

目次

  • 摂食嚥下とは
  • 摂食嚥下の5期モデルのメカニズム
  • 嚥下食とは
    • 調理のポイント
  • 子どもの摂食嚥下
    • 哺乳期
    • 離乳期
  • まとめ

摂食嚥下とは

摂食嚥下とは、食べ物や水分を口から胃に送り込む一連の動作のことです。摂食嚥下には、次にお話する5つの段階があります。
摂食嚥下は、加齢や病気などで障害されることがあります。摂食嚥下障害は、誤嚥(食べ物が気管に入ること)や誤嚥性肺炎(誤嚥で肺に細菌が入り炎症を起こすこと)などの合併症を引き起こす可能性があります。摂食嚥下障害は、生活の質や予後に影響します。摂食嚥下障害の診断と治療には、医師や歯科医師、言語聴覚士などの多職種の連携が必要です。

①摂食嚥下の5期モデルのメカニズム

摂食嚥下の5期モデルのメカニズムについて説明します。

⑴先行期

食べ物を視覚や嗅覚などで認識し、食欲や食べ方を判断する段階です。この時、脳の高次機能が働きます。食べ物に対する興味や好み、記憶や感情などが影響します。先行期に障害があると、食べ物を見ても反応しない、食べたくない、食べ方がわからないなどの問題が起こります。

⑵準備期

食べ物を口に運び、咀嚼して唾液と混ぜ合わせて飲み込みやすい状態にする段階です。この時、口腔の筋肉や歯が活動します。食べ物の硬さや大きさに合わせて咀嚼力や速度を調整します。準備期に障害があると、食べ物を口に入れるのが困難だったり、咀嚼できなかったり、唾液が不足したりすることがあります。

⑶口腔期

舌の運動で食べ物を咽頭に送り込む段階です。この時、舌と口蓋で食べ物を挟んで押し出します。舌は前方から口蓋に押し付けて圧力をかけます。口腔期に障害があると、舌の動きが弱くなったり、食べ物が口からこぼれたり、誤って咽頭に送り込んだりすることがあります。

⑷咽頭期

喉頭が挙上して嚥下反射が起こり、食べ物を気管から守りながら食道に送り込む段階です。この時、喉頭蓋や声帯が気道を閉鎖します。咽頭期に障害があると、嚥下反射が遅れたり、気道閉鎖が不完全だったりして誤嚥したりすることがあります。

⑸食道期

食道の蠕動運動で食べ物を胃に送り込む段階です。この時、食道括約筋が開閉して食べ物を進めます。食道期に障害があると、食道括約筋の収縮や弛緩が不十分だったり、逆流したりすることがあります。

嚥下食とは

嚥下食とは、嚥下機能が低下した人に適した食事のことです。嚥下機能とは、食べ物や水分を口から胃に送り込む能力のことです。嚥下機能が低下すると、誤嚥(食べ物が気管に入ること)や誤嚥性肺炎(誤嚥で肺に細菌が入り炎症を起こすこと)などのリスクが高まります。嚥下食は、このようなリスクを減らすために、食べ物の形態やとろみを調整して飲み込みやすくする食事です。

調理のポイント

嚥下食は、各レベルに応じて、食べ物の形態やとろみを調整して飲み込みやすくする必要があります。
嚥下食を調理する際のポイントは、以下のようになります。

  • 噛む力が弱い人には、食べ物を適度な厚みと大きさに切り、歯茎でつぶせる程度にやわらかく加熱します。例えば、肉は煮込んだりハンバーグにしたりします。
  • 口の中でまとめる力や飲み込む力が弱い人には、舌と上あごでつぶせる程度にやわらかく加熱するとともに、つなぎやとろみづけになる食材を加えて咽頭に送りやすい形状にします。例えば、野菜はペースト状にしたりあんかけにしたりします。
  • 飲み込みにくい食品は避けるか、工夫して調理します。例えば、硬くて噛みにくいもの(ごまなど)、ポロポロしてまとまらないもの(トウモロコシなど)、ペラペラして喉に貼りつきやすいもの(餅など)、パサパサして水分の少ないもの(パンなど)は、刻んだりミキサーにかけたりしてゼリー状やペースト状にするなどします。

子どもの摂食嚥下

子どもの摂食嚥下は、生まれてから徐々に発達していきますが、個人差や基礎疾患などによって障害が起こることがあります。子どもの摂食嚥下障害は、摂食嚥下機能の発達期であるという特徴があります。

②哺乳期

哺乳期とは、生後0ヶ月から5ヶ月くらいまでの期間で、主に母乳やミルクを飲むことで栄養を摂る段階です。哺乳期の子どもの摂食嚥下には、以下のような特徴があります。

 ◆②―⑴哺乳反射

哺乳反射とは、口に触れるものに反応して吸う動作をする反射です。哺乳反射は生まれつき備わっている機能で、生後5ヶ月くらいまでに消失します。

 ◆②―⑵呼吸と嚥下が同期

呼吸と嚥下は同じ気道を共有するため、同時に行うことはできません。成人では嚥下時に呼吸を一時的に止めますが、哺乳期の子どもは呼吸を止めずに嚥下することができます。これは、喉頭が高く位置し、気道と食道の入り口が近いためです。

 ◆②―⑶口腔内圧が高くなる

哺乳期の子どもは口腔内圧を高めることで母乳やミルクを効率的に吸うことができます。口腔内圧を高めるためには、唇や頬や舌などの口腔筋肉が活発に動きます。

③離乳期

離乳期とは、生後5ヶ月から12ヶ月くらいまでの期間で、主に固形物を食べることで栄養を摂る段階です。離乳期の子どもの摂食嚥下には、以下のような特徴があります。

 ◆③―⑴哺乳反射の消失

哺乳反射とは、口に触れるものに反応して吸う動作をする反射です。哺乳反射は生後5ヶ月くらいまでに消失します。

 ◆③―⑵咀嚼機能の発達

咀嚼機能とは、食物を歯や舌で細かく砕くことです。咀嚼機能は、歯の生え方や食物の硬さや大きさに応じて変化します。最初は歯茎で押しつぶす程度ですが、次第に臼歯で砕くようになります。

 ◆③―⑶成人嚥下へ移行

成人嚥下とは、食物を飲み込む際に呼吸を一時的に止めることです。哺乳期の子どもは呼吸を止めずに嚥下することができますが、離乳期になると呼吸と嚥下の協調が必要になります。

まとめ

嚥下障害の診断には、造影検査や内視鏡検査、唾液嚥下テストや水飲みテストなどを行います。
嚥下障害の治療には、食物の形態や量・速度・頻度の調整、姿勢や頭位の工夫、口腔ケア、リハビリテーションがあります。
嚥下障害は、重篤な合併症を防ぐために早期発見・早期介入が重要です。またそのニーズや希望に応じた個別化された治療計画を立てることが必要です。嚥下障害は、食事だけでなくコミュニケーションや社会参加にも影響するため、生活全体を支援する視点も大切です。

ブラックトライアングルとは?歯の間にある隙間が気になった場合

2024年10月9日

【目次】

  • ・ブラックトライアングルとは
  • ・ブラックトライアングルの原因
  • ・ブラックトライアングルの治療と予防
  • ・まとめ

ブラックトライアングルとは

歯茎が何らかの原因で痩せてしまうと、歯茎と歯と歯の間に囲まれた場所に三角形状の隙間が出てくることがあります。これをブラックトライアングルと呼びます。日常的に痛みを誘発させてしまうことはありません。しかし、隙間になるためゴマなどの食べ物が入り込みやすくなったり、すきっ歯のように見えたりすることがあります。

ブラックトライアングルの場所

ブラックトライアングルは歯と歯の間があればどこにでもできます。場所としては、歯と歯が接触するコンタクトと呼ばれる部位を頂点とし、そこから歯茎までの間の隙間を指します。この部位には歯間乳頭という歯茎が正常であればあるはずです。しかし、歯茎が痩せて下がるとブラックトライアングルが目立つようになります。生理的にも加齢とともに歯茎は下がってしまうため、ある程度は仕方がない部分もあります。

ブラックトライアングル症状

一般的にブラックトライアングルによって痛みが起こるということはありません。しかし、隙間になっているので汚れが停滞しやすいことや前歯であれば隙間が目立って見た目に影響が出ることがあります。汚れが停滞しやすい場合には歯ブラシや歯間ブラシなどで汚れを除去し、歯周病や虫歯を防ぐ必要性があります。仮に元々ブラックトライアングルがあった場合、治療をしていないにも関わらずブラックトライアングルが消失するということは基本的にはありません。このような場合には歯茎が歯肉炎などで腫れてしまい、一時的に隙間が埋まってしまっている可能性があります。病的に歯肉が埋まってしまっていることがあるので注意が必要です。

ブラックトライアングルの原因

ブラックトライアングルの原因、つまり歯間乳頭が失われる原因はいくつか考えられます。

  • ①加齢
  • ②歯周病
  • ③歯ぎしりなどの癖
  • ④歯ブラシの不適切な使用
  • ⑤矯正治療によるもの

ブラックトライアングルの原因 ①加齢

残念ながら加齢により歯茎が下がることがあります。生理的な現象のためある程度は仕方がない部分です。患者さんの中には若い頃は歯並びや歯茎の形態がもっと綺麗だったと仰る方がいます。しかし、年齢を重ねると徐々に歯並びや歯茎の状態は変化していきます。

ブラックトライアングルの原因 ②歯周病

歯茎の形を変えてしまう病的なものとして1番代表的なものが歯周病です。歯周病は痛みがなく進行し歯を支える繊維や骨を徐々に喪失に導きます。骨や繊維が失われると、必然的にブラックトライアングルが形成されやすくなります。ブラックトライアングルは歯周病により歯茎が腫れて無くなることがあります。しかし、病的に隙間が埋まっただけで治癒したわけではないので歯周病の定期的な確認は重要です。

ブラックトライアングルの原因 ③歯ぎしりなどの癖

歯ぎしりは歯自体をすり減らすこともありますが、歯茎の退縮を導くことがあります。歯ぎしりなどの異常な力は歯だけではなく、歯茎にも悪影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。

ブラックトライアングルの原因 ④歯ブラシの不適切な使用

歯ブラシで歯を磨くときにゴシゴシと力強く磨いている方はいないでしょうか。大きな力と動かし方は、歯をいたずらに傷つけるだけではなく歯茎も下げてしまう原因になります。歯科医院で歯磨きの指導を受けた方は、歯と歯茎の間をしっかりと磨くように指導されることが多いと思います。もちろん間違ってはいないのですが、一生懸命磨こうとして力強く磨く方がいらっしゃいます。過剰な力はかえって汚れがうまく取れないだけでなく、歯や歯茎を痛めてしまう原因になります。

ブラックトライアングルの原因 ⑤矯正治療によるもの

矯正治療では理想とされる歯並びにするためにワイヤーなどで歯を動かし、時には便宜的に抜歯を行うこともあります。歯が動くとそれに伴って歯茎の形態も変化していきます。矯正治療後の変化として、歯が短くなることや歯茎の形態が変化することは比較的多く見られます。

ブラックトライアングルの予防と治療

ブラックトライアングルの原因を確認した上で予防と治療を確認しましょう。予防においては、まず歯茎に病的な変化を起こさせないようにすることが大切です。その最たる例が歯周病の対策です。基本的には適切な歯磨きによって防ぐことが可能ですが、歯ブラシだけの歯磨きや歯にある詰め物や被せ物が合っていない場合などは汚れが付着したままになりやすいです。これらは自分自身で確認することが難しいため、定期的に歯科医院で確認してもらうことが望ましいです。治療のために受診するのではなく、予防のために受診することが大切です。

ブラックトライアングルの予防

予防において自分で出来ることは不必要な力を歯や歯茎にかけないことも挙げられます。歯磨きをする時の力加減、日中や夜間に歯ぎしりや食いしばりをしていないかどうかを確認してみましょう。夜間に歯ぎしりなどをしてしまうのは無意識下のため予防することが困難です。可能であればマウスピースなどを使用して、歯に力が直接的にかからないようにすることがあります。

ブラックトライアングルの治療

歯茎の形態を変えて隙間を少なくする歯周外科治療というものがあります。歯茎が退縮してブラックトライアングルが目立つ部位にメスを入れて、歯茎の形態を整える方法です。この際に歯茎のボリュームが足りない場合には、どこか違う場所から歯茎を移植することもあります。治療方法としては知られているものですが効果が確実に得られるとは限りませんし、治療後にまたブラックトライアングルが出現することがあります。また、上記の原因が取り除かれない場合には治療後の後戻りが早いこともあります。

まとめ

ブラックトライアングルについて確認してきました。生理的にも歯間乳頭部位は退縮してしまうこともあり、完全に防ぐことはなかなか難しいです。しかし、病的に出現することがあるのでそれは予防するようにしましょう。定期的な検診によりブラックトライアングルを起こしやすい環境を改善するように心がけましょう。

親知らずを抜いた後によくある質問

2024年10月7日

親知らずを抜いた後は普段とちがう症状が出たり、口の中が気持ち悪い感じがしたりなど、気になることがたくさんあると思います。今回は親知らずを抜いた後によくある質問と、それに対する回答をいくつか紹介していきます。

目次

  • ◯気を付けることに関する質問
    •  ◆お風呂に入っても良いのか?
    •  ◆お酒を飲んでも良いのか?
    •  ◆運動をしても良いのか?
    •  ◆食事はいつから食べて良いのか?
    •  ◆抜歯したところは歯磨きをしても良いのか?
  • ◯傷口に関する質問
    •  ◆傷口はどのくらいでふさがるのか?
    •  ◆どのくらいで抜糸するのか?
  • ◯トラブルに関する質問
    •  ◆血が止まらなくなったらどうすれば良いのか?
    •  ◆抜いた後は腫れるのか?
  • ◯まとめ

気を付けることに関する質問

お風呂に入っても良いのか?

抜歯した当日は、湯船に浸からないようにしてください。シャワーを浴びる程度でしたらかまいません。
理由は、抜歯した当日はまだ傷口が完全に治っておらず、出血が続いていることがあるからです。出血が完全に止まるまでの時間は抜いてから12時間後くらいですので、湯船につかることで血行が良くなり、再び血が出てきてしまうことがあります。
また血行が良くなることで、腫れてきてしまったり、顔が紫色になってしまう可能性もあります。そのため、抜歯した当日はシャワーで済ませるようにしてください。

お酒を飲んでも良いのか?

お酒を飲むと血行が良くなりますので、上で説明したような症状が出てしまうことがあります。
また、アルコールの影響で抜歯後に飲む抗生物質の効きが良くなりすぎてしまい、副作用が出てしまうことがあります。抗生物質を飲んでいる期間はお酒は飲まないようにした方が良いでしょう。

運動をしても良いのか?

運動も血行を良くしますので、当日はしないようにしてください。痛みがあったり、腫れたりしていなければ翌日から運動していただいても大丈夫です。

食事はいつから食べていいのか?

抜歯した直後はしばらく血が出ている状態のため、血が止まるまでは基本的に飲食はしない方が良いでしょう。出血が止まった後は飲食しても大丈夫ですが、刺激の強いものは避けるようにしましょう。
親知らずの抜歯をするときには、局所麻酔をつかいます。局所麻酔が切れるまでに約2〜3時間かかります。
麻酔が効いている間は唇や舌や頬が麻痺しており、口の中をうまく使うことが出来ないため、そういった状態で物を食べると、間違えて舌を噛んでしまったり、やけどをしてしまったり、口から物をこぼしてしまったりします。
そのため、完全に麻酔が切れてからごはんを食べるようにするのが良いでしょう。

抜歯したところは歯磨きしていいのか?

抜歯した後でも歯磨きはしていただいて大丈夫ですが、いくつか注意点があります。
抜歯した場所にはブラシを当てないようにしてください。抜歯してからしばらくは傷口になっていますので、歯ブラシでこすってしまうとかさぶたを取ってしまう可能性があります。抜歯したところ以外は通常通り磨いてください。
また、強いうがいはしないようにしてください。強いうがいを頻繁にすることで、せっかくできたかさぶたをはがしてしまうことがあります。

傷口に関する質問

傷口はどのくらいでふさがるのか?

抜歯した後の穴は、最初に血餅というかさぶたができます。そしてそのかさぶたの上に歯茎が覆いかぶさるようにできるまで、2週間ほどかかります。歯茎の下に骨ができるのですが、この骨が完全にできるまでに半年ほどかかります。
完全に治るまでは半年かかりますが、傷口が見た目的にふさがるのは約2か月ほどです。

どのくらいで抜糸するのか?

歯を抜いたあと傷口が大きかったり、歯を抜くときに歯茎を切開した場合は糸で傷口を縫います。傷の治り方の確認や消毒も含めて、約1週間後に来院していただき、糸を取ることが多いです。
1週間以上経過してしまうと糸の周りに汚れがついたり外れたりしてしまいますので、1週間程度で取ることが多いです。
糸を取る時は歯茎に刺激が加わらないように切るため痛みはありませんが、まれにはさみが歯茎に当たって器具の冷たい刺激を感じることもあります。

トラブルに関する質問

出血が止まらなくなったらどうすればよいのか?

出血が止まらなくなったら、ガーゼやタオルを20分間ほど噛んで圧迫止血してください。この際、ティッシュを使っても良いのですが、やわらかいままだと血液を吸ってしまい止血にならないので、丸めて固くしてから使うようにしてください。
それでも血が止まらなかったり、ドクドクと拍動性の出血がある場合は抜いたクリニックに連絡してください。

抜いた後は腫れるのか?

簡単な抜歯で短時間で終われば、あまり腫れることはありません。しかし難しい抜歯で時間がかかるものだったり、骨を削ったりした場合は腫れることが多いです。その場合、抜いた直後は腫れませんが、翌日〜翌々日にかけて腫れのピークがきます。
また、上の歯を抜くときよりも下の歯を抜くときの方が腫れることが多いです。

まとめ

いかがでしたか。抜歯した後によくある質問とその回答ですが、他にも気になることがあれば当院にご相談ください。

初診「個別」相談へのご案内

当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。

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