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子供の歯がそのまま!?「大人乳歯」 についてご紹介!

2024年9月22日

乳歯は子供の頃に大人の歯、すなわち永久歯に生え変わります。しかし、まれに大人でも乳歯が抜けずに残っている場合があります。1本だけの場合もあれば、複数本の場合もあります。この「大人乳歯」は場所や生え方によっては将来的に口の中に悪影響を及ぼすかもしれません。今回は大人乳歯の原因、リスク、対処法について説明していきます。

目次

  • ◯大人乳歯とは?
  • ◯大人乳歯になる原因
    •  ◆乳歯の根が溶けて吸収されない
    •  ◆乳歯が歯ぐきに沈み込む
    •  ◆2本の歯がくっついている
    •  ◆永久歯がもともとない
  • ◯大人乳歯のリスク
    •  ◆歯並びが悪くなる
    •  ◆虫歯になりやすい
  • ◯大人乳歯の対処法
  • ◯まとめ

大人乳歯とは?

通常乳歯は、6歳〜12歳の間に大人の歯に生え変わります。顎の中で永久歯のもとになる歯胚というものができ、歯胚が時間をかけて成長していきます。それにしたがって、乳歯の根を溶かす細胞が現れ、乳歯は根の部分から少しずつ溶かされていきます。乳歯の根が溶けると、乳歯は徐々にグラグラになって抜け、抜けたところから永久歯が生えてきます。
大人乳歯はこの乳歯が抜けて永久歯が生えるというプログラムに何らかの原因で問題が起こり、乳歯が抜けず永久歯が生えてこないという状態です。

大人乳歯になる原因

乳歯の根が溶けて吸収されない

永久歯の歯胚ができているにもかかわらず乳歯が抜けないことがあります。この場合はレントゲン写真をとるとわかるのですが、乳歯の根が溶けずにしっかり残っていることが多いです。乳歯の根を溶かす細胞が現れずに、乳歯の根が残ってしまったことが原因と考えられます。

乳歯が歯ぐきに沈み込む

永久歯の歯胚も成長しており、乳歯の根も溶けて吸収されているにもかかわらず乳歯がグラグラにならず抜けないことがあります。これに関しての原因は不明なことが多いですが、乳歯が歯ぐきに沈み込んでがっちり支えられてしまっていることが考えられます。

2本の歯がくっついている

隣同士の2本の歯が、歯の形が作られる時期にくっついて1本になって生えてくることがあります。乳歯でも永久歯でも見られますが、乳歯がくっついているものの方が多いです。2本の乳歯がくっついていると、その下にある永久歯が生えてくる時にくっついている歯の根の部分がうまく吸収されず、抜けずに残ってしまうことがあります。

永久歯がもともとない

先天性欠損といって、もともと永久歯が存在しないパターンがあります。この場合は永久歯の歯胚もないため乳歯の根が溶ける細胞も現れません。よって乳歯の根が溶けることなくそのまま残ります。

大人乳歯のリスク

歯並びが悪くなる

永久歯と乳歯では大きさや形、性質が違います。そのため永久歯の歯並びの中に大人乳歯が混じっていると、歯に隙間ができたり、でこぼこになったりして歯並びが悪くなることがあります。歯の高さも違ってくるので、噛み合わせが悪くなり、他の歯や顎の問題を引き起こす場合もあります。ものを噛んだ時の感覚、かみごたえも違和感を感じるかもしれません。また、色も乳歯と永久歯では違うので、見た目にも影響が出てきます。

虫歯になりやすい

乳歯は永久歯よりも柔らかく、一番表層のエナメル質が弱いため、虫歯になりやすいです。また治療して保存するのも難しいです。一度虫歯になってしまうとその進行も早い症例が多いです。大人乳歯がある方は頻繁に虫歯治療をしなければならなくなるかもしれません。

大人乳歯の対処法

大人乳歯が歯並びや口の中の健康状態に悪影響を及ぼす場合は抜歯になることが多いです。上で説明したもののうち、大人乳歯の下に永久歯がある症例や歯胚ができてきている症例(乳歯の根が溶けて吸収されない、乳歯が歯ぐきに沈み込む、2本の歯がくっついている)は、大人乳歯を抜歯することが多いです。矯正治療も並行しておこない、歯並びに問題が出ないように永久歯を誘導します。
永久歯がもともとない場合は、大人乳歯を抜歯してもその後に生えてくる歯がないため大きな隙間が残ってしまいます。そのため、矯正治療をおこない、隙間を埋めて歯並びを良くすることが多いです。大人乳歯が他の永久歯との歯並びとうまく調和しており、虫歯のリスクも低い場合は大人乳歯を抜歯せずそのまま使い続けるという選択肢もあります。

まとめ

いかがでしたか。大人乳歯にはさまざまなリスクがありますが、対処法もあります。10人にひとりの割合で大人乳歯が口の中に生えているといわれていますので、気づいていないだけで意外と身近に存在するのです。口の中に他の歯と明らかに形が違う歯があったり、大人乳歯かもしれないと気になる場合は一度歯医者さんで相談してみましょう。大人乳歯が複数本ある場合は、全身的な病気が隠れている場合もあります。当院でも大人乳歯を扱っておりますので、気になる方はお気軽にご連絡ください。

歯周病予防のためにできること!

2024年9月20日

皆さんは歯周病にどのようなイメージがあるでしょうか?
昔は歯槽膿漏と呼ばれていました。テレビや広告で歯周病予防の歯みがき粉の宣伝をみることも多いですよね。
歯周病は日本人の30代の3人に2人が罹患しており、45歳以上では半数以上の方が歯周病と言われるほどの国民病です。実は日本人が歯を失う原因の第一位はむし歯ではなく歯周病なのです!
そして歯周病はお口の中だけでなく、糖尿病や心臓病、誤嚥性肺炎など様々な全身疾患に悪影響を及ぼすことが知られています。
健康寿命を延ばすためにはお口の健康が大切。そしてそのためには歯周病予防が欠かせません!
この記事では、歯周病がどのような病気なのか、またその予防のために重要なポイントについてご紹介します。

目次

  • ◯歯周病とはどのような病気か
    •  ◆歯周病の原因
    •  ◆歯周病はどのように進行するか
    •  ◆歯周病の症状
  • ◯歯周病が全身に及ぼす影響
  • ◯歯周病予防のために大切なこと
    •  ◆日々のセルフケア
    •  ◆クリニックでのプロフェッショナルケア
    •  ◆できれば禁煙を!
  • ◯まとめ

歯周病とはどのような病気か

歯周病の原因

私たちの口の中には300〜700種類もの細菌がいると言われており、その中には歯周病の原因となる歯周病原細菌と呼ばれる細菌がいます。
歯周病の原因となるのは、この細菌の塊である歯垢(プラーク)です。
食事で糖分を摂ると、その糖を元にネバネバした物質を生成する細菌が増えます。もし歯磨きが不十分だと、このネバネバした物質に細菌が付着し、固まりとなって歯垢(プラーク)を作ります。プラーク1gには、なんと1000億個もの細菌が含まれており、これが歯周病を引き起こす原因となります。

歯周病はどのように進行するか

歯周病の原因となる細菌は酸素を嫌うため、歯の周りの歯周ポケットを好みます。
プラーク中の細菌が歯周ポケットの中に侵入し、歯ぐきを攻撃する毒素を出すことで歯ぐきに炎症が起こることで歯周病が始まります。
初期の状態であれば、歯磨きでプラークをしっかりと取り除くことで歯ぐきは元の状態に戻ります。しかしプラークが付いて時間が経つと、さらに強固にくっつきなかなか取れにくくなります。
歯ぐきの炎症が進行すると、炎症が歯ぐきだけでなく歯を支える骨にまで広がり骨が溶け始めます。すると歯周ポケットが深くなり、最近はどんどん歯ぐき奥まで侵入します。こうなると歯磨きでプラークを取り除くことは難しくなります。こうして歯周病は進行していきます。
炎症が進むと歯を支える骨が溶けていき、歯がぐらぐらしたり最終的には歯が抜けてしまうこともあるのです。

歯周病の症状

歯周病の初期は歯ぐきの赤みや歯磨きの時の出血などの症状が現れます。痛みはないことが多く、自覚症状がないことも少なくありません。
歯周病が進行すると、歯ぐきの腫れや歯ぐきが下がることにより歯が長くなったように見えることもあります。歯がぐらぐらし始めたり、歯の根が露出することで知覚過敏の症状が出る場合もあります。
歯周病が重度になると、歯ぐきから膿が出たり口臭も強くなります。歯のぐらぐらが大きくなり、噛むことが難しくなったり自然と歯が抜けてしまうこともあるのです。

歯周病が全身に及ぼす影響

歯周病は細菌が歯周ポケットに侵入し、歯ぐきに炎症を繰り返している状態です。このため、歯周病の方は常に口の中で炎症が起きています。
この炎症によって生じる毒性物質が歯ぐきの血管に侵入し、全身に回ると様々な病気に悪影響を及ぼします。
例えば、糖尿病です炎症性物質は血糖値を低下させるインスリンの働きを邪魔し、血糖値を下げにくくします。その結果糖尿病を悪化させます。
糖尿病の方の歯周病治療を行うと、糖尿病の数値が改善することが知られています。
また動脈硬化を誘導し心筋梗塞や狭心症のリスクを高めたり、妊娠中の方が歯周病に罹患していると早産や低出生体重児のリスクが高まります。

歯周病予防のために大切なこと

歯周病の原因は口腔内の細菌の塊であるプラークです。
歯周病予防のためにはこのプラークを物理的にしっかりと取り除くことが大切です。

日々のセルフケア

歯周病予防に最も大切なことは日々の歯磨きです。歯磨きの仕方を習ったことがありますか?
定期的に歯科医院に通いお口の中をきれいにしても、日々の歯磨きが不十分でプラークがたまっていると歯周病は進行してしまいます。
大人になってから歯磨きの仕方を習ったことがない、という方も多いと思います。
お口の中の状態によって適切な歯ブラシやフロス・歯間ブラシなどの補助器具の選択や使い方は変わります。
是非一度クリニックで歯磨きの仕方についてご相談ください!

クリニックでのプロフェッショナルケア

毎日の歯磨きをしっかり行っていても、どうしても磨き残しが生じる部分があります。また、残ったプラークが硬い歯石になると歯磨きでは取り除けません。
これを防ぐためには、定期的に歯科医院でのプロフェッショナルケアを受けることが重要です。専門家によるケアで、細かな部分まで徹底的にプラークを取り除くことで、より健康的な口腔環境を維持することができます。

できれば禁煙を!

タバコを吸うと血管が収縮し、歯ぐきへの血流が悪化します。その結果、喫煙者は歯周病が進行しやすく、治療しても回復が難しくなることが知られています。
さらに、タバコは歯周病だけでなく、さまざまな健康問題にも悪影響を及ぼします。歯周病の予防には禁煙が非常に効果的です。

まとめ

歯周病はとても多い病気ですが、初期のうちは自覚症状が少なく気が付いた時には進行してしまっていることが少なくありません。歯周病の悪化はお口の中はもちろん、全身にも様々な悪影響を及ぼします。
歯周病の予防には日々のセルフケアと定期的な歯科検診が欠かせません!
健康なお口と身体で健康寿命を延ばすために、是非歯科医院にいらしてくださいね。

この症状どうしたらいい?〜歯科医師が答えるQ&A〜

2024年9月9日

日々、臨床の現場にいると患者さんから多くの質問を受けます。あるいは、休日に友人と過ごしている場合でも、友人からお口の中の相談を受ける機会も多いです。非常に多くの方がお口の中の健康に関心を持っていると思うと嬉しく思います。確かに、歯科医療従事者からするといつも見ることでも、患者さんからすると、気掛かりなことであることですよね。よく、学生時代に「医師の日常は、患者の非日常」と教授や指導教官から指導されましたが、改めて、その言葉の真意を思い出させてくれます。
そこで今回は、皆さんからよく相談される内容のうち。口腔外科に関連する内容をQ&A形式でいくつかご紹介したいと思います。

目次

  • ① 親知らずって抜いたほうがいいの?
    •  ◆こんな症状があったら抜いたほうがいい
    •  ◆親知らずを抜歯する時の注意点
  • ② 顎がガクガクするのですけど?
    •  ◆「顎関節症」とは?
    •  ◆どのような症状があるか?
    •  ◆どうすればいいの?
  • ③ 口内炎がずっとできているのですが?
    •  ◆お口の中にできる「癌」
    •  ◆どんな症状がある?
    •  ◆今すぐ、歯科医医院へ!!
  • ④ まとめ

親知らずって抜いたほうがいいの?

口腔外科に関連する相談の中で、最も多いのがこの「親知らずを抜いたほうがいいか」という相談です。非常に多くの相談を受けます。
そもそも親知らずは、12歳ごろに生えてくる大人の歯である7番目の歯のさらに後ろから生えてくる歯です。大体18歳ごろに歯の頭が見えてきます。しかし、近年、若い女性を中心に、顎の骨が小さくなってきているため、親知らずが横から生えてくるために様々な問題が生じることがあります。

こんな症状があったら抜いたほうがいい

親知らずによって様々な症状が生じることがあります。一つの基準として次のような症状があった時には、親知らずの抜歯をすることをお勧めします。

  • ⒈ 歯茎が腫れて痛みが出たことがある
  • ⒉ 手前の歯が虫歯になってきている
  • ⒊ 横から生えてきている
  • ⒋ 手前の歯の周りの歯茎のポケットが深くなっている
  • ⒌ 物が詰まりやすく、お掃除が難しい
  • ⒍ 矯正治療をする予定

親知らずを抜歯する時の注意点

親知らずを抜歯する時には気を付けるべき偶発症があります。決して頻度は高いものではありませんが、患者さんが不快に思うことです。いざ抜歯した後にこのような症状があればすぐに相談しましょう。

  • ・舌や唇の周りがずっとしびれている/左右差がある
  • ・湧くような出血がある
  • ・熱が40℃近くあり、飲み込むときの痛みがある
  • ・1週間ほど経っても治らず、激痛がある

これらの症状があった場合、早期に治療を行った方が良い場合がほとんどです。ただちに抜歯を行った歯科医院または、夜間救急の歯科医院に連絡を入れるようにしましょう。

さて、皆さん共通の悩みの種の親知らず。自分でそうしたらいいかと考える一つの基準を紹介しました。ぜひ参考にしてみてください。

顎がガクガクするのですけど?

2つ目がこの相談です。若い女性を中心に、中高生でもこのような症状に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。これらの症状が続いている場合、「顎関節症」が最も疑われます。

「顎関節症」とは?

顎関節症とは、様々な事が原因となり、顎関節やその周囲の疼痛や、動きにくくなる病気です。顎関節症そのものが原因となって死んでしまうというような悪い病気ではありません。しかし、しゃべる、食べるなどの日常生活で顎関節が動くたびに痛みが生じる事があり、患者さんの生活に悪影響を及ぼす病気です。

どのような症状があるか?

顎関節症で見られる、あるいは患者さんが訴える症状は代表的に次のようなものがあります。

  • ・口を開けにくい
  • ・痛くて大きく開けられない
  • ・口を開けたり閉めたりするときに「カクカク」や「パキパキ」といった音が鳴る

どうすればいいの?

顎関節症には様々な治療法が存在しますが、その治療ゴールは「セルフケアを中心とし、症状を軽くし、顎運動機能を回復させること」です。最も大切なことは、「痛みを可能な限り取り除く」ということです。そのために、マッサージやマウスピースなどの治療を行っていく事があります。

自身が顎関節症かな?と思ったら、ぜひ一度歯医者さんに相談してみてはいかがでしょうか?あなたにあった治療を提案してくれると思います。

口内炎がずっとできているのですが?

ほとんどの口内炎は約2週間もあれば、無くなっていきます。しかし、それ以上、口内炎のようなものがずっと続いている場合、「口腔癌」かもしれません。
意外と知られていませんが、お口の中にもがんはできます。他の内臓と同じように、放置していると最終的に最悪の状態になることもありえます。

お口の中にできる「癌」

お口の中にできるがんは舌、歯茎、頬っぺたなどあらゆるところに生じる事があります。中でも、舌と歯茎はお口の中にできるがんのうち、約8割を占めます。最終的には、死ぬこともある非常に恐ろしい病気です。なので、早期発見・早期治療が非常に重要になってきます。

どんな症状がある?

お口の中の癌でよくみられる症状には次のようなものがあります。

  • ・口内炎が長期間治りません
  • ・顎が痺れたり、舌が動かしにくくなった
  • ・お口の中に出来物ができて、そこから血が出やすい

今すぐ、歯科医医院へ!!

最初にも述べたように、がん治療は早期発見、早期治療が肝心です。先ほどのような症状がある場合はすぐに歯医者さんに相談しましょう。
また、お口の中は皆さん自身で確認する事ができます。一日1回、寝る前にご自身のお口の中をしっかりみて、出来物ができていないか?、口内炎がずっと残っていないか?といったことを確認するようにしましょう。なにか困ったことがあれば、遠慮なく、相談するようにしましょう。

まとめ

今回は、口腔外科医Q&Aと題して、よくある質問について答えていきました。中には、恐ろしい病気も取り上げましたが、皆さんのお口の中の健康に役立ててもらえれば嬉しいです。何よりも、日々の管理と、定期的な歯科受診を行うことが重要です。ぜひかかりつけ歯科医院をこれを機に持つようにしましょう。

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