子育て中の患者さんからよく聞かれる質問
2023年9月7日
子育て中の方の多くは、子供の歯科検診や生え変わりなどを気にする機会が多いと思います。
子供は歯の治療を好んでする事がないので、痛くなければ放置してしまう事があるかもしれません。
今回は生え変わり時期や検診に着目していきたいと思います。
【目次】
・子供の歯がなかなか抜けない場合は抜いたほうが良い?
・永久歯がない事ってあるの?
・1歳半検診や3歳児健診は何を見るの?
・まとめ
【子供の歯がなかなか抜けない場合は抜いたほうが良い?】
POINT:大人の歯が生えているにもかかわらず、抜けない場合は注意。
子供の歯が生え変わるのは前歯であれば6歳前後、奥歯であれば11歳前後で徐々に生え変わりが起こります。
生え変わり間近において歯のレントゲン写真を撮影すると揺れている場合の多くは大人の歯(永久歯)が生えようとしてきていて、子供の歯(乳歯)の根が吸収している写真が確認できることが多いです。
乳歯の根がうまく吸収してきている場合は、時間とともに何かのきっかけで抜ける事が多いと思います。
しかし、中には揺れているにもかかわらず、なかなか抜けない事もあると思います。
この場合は永久歯が正しい向きに生えてきておらず、乳歯の根の吸収が上手く行われていない可能性もあります。
中には乳歯が殆ど揺れずに違う場所から永久歯が出てきてしまう事もあります。その場合は異所萌出(いしょほうしゅつ)といって抜歯の適応になることが多いです。
そのまま放置してしまうと、乳歯と永久歯が混在する状況になります。将来的に叢生(そうせい)といって、歯並びがガタガタしてしまう可能性もあるので注意が必要です。
子供は嫌がると思いますが、永久歯が見えてきている場合は歯科医院で抜歯をしたほうが良いと思われます。
【永久歯がない事ってあるの?】
POINT:場所によって永久歯がない場合がある。その場合は乳歯を永久歯として扱う。
乳歯から永久歯に生え変わることは当然のことと思う方もいらっしゃるとおもいます。
しかし、中には永久歯がない事もあります。
親知らずが無い方は聞いたことがあるかもしれませんが、同じように他の歯でもない場合があります。
無いことが多い歯は、前から数えて2番目と5番目です。
歯が先天的に無いことを永久歯の先天欠如といいますが、日本小児歯科学会の報告ではおよそ10人に1人の割合で先天欠如があるとの事です。
意外と多いことがわかると思います。
その場合は元々あった乳歯を永久歯として何かしらのトラブルが起こらないように保持していく必要があります。
もしも抜かなくてはいけない事態になった場合には、永久歯がないので入れ歯やブリッジなど補綴治療が必要になります。
【1歳半検診や3歳児健診は何を見るの?】
POINT:虫歯だけでなく、汚れの付着状況、咬み合わせ、軟組織の状態を確認する。
お子さんが生まれて多くの方が1歳半検診と3歳児検診を受ける機会があると思います。
検診の内容は1歳半でも3歳児でも大きくは変わりありません。虫歯の確認等を行います。
ここで注意してみて頂きたい点があります。
う蝕罹患型という分類があります。これはその子の虫歯の指標の様なもので、虫歯の本数で評価しているのではなく、どの部位に虫歯があるかで分類しています。
特に1歳半と3歳児検診に共通して、Cの分類になってしまっている場合は要注意です。
Cという分類は1歳半と3歳児検診で少し違いがあるのですが、下の前歯に虫歯がある場合に当てはまります。
下の前歯は基本的に虫歯になりにくい場所として知られています。舌の下の方から唾液が出てくるため、汚れが洗い流される為です。
それにもかかわらず虫歯になるという事は、虫歯リスクが高い可能性があります。
1歳半と3歳児検診どちらもO分類でないと虫歯が無いことにはならないので、Cである場合は、虫歯が沢山あるか、虫歯になりにくい場所が虫歯になっていることを意味するので確認してみてください。
その他にも歯並びや咬み合わせの確認も行います。歯茎のヒダ(小帯)の位置等も確認します。
特に上の前歯付近と唇を結ぶ上唇小帯は位置が悪いと歯並びに影響が起こる可能性があり、状況によっては将来的に小帯を切る小手術を行うこともあります。検診では簡易的に目視だけの確認となるので、確定的な診断ではありませんが、スクリーニングとして大切な目的があります。チェックを受けた際には精査をしてもらう事も必要と思われます。
【まとめ】
今回は小児における検診や抜歯などのテーマに絞って簡単にまとめました。
子供は痛みがなければ治療は行いたく無いですし、痛みの訴えが無ければ大人も歯科に受診させることが無い事もあるかもしれません。
しかし、大人でも同じですが早めに治療を受けさせることが早く通院を終わらせることにつながります。
先天欠如などは予防は出来ませんが、永久歯の有無の確認により今後の方針や親子でその歯に対する意識を変えていく必要もあるでしょう。
早め早めの処置や確認が将来的に子供の口腔環境改善に繋げられることがあると思います。