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赤ちゃんの初めての歯が生えたら、何をするべき?

2024年12月4日

赤ちゃんがすくすく育つと、お口の中に小さな乳歯が出てきます。将来、綺麗で丈夫な歯に育てる為に、最初に生えてくる歯のお手入れが大事です。乳歯がいつ頃から生えてくるか、生えてくる前、生えてきてから何をするべきか?今回は、「初めての歯が生えてきたら、何をするべきか?」について、お話させて頂きます。是非、参考にして下さい。

|目次

  • ◯赤ちゃんの初めての歯は、生後6ヶ月ごろから生え始めます
  •  ◆歯が生える順番
  •  ◆歯が生える前のお口のケア
  •  ◆歯が生え始めたら
  •  ◆一日の生活の中での歯磨きのタイミング
  • ◯歯磨き時の注意・工夫
    •  ◆⑴生後6ヶ月~1歳頃
    •  ◆⑵1歳~2歳頃
    •  ◆⑶2歳~3歳頃
  • ◯まとめ

|赤ちゃんの初めての歯は、生後6ヶ月ごろから生え始めます

赤ちゃんの初めての歯は、生後6ヶ月ごろから生え始めます。これは平均的な目安であり、個人差があります。赤ちゃんの歯の生え方は、遺伝的な要因や栄養状態などによって影響されます。

◆歯が生える順番

赤ちゃんの歯が生える順番は、だいたい以下のようになります。

  • 前歯:生後6~10ヶ月ごろに下の前歯が生え始め、その後に上の前歯が生えます。
  • 犬歯:生後16~20ヶ月ごろに上の犬歯が生え始め、その後に下の犬歯が生えます。
  • 小臼歯:生後12~16ヶ月ごろに下の小臼歯が生え始め、その後に上の小臼歯が生えます。
  • 大臼歯:生後20~30ヶ月ごろに上の大臼歯が生え始め、その後に下の大臼歯が生えます。

◆歯が生える前のお口のケア

歯が生える前から、お口の中を拭いてあげる習慣をつけることが大切です。これは、赤ちゃんにお口のケアの気持ちよさを覚えてもらうためにも有効です。

お口の中を拭く時は、ガーゼや滅菌シートをぬるま湯で湿らせて、人差し指に巻き付け、歯茎や舌の表面をそっと拭きます。お口の中を拭く回数は、1日に2~3回程度が目安です。

◆歯が生え始めたら

歯が生え始めたら、歯磨きを始めることがおすすめです。歯磨きは、赤ちゃんの歯を虫歯や歯周病から守るだけでなく、歯並びや噛み合わせの発達にも重要な役割を果たします。

◆一日の生活の中での歯磨きのタイミング

歯磨きのタイミングは、食事の後や寝る前がおすすめです。特に、夜寝る前やお昼寝前は忘れずにケアしてあげましょう。赤ちゃんが眠っている間は唾液が少なく、虫歯菌が活動的になるので、虫歯になりやすいからです。

歯磨きの回数の目安は、1日に5~6回程度です。

|歯磨き時の注意・工夫

赤ちゃんの歯磨きは、赤ちゃんのお口がよく見えるように、ママやパパが安定した姿勢で行うことが大切です。赤ちゃんの歯磨きは、赤ちゃんの年齢や成長に合わせて、以下のように変えていきましょう。

⑴生後6ヶ月~1歳頃

この時期は、赤ちゃんの歯が生え始めるころです。歯磨きの姿勢は、赤ちゃんをひざに寝かせて、仰向けにするのがおすすめです 。この姿勢は、赤ちゃんのお口がよく見えるだけでなく、赤ちゃんの首や背中を支えることができます。また、赤ちゃんが動いたり暴れたりしても、安全に歯磨きができます 。歯磨きの方法は、以下のように行います。

  • STEP1:ガーゼや滅菌シートをぬるま湯で湿らせて、人差し指に巻き付けます。
  • STEP2:片手で赤ちゃんの頭を支えて、もう片手で人差し指で歯ぐきや舌の表面をそっと拭きます。
  • STEP3:歯磨きが終わったら、赤ちゃんのお口を拭いてあげましょう。

歯が生え始めたら、赤ちゃん用の歯ブラシで磨いてあげるのが理想ですが、前歯は平らなので、ガーゼなどで歯の表面をこするように汚れを落とすのでも十分です 。歯ブラシを使う場合は、ヘッドが小さくて柔らかい毛のものを選びましょう 。歯ブラシの先端だけを使って、細かく振動させるように動かします 。力を入れすぎないように注意してください。

⑵1歳~2歳頃

この時期は、赤ちゃんの歯がほぼ生えそろうころです。歯磨きの姿勢は、赤ちゃんをひざに寝かせて、仰向けにするのを続けるか、あるいは、正座やあぐらで座ったママのひざに、子どもの頭を乗せて仰向けにするのがおすすめです 。この姿勢は、赤ちゃんのお口がよく見えるだけでなく、赤ちゃんと目が合ってコミュニケーションがとりやすいです 。歯磨きの方法は、以下のように行います。

  • STEP1:赤ちゃん用の歯ブラシと歯磨き粉を用意します 。歯磨き粉は、必要に応じて使いましょう 。歯磨き粉は飲み込むと体に悪影響を及ぼす可能性があるので、赤ちゃんがうがいができるようになるまでは、無添加や低フッ素のものを選びましょう 。歯磨き粉の量は、米粒ほどで十分です 。
  • STEP2:片手で赤ちゃんの頭を支えて、もう片手で歯ブラシを持ちます 。
  • STEP3:歯ブラシの先端だけを使って、細かく振動させるように動かします 。力を入れすぎないように注意してください。
  • STEP4:終わったら、赤ちゃんのお口を拭いてあげましょう。

⑶2歳~3歳頃

この時期は、赤ちゃんの歯がすべて生えそろい、永久歯に生え変わる準備が始まるころです。歯磨きの姿勢は、正座やあぐらで座ったママのひざに、子どもの頭を乗せて仰向けにするのを続けるか、あるいは、子どもが自分で立って、ママやパパが後ろから抱きかかえるようにするのがおすすめです 。この姿勢は、子どものお口がよく見えるだけでなく、子どもが自分で歯磨きをしたいという気持ちを尊重できます 。歯磨きの方法は、以下のように行います。

  • STEP1:歯磨き粉、子どもが自分で持つ歯ブラシと、ママやパパが仕上げ磨き用に使う歯ブラシを別々に用意しましょう 。子どもが自分で歯磨きをしたいという気持ちは大事なので、歯ブラシを与えてあげても構いません 。ただし、きれいには磨けないので、仕上げ磨きは必ずしてあげましょう 。
  • STEP2:子どもが自分で歯磨きをするときは、ママやパパがついていて、目を離さないようにしましょう 。歯ブラシでのどを突く事故が起きないように注意してください 。
  • STEP3:仕上げ磨きのときは、歯ブラシの先端だけを使って、細かく振動させるように動かします 。力を入れすぎないように注意してください 。
  • STEP4:終わったら、子どもにうがいをさせてあげましょう。

歯科検診

赤ちゃんの歯科検診は、歯が生え始める生後6カ月くらいから始めることがおすすめです。歯が生え始めると、虫歯のリスクが高まりますので、定期的に歯科医に診てもらうことが大切です。歯科検診では、歯や歯茎の状態、歯並びや噛み合わせの発達、口内環境などをチェックしてもらえます。また、フッ素塗布やシーラントなどの虫歯予防対策も受けることができます。

歯科検診の頻度は、個人差がありますが、一般的には3カ月から半年に1回程度が目安です。自治体によっては、1歳6カ月児健診や3歳児健診などの無料の歯科健診も行っていますので、ぜひ利用してみてください。歯科検診は、赤ちゃんの歯の健康を守るだけでなく、歯並びや噛み合わせの発達にも重要な役割を果たします。

|まとめ

歯科医院に行くときは、赤ちゃんの機嫌がいい時間帯を選んで、ママやパパが一緒についていてあげましょう。赤ちゃんが泣いたり嫌がったりしても、慣れていますので、気にしなくても大丈夫です。

赤ちゃんの歯のケアは、健康な歯を保つことはもちろん、体の健康や成長にも長く影響します。赤ちゃんの歯のケアに関して、わからないことや不安なことがあれば、歯科医院で相談してみましょう。

ミニインプラントとは?

2024年12月3日

デンタルインプラントの中でも、特に小さいインプラントというものがあります。従来よりも小さく、寿命および強度も確保できる上に、後発の症状も抑えられるとされます。このインプラントについて、今回は詳しく見ていきましょう。

なお、今回はインプラントの構造も含めて説明する必要があるため、専門的な用語が多くなっております。まずインプラントをご存知ない方は先にそちらから確認されることをおすすめします。

|目次

  • ◯ミニインプラントとは?
    •  ◆「IT Implant」シリーズ
    •  ◆従来品との構造的な違い
    •  ◆新旧タイプの違い
    •  ◆他のインプラントとの違い
    •  ◆適応の幅が広がったインプラント
    •  ◆素材
    •  ◆最適な表面性状の付与
  • ◯まとめ

|ミニインプラントとは?

◆「IT Implant」シリーズ

さて、ミニインプラントとはその名も、「IT Implant」というものです。プラトンジャパンという会社が販売している製品になります。(以下、製品資料からの参照を含みます)

千葉県の袖ヶ浦で開業されている飯島俊一先生とプラトンジャパンが共同開発した「IT Implant」シリーズは、歯科用インプラントの既存品における様々な問題点をクリアするとともに、超高齢社会における患者満足度向上に寄与するインプラントシステムとして期待されています。

◆従来品との構造的な違い

人工の歯根部であるフィクスチャと中の芯であるアバットメントの嵌合形態(はめあい)に、従来のスクリュータイプでなく、茶筒のようにかみ合うテーパーロック構造が採用されています。

中の芯を止めるアバットメントスクリューというものがありますが、IT Implantはこれを必要とせず、さらにアバットメントを内冠とした内外冠構造による上部構造作製を行うことで、マイクロムーブメントとよばれる微小なカタツキや余剰セメントの問題をクリアするとともに、メンテナンス時の作業性にも優れたインプラントシステムです。

◆新旧タイプの違い

IT Implant Systemは、開発背景と構造によってStypeとSEtypeの2種類に区別されます。

「IT-S Implant System」は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する「平成28年度医工連携事業化推進事業」に採択された事業テーマ「口腔内環境の変化に対応し、長期予後を確立する歯科用インプラントの開発・事業化」の支援を受け開発された製品であり、皆様が想像する人工の歯根を有する従来のインプラントシステムです。

新しい「IT-SE-Implant」は、さらに細かい口腔内での環境に耐えうるため、フィクスチャと呼ばれる人工歯根を2段構造とし、骨吸収に応じ2段目を部分的に交換することで、表面処理部の露出を回避するとともに感染を防止し、長期予後の確立を図る目的で開発を行いました。

◆他のインプラントとの違い

従来であればインプラントと上部構造はバットジョイントという、突合せ同士が平行の形をしていましたが、ITインプラントは日本の精密加工技術に基づく1.3°のテーパーロック構造の採用により、マイクロギャップ・マイクロムーブメントを軽減しインプラント周囲炎を防止することが期待できます。

◆適応の幅が広がったインプラント

インプラントとインプラントの間は、3mm以上、天然歯-インプラント間は1.5mm以上離さないといけないという決まりがあります。従来であれば、欠損に対し隣在歯が傾斜・移動してきている場合はインプラントに対する適正な間隔が取れず、症状によっては適応外となってしまうケースが多々ありました。

IT implant systemは従来のインプラントより1mm以上小さくなりますから、埋入計画は変更しなくても、インプラントフィクスチャーを変更するだけでも埋入可能になります。

◆素材

素材は、人工股関節などに使用される医療用チタン合金を採用することで、より高強度を実現しました。

一番大きい効果は、インプラント特有の歯周病であるインプラント周囲炎のリスク軽減です。

◆最適な表面性状の付与

インプラントに大事なのは初期固定です。埋入時にどれだけ初期固定が行えるかで予後が変わります。IT implant systemには人工歯根の表面に特殊加工を施すことで、早期の骨形成、強固な骨結合を実現することができました。

これにより埋入から荷重をかけるまでの治療期間が短くなるというメリットが生まれます。

|まとめ

インプラントの新しい選択肢として、材料や構造、表面性状等が進化したミニインプラント。今回はその中で代表されるITインプラントについて紹介しました。

  • インプラント特有の周囲炎などの予後の改善
  • 長期におけるメンテナンス性の上昇
  • 小型化したことで埋入しやすくなり、適応できる人が増えた
  • 表面加工で骨形成にかかる治療時間も従来より短くなった

このようにインプラントの既存品における様々な問題点をクリアすることで、超高齢社会における患者満足度向上に寄与するシステムとして期待されています。ご検討されてみてはいかがでしょうか。

マタニティー歯科の勧め マイナス1歳から始める虫歯予防④

2024年11月19日

妊娠中の口腔ケアのポイント

「人生100年時代」と言われるように、日本の平均寿命は延び続けていますが、日常生活に制限のない、自立した生活を送れる期間である「健康寿命」と平均寿命の間には、約10年の開きがあります。健康上の問題などで、支援や介護を必要とする日常生活に制限のある期間が、約10年もあるということです。いつまでも元気に過ごすためには「健康寿命」を延ばすことが大切です。

生きていくために欠かせないことは、「呼吸をすること」と「食べること」。一生使う口の土台は、お腹の中にいる時=マイナス1歳から作られます。妊婦さんの心と身体の健康を大切にすることは、生まれてくる赤ちゃんの一生涯の健康を守ることにつながります。

妊娠中は、悪阻により口内環境が悪くなりやすいです。歯磨き自体が吐き気を催す原因になるため、十分に歯垢を落とし切れずに歯磨きを終えてしまうこともあるかもしれません。悪阻による嘔吐でお口の中が酸性に傾きやすくなるのも、虫歯ができやすくなる原因になります。また、歯周病菌の中には女性ホルモンを好む菌がいます。そのため、妊娠中に女性ホルモンの働きが活発になると歯周病になる可能性が高くなるのです。

悪阻で歯磨きが難しい時期は、以下のようなことに気をつけてお口のケアをすると良いと思います。

  • ①体調の良い時間帯に歯磨きをする
    悪阻がひどい時期は、無理に歯磨きをせずに、体調の良い時間帯を見計らって歯を磨くようにしましょう。ただし、夜寝る前だけはできるだけ歯を磨くように心掛けましょう。寝ている間は唾液の分泌量が減るので、口の中の細菌が増えやすく、虫歯や歯周病になりやすくなります。
  • ②奥から前に向かって歯磨きをする
    口に伝わる刺激が少ないと、吐き気を催しにくくなることがあります。悪阻の時は、歯ブラシを小刻みに動かしながら、ゆっくりと奥から前に向かって磨くようにしましょう。奥歯を磨く時には、横から歯ブラシを入れると、嘔吐反射が起きにくくなります。
  • ③顔を下に向けたまま歯磨きをする
    口の中に唾液や泡が溜まると、吐き気を催しやすくなります。顔を下に向けて、口の中に唾液や泡を溜めないようにしながら歯を磨くようにしましょう。
  • ④デンタルフロスや歯間ブラシを使用する
    悪阻の時は磨き残しが増えるので、デンタルフロスや歯間ブラシを使用して、歯と歯の間の汚れをしっかりと除去しましょう。デンタルフロスは、持ち手がついている「ホルダータイプ」が、口への刺激が少ないのでお勧めです。
  • ⑤刺激の少ない歯磨剤を使う
    歯磨剤の味や臭いで気持ちが悪くなってしまうことがあります。味や臭いの刺激が少ない歯磨剤を使いましょう。泡が立ちにくく、少量の使用で済むフォーム状の歯磨剤を使うのもお勧めです。場合によっては、歯磨剤を使わない磨き方もあります。
  • ⑥歯ブラシはヘッドの小さいコンパクトなものを使う
    歯ブラシが頰の内側や舌、歯肉に触れると、嘔吐反射が起きやすくなります。ヘッド(歯ブラシの毛の生えている部分)が小さい歯ブラシは、口に入れた時の圧迫感が少なく、頰や舌、歯肉を刺激せずに磨くことができます。
  • ⑦洗口液を使う
    どうしても歯磨きが難しい場合は、洗口液を使って口の中の汚れを洗い流しましょう。前後左右に液体を動かすイメージで、しっかりぶくぶくうがいをすることがポイントです。洗口液は、補助的なものですので、体調が良くなったタイミングで、1日1回は歯磨きをしましょう。
  • ⑧キシリトール製品を利用する
    天然の甘味料であるキシリトールには、虫歯菌の働きを弱め、プラークを着きにくくする効果があります。取り入れられるようであれば、キシリトール製品を利用しましょう。口の中に長く留まるガムやタブレットの形で摂取することがお勧めです。出産前に一定期間キシリトールを摂取した母親から生まれた子供は、虫歯のリスクが低くなるという報告もあります。

妊娠中の歯科処置による赤ちゃんへの影響

妊婦さんが歯科処置を受ける際に、レントゲン撮影や麻酔、投薬などのお腹の赤ちゃんへの影響を心配するのは自然なことです。

麻酔による赤ちゃんへの影響

虫歯処置で使われるのは局所麻酔です。胎盤を通じて、お腹の赤ちゃんに麻酔薬が届くことはありません。歯科処置で一般的に麻酔として使われているのは、キシロカインという薬です。キシロカインは、無痛分娩にも用いられているもので、通常の歯科処置に使う量であれば、問題無いと言われています。身体への負担が少ないものを、最小限の量使用します。妊婦さんが痛みを我慢するストレスはお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすため、局所麻酔を使って無痛的にきちんと処置を行った方が安全であると言われています。妊娠16週~27週の安定期であれば、ほとんど心配はありません。

レントゲンの赤ちゃんへの影響

赤ちゃんへの被爆が心配になると思います。妊娠15週までの初期は、感受性が高いためできるだけ避けます。妊娠16週~27週の安定期以降であれば、特に問題ありません。多くの歯科医院で使われているレントゲン撮影装置は、デジタルレントゲン撮影装置で、非常に低い線量で撮影することが可能です。ですが、どうしても心配な場合には、撮影せずにできる処置もありますので、ためらわずに歯科医師にお伝えください。

飲み薬の赤ちゃんへの影響

妊婦さんには、抗菌薬や鎮痛剤(痛み止め)を使うような抜歯などの処置は、できるだけ出産や授乳の時期を過ぎてから行うようにお勧めしますが、どうしても処置を行う必要がある場合もあります。どんな薬も、お腹の中の赤ちゃんへの安全性は保証されていません。妊娠中や授乳中でも安全に使用できる抗生剤や鎮痛剤を選び、最小限の量を使用します。

まとめ

・悪阻の時期は、口腔ケアに工夫が必要

・歯科処置に伴う赤ちゃんへの影響は、ほとんど心配がない

マタニティー歯科の勧め マイナス1歳から始める虫歯予防③

2024年11月12日

マタニティー歯科を受診するには?

「人生100年時代」と言われるように、日本の平均寿命は延び続けていますが、日常生活に制限のない、自立した生活を送れる期間である「健康寿命」と平均寿命の間には、約10年の開きがあります。

健康上の問題などで、支援や介護を必要とする日常生活に制限のある期間が、約10年もあるということです。いつまでも元気に過ごすためには「健康寿命」を延ばすことが大切です。

生きていくために欠かせないことは、「呼吸をすること」と「食べること」。呼吸が楽にできる鼻、きちんと噛めて飲み込める口は、人生の質を左右します。そして、一生使う口の土台は、お腹の中にいる時=マイナス1歳から作られるのです。

お口の健康は体の健康、心の健康にもつながります。妊娠・出産をすると、女性の心と身体はいつもとは違うデリケートな状態になります。妊婦さんの心と身体の健康を大切にすることは、生まれてくる赤ちゃんの健康を守ることにつながります。

生まれてくる赤ちゃんのために、出産前の歯科検診、口腔ケア、虫歯の処置を行いましょう。

妊娠中に起こりやすいトラブル

  • ①虫歯の悪化
    唾液の質・量の変化や悪阻で、口の中が虫歯になりやすい状態になります。また、出産後の生活パターンの変化により歯磨きが疎かになりやすいことも、虫歯が悪化しやすい要因になります。子供の虫歯リスクを考える場合、いちばん接する時間が長い母親の口の中の状態がとても重要です。母親が定期的にメインテナンスを受けている場合、子供の虫歯になるリスクがそうでない場合の半分になると言われています。
  • ②妊娠性歯周炎
    女性ホルモンの影響で、普段よりも歯肉が腫れやすく、歯周病菌の活動が活発になり、妊娠性歯肉炎を発症しやすくなります。妊娠性歯周炎は、妊婦さんの約50%が経験すると言われています。適切なケアが為されないと、出産後も歯周炎が継続する場合があります。
  • ③酸蝕歯
    悪阻による嘔吐や味覚の変化で歯が溶かされやすく、「酸蝕歯(さんしょくし)」になりやすくなります。酸蝕歯とは、飲食物や薬品などの酸によって歯の表面のエナメル質が溶けた状態のことで、歯の表面にあるエナメル質が傷つき、徐々に薄くなることで、歯の先端部分から透明になっていきます。症状としては、熱い物や冷たい物がしみる(知覚過敏)、歯の艶が失くなる、歯が擦り減って象エナメル質の下の象牙質が露出して斑らに見えたりします。虫歯は虫歯菌が原因ですが、酸蝕歯には細菌が関与していません。
  • ④妊娠性エプーリス
    エプーリスは歯肉にできる良性のしこりのようなもの(腫瘤)で、炎症や刺激に対する反応により形成されます。歯磨きにより出血したり、痛みが生じる場合があります。大きくなると、歯が動かされて、歯並びが悪くなることがあります。妊娠性エプーリスは出産後に自然に消退することが多く、経過観察となりますが、自然に消退しない場合には、外科的に切除することがあります。
  • ⑤姿勢の変化による腰痛・咬み合わせのずれ
    お腹が大きくなってくると体の重心バランスが変化します。反り腰になりやすく、咬み合わせに影響が出る場合があります。
  • ⑥親不知などの炎症の悪化
    赤ちゃんを母親の免疫機能から守るための免疫機能の低下(免疫寛容)により、元々炎症がある箇所が悪化する場合があります。
  • ⑦妊娠糖尿病
    妊娠すると、ホルモンの影響で、インスリンが効きにくい状態になり、血糖値が上昇しやすくなります。妊婦さんの約1%~3%が、妊娠糖尿病を発症すると言われています。糖尿病になると、細菌に対する抵抗力や組織の修復力の低下、口腔内の乾燥が生じ、歯周病を悪化させます。歯周病にかかってしまった妊婦さんは、歯周病菌によりインスリンの働きが阻害され、血糖コントロールを悪くしてしまうため、糖尿病のリスクが高まります。

妊娠中の歯科受診のタイミング

  • ①妊娠初期:15週まで
    切迫早産が起こりやすい時期です。歯の痛みや歯茎の腫れなどの急性症状がある場合には、応急処置のみ行います。特に4週~8週は慎重に治療にあたり、12週までは口腔内の診査やクリーニング程度にしておきます。レントゲン撮影や、麻酔、投薬などは注意が必要です。
  • ②妊娠中期:16週~27週
    安定期になります。ほとんどの歯科治療を行えます。レントゲン撮影や、麻酔、投薬なども可能になります。出産前の比較的安定しているこの時期に、治療を行うことが望ましいです。
  • ③妊娠後期:28週以降
    お腹がかなり大きくなり、治療体位が苦しくなることがあります。早産や急な陣痛に備え、治療は応急処置に留めます。治療が必要な場合は出産後に改めて治療を行います。

妊娠中の歯科受診時に注意すること

  • 治療前に、妊娠第何週であるかを歯科医師にきちんと伝えましょう。受診時には、母子手帳を持参しましょう。
  • 歯科処置では、長時間同じ体勢を取り続けることになります。通常、歯科処置中は仰向けになります。姿勢が苦しいと感じる場合には、すぐ歯科医師に知らせ、別の楽な姿勢にしてもらいましょう。
  • 処置中に体調が悪くなった場合や、処置に対して不安がある場合は、遠慮なく歯科医師に伝えましょう。

「十月十日」というくらい、妊娠期間は長期間に及びます。妊娠中は悪阻や唾液の減少など、口内環境が悪化しやすくなります。妊娠中に虫歯処置を受けても大丈夫ですから、痛みを我慢しないで歯科を受診するようにしましょう。

とは言え、レントゲン撮影や麻酔、抗生物質の服用などを妊娠中に行うことについて、胎児への影響を考えて不安な気持ちを持つ妊婦さんは多いと思います。妊娠中の歯科処置をできるだけ避けるために、妊娠する前の段階=普段から、お口の中を良い状態にしておくことが理想です。

妊娠中・出産を望む方は、未来を見据えて、計画的に歯科を受診することが大切になってきます。

まとめ

・妊娠中は、口腔内環境が悪化し、トラブルが起こりやすい

・妊娠中の歯科処置は、16週~27週の安定期が望ましい

・妊娠前から口の中を良い状態にしておくことが望ましい

マタニティー歯科の勧め マイナス1歳から始める虫歯予防②

2024年10月30日

「人生100年時代」と言われるように、日本の平均寿命は延び続けていますが、日常生活に制限のない、自立した生活を送れる期間である「健康寿命」と平均寿命の間には、約10年の開きがあります。

健康上の問題などで、支援や介護を必要とする日常生活に制限のある期間が、約10年もあるということです。

いつまでも元気に過ごすためには「健康寿命」を延ばすことが大切です。

生きていくために欠かせないことは、「呼吸をすること」と「食べること」。
呼吸が楽にできる鼻、きちんと噛めて飲み込める口は、人生の質を左右します。
そして、一生使う口の土台は、お腹の中にいる時=マイナス1歳から作られるのです。

【目次】

  • ◯口腔育成の第1段階は、3歳までが重要
  •  ◆上顎の成長
  •  ◆赤ちゃんの食生活と口腔との関係
  •  ◆早めに受診しよう
  • ◯「かかりつけの歯科医院」の勧め
  • ◯まとめ

口腔育成の第1段階は、3歳までが重要

「三つ子の魂百まで」と言われますが、「マイナス1歳から始める虫歯予防」のためにも、3歳までが重要な時期になります。

生まれたばかりの赤ちゃんの口の中は無菌です。
生まれてから、接する周囲の人からの細菌が赤ちゃんの口の中に移って定着し、その人固有の細菌の集団(細菌叢)が形成されます。細菌叢の50%が、いちばん接する時間が長い母親由来と言われています。特に虫歯菌は、乳歯の奥歯が生え始める18ヶ月(1歳半)頃から乳歯が全部生え揃う31ヶ月(2歳半)頃の間に最初の感染が集中しているとの研究があります。また、歯周病菌は、保護者、特に母親が歯周病を発症していると、その子供からも同じ歯周病菌が検出される率が高いことが明らかになっています。

細菌叢が善玉菌優位になるか、悪玉菌優位になるかは、3歳頃までにほぼ決まり、それが生涯に渡って続くと言われています。

上顎の成長

呼吸=鼻の土台となる上顎の前の部分(切歯骨)は、生後3ヶ月~6ヶ月の変化が最も大きく、永久歯が生える頃にはほぼ成長が終わります。

上顎を「歯が並ぶ土台」として見た場合、幅が広い方が、なんとなく将来、余裕をもって歯が並びそうだと思いませんか?
上顎、特に切歯骨の成長には、適切に哺乳・嚥下ができていることが重要です。

赤ちゃんの食生活と口腔との関係

0歳~1歳頃の赤ちゃんは、離乳食を通して、味を食感、舌触り、温度、匂い、色彩などの五感で感じながら、食べ物のおいしさを知っていきます。

「味わう」ためには、食べ物をよく噛み、舌で移動させ、舌の上の味を感じる細胞である味蕾(みらい)の色々な場所で味を感じることが必要になります。動かすことでおいしさが持続するため、食べ物を口の中に留めて舌で感じたり、よく噛んだりすることは、味覚を発達させるうえでとても重要になります。

よく噛んで味わうためには、赤ちゃんの状態に合わせた食べ物の形状を選択すること、適切な食べさせ方をすることが大切です。

また、食生活と虫歯が密接に関係していることはご存知だと思いますが、2歳~3歳は自我が発達して好き・嫌いを判断するようになります。早い時期に虫歯ができて歯科医院を受診する子供は、既に甘い物が好きだったり、 歯磨きが嫌いだったり、寝る時間が遅いなど、生活習慣が偏っていることがあります。
3歳までに身につけた嗜好や基本的な生活習慣は、その後、変えることが難しくなります。

基本的な生活習慣が確立した後から、「食生活に気をつけてください」「仕上げ歯磨きを頑張ってください」と言われても、 保護者も子供も大変な思いをすることになります。

早めに受診しよう

赤ちゃんが最初に歯科を受診するのは、1歳6ヶ月検診であることが多いと思いますが、その頃には、生涯に渡って影響する大事な時期が過ぎてしまっていることもあるのです。

この重要な時期に、歯科が関わることで、お子様が一生の財産を手に入れることができるよう情報提供し、お口の健康のお手伝いをしていきたいと思います。
マタニティの時期から、生まれてくる赤ちゃんの将来を考えて、保護者がお口を健康に育む知識を身につけることで、大変な思いをすることなく機能的で健康な口と身体を目指すことができます。

「赤ちゃんの時に知っていれば…」とならないためにも、生まれてくる赤ちゃんのことを一緒に学んでいきましょう。

「かかりつけの歯科医院」の勧め

「マタニティー歯科の勧め マイナス1歳から始める虫歯予防①」と今回で、マタニティー歯科をお勧めする理由を述べてきました。

マタニティー歯科は、「口の中の状態が悪くなったから、歯が痛くなったから行く」所ではありません。妊婦さんと生まれてくる赤ちゃんの「お口の健康を守るための歯医者」です。

「お口の健康を守るための歯医者」、それが「かかりつけの歯科医院」です。

「かかりつけ歯科医院」のポイントは、「リスクに応じたケア」を実施することにあります。一人一人の生活背景を把握し、病気のリスク因子をきちんと検査・分析して、リスク管理=定期的なメインテナンスを行うのが、かかりつけ歯科医院の役割です。

痛みやトラブルが起こった時に処置に行く歯科医院は、本当のかかりつけではありません。
虫歯で処置を行った歯は、元の健康な状態に戻ることはありません。虫歯を削って、詰めたり被せたりすれば、噛めるようにはなりますが、それは虫歯が「治った」のではないのです。

視力が悪い人が、眼鏡やコンタクトレンズを使うことに似ています。眼鏡やコンタクトを使えば「見える」ようになりますが、視力が良くなった訳ではありません。

虫歯で詰めたり被せたりした部分は、その後虫歯が再発するリスクが高くなります。何か起きてから対処するを繰り返しているのでは、口や歯の状態は以前より悪くなってしまうのです。

まとめ

・赤ちゃんのために、安心できるかかりつけの歯医者を見つけましょう!

・生まれてくる赤ちゃんのために、お母さんの口の中を健康に保つことも大切です!

マタニティー歯科の勧め マイナス1歳から始める虫歯予防①

2024年10月25日

「人生100年時代」の土台はお腹の中で作られる

「人生100年時代」と言われるように、日本の平均寿命は延び続けていますが、日常生活に制限のない、自立した生活を送れる期間である「健康寿命」と平均寿命の間には、約10年の開きがあります。

健康上の問題などで、支援や介護を必要とする日常生活に制限のある期間が、約10年もあるということです。

いつまでも元気に過ごすためには「健康寿命」を延ばすことが大切です。

生きていくために欠かせないことは、「呼吸をすること」と「食べること」。
呼吸が楽にできる鼻、きちんと噛めて飲み込める口は、人生の質を左右します。

「マタニティー歯科」という言葉を聞いたことがありますか?

「マタニティー歯科」は、妊婦さんと生まれてくる赤ちゃんを対象にした歯科です。妊娠がわかっている方だけでなく、これから妊娠を望む方や、授乳中の方も対象に含まれます。妊婦さんや赤ちゃんが生まれた方に特有の身体や体調の変化を考慮した検査・歯科処置・予防処置を行います。

「妊娠・出産と歯医者って、何の関係があるの?」と思う方もいると思います。実は、妊娠・出産と歯科は、密接に関係しているのです。

マタニティー歯科は「お母さん」のため

出産した後のお母さんは、「歯がボロボロになってしまう」「お口の状態が悪くなってしまう」という噂を聞いたことがありますか?現在60代~80代の方が「お母さん」だった頃は、「子供を1人産むと歯が1本無くなる」と言われていたそうです。歯科医院でも、「子供を生む度に歯が悪くなって、もうボロボロ」「子供に栄養を取られたから、骨も歯も弱くなった」と仰る高齢の女性は少なからずいらっしゃいます。

調査内容・結果

2014年4月、東京医科歯科大学の研究者グループにより、以下のような疫学調査の結果が発表されました。

〝出産回数が増えると将来、歯を失いやすくなる――。東京医科歯科大学の植野正之准教授らのグループは16日、こんな疫学調査の結果を発表した。妊娠や出産の過程で虫歯になりやすくなるうえ、歯科治療を受ける機会が減るのが原因と考えられるという。妊娠中も虫歯予防や治療に積極的に取り組むことが必要だという。

1990年に秋田県に住んでいた40~59歳の男女に歯科に関するアンケート調査をし、2005年に歯科検診を受けた約1200人(男性562人、女性649人)の結果を解析した。女性は出産回数を「0回」から「4回以上」まで5グループに分けて、親知らずを除く28本の永久歯のうち残っている数を比べた。

その結果、4回以上出産しているグループの残っている歯は約15本。0回の約18本や1回の約19本に比べて約3本少なかった。回数が多くなると残っている歯の数が減っていた。かみ合わせに大事な奥歯の上下のペアの数を見ても同様の傾向を示した。
男性では子供の数別に比べたが、残っている歯の数と関連はなかった。

妊娠・出産ではホルモンや口の中の細菌のバランスの変化で免疫力が低下し、虫歯や歯茎などの歯周組織が壊れやすくなる。このため「妊娠が繰り返されると歯を失うリスクが上がる」(植野准教授)。

妊娠中の歯科治療が胎児に悪影響を及ぼすという説のため治療を避ける妊婦もいるが、通常の虫歯治療ならば問題はなく、科学的な根拠はないという。〟

(日本経済新聞 2014年4月16日号 https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1600I_W4A410C1CR0000/

この調査から考えられることは?

結論は「出産回数が増えると、歯を失うリスクが高まる」。
しかし、お腹の中の赤ちゃんに骨や歯のカルシウムが取られて歯を失ったわけではありません。このような結果になったのは、妊娠中や出産後のお母さんの口のケアが不十分だったからです。

妊娠・出産をすると、心と身体はいつもとは違う状態になります。口も身体の一部ですから、口の中もいつもとは違う状態になります。以下のような理由から、虫歯や歯周病が悪化しやすいと考えられます。

  • ①母体から見れば「異物」である赤ちゃんを母体の免疫機能から守るため、妊娠中は体全体の免疫機能が低下します。虫歯も歯周病も感染症ですから、悪化しやすい状態になります。
  • ②妊娠中は、唾液の分泌量が低下すると共に、唾液の質が変化してネバネバした状態になります。また、いつもは中性の唾液がやや酸性に傾き、虫歯菌が産生する酸を中和する働きが弱まるため、歯が溶かされやすい状態になります。
  • ③女性ホルモンの分泌量が変化して、女性ホルモンを栄養源とする歯周病菌が増える傾向があります。女性ホルモンの影響で、普段よりも歯肉が腫れやすくなり、妊娠性歯肉炎を発症しやすくなります。
  • ④悪阻により歯磨きが難しくなることがあります。また、悪阻による嘔吐で歯が溶かされやすい状態になります。
  • ⑤味覚が変化して酸っぱい物を好むようになり、口の中が酸性に傾き、歯が溶かされやすくなります。
  • ⑥悪阻で小分けにして食べるため、飲食回数が増えて、口の中が酸性になる時間が長くなり、歯が溶かされやすくなります。
  • ⑦悪阻や体調の変化、授乳により歯科の受診が難しく、処置が中断したり、処置が必要な歯が放置される傾向があります。
  • ⑧妊娠・出産で生活パターンが変わり、子供優先となるため、自分のことが後回しになりやすく、歯磨きや通院が疎かになりがちです。

マタニティー歯科は「赤ちゃん」のため

子供の口や歯を健康に育てる口腔育成は、お母さんのお腹の中にいる時=マイナス1歳からスタートしています。

唇や上顎(口蓋)は、妊娠8週~10週頃にでき上がります。上顎の形は、健全な呼吸機能に影響します。妊娠7週~10週頃には、子供の歯(乳歯)の芽となる歯胚(しはい)が形成されます。また、妊娠3か月半頃になると、大人の歯(永久歯)の歯胚の形成も始まります。妊娠4~5ヶ月頃には歯胚が硬い組織になる石灰化が始まっています。石灰化に必要なカルシウムやリンは、お母さんの血液から供給されます。歯胚は、歯を支える骨(歯槽骨)の中で時間をかけて発育し、やがて歯として口の中に生えてきます。

妊娠中のお母さんの健康状態や栄養状態が、赤ちゃんの口や歯に大きく影響するのです。

また、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中は無菌ですが、身近で接している人から徐々に細菌が伝搬して、その人固有の細菌の集団(細菌叢)が形成されます。

細菌のDNAを解析した研究によると、細菌叢の50%が、いちばん接する時間が長い母親由来なのだそうです。細菌叢の細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類に分類されますが、お母さんの口の中の悪玉菌を減らして、赤ちゃんに移さないようにすることが、生涯に渡って虫歯や歯周病になりにくいお口作りのためには大切です。

歯周病菌が血管内に入り込むと、歯周病菌が作り出す炎症物質が胎盤を刺激して、子宮に陣痛に似た収縮を引き起こし、早産・低体重児出産などのリスクが高まることも明らかになっています。
お腹の赤ちゃんのためにも、お母さんのお口の中を健康に保つようにしましょう。

まとめ

・マタニティー歯科は、妊婦さんと生まれてくる赤ちゃんを対象にした歯科

・妊娠中や出産後は、虫歯や歯周病のリスクが高くなる

・生まれてくる赤ちゃんのために、お母さんの口の中を健康に保つことが大切

摂食嚥下とは??

2024年10月14日

『山形県の日本料理店が、摂食嚥下がうまくいかない人にも見た目や味が楽しめる「ハレの日の食事」を提供している。』と今月、報道されていました。この日本料理店の支配人さんは、地域の医療・介護関係者が始めた「摂食嚥下がうまくいかない人の食事を考える研究会」に参加し、管理栄養士や言語聴覚士からアドバイスを受けながら、レシピを開発してきました。 地元産の地魚の握りずしや庄内牛のステーキなど、見た目がほぼ同じ料理を家族と一緒に楽しめることは、摂食嚥下がうまくいかない人にとって大きな喜びだそうです。

目次

  • 摂食嚥下とは
  • 摂食嚥下の5期モデルのメカニズム
  • 嚥下食とは
    • 調理のポイント
  • 子どもの摂食嚥下
    • 哺乳期
    • 離乳期
  • まとめ

摂食嚥下とは

摂食嚥下とは、食べ物や水分を口から胃に送り込む一連の動作のことです。摂食嚥下には、次にお話する5つの段階があります。
摂食嚥下は、加齢や病気などで障害されることがあります。摂食嚥下障害は、誤嚥(食べ物が気管に入ること)や誤嚥性肺炎(誤嚥で肺に細菌が入り炎症を起こすこと)などの合併症を引き起こす可能性があります。摂食嚥下障害は、生活の質や予後に影響します。摂食嚥下障害の診断と治療には、医師や歯科医師、言語聴覚士などの多職種の連携が必要です。

①摂食嚥下の5期モデルのメカニズム

摂食嚥下の5期モデルのメカニズムについて説明します。

⑴先行期

食べ物を視覚や嗅覚などで認識し、食欲や食べ方を判断する段階です。この時、脳の高次機能が働きます。食べ物に対する興味や好み、記憶や感情などが影響します。先行期に障害があると、食べ物を見ても反応しない、食べたくない、食べ方がわからないなどの問題が起こります。

⑵準備期

食べ物を口に運び、咀嚼して唾液と混ぜ合わせて飲み込みやすい状態にする段階です。この時、口腔の筋肉や歯が活動します。食べ物の硬さや大きさに合わせて咀嚼力や速度を調整します。準備期に障害があると、食べ物を口に入れるのが困難だったり、咀嚼できなかったり、唾液が不足したりすることがあります。

⑶口腔期

舌の運動で食べ物を咽頭に送り込む段階です。この時、舌と口蓋で食べ物を挟んで押し出します。舌は前方から口蓋に押し付けて圧力をかけます。口腔期に障害があると、舌の動きが弱くなったり、食べ物が口からこぼれたり、誤って咽頭に送り込んだりすることがあります。

⑷咽頭期

喉頭が挙上して嚥下反射が起こり、食べ物を気管から守りながら食道に送り込む段階です。この時、喉頭蓋や声帯が気道を閉鎖します。咽頭期に障害があると、嚥下反射が遅れたり、気道閉鎖が不完全だったりして誤嚥したりすることがあります。

⑸食道期

食道の蠕動運動で食べ物を胃に送り込む段階です。この時、食道括約筋が開閉して食べ物を進めます。食道期に障害があると、食道括約筋の収縮や弛緩が不十分だったり、逆流したりすることがあります。

嚥下食とは

嚥下食とは、嚥下機能が低下した人に適した食事のことです。嚥下機能とは、食べ物や水分を口から胃に送り込む能力のことです。嚥下機能が低下すると、誤嚥(食べ物が気管に入ること)や誤嚥性肺炎(誤嚥で肺に細菌が入り炎症を起こすこと)などのリスクが高まります。嚥下食は、このようなリスクを減らすために、食べ物の形態やとろみを調整して飲み込みやすくする食事です。

調理のポイント

嚥下食は、各レベルに応じて、食べ物の形態やとろみを調整して飲み込みやすくする必要があります。
嚥下食を調理する際のポイントは、以下のようになります。

  • 噛む力が弱い人には、食べ物を適度な厚みと大きさに切り、歯茎でつぶせる程度にやわらかく加熱します。例えば、肉は煮込んだりハンバーグにしたりします。
  • 口の中でまとめる力や飲み込む力が弱い人には、舌と上あごでつぶせる程度にやわらかく加熱するとともに、つなぎやとろみづけになる食材を加えて咽頭に送りやすい形状にします。例えば、野菜はペースト状にしたりあんかけにしたりします。
  • 飲み込みにくい食品は避けるか、工夫して調理します。例えば、硬くて噛みにくいもの(ごまなど)、ポロポロしてまとまらないもの(トウモロコシなど)、ペラペラして喉に貼りつきやすいもの(餅など)、パサパサして水分の少ないもの(パンなど)は、刻んだりミキサーにかけたりしてゼリー状やペースト状にするなどします。

子どもの摂食嚥下

子どもの摂食嚥下は、生まれてから徐々に発達していきますが、個人差や基礎疾患などによって障害が起こることがあります。子どもの摂食嚥下障害は、摂食嚥下機能の発達期であるという特徴があります。

②哺乳期

哺乳期とは、生後0ヶ月から5ヶ月くらいまでの期間で、主に母乳やミルクを飲むことで栄養を摂る段階です。哺乳期の子どもの摂食嚥下には、以下のような特徴があります。

 ◆②―⑴哺乳反射

哺乳反射とは、口に触れるものに反応して吸う動作をする反射です。哺乳反射は生まれつき備わっている機能で、生後5ヶ月くらいまでに消失します。

 ◆②―⑵呼吸と嚥下が同期

呼吸と嚥下は同じ気道を共有するため、同時に行うことはできません。成人では嚥下時に呼吸を一時的に止めますが、哺乳期の子どもは呼吸を止めずに嚥下することができます。これは、喉頭が高く位置し、気道と食道の入り口が近いためです。

 ◆②―⑶口腔内圧が高くなる

哺乳期の子どもは口腔内圧を高めることで母乳やミルクを効率的に吸うことができます。口腔内圧を高めるためには、唇や頬や舌などの口腔筋肉が活発に動きます。

③離乳期

離乳期とは、生後5ヶ月から12ヶ月くらいまでの期間で、主に固形物を食べることで栄養を摂る段階です。離乳期の子どもの摂食嚥下には、以下のような特徴があります。

 ◆③―⑴哺乳反射の消失

哺乳反射とは、口に触れるものに反応して吸う動作をする反射です。哺乳反射は生後5ヶ月くらいまでに消失します。

 ◆③―⑵咀嚼機能の発達

咀嚼機能とは、食物を歯や舌で細かく砕くことです。咀嚼機能は、歯の生え方や食物の硬さや大きさに応じて変化します。最初は歯茎で押しつぶす程度ですが、次第に臼歯で砕くようになります。

 ◆③―⑶成人嚥下へ移行

成人嚥下とは、食物を飲み込む際に呼吸を一時的に止めることです。哺乳期の子どもは呼吸を止めずに嚥下することができますが、離乳期になると呼吸と嚥下の協調が必要になります。

まとめ

嚥下障害の診断には、造影検査や内視鏡検査、唾液嚥下テストや水飲みテストなどを行います。
嚥下障害の治療には、食物の形態や量・速度・頻度の調整、姿勢や頭位の工夫、口腔ケア、リハビリテーションがあります。
嚥下障害は、重篤な合併症を防ぐために早期発見・早期介入が重要です。またそのニーズや希望に応じた個別化された治療計画を立てることが必要です。嚥下障害は、食事だけでなくコミュニケーションや社会参加にも影響するため、生活全体を支援する視点も大切です。

ブラックトライアングルとは?歯の間にある隙間が気になった場合

2024年10月9日

【目次】

  • ・ブラックトライアングルとは
  • ・ブラックトライアングルの原因
  • ・ブラックトライアングルの治療と予防
  • ・まとめ

ブラックトライアングルとは

歯茎が何らかの原因で痩せてしまうと、歯茎と歯と歯の間に囲まれた場所に三角形状の隙間が出てくることがあります。これをブラックトライアングルと呼びます。日常的に痛みを誘発させてしまうことはありません。しかし、隙間になるためゴマなどの食べ物が入り込みやすくなったり、すきっ歯のように見えたりすることがあります。

ブラックトライアングルの場所

ブラックトライアングルは歯と歯の間があればどこにでもできます。場所としては、歯と歯が接触するコンタクトと呼ばれる部位を頂点とし、そこから歯茎までの間の隙間を指します。この部位には歯間乳頭という歯茎が正常であればあるはずです。しかし、歯茎が痩せて下がるとブラックトライアングルが目立つようになります。生理的にも加齢とともに歯茎は下がってしまうため、ある程度は仕方がない部分もあります。

ブラックトライアングル症状

一般的にブラックトライアングルによって痛みが起こるということはありません。しかし、隙間になっているので汚れが停滞しやすいことや前歯であれば隙間が目立って見た目に影響が出ることがあります。汚れが停滞しやすい場合には歯ブラシや歯間ブラシなどで汚れを除去し、歯周病や虫歯を防ぐ必要性があります。仮に元々ブラックトライアングルがあった場合、治療をしていないにも関わらずブラックトライアングルが消失するということは基本的にはありません。このような場合には歯茎が歯肉炎などで腫れてしまい、一時的に隙間が埋まってしまっている可能性があります。病的に歯肉が埋まってしまっていることがあるので注意が必要です。

ブラックトライアングルの原因

ブラックトライアングルの原因、つまり歯間乳頭が失われる原因はいくつか考えられます。

  • ①加齢
  • ②歯周病
  • ③歯ぎしりなどの癖
  • ④歯ブラシの不適切な使用
  • ⑤矯正治療によるもの

ブラックトライアングルの原因 ①加齢

残念ながら加齢により歯茎が下がることがあります。生理的な現象のためある程度は仕方がない部分です。患者さんの中には若い頃は歯並びや歯茎の形態がもっと綺麗だったと仰る方がいます。しかし、年齢を重ねると徐々に歯並びや歯茎の状態は変化していきます。

ブラックトライアングルの原因 ②歯周病

歯茎の形を変えてしまう病的なものとして1番代表的なものが歯周病です。歯周病は痛みがなく進行し歯を支える繊維や骨を徐々に喪失に導きます。骨や繊維が失われると、必然的にブラックトライアングルが形成されやすくなります。ブラックトライアングルは歯周病により歯茎が腫れて無くなることがあります。しかし、病的に隙間が埋まっただけで治癒したわけではないので歯周病の定期的な確認は重要です。

ブラックトライアングルの原因 ③歯ぎしりなどの癖

歯ぎしりは歯自体をすり減らすこともありますが、歯茎の退縮を導くことがあります。歯ぎしりなどの異常な力は歯だけではなく、歯茎にも悪影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。

ブラックトライアングルの原因 ④歯ブラシの不適切な使用

歯ブラシで歯を磨くときにゴシゴシと力強く磨いている方はいないでしょうか。大きな力と動かし方は、歯をいたずらに傷つけるだけではなく歯茎も下げてしまう原因になります。歯科医院で歯磨きの指導を受けた方は、歯と歯茎の間をしっかりと磨くように指導されることが多いと思います。もちろん間違ってはいないのですが、一生懸命磨こうとして力強く磨く方がいらっしゃいます。過剰な力はかえって汚れがうまく取れないだけでなく、歯や歯茎を痛めてしまう原因になります。

ブラックトライアングルの原因 ⑤矯正治療によるもの

矯正治療では理想とされる歯並びにするためにワイヤーなどで歯を動かし、時には便宜的に抜歯を行うこともあります。歯が動くとそれに伴って歯茎の形態も変化していきます。矯正治療後の変化として、歯が短くなることや歯茎の形態が変化することは比較的多く見られます。

ブラックトライアングルの予防と治療

ブラックトライアングルの原因を確認した上で予防と治療を確認しましょう。予防においては、まず歯茎に病的な変化を起こさせないようにすることが大切です。その最たる例が歯周病の対策です。基本的には適切な歯磨きによって防ぐことが可能ですが、歯ブラシだけの歯磨きや歯にある詰め物や被せ物が合っていない場合などは汚れが付着したままになりやすいです。これらは自分自身で確認することが難しいため、定期的に歯科医院で確認してもらうことが望ましいです。治療のために受診するのではなく、予防のために受診することが大切です。

ブラックトライアングルの予防

予防において自分で出来ることは不必要な力を歯や歯茎にかけないことも挙げられます。歯磨きをする時の力加減、日中や夜間に歯ぎしりや食いしばりをしていないかどうかを確認してみましょう。夜間に歯ぎしりなどをしてしまうのは無意識下のため予防することが困難です。可能であればマウスピースなどを使用して、歯に力が直接的にかからないようにすることがあります。

ブラックトライアングルの治療

歯茎の形態を変えて隙間を少なくする歯周外科治療というものがあります。歯茎が退縮してブラックトライアングルが目立つ部位にメスを入れて、歯茎の形態を整える方法です。この際に歯茎のボリュームが足りない場合には、どこか違う場所から歯茎を移植することもあります。治療方法としては知られているものですが効果が確実に得られるとは限りませんし、治療後にまたブラックトライアングルが出現することがあります。また、上記の原因が取り除かれない場合には治療後の後戻りが早いこともあります。

まとめ

ブラックトライアングルについて確認してきました。生理的にも歯間乳頭部位は退縮してしまうこともあり、完全に防ぐことはなかなか難しいです。しかし、病的に出現することがあるのでそれは予防するようにしましょう。定期的な検診によりブラックトライアングルを起こしやすい環境を改善するように心がけましょう。

親知らずを抜いた後によくある質問

2024年10月7日

親知らずを抜いた後は普段とちがう症状が出たり、口の中が気持ち悪い感じがしたりなど、気になることがたくさんあると思います。今回は親知らずを抜いた後によくある質問と、それに対する回答をいくつか紹介していきます。

目次

  • ◯気を付けることに関する質問
    •  ◆お風呂に入っても良いのか?
    •  ◆お酒を飲んでも良いのか?
    •  ◆運動をしても良いのか?
    •  ◆食事はいつから食べて良いのか?
    •  ◆抜歯したところは歯磨きをしても良いのか?
  • ◯傷口に関する質問
    •  ◆傷口はどのくらいでふさがるのか?
    •  ◆どのくらいで抜糸するのか?
  • ◯トラブルに関する質問
    •  ◆血が止まらなくなったらどうすれば良いのか?
    •  ◆抜いた後は腫れるのか?
  • ◯まとめ

気を付けることに関する質問

お風呂に入っても良いのか?

抜歯した当日は、湯船に浸からないようにしてください。シャワーを浴びる程度でしたらかまいません。
理由は、抜歯した当日はまだ傷口が完全に治っておらず、出血が続いていることがあるからです。出血が完全に止まるまでの時間は抜いてから12時間後くらいですので、湯船につかることで血行が良くなり、再び血が出てきてしまうことがあります。
また血行が良くなることで、腫れてきてしまったり、顔が紫色になってしまう可能性もあります。そのため、抜歯した当日はシャワーで済ませるようにしてください。

お酒を飲んでも良いのか?

お酒を飲むと血行が良くなりますので、上で説明したような症状が出てしまうことがあります。
また、アルコールの影響で抜歯後に飲む抗生物質の効きが良くなりすぎてしまい、副作用が出てしまうことがあります。抗生物質を飲んでいる期間はお酒は飲まないようにした方が良いでしょう。

運動をしても良いのか?

運動も血行を良くしますので、当日はしないようにしてください。痛みがあったり、腫れたりしていなければ翌日から運動していただいても大丈夫です。

食事はいつから食べていいのか?

抜歯した直後はしばらく血が出ている状態のため、血が止まるまでは基本的に飲食はしない方が良いでしょう。出血が止まった後は飲食しても大丈夫ですが、刺激の強いものは避けるようにしましょう。
親知らずの抜歯をするときには、局所麻酔をつかいます。局所麻酔が切れるまでに約2〜3時間かかります。
麻酔が効いている間は唇や舌や頬が麻痺しており、口の中をうまく使うことが出来ないため、そういった状態で物を食べると、間違えて舌を噛んでしまったり、やけどをしてしまったり、口から物をこぼしてしまったりします。
そのため、完全に麻酔が切れてからごはんを食べるようにするのが良いでしょう。

抜歯したところは歯磨きしていいのか?

抜歯した後でも歯磨きはしていただいて大丈夫ですが、いくつか注意点があります。
抜歯した場所にはブラシを当てないようにしてください。抜歯してからしばらくは傷口になっていますので、歯ブラシでこすってしまうとかさぶたを取ってしまう可能性があります。抜歯したところ以外は通常通り磨いてください。
また、強いうがいはしないようにしてください。強いうがいを頻繁にすることで、せっかくできたかさぶたをはがしてしまうことがあります。

傷口に関する質問

傷口はどのくらいでふさがるのか?

抜歯した後の穴は、最初に血餅というかさぶたができます。そしてそのかさぶたの上に歯茎が覆いかぶさるようにできるまで、2週間ほどかかります。歯茎の下に骨ができるのですが、この骨が完全にできるまでに半年ほどかかります。
完全に治るまでは半年かかりますが、傷口が見た目的にふさがるのは約2か月ほどです。

どのくらいで抜糸するのか?

歯を抜いたあと傷口が大きかったり、歯を抜くときに歯茎を切開した場合は糸で傷口を縫います。傷の治り方の確認や消毒も含めて、約1週間後に来院していただき、糸を取ることが多いです。
1週間以上経過してしまうと糸の周りに汚れがついたり外れたりしてしまいますので、1週間程度で取ることが多いです。
糸を取る時は歯茎に刺激が加わらないように切るため痛みはありませんが、まれにはさみが歯茎に当たって器具の冷たい刺激を感じることもあります。

トラブルに関する質問

出血が止まらなくなったらどうすればよいのか?

出血が止まらなくなったら、ガーゼやタオルを20分間ほど噛んで圧迫止血してください。この際、ティッシュを使っても良いのですが、やわらかいままだと血液を吸ってしまい止血にならないので、丸めて固くしてから使うようにしてください。
それでも血が止まらなかったり、ドクドクと拍動性の出血がある場合は抜いたクリニックに連絡してください。

抜いた後は腫れるのか?

簡単な抜歯で短時間で終われば、あまり腫れることはありません。しかし難しい抜歯で時間がかかるものだったり、骨を削ったりした場合は腫れることが多いです。その場合、抜いた直後は腫れませんが、翌日〜翌々日にかけて腫れのピークがきます。
また、上の歯を抜くときよりも下の歯を抜くときの方が腫れることが多いです。

まとめ

いかがでしたか。抜歯した後によくある質問とその回答ですが、他にも気になることがあれば当院にご相談ください。

子供の歯がそのまま!?「大人乳歯」 についてご紹介!

2024年9月22日

乳歯は子供の頃に大人の歯、すなわち永久歯に生え変わります。しかし、まれに大人でも乳歯が抜けずに残っている場合があります。1本だけの場合もあれば、複数本の場合もあります。この「大人乳歯」は場所や生え方によっては将来的に口の中に悪影響を及ぼすかもしれません。今回は大人乳歯の原因、リスク、対処法について説明していきます。

目次

  • ◯大人乳歯とは?
  • ◯大人乳歯になる原因
    •  ◆乳歯の根が溶けて吸収されない
    •  ◆乳歯が歯ぐきに沈み込む
    •  ◆2本の歯がくっついている
    •  ◆永久歯がもともとない
  • ◯大人乳歯のリスク
    •  ◆歯並びが悪くなる
    •  ◆虫歯になりやすい
  • ◯大人乳歯の対処法
  • ◯まとめ

大人乳歯とは?

通常乳歯は、6歳〜12歳の間に大人の歯に生え変わります。顎の中で永久歯のもとになる歯胚というものができ、歯胚が時間をかけて成長していきます。それにしたがって、乳歯の根を溶かす細胞が現れ、乳歯は根の部分から少しずつ溶かされていきます。乳歯の根が溶けると、乳歯は徐々にグラグラになって抜け、抜けたところから永久歯が生えてきます。
大人乳歯はこの乳歯が抜けて永久歯が生えるというプログラムに何らかの原因で問題が起こり、乳歯が抜けず永久歯が生えてこないという状態です。

大人乳歯になる原因

乳歯の根が溶けて吸収されない

永久歯の歯胚ができているにもかかわらず乳歯が抜けないことがあります。この場合はレントゲン写真をとるとわかるのですが、乳歯の根が溶けずにしっかり残っていることが多いです。乳歯の根を溶かす細胞が現れずに、乳歯の根が残ってしまったことが原因と考えられます。

乳歯が歯ぐきに沈み込む

永久歯の歯胚も成長しており、乳歯の根も溶けて吸収されているにもかかわらず乳歯がグラグラにならず抜けないことがあります。これに関しての原因は不明なことが多いですが、乳歯が歯ぐきに沈み込んでがっちり支えられてしまっていることが考えられます。

2本の歯がくっついている

隣同士の2本の歯が、歯の形が作られる時期にくっついて1本になって生えてくることがあります。乳歯でも永久歯でも見られますが、乳歯がくっついているものの方が多いです。2本の乳歯がくっついていると、その下にある永久歯が生えてくる時にくっついている歯の根の部分がうまく吸収されず、抜けずに残ってしまうことがあります。

永久歯がもともとない

先天性欠損といって、もともと永久歯が存在しないパターンがあります。この場合は永久歯の歯胚もないため乳歯の根が溶ける細胞も現れません。よって乳歯の根が溶けることなくそのまま残ります。

大人乳歯のリスク

歯並びが悪くなる

永久歯と乳歯では大きさや形、性質が違います。そのため永久歯の歯並びの中に大人乳歯が混じっていると、歯に隙間ができたり、でこぼこになったりして歯並びが悪くなることがあります。歯の高さも違ってくるので、噛み合わせが悪くなり、他の歯や顎の問題を引き起こす場合もあります。ものを噛んだ時の感覚、かみごたえも違和感を感じるかもしれません。また、色も乳歯と永久歯では違うので、見た目にも影響が出てきます。

虫歯になりやすい

乳歯は永久歯よりも柔らかく、一番表層のエナメル質が弱いため、虫歯になりやすいです。また治療して保存するのも難しいです。一度虫歯になってしまうとその進行も早い症例が多いです。大人乳歯がある方は頻繁に虫歯治療をしなければならなくなるかもしれません。

大人乳歯の対処法

大人乳歯が歯並びや口の中の健康状態に悪影響を及ぼす場合は抜歯になることが多いです。上で説明したもののうち、大人乳歯の下に永久歯がある症例や歯胚ができてきている症例(乳歯の根が溶けて吸収されない、乳歯が歯ぐきに沈み込む、2本の歯がくっついている)は、大人乳歯を抜歯することが多いです。矯正治療も並行しておこない、歯並びに問題が出ないように永久歯を誘導します。
永久歯がもともとない場合は、大人乳歯を抜歯してもその後に生えてくる歯がないため大きな隙間が残ってしまいます。そのため、矯正治療をおこない、隙間を埋めて歯並びを良くすることが多いです。大人乳歯が他の永久歯との歯並びとうまく調和しており、虫歯のリスクも低い場合は大人乳歯を抜歯せずそのまま使い続けるという選択肢もあります。

まとめ

いかがでしたか。大人乳歯にはさまざまなリスクがありますが、対処法もあります。10人にひとりの割合で大人乳歯が口の中に生えているといわれていますので、気づいていないだけで意外と身近に存在するのです。口の中に他の歯と明らかに形が違う歯があったり、大人乳歯かもしれないと気になる場合は一度歯医者さんで相談してみましょう。大人乳歯が複数本ある場合は、全身的な病気が隠れている場合もあります。当院でも大人乳歯を扱っておりますので、気になる方はお気軽にご連絡ください。

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当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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