様々な口内炎について(前半)
2023年10月28日
口の中にふとできるあの痛い口内炎
みなさんも一度はなったことがあるのではないでしょうか?
実は口内炎にもいくつか種類があることをご存知でしょうか。
本日は口内炎について、お話していきます。
目次
◯口内炎とは
◯口内炎の種類
◆アフタ性口内炎
◆カタル性口内炎
◆ヘルペス性口内炎
◆カンジダ性口内炎
口内炎とは
口内炎とは、
口の中や周辺の粘膜に起こる
炎症の総称です。
口内炎にはさまざまな種類があり、
原因や症状も異なります。
口内炎は一般的には
自然に治るものですが、
時には重篤な病気の
サインとなる場合もあります。
口内炎の種類
冒頭でも説明しましたが
口内炎にもいくつか種類があります。
アフタ性口内炎
〈特徴〉
アフタ性口内炎とは、
口の中の粘膜にできる痛みを伴う潰瘍のことです。
アフタ性口内炎は、
口内炎の中でも最も多く見られるタイプで、
一般的には自然に治るものですが、
時には重篤な病気のサインとなる場合も有ります。
赤く縁取られた白い潰瘍が口の中に出来ます。
〈原因〉
原因は不明ですが、
ストレスや遺伝的要素、
栄養不足や食物アレルギーなどが
関係していると考えられています。
〈症状〉
アフタ性口内炎の主な症状は、
口の中に直径数mmから1cm程度の円形または
楕円形の潰瘍が出来る事です。
潰瘍は白っぽく窪んでおり、
周囲は赤く腫れています。
潰瘍は頬や舌、
歯茎などに出来ますが、
特に舌や歯茎の付け根に
出来た場合は非常に痛みを感じます。
アフタ性口内炎は
通常1週間から2週間で自然に治りますが、
再発を繰り返す場合も有ります。
また、潰瘍が多数できたり、
大きくなったりする場合も有ります。
その場合は重篤な感染や免疫異常の可能性がある為、注意が必要です。
カタル性口内炎
〈特徴〉
カタル性口内炎とは、
口の中の粘膜に物理的や化学的な刺激が
原因で起こる炎症の事です。
一般的には自然に治るものですが、
時には重篤な病気の症状である場合も有ります。
〈原因〉
カタル性口内炎の原因はさまざまですが、
大きく分けると以下のようになります。
⑴物理的刺激
歯ブラシや歯間ブラシの使い方が乱暴だったり、
歯や入れ歯が粘膜を傷つけたり、
熱い食べ物や飲み物で火傷をしたりする事で、
粘膜に傷が出来ます。
その傷に細菌が感染する事で、
カタル性口内炎が発生します。
⑵化学的刺激
辛いものや酸っぱいもの
などの刺激物を摂りすぎたり、
アルコールやタバコ
などの有害物質を
摂りすぎたりする事で、
粘膜が刺激されて炎症を起こします。
⑶全身的要因
風邪やインフルエンザ
などの感染症や、
アレルギーなどの免疫系の異常や、
ストレスや疲労などの
生活習慣の乱れなどで、
体調が悪化すると、
粘膜の抵抗力が低下して
カタル性口内炎になり易くなります。
カタル性口内炎の主な症状は、
口の中に赤く腫れた部分が出来ることです。
その部分は白っぽくただれたり、
ひび割れたりすることもあります。
カタル性口内炎は通常1週間から2週間で
自然に治りますが、再発を繰り返す場合もあります。
カタル性口内炎は
一般的にはあまり痛みを感じませんが、
刺激物を摂るとしみたりすることがあります。
ヘルペス性口内炎
〈特徴〉
ヘルペス性口内炎とは、
単純ヘルペスウイルスに
感染することで起こる口内炎です。
ヘルペス性口内炎は、
唇やその周りの皮膚に
できる口唇ヘルペスとは異なり、
口の中の粘膜に水ぶくれや潰瘍ができるのが特徴です。
〈原因〉
ヘルペス性口内炎の原因は、
単純ヘルペスウイルスの感染です。
単純ヘルペスウイルスには1型と2型がありますが、
口内炎を引き起こすのは主に1型です。
単純ヘルペスウイルスは、
唾液や接触などで感染し、
一度感染すると体内に潜伏して一生消えません。
通常は無症状ですが、
免疫力が低下したりストレスを
受けたりすると活性化して発症します。
〈症状〉
ヘルペス性口内炎の主な症状は、
口の中に小さな水ぶくれや潰瘍が出来る事です。
水ぶくれはすぐに割れて、
びらんになり、強い痛みを伴います。
水ぶくれや潰瘍は舌や歯茎などにできますが、
特に舌や歯茎の付け根に出来た場合は
非常に痛みを感じます。
また、発熱やだるさなどの
全身症状も現れることが有ります。
ヘルペス性口内炎は
通常1週間から2週間で自然に治りますが、
再発を繰り返す場合もあります。
また、感染力が強いため、
他人にうつしたり自分の他の部位に
うつしたりする可能性もあります。
カンジダ性口内炎
〈特徴〉
カンジダ性口内炎とは、
口の中に常在するカビの一種であるカンジダ菌が
過剰に増殖する事で起こる口内炎の一種です。
〈原因〉
カンジダ性口内炎は、
免疫力が低下したり、
抗生物質を服用したり、
入れ歯や義歯が不適合だったりする事が
原因で発症し易くなります。
カンジダ性口内炎の原因は、
カンジダ菌の増殖です。
カンジダ菌は人の口の中に常在する菌であり、
通常は健康に影響を及ぼしませんが、
以下のような要因で口腔内の菌のバランスが崩れると、
カンジダ菌が過剰に増殖して発症します。
⑴免疫力の低下
加齢や糖尿病、HIV感染などで体の抵抗力が弱くなると、カンジダ菌を抑えることができません。
⑵抗生物質の使用
細菌感染などで抗生物質を服用すると、口腔内の善玉菌も減少してしまい、カンジダ菌が優勢になります。
⑶入れ歯や義歯の不適合
入れ歯や義歯が合わないと、
口腔内に隙間や圧迫が生じて
粘膜が傷つきやすくなります。
また、入れ歯や義歯を清潔に保たないと、
カンジダ菌が付着しやすくなります。
カンジダ性口内炎の主な症状は、
口の中に白い苔や潰瘍が出来る事です。
白い苔はガーゼなどでぬぐうと
剥がすことができますが、
その下は赤くただれています。
白い苔や潰瘍は舌や頬や歯茎などにできますが、
特に舌や歯茎の付け根にできた場合は
非常に痛みを感じます。
また、発熱やだるさなどの全身症状や、
味覚障害や口臭などの不快感も現れることがあります。
まとめ
口内炎には下記の4つがあり、
それぞれ特徴なども異なります。
・アフタ性口内炎
・カタル性口内炎
・ヘルペス性口内炎
・カンジダ性口内炎
もし、口内炎でご不安なことがございましたら、
気軽に当院にお越しください
子供の気になる歯並びとその原因
2023年10月23日
子供が笑ったり、
子供の仕上げ磨きをしたりしている時に、
子供の歯並びが気になったことはありませんか?
子供の気になる歯並びについて、その種類と原因を説明します。
【目次 】
◯健康的な歯並び
◆空隙歯列
◆萌出途中の正中離開(せいちゅうりかい)
◯気になる歯並び
◆叢生(そうせい)
◆唇側転位(しんそくてんい)
◆翼状捻転(よくじょうねんてん)
◆正中離開
◆反対咬合
◆開咬(かいこう)
◯まとめ
【健康な歯並び】
◆空隙歯列
子供の歯と歯の間に隙間があることを
気にされるご家族の方がいます。
しかし、この隙間のある歯並びは、
実は健康的な歯並びなのです。
子供の時、
乳歯の歯並びは歯と歯の間に
隙間があります。
この隙間があることが、
永久歯へ生え変わるときに重要になります。
乳歯よりも永久歯の方が歯のサイズは大きいため、
この隙間を歯が埋めてくれます。
もし乳歯の段階で隙間がない場合には、
永久歯が生えてきたときに、
綺麗に歯が並ばないことも考えられます。
◆萌出途中の正中離開(せいちゅうりかい)
7-9歳頃の上顎の前歯の永久歯が生える時期は、
真ん中に隙間があります。
これは乳歯から永久歯へ変わる歯の交換期に
見られる正常な歯並びです。
上の前歯は少し外側を向いて生えてきて、
その後、さらに両脇の前歯が生えてくるときに、
押されることで前方に移動し、
隙間がなくなります。
そのため、
乳歯から永久歯へ変わる段階では
成長観察を行うことが多いです。
ただし、上の前歯が全部生えてきたにも
関わらず隙間があいている場合には、
異常な歯並びになります。
【気になる歯並び】
◆叢生(そうせい)
歯と歯が並ぶ時に、
前後にズレ、一部重なって
並んでしまうことです。
叢生は、歯に対し歯の土台である
顎が小さいことで起こります。
土台が小さいため、
重ならざるを得ないのです。
歯と歯が重なっているため、
歯磨きが難しく、
う蝕になりやすいため注意が必要です。
また、この歯並びの場合には、
既に歯と土台の大きさに不調和があるため、
矯正治療が必要なことが多いです。
◆唇側転位(しんそくてんい)
通常よりも唇側、あるいは頬側から
歯が生えてくることを唇側転位と言います。
上顎の犬歯が唇側転位していると、
「八重歯(やえば)」と言われます。
原因は歯が生える隙間が
足りないことにあります。
本来生える隙間がないため、
外に押し出されるように
生えてくることで生じます。
叢生と同じように、
歯磨きに注意が必要です。
また、歯と土台に不調和があるため、
叢生と同様矯正治療の適応となることが多いです。
◆翼状捻転(よくじょうねんてん)
上の前歯が捻れていることです。
両脇の歯に押されることで、
歯の角度を維持できず捻れてしまうことで起きます。
乳歯から永久歯へと生えかわる時に、
生え変わる順序に問題があったり、
生える時の角度に問題があったりすると考えられています。
叢生や唇側転位と同様、
改善を希望される場合には矯正治療が必要になります。
◆正中離開
永久歯の上の前歯の間に隙間があることを、
正中離開と言います。
永久歯が生えたばかりの時は、
多くの子供に見られます。
その後、前歯の横の歯や犬歯が生えてくることで、
前方に押され、隙間が閉じていきます。
しかし、横の歯や犬歯が生えてきても、
隙間が残っている時には、正中離開とされます。
原因として、
上唇小帯(じょうしんしょうたい:上唇と歯茎の筋)の
付着異常や埋伏過剰歯(まいふくかじょうし)の
存在が挙げられます。
上唇の付着異常では、
筋となった繊維が、
埋伏過剰歯では、
歯根の間の過剰歯が原因で、
前歯を前方に押すことができず生じます。
いずれも、
歯科医院での診察やレントゲン検査が必要なため、
永久歯が生え揃っても正中離開が改善しない場合には、
歯科医院を受診し診察を受けることが大切です。
◆反対咬合
通常噛んだ時は、
上の前歯が表側に、
下の前歯が裏側になります。
しかし、
この前後関係が逆の噛み合わせを
反対咬合と言います。
下の前歯が上の前歯と比べ前にあるため、
噛み切ることが難しくなります。
幼児期から反対咬合が見られる場合には、
取り外し式の機能型矯正装置を
使用することで改善を図ることができます。
◆開咬(かいこう)
奥歯をしっかりと噛んだ時に、
上の歯と下の歯の間に隙間ができてしまうことを
開咬と言います。
しっかりと噛んでも、
前歯は噛み合わないため、
ものを噛み切ることができません。
指しゃぶりや、舌を噛む癖が
原因とされています。
指や舌を常に
前歯に当てていることから、
その分の隙間が前歯に
できてしまうことが原因です。
口呼吸が習慣化している場合、
舌の位置が不適切なため、
開咬を引き起こすことがあるとされています。
【まとめ】
よくある気になる歯並びについて説明しました。
それぞれの気になる歯並びに対して行うことは、
成長観察をすること、
悪い癖を直すこと、
そして矯正治療を行うことが挙げられます。
悪い癖とは、
指しゃぶりや口呼吸のことです。
口呼吸は歯並びだけでなく、
う蝕や歯周病のリスクも高めてしまうため、
鼻呼吸へ改善することが大切です。
また、指しゃぶりや舌を噛む癖がある場合には、
生活指導を行い改善する必要があります。
これらは短期間で効果をあげることが難しく、
長期戦を覚悟する必要があります。
もしも長く続く場合には、
かかりつけの歯科医院や保健師、
心理士に相談してみてはいかがでしょうか。
矯正治療は、
一般的な矯正治療はワイヤーを用いて行いますが、
反対咬合や開咬の場合などには、
マウスピース型の矯正装置を
使用することで改善できることもあります。
子供の気になる歯並びについて説明しました。
大切なお子様の歯並びに
深く悩んでいる方は少ないですが、
少し気になっているな、
という方は意外と多いです。
ですが、
どのような歯並びで悩んでいるかによって、
原因や対応は違います。
もしも歯並びが気になる時には、
悩んでいるのではなく、
かかりつけの歯科医院で
相談してみることをお勧めします。
子どもの歯科矯正について
2023年10月15日
暖かくなりマスクをはずす機会が増えています。
マスクをはずしたときに歯並びが見え、
改めて歯並びについて関心が高まってきています。
学校での新学期が始まり、
自分の子どもと周りの子どもを比べる機会も増えがちです。
子どもの矯正について、
かなり詳しく、最新のお話をさせて頂きます。
是非、ご参考にして頂ければと思います。
目次
◯歯科矯正のきっかけ
◯歯科矯正の開始時期
◆1期治療
◆2期治療
◯歯科矯正の器具
◆プレオルソ
◆床矯正(しょうきょうせい)プレート
◆マウスピース矯正
◆ワイヤー矯正
◯歯科矯正の価格
◯まとめ
○子どもの歯科矯正のきっかけ
歯科医院に来られた子どものお口を診させて頂く時に、
反対咬合・受け口(かみ合わせが逆になっている、下顎が前に上顎が後ろになっている)や
叢生(歯並びがでこぼこ)、永久歯が生えてこない、
永久歯が舌の近くや頬の近くから生えてきた等、
矯正のご質問をうけることが多くあります。
子供さんの歯科受診は、
学校検診で虫歯や歯肉炎を指摘され来院されることも多いです。
学校検診で、歯並びについて歯科医院で
相談受けるよう促され来られる方も多いです。
ご夫婦やご親戚に歯並びの悪い方が居て苦労され、
そうならないようにと乳歯が生え揃う前から、
歯科矯正についてご相談頂くこともあります。
乳歯と永久歯の混ざった状態の歯並びでは、
見た目がアンバランスに見えがちで、
このタイミングでよくご相談を頂きます。
指しゃぶりや歯ぎしりが続く子どももいます。
その習慣の改善のご相談もあります。
○子どもの歯科矯正の開始時期
「いつから矯正を始めるのといいですか?」
「治りますか?」
お父様、お母様からとても聞かれる質問です。
いつからかは、個人差があります。
まず、子どもの歯科医院や歯科治療への慣れにもよります。
ほとんどの場合、子どものみで来院できず、
お父様、お母様と一緒に来て頂く必要があります。
また歯並びや噛み合わせの状態によっても変わります。
まず小学校入学前は指しゃぶり等悪習慣の是正以外は難しいと思います。
反対咬合・受け口等の骨の成長が大きくからむ、
大きな矯正は小学校入学後すぐ始められた方が好ましいです。
上下の前歯を動かし、正しい咬み合わせにするように誘導します。
骨に問題がある場合は下顎骨の過剰発育を抑えたり、上顎骨の成長を促進したりします。
叢生や永久歯の遅延や出歯などは小学校の中学年ぐらいで
開始された方がいいと思います。
子どもさんの矯正は、1期治療、2期治療と2段階に分けます。
◆1期治療
1期治療は、小学校入学前から小学校の中学年ぐらいの
混合歯列期(乳歯と永久歯が混ざって生えている)に行います。
骨の適切な成長を促し骨格の問題を解決してゆきます。
1期治療により矯正する必要がなくなったり、
上下の顎のバランスが整えられ、
矯正歯科が簡単になったり、
抜歯の必要がなくなったりします。
◆2期治療
2期治療は、
小学校の中学年ぐらい、
永久歯が生え揃ってから行います。
ブラケット(ワイヤーを用いた矯正)やマウスピースを用いて
永久歯の歯並びや噛み合わせを治します。
○子どもの歯科矯正で使う器具
子どもの矯正に使う器具には次のようなものがあります。
子どもの成長に応じ、使ってゆきます。
子どもが外せるものと外せないものがあります。
◆プレオルソ
小さな子ども用のマウスピースのようなかたちで
筋肉の働きを調整し歯並びの改善を図ります。
起きている時間1時間と寝ている時間に着けます。
小学校入学前の反対咬合・受け口の治療など幅広い治療に使います。
◆床矯正(しょうきょうせい)プレート
プレオルソの後に使う器具です。
顎の成長に合わせて、
少しずつ歯並びの幅を広げていきます。
歯の裏側に装置を取り付け、
ネジで調整して少しずつ歯並びを大きくしていきます。
起きている時間1時間と寝ている時間に着けます。
◆マウスピース矯正
透明なマウスピースで歯並びを矯正します。
永久歯が出始めると使用可能です。
ワイヤー治療より装着時の痛みが少なく、
透明なので目立ちません。
動かす力は弱いので
食事と歯磨きのとき以外はずっと着けておく必要があります。
◆ワイヤー矯正
表からする方法と裏からする方法があります。
表からする方法は力をかけやすいですが、
少し目につきます。
裏からする方法は見栄えはいいですが力は弱く、
歯磨きしずらいことになります。
○子どもの歯科矯正の値段
歯科矯正は、値段を聞かれることが多いです。
歯科矯正は多くの場合、
治療にかかったすべての費用を
自己負担する自由診療の扱いになります。
病気や怪我に使う保険診療は、
すべての費用のうち1、2、3割負担で済みます。
しかし、歯並びの悪さは病気や怪我ではないため、多くの場合、自由診療になります。
1期治療20万~30万円
2期治療30万~100万円
価格は子供の成長や歯並び等によります。
詳しくは歯科医院にてご相談お願いします。
○まとめ
歯並びが悪いと、
虫歯や歯周病が進みやすくなります。
歯並びの悪さがコンプレックスに、なることもあります。
歯科矯正で歯並びを整えることで、
より自分に自信がもてるようになった子どももよくみかけます。
歯並びが悪く、上下の歯がうまく嚙み合わず、
しっかりと噛めずに、
偏食や成長不良の原因になってる子どももいます。
歯並びの悪さから発音が不明瞭になり、
周りの人に理解されにくい子どももいます。
歯並びの悪さから顎に負担がかかり、
顎関節症状が出てくる子どももいます。
子どもの歯並びが気になる方は、
健やかに成長できるよう早めに
歯科医院で矯正相談されることをお勧めします。
虫歯以外に気をつけたい子供の歯の話 乳歯の大切な役割
2023年10月12日
子育て中の親御さんは、
お口の中で特に虫歯に気をつけていると思います。
確かに乳歯は永久歯に比べて、
歯も小さく虫歯の菌に対して弱いです。
実際フッ素を歯科医院で塗布してもらったりする方も多いのではないでしょうか?
その他に気になる事としては、
子供の歯並びが挙げられます。
歯並びは今後の長い人生の中で一生付き合っていくことになり、
見た目だけの問題だけでなく、
歯磨きのしやすさにも影響します。
その為、歯並びによっては虫歯や歯周病のなりやすさが
変わることもあるでしょう。乳
歯の段階で気をつけるべきことはどういう事なのかを今回取り上げたいと思います。
【目次】
・乳歯の役割
・乳歯が早く抜けてしまった場合と対処法
・乳歯がなかなか抜けない場合
・上の前歯の隙間が閉じない場合
・まとめ
【乳歯の役割】
乳歯の役割の一つとして、
大人の歯の並びをスムーズに誘導する役割があります。
一般的には子供の歯と歯の間には隙間があり、
専門的には発育空隙と呼ばれています。
また場所によっては霊長空隙という特別な名前がつけられています。
どちらも隙間の名前なのですが、
この隙間がある事によって大人の歯が上手く生えるかの
一つの指標になります。
たまに歯が隙間なく並んでいるお子さんもいますが、
それだけで将来的な歯並びの悪さに直結しません。
しかし、隙間があるお子さんと比べると少し注意が必要です。
また、一般的に子供の歯の方が幅が広いです。
乳歯と永久歯のこの幅の差がある事によって
大人の歯が上手く生える隙間を担保しています。
つまり、歯と歯の間の隙間と歯そのものが
歯並びに影響を与える可能性があるという事です。
【乳歯が早く抜けてしまった場合と対処法】
前述の様に乳歯は歯並びに影響します。
例えば、虫歯がひどく歯を抜かざるを得なくなった
場合はどうなるでしょうか。
基本的に歯は抜けた前後の歯が抜けた方に傾き、
噛み合っていた歯が伸びてくることが多いです。
乳歯の場合、歯の移動が起きてしまうと
大人の歯の生えるスペースがなくなってしまいます。
すると後の永久歯が頬側や舌側に傾いたり
移動したりして生えることになります。
子供の歯は適齢期前に抜いてしまうと
大人の歯並びに弊害が出てしまうので、
特別な理由がない限り適齢期まではしっかり残しておくことが大切です。
乳歯を早く抜かなくてはいけなくなってしまった場合には、
保隙(ほげき)という処置が必要になることがあります。
抜歯をしても歯が移動したり、
傾いたりしない様に歯に装置をつけることがあります。
保険診療でも可能なので、もしお子さんがその様な状況になってしまった場合でも
諦めずに歯科医師に相談してください。
保隙装置は様々ありますが、
大人の歯が生える時期になるまでは使用することが多いです。
そのため、虫歯になるリスクもやや高くなります。
虫歯にならない様により一層歯磨きには注意が必要です。
【乳歯がなかなか抜けない場合】
早く抜く事になってしまう場合と反対に、
大人の歯が少し生えているのに子供の歯が抜けずに残っている場合があり、
乳歯の晩期残存と言います。
同じような場所に2つの歯が混在する状況です。
子供の歯は大人の歯が生えて交換する時期になると
歯根吸収と言って根が少しずつなくなっていきます。
しかし、上手く根が吸収しない場合や、
歯茎に少し引っかかってしまっている場合はなかなか抜けないこともあります。
大人の歯が見えている場合には、
基本的に子供の歯は抜歯をした方が良いです。
そのまま残すと大人の歯並びに影響する場合もあります。
その他に大人の歯の生える方向が
違う向きに生えている場合もあります(異所萌出)。
なかなか抜けない場合も放置せずに歯科医院の受診をお勧めします。
頻度は多くありませんが、
永久歯が先天的に欠如している場合もあります。
多い場所として、
6歳臼歯の1本手前の歯(第二小臼歯)が挙げられます。
揺れてもいいはずなのに、
まったく揺れずに残っている場合には
永久歯が先天的にない場合もあります。
この場合は乳歯を永久歯として保存することが多いです。
【上の前歯の隙間が閉じない場合】
上の前歯は最初にハの字で生えてきます。
隙間も大きい為、
親御さんは心配することもあるかもしれません。
しかしこれは普通のことで心配はいりません。
犬歯が生え終わるくらいに徐々に隙間が閉じて、
ハの字に生えていた歯も真っ直ぐに移動してきます。
(稀に過剰歯と言って余計な歯が上の前歯と前歯の間に埋まっていることがあります)
この場合は大人の歯が生えそろっていても、
その部位が邪魔になってしまうので隙間が埋まりません。
過剰歯があるかどうかは、
レントゲンの写真を撮れば分かることが多いです。
逆に写真を撮らないと分からないことも多くあります。
処置としては、大変ですが埋まっている余分な歯を抜歯することになります。
麻酔をして歯茎を切って行うので
低年齢の子には酷かもしれませんが必要な処置になります。
【まとめ】
乳歯は今後の大人の歯並びを
左右する大切な役割がある事は、
ご理解頂けたかと思います。
乳歯を早期に無くすことは
歯並びに大きく影響する可能性が
高く処置が必要です。
逆に乳歯がずっと残る状態も
好ましくありません。
子供も大人も歯科医院は
苦手かもしれませんが、
子供のうちから徐々に
慣らしてもらうことも大切です。
定期的な歯科受診により、
虫歯や歯並びの状況は
確認してもらっていた方が良いと思われます。
虫歯はどのようにして進行するのか
2023年10月1日
“虫歯”と聞くと、どういった印象をお持ちでしょうか。
痛い、しみる、歯に穴が開く、色が変わるなど
様々な症状が出ると思います。
虫歯の大きさによって治療法も変わってきます。
今回は歯の構造から虫歯の進行度を見ていきたいと思います。
歯の構造を見てみる
虫歯の進行を見ていく上で、
歯の構造がわかっていた方が理解しやすいと思います。
ここから先は歯の構造をそれぞれ見ていきます。
エナメル質
歯はいくつもの異なる性質を持つ固い組織の複合体です。
歯は口の中から見える白い部分をエナメル質といい、
人体で最も固い組織となります。
厚みは部位によって異なりますが約2㎜程度です。
硬さを調べる試験の一つであるモース硬さ
(1から10で表される。1が柔らかく、10が非常に固い)で調べると、
ダイヤモンドが10であるのに対し、
エナメル質は7程度、ガラスは5なのでとても固い事がわかります。
これほど固いにも関わらず、酸には弱い性質を持っているため虫歯になる事になります。
エナメル質には神経や血管がなく結晶のような構造になっています。
従って、エナメル質に虫歯ができたとしても症状は出ません。
エナメル質が欠ける事があった場合には再び戻る事はありません。
象牙質
象牙質は歯の内部の硬組織で
歯髄(歯の神経)を取り囲むように存在します。
エナメル質は歯の頭(歯冠)に存在していますが、
歯の根(歯根)には存在していません。
セメント質という違う硬組織で覆われています。
一方、象牙質は歯の頭から根の方まで存在する硬組織になります。
虫歯はここまでくると何らかの症状が出てくる事があります。
歯が虫歯で欠けたりする場合はエナメル質に留まらず、
象牙質まで虫歯が到達している場合がよくあります。
象牙質はエナメル質よりも有機質の含有量が多く、
硬さはエナメル質のそれより低いです。
モース硬さ6程度です。
エナメル質と象牙質の境をエナメル象牙境(エナメルゾウゲキョウ)といいますが、
虫歯が入るとこの境に沿って広がりを見せる事があります。
特に若い方がなる虫歯は、
穿通性う蝕(センツウセイウショク)と言って、
この傾向が高くなり虫歯の入り口が小さいのに中で広がり、
深く虫歯が進行する事がよくあります。
歯髄
歯の神経です。
歯髄の周りは象牙質で覆われていますが、
実は歯髄の中の細胞が象牙質の構造の一部に神経の突起を少し伸ばしています。
歯髄は血管や細胞がある為、
例えば虫歯が歯に侵入してくると虫歯が
内部に入らないように第三象牙質と言って
歯髄の象牙質寄りの部分に象牙質を作ろうとします。
一般的にここまで虫歯が入ると、
基本的に激痛を生じるはずなのですが、
虫歯の状態によっては、
痛みをあまり感じずに歯髄まで虫歯が及んでいる場合もあります。
虫歯の進行度
ここまで歯の構造を念頭において、
どこまで虫歯が入るとどの様な治療をしなくてはいけないのでしょうか。
虫歯の治療方法は幾つかありますが、虫歯の進行度で主に治療法が異なります。
C(caries:カリエス)は虫歯を意味します。
C1(エナメル質内の虫歯)
エナメル質内に限局している虫歯の場合は、
時として削る事はせずに場合によってはフッ素塗布などで経過を見る場合もあります。
フッ素を塗布することにより、再石灰化を図る狙いです。
エナメル質内の虫歯であれば、
削る事がかえってその歯にダメージを与えてしまう事も考えられるからです。
エナメル質内でも虫歯が進行しやすい部位の場合や見た目に影響が出る場合は
削って治療する場合もあります。
検診でCO(シーオー)というものを見たことがあるかもしれないですが、
検診特有の表記で経過観察歯というものになります。この場合は削る事はしません。
C2(象牙質に及ぶ虫歯)
虫歯が象牙質にまで及ぶ場合は、
虫歯の部位を削って詰める。
または削った後に歯型を取って出来た詰め物を
付ける処置が一般的に行われています。
C3(歯髄に及ぶ虫歯)
歯の神経にまで及ぶ虫歯の場合は、
痛みの有無や状況により、
詰める処置や神経をとる処置が行われます。
神経を取った場合はその後、詰めるか冠など被せて治していきます。
C4(残根状態)
虫歯をそのまま放っておいた場合、
歯が折れて歯根しか残らない場合もあります。
その場合は治療をして冠を被せられるか検討し、
難しければ抜歯になることが多いです。
歯根だけ残っている場合、神経の有無によらず痛みがあまりない事があります。
患者さんは痛くないので放っておきますが、
その間も徐々に虫歯は歯根に入り込み、
歯科医院に受診すると抜歯を選択させられる場面は少なくありません。
昔は歯を抜くことが多かったかもしれませんが、
現在ではなるべく残す様に歯科医師は努力しますしその様に大学で学びます。
従って、痛くない歯の抜歯を進められる場合は余程状態が悪いと考えられます。
まとめ
歯の構造から虫歯の進行状態を確認してきました。
虫歯は痛みの大きさが虫歯の大きさに必ずしも比例しません。
痛みが無いにもかかわらず、内部で進行する事は珍しくありません。
小さい虫歯であれば数回の治療で済み、場合によっては1回で終わらせる事も可能かもしれません。
普段から虫歯を作らないように、そして定期検診により虫歯の早期発見・早期治療を心がけたいものです。