歯ブラシの種類と使い分けのポイント
2024年1月23日
みなさん、実は歯ブラシには、基本の歯ブラシと補助的に使う歯ブラシの2種類があることをご存知でしたか?
綺麗に歯を磨くためには、よい歯ブラシを選ぶことが必要です。
特徴をおさえ一人一人に合ったものを選ぶことが重要です。
そこで今回は、歯ブラシの種類についてと使い分けのポイントについてお話させて頂きます。是非、参考にしてみてください!
目次
◯基本の歯ブラシ
◆ヘッドの大きさ
◆毛先のタイプ
◆柄の形
◯補助的に使う歯ブラシ
◆ワンタフトブラシ
◆歯間ブラシ
◯歯ブラシの毛の硬さ
◯まとめ
◯基本の歯ブラシ
先ほども述べさせていただきましたが、
歯ブラシには、基本の歯ブラシと補助的に使う歯ブラシの2種類がございます。
まず基本の歯ブラシに関してします!
◆ヘッドの大きさ
歯ブラシのヘッドの大きさは、歯と歯茎に合わせて選ぶことが重要です。一般的には、「自分の上の前歯2本分より少し小さめのもの」がおすすめです。このくらいのサイズのヘッドでは、歯の裏側や奥歯にも届きやすく、歯茎に当たりにくいからです。
◆毛先のタイプ
一般的には、毛先が丸く加工された柔らかめの歯ブラシがおすすめです。これは、歯茎を傷つけにくく、プラークを除去しやすいからです。
歯ブラシの毛先のタイプには、以下のような種類があります。
▶︎1.丸毛
歯茎を傷つけにくいです。
▶︎2.テーパード毛
歯と歯茎の隙間にも入り込みやすいです。
▶︎3.ウェーブ毛
歯の凹凸に沿って磨きやすいです。
◆柄の形
歯ブラシの柄の形は、歯磨きの際の握りやすさや操作性に影響します。
一般的には、直線型や曲線型のものが多く見られますが、他にも様々な形があります。
歯ブラシの柄の形には、以下のような種類があります。
▶︎①直線型
柄の形が直線になっているもので、シンプルで使いやすいです。歯ブラシの角度を自由に調整できるので、歯の表面や裏側など、磨きたい部分に合わせて使えます。ただし、柄の長さや太さによっては、握りにくい場合もあります。
▶︎②曲線型
柄の形が曲線になっているもので、手にフィットしやすいです。歯ブラシの角度が決まっているので、正しい磨き方を身につけやすいです。ただし、柄の曲がり具合によっては、磨きにくい部分もあります。
▶︎③三角型
柄の形が三角になっているもので、安定感があります。歯ブラシの角度が変わりにくいので、一定の圧力で磨きやすいです。ただし、柄の角度や大きさによっては、手に合わない場合もあります。
▶︎④四角型
柄の形が四角になっているもので、持ちやすいです。歯ブラシの角度が変わりやすいので、細かい部分にも対応できます。ただし、柄のエッジや厚みによっては、手に当たって痛い場合もあります。
▶︎⑤円筒型
柄の形が円筒になっているもので、滑りにくいです。歯ブラシの角度を自在に変えられるので、歯の形に合わせて使えます。ただし、柄の直径や素材によっては、握力が必要な場合もあります。
基本の歯ブラシについては、以上です。歯磨きの効果や快適さに大きく影響しますので、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
◯補助的に使う歯ブラシ
補助的に使う歯ブラシとは、基本の歯ブラシだけでは磨きにくい部分に使うもので、ワンタフトブラシや歯間ブラシなどがあります。
◆ワンタフトブラシ
ワンタフトブラシとは、毛束が一つだけの小さな歯ブラシのことで、歯と歯茎の境目や歯の裏側、奥歯の噛み合わせ面など、磨きにくい部分に使います。ワンタフトブラシには、以下のような特徴があります。
・毛束が一つだけなので、細かい部分にも届きやすく、プラークを除去しやすいです。
・毛先が丸く加工された柔らかめのものが多く、歯茎を傷つけにくいです。
・柄が曲がっているものや、角度が調整できるものもあり、操作性が高いです。
毛束の形や大きさによって、用途が異なります。例えば、円形のものは、歯と歯茎の境目や歯の裏側に使いやすく、楕円形のものは、奥歯の噛み合わせ面に使いやすいです。
◆歯間ブラシ
歯間ブラシとは、歯と歯の間に挿入してプラークを、除去するもので、ワイヤーに毛が巻き付いた形をしています。歯間ブラシを使うと、ブラシが歯と歯の間に入り込んで、プラークをかき出しやすいです。
歯間の大きさに合わせて、サイズを選ぶことが重要です。サイズが小さすぎると、効果が低くなりますし、大きすぎると、歯茎を傷つける恐れがあります。
ワイヤーの素材や太さによって、柔軟性や耐久性が異なります。例えば、ステンレスのものは、硬くて丈夫ですが、歯に当たると痛い場合がありますし、プラスチックのものは、柔らかくて滑りやすいですが、すぐに折れる場合があります。
◯歯ブラシの毛の硬さ
歯ブラシの毛の硬さには、以下のような種類があります。
◆柔らかい
毛の硬さが柔らかいもので、歯茎が弱い人や出血しやすい人におすすめです。柔らかい歯ブラシは、歯と歯茎の隙間にも入り込んでプラークを除去しやすく、歯茎を傷つけにくいです。ただし、柔らかすぎると、歯の表面に付着したプラークを除去できない場合もあります。
◆普通
毛の硬さが普通のもので、歯と歯茎の状態が良好な人におすすめです。普通の歯ブラシは、歯の表面に付着したプラークを除去しやすく、歯茎に適度な刺激を与えることができます。ただし、歯茎に当たると痛い場合や、歯茎が引っ込む場合もあります。
◆硬い
毛の硬さが硬いもので、歯の表面が汚れやすい人や歯石ができやすい人におすすめです。硬い歯ブラシは、歯の表面に付着したプラークや歯石をかき出しやすく、歯の白さを保つことができます。ただし、歯茎を傷つけやすく、歯茎の炎症や出血を引き起こす恐れがあります。
◯まとめ
歯ブラシの種類と使い分けのポイントについては、以上です。歯磨きは、歯と歯茎の健康にとって非常に重要なことですので、自分に合った歯ブラシを選んで、毎日丁寧に磨くようにしましょう。歯科医院でのケアと自宅でのケアを併せて行うことが効果的です。
歯科治療で使われる素材を比較しよう!
2024年1月17日
歯科治療で使われる素材を比較してみましょう!
虫歯というのは、放っておいても治るものではありませんね。
そして、いったん虫歯になって穴があいてしまった場所は、その形や機能を歯以外の素材で回復していく必要があります。
ここでは、歯科で用いられる治療用の素材について、特徴やメリット・デメリットについても説明していきます。
今回の記事はこんな方におすすめです!
・ どの素材で治療を行うか迷っている方
・ 自分のお口の中の素材がどのようなものか知りたい方
目次
1. アマルガム
2. 歯科鋳造用金銀パラジウム合金
3. コンポジットレジン
4. ハイブリッドセラミック
5. セラミック
6. 歯科用金合金
7. まとめ
1.アマルガム
アマルガムとは、無機水銀40~50%、銀35%、スズ9%、銅6%、少量の亜鉛から成る合金です。
加工がしやすく、凹凸のある穴にも隙間なく詰めることができ、また、抗菌性があるために治療後再び虫歯になる可能性が非常に低いということで、昔はよく虫歯の治療に使用されてきました。
しかし、水銀における健康被害が報告されたため、2016年以降は保険適応外となり、現在では使用されていません。
ですが、昔治療したアマルガムがお口の中に残っている方もいらっしゃいます。
水銀は、合金の状態であればほとんど害を及ぼさないのですが、咬んだ時の摩擦などのわずかな刺激によって蒸発し、体内に取り込まれてしまうことが報告されています。
お口の中にアマルガムが残っている場合は、他の素材に置き換えていくことをおすすめします。
2.歯科鋳造用金銀パラジウム合金
いわゆる「保険適応の銀歯」で使用されている合金がこれに当たります。
金12%、パラジウム20%、銀50%前後、銅20%前後、その他亜鉛、インジウム、イリジウム、スズなどから成ります。
メリットとして、強度が高いので、小さな詰め物から、大きな被せ物やブリッジなどにも使用することができます。(メタルインレー、メタルクラウン、メタルブリッジなど)
また、保険適応のため、価格を安く抑えることが可能です。
しかし、金属色のため、審美性に劣ります。
また、金属アレルギーの原因となる可能性があります。
特にパラジウムによるアレルギーの発症が多く報告されています。
3.コンポジットレジン
「CR(シーアール)」、「レジン」などとも呼ばれます。
プラスチックに強度を増すためにフィラーと呼ばれる硬い素材を混ぜた、いわゆる「強化型のプラスチック」ということが出来るでしょう。
保険適応されている白い素材になります。
小さなう蝕の部分に直接詰めることが出来るので、歯を削る量を最小限に抑えることができます。
また、保険適応の前歯の被せ物は、硬質レジン前装冠と呼ばれ、これは金属で製作したフレームの表側に当たる部分にコンポジットレジンを貼り付けて作られています。
裏側は金属ですが、表から見ると白い歯に見えるので、上下の前歯6本の被せ物の保険治療に用いることができます。
しかし、レジンには吸水性があるので、時間が経つにつれて変色や劣化が生じてしまうというデメリットがあります。
また、吸水性によって、プラークなどの汚れも付着しやすくなりますので、しっかりとしたプラークコントロールが必要になってきます。
強度はあまり強くないので、力の大きく加わる部位には使用できません。
硬質レジン前装冠のように金属のフレームを使用せずに、コンポジットレジンのみで製作されるレジンジャケットクラウンという被せ物もありますが、こちらは強度があまり強くないという理由から、使用できる症例に限りがあります。
4.ハイブリッドセラミック
コンポジットレジンの強度を上げるために、セラミックの粉末を混ぜたものになります。
それによって、透明感が増すなどの審美性も向上します。
自費のインレー、クラウンに用いられます。
セラミックと名前についてはいますが、どちらかというとレジンの性質が強く、吸水性があり、時間経過と共に着色・変色が認められます。
また、詰め物(インレー)、被せ物(クラウン)に使用できますが、強度がそれほど強くないので、注意が必要です。
近年、CAD/CAM冠(キャドカムカン)という名称で保険の被せ物にも適応となりました。
こちらを使用するには様々な条件がありますので、ご自身の歯に適応するかご相談ください。
5.セラミック
無機物を加熱処理し焼き固めたもののことをいい、陶器をイメージしていただけるとわかりやすいかと思います。
コンポジットレジンよりも硬く、とても審美性が良い素材です。
保険適応されないため、自費診療となります。
オールセラミック、e-max、ジルコニアなど様々な種類があり、それぞれに特徴がありますので、詳しくはお問い合せください。
6.歯科用金合金
歯科で用いる金合金とは、金に銀や銅、プラチナなどを加えた合金になります。
保険適応されないため、自費診療となります。
金100%では柔らかすぎるので、使用用途によってその配合を変えて用います。
適合性が良く、経年劣化もほとんど生じないので、2次う蝕になりにくい素材です。
また、生体親和性が高く、歯と同じ位の硬さとしなやかさを持つので、歯の根や、咬みあう歯に対する負担を最小限に抑えることができます。
欠点としては、金色のために審美性に劣るという点です。
また、金属アレルギーの可能性があります。
まとめ
・ アマルガム : 昔よく使用された素材。健康被害が報告されているため、再治療をおすすめします。
・ 金銀パラジウム合金(銀歯) : 強度が高く、詰め物から被せ物まで幅広く使用できる。保険適応。審美性に劣る。金属アレルギーの可能性あり。
・ コンポジットレジン : 歯を削る量を最小限に抑えて治療することができる。白色で目立たない。保険適応。強度が弱いので、大きな詰め物には使用できない。吸水性があり、着色、変色といった経年劣化がある。
・ ハイブリッドセラミック : セラミックの粉末を加えることによって、強度と審美性を向上させた素材。保険、自費両方で取扱われる。保険適応されるのは被せ物(クラウン)のみ。様々な条件があるので適応となるかは確認が必要。
・ セラミック : 審美性に優れ、強度的にも強い。オールセラミック、e-max、ジルコニアなど様々な種類がある。自費診療のみで用いられる。
・ 歯科用金合金 : 生体親和性が高く、歯への負担が少ない優れた素材。審美性に劣る。自費診療のみ。
歯科治療では、様々な素材を用います。
虫歯などによって失ってしまった部位を、出来るだけその場所に適した素材で補っていくことが出来るように、素材も日々進化しています。
コンポジットレジンも、10年前と比較すると強度や審美性も向上してきました。
金属を使わないCAD/CAM冠が保険適応されたことなども、大きな変化といえるでしょう。
自分のお口にはどのような素材が適しているのか、どのようなものが選択できるのか、お口の中の状態を確認しながらカウンセリングしていくこともできます。
気になるところなどございましたら、ご相談ください。
歯の神経の治療 抜髄・根治と治療法について
2024年1月11日
根管治療は歯を残せるかの瀬戸際かもしれない
一般的な虫歯の治療は、虫歯の部位を削って樹脂を詰めたり、型を採り出来たものを歯に詰めたりする処置が一般的です。しかし、虫歯の状況など歯の状態によっては根管治療といって歯の根の治療(神経を取る治療)をしなくてはならない時があります。どのような時にそうなるのか、どのような治療をするのかを確認しておきましょう。
【目次】
・どんな時に神経の処置をするのか
・どういう治療をするのか
・神経を取った歯が痛くなる?
・神経を取った後の歯はどうするのか
・まとめ
どんな時に神経の処置をするのか?
P0INT☝️:何もしていなくても痛い時や神経を取ったはずの歯が痛む時には要注意。
虫歯が神経近くまで進行すると、何もしなくても痛みが出ることがよくあります。一般的に虫歯の治療は虫歯の部位を削り、詰める処置がなされます。
しかし、自発痛という何もしなくても痛みが出ている場合には神経を取る処置が行われることが多いです。見た目には大きく欠けていなくても、歯と歯の間や詰め物と自分の歯の間から虫歯が内部で大きく進行している場合もあり、見た目だけで判断することは難しい場合があります。レントゲン写真を撮ると大きく穴があいている所見があることが珍しくありません。こういった場合には専門的には抜髄という処置が行われます。
一方で神経を取った歯にも神経の治療をする時があります。これは以前に神経の処置をしたにもかかわらず、痛くて咬めない、歯茎におできの様なものができた場合などが該当します。根の先を根尖というのですが、その周囲に炎症が起きるとそのような症状を呈します。この場合、一度詰め物や被せ物を外して根の治療をすることがあります。神経を取って被せてもどこからか細菌が入り込んで炎症を起こすことがあり、その場合に行われる処置です。
どちらも根の掃除をしていますが、前者は抜髄、後者は感染根管治療という名で区別されています。どちらかというと、後者の方が治療回数や時間がかかることが多いと思います。
どういう治療をするのか
P0INT☝️:抜髄も感染根管治療も見た目には区別できないが目的が異なる。
抜髄に関しては歯の中の神経組織を取り除く処置を行います。感染根管治療は根の中の感染源や汚染物質を取り除き根管の中をきれいにする処置を行います。どちらもファイルという針のようなものを用いて根の中を掃除します。根の中がきれいになり次第、感染物質が根の中に入らないように材料を根の中にしっかりと詰め込み蓋をします。感染根管治療の場合には、根の中が感染しており、汚染物質をしっかりと取り除かないといけません。その為、1、2回で根の治療が終わらない場合もあります。自由診療で根管治療を行っている歯科医院もあるのですが、そこでは1回でなるべく根管を綺麗にするようにするために時間をしっかりとって行われることが多いようです。歯科医によって使用器具や材料にもこだわって、マイクロスコープやラバーダムを用いて治療される場合が多いと思います。最近ではニッケルチタンファイルというものが保険適用になりました。これは、今まで自由診療で使用されていたファイルで、根の中の形態に沿うようなしなやかなファイルです。1本当たりの単価が高い為、保険診療では採算が取れず使用しにくい状況でしたが、マイクロスコープを有している歯科医院では保険での算定が認められるようになりました。使用したから必ず治るわけではありませんが、歯科医師も患者さんも恩恵があるものと思われます。
神経を取った歯が痛くなる?
P0INT☝️:神経を取った後でも痛みが出る場合はあり、痛み止め等で対応してもらう事がある。
話は変わりますが、根管治療を行った後は歯やその周囲に痛みが出ることがあります。歯の神経を取ったのになぜ痛くなるのか。治療前は痛くなかったのに治療後から痛くなった。という疑問や不信を抱いてしまう事があると思います。まず、根管治療は歯の神経を取るという歯にとって負荷が大きい治療です。麻酔が切れた後や治療後に痛みが出ることがあります。また、根管治療においては根尖付近(炎症部位)を触ることになるので、一時的に急激に痛みが出ることがあります。そのため、痛くなかった歯が痛くなるという事が生じてしまう事があります。患者さんは不信感を抱くことになってしまうかもしれませんが、そうならないように予防的に痛み止めや抗生剤を処方されることがあると思います。もちろん、必ず痛みが出るわけではありませんし、痛みが出るのが嫌だからと治療を行わないとより深刻な事態を招くこともあるので注意が必要です。
神経を取った後の歯はどうするのか</h2>
P0INT☝️:詰め物や被せることが可能であれば行うが、場合によっては入れ歯の支えにする。
根管治療が幸い奏功すれば、詰め物をしたり、被せたりして元の形態に戻すように処置を進めていきます。この際に、白い材料にするか、保険の材料にするか選択をするようになります。選択肢は歯科医院や歯の状態により異なるのでよく相談するようにしましょう。しかし、根管治療が上手くいっても被せるには頼りない歯も存在します。その場合には歯の根だけ残す場合もあります。入れ歯を装着中であれば、場合によっては入れ歯の安定に使えるように形を整えたり、材料を根に組み込んだりする場合もあります。
まとめ
根管治療は歯を残す最終手段の様な側面があり、痛みが引かない、根の中から膿がずっと出る、歯にヒビや割れがある場合などは抜歯になる事があります。治療に関しても感染根管治療になってしまうと汚染物質を除去しなくてはいけないので場合によっては治療回数や時間が多くかかることも少なくありません。治療を開始してから痛みが引いたからと来院を止めてしまう患者さんもいらっしゃいます。しかし、治っているわけではないので痛みが再発したり、根管の汚染がさらに酷くなったりと状況が当初より悪化するケースもあります。治療が始まったら、歯を残すためにも治療にしっかりと通いましょう。
歯肉から血が出た!原因は?対処法は?
2024年1月8日
ブラッシングをした時、血が出た経験はありませんか。
「歯ブラシで傷つけてしまったかも」
その可能性もありますね。
しかし、優しく磨いても、歯肉から血が出ることがあります。
これは何故でしょう。
また、血が出た時は、触らず安静にしておく必要があるのでしょうか。
目次
◯ブラッシングで血が出る原因
◯歯肉炎で出血するメカニズム
◯出血を止めるには
◯出血が止まらない場合
◯歯肉炎から歯周病へ
◯まとめ
◯ブラッシングで血が出る原因
ブラッシングで出血する原因は、いくつか考えられます。
力を入れて磨き過ぎたとき、硬めの歯ブラシでゴシゴシ磨いたとき、もともと口内炎などの傷があり、そこに歯ブラシが触れてしまい出血することもあります。
しかし、ブラッシングで出血する原因の多くは、歯肉が腫れて炎症を起こしていることによります。
◯歯肉炎で出血するメカニズム
歯肉炎とは、歯肉の中で炎症反応が起きている状態のことをいいます。
歯肉炎が進行していくと、歯周病になっていくのですが、ここではまず、歯肉に限局した炎症である歯肉炎のメカニズムをみていきましょう。
歯肉炎の原因の多くは、お口の中の清掃不良によります。
歯と歯肉のさかい目の部分は、くぼみになっており、汚れが残りやすい部位です。
そこに細菌が集まり、塊状になっていきます。
これをプラーク(歯垢)といます。
すると、身体の免疫機能が、細菌を排除しようと動き出します。
歯肉に存在する「毛細血管」という細い血管が広がり、血流を増やすことによって、白血球をなどの免疫細胞を沢山運んで、細菌に対抗しようとするのです。
毛細血管は、もともと細く弱い血管なので、大量の血液を運んでくることで、少しの刺激でも破れやすくなります。
薄いゴム製の水風船を限界まで膨らませているようなものです。
そのため、ブラッシングなどの刺激で破れ、血が出てしまうのです。
毛細血管は、敵である細菌(プラーク)がいなくなれば、いつもの血流量に戻ります。
つまり、ブラッシングで出血するということは、その部位に細菌が存在し、今まさに血流を増やして細菌と戦おうとしている状態であるということができるのです。
◯出血を止めるには
細菌がいなくなれば、血流も元に戻り、通常のブラッシングでは出血しなくなります。
つまり、出血を止めるには、歯ブラシで優しくブラッシングを行い、残っている汚れと細菌をきれいにしていく必要があります。
適正なブラッシングは歯肉のマッサージ効果もあるので、よりいっそう血流が増加し、最初はどうしても出血するでしょう。
しかし、汚れと細菌を除去することが出来れば、歯肉に対する攻撃もなくなります。
それによって、毛細血管も通常の太さに戻り、刺激に対しても破れにくくなります。
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、出血を止めるには、出血を厭わずしっかりブラッシングするのが最善なのです。
◯出血が止まらない場合は
ていねいにブラッシングを行っても、歯肉からの出血が止まらない場合もあります。
プラークは、歯面に付着してから時間が経つと、お口の中のカルシウム成分などとくっついて、歯石と呼ばれる硬い状態に変化します。
プラークは歯ブラシで除去できますが、歯石に変化すると歯ブラシでは除去できなくなります。
また、歯肉の下の見えにくい場所にむし歯が出来ていることや、歯根の中で起こった炎症が歯肉に及んでいる可能性なども考えられます。
歯ブラシでていねいに磨いても歯肉からに出血が止まらない場合は、歯科医院で診てもらうようにしましょう。
歯石が原因の場合は、機械で歯石を除去していくことが出来ますよ。
◯歯肉炎から歯周病へ
ここまでのお話は、歯と歯肉のさかい目あたりで生じている現象です。
歯肉に炎症がおこるので、歯肉炎と呼ばれます。
しかし実際は、この歯と歯肉のさかい目から、歯周ポケットを伝って歯肉のより深い場所へ、炎症は進行していきやすくなります。
歯周ポケットの中で生じた炎症は、深くなればなるほど、御自身での清掃によって改善していくことが難しくなっていきます。
また、炎症が進行していくと、歯槽骨を溶かす歯周病へと進行してきます。
一旦溶かされた骨は、自然に元には戻りません。
出来るだけ早い段階で食い止めていくようにしましょう。
◯まとめ
POINT①:ブラッシングで出血する原因の多くが歯肉炎であり、清掃不良によって生じることが多い。
POINT②:歯肉からの出血を止めるには、炎症の原因である細菌や汚れをブラッシングによって取り除く必要がある。
POINT③:ブラッシングで改善しない場合は、歯ブラシで除去出来ない歯石が付着していることや、別の原因が隠れている可能性もあるので、歯科医院で診てもらうことを勧める。
歯肉炎から歯周病へは気が付かないうちに進行していきます。
気が付いた時には重度の歯周病で歯を失ってしまうことも。
歯肉からの出血は、身体からの大切なサインなのです。
ブラッシングで出血する部位は、意識してしっかり磨くようにしましょう。
また、歯肉からの出血は、血液の病気などが原因の可能性もあります。
歯肉から一度出血するとなかなか止まらない、などといった症状には注意が必要です。
当医院では、定期的な検診および歯科医院での歯石除去を含めたクリーニングをおすすめしております。
歯肉からの出血や、お口の中のことで気になることがありましたら、ご相談ください。