口唇口蓋裂について知ろう!!
2024年6月22日
みなさん、こんにちは!こんばんは!
「口唇口蓋裂」という病気を皆さんご存知でしょうか。
最近では、芸能人のパーパーほしのディスコさんが口唇口蓋裂であることを公表しました。また、海外俳優や海外の女優、スポーツ選手の中にも、口唇口蓋裂であることを公表している方も多くいらっしゃいます。
さらには、ウソか真かわかりませんが、エジプト王のツタンカーメンも口唇口蓋裂であった説まであるほどです。
このように、口唇口蓋裂は意外と身近な疾患であると言えます。
今回は、そんな口唇口蓋裂について、理解を深めていきましょう。
目次
① 口唇口蓋裂とは?
◆どんな病気か?
◆原因
② 口唇口蓋裂の問題点
◆審美障害
◆哺乳障害
◆中耳炎
③口唇口蓋裂の治療
口唇口蓋裂とは?
口唇口蓋裂は古くから存在している疾患です。多くは、出生児の時に指摘を受けます。現在では、術前のエコー検査の進歩により、出生前診断でも胎児の口唇口蓋裂がわかるようになってきました。まずは、口唇口蓋裂がどのような疾患なのか、そこに焦点を当てていきたいと思います。
どんな病気か?
口唇口蓋裂は先天性疾患の1つです。この病気は文字通り、口唇つまり、唇と口蓋、つまりお口の中の天井部分に裂が生じている状態です。つまり、本来、塞がっている唇やお口の天井部分が割れている病気です。
口唇裂と口蓋裂は併発している場合やそれぞれ単独で生じていることもあります。口唇裂と口蓋裂を併発している場合、「口唇口蓋裂」や「唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)」と呼ばれます。
我が国日本では、これまでの報告で約500〜600人に1人の発生頻度とされ、最も発声頻度の高い、先天性疾患とされています。
実は、この病気は漫画やドラマで有名な「コウノドリ」でも紹介された疾患です。
口唇口蓋裂は大きく①口唇裂のみ、②唇顎裂、③口蓋裂のみ、④唇顎口蓋裂の4つに分類されます。
詳しい情報や治療法、生じる障害などについては、今後更新していきたいと思いますので、お楽しみに!!!
口唇口蓋裂の原因
そんな口唇口蓋裂ですが、では一体なぜ生じるのでしょうか?これまでに国内外で様々な研究が行われてきましたが、実のところ、その原因については、不明なままです。現時点での考え方としては、「多因子疾患」として位置付けられています。つまり、確たる原因はないものの遺伝子要因や環境要因が組み合わさって生じるとされています。
人間の顔面の発生は、母体の中にいる頃、左右の組織が合体(癒合)して一つの顔となります。口唇口蓋裂では、先ほど述べたように、左右の組織が様々な原因が合わさって、合体しなかったために、生まれながらに、唇や上顎の天井が割れた状態で生まれると考えられています。
さて、まずは、口唇口蓋裂が、どのような疾患であるかイメージを持っていただけたでしょうか。先天性疾患の中では、数が多く、みなさんがこれまで出会った人の中でも1人2人いてもおかしくありません。それくらい、身近な存在であると思ってください。
口唇口蓋裂による問題
口唇口蓋裂をもつ方には、様々な問題が生じます。どのような問題が生じるのでしょうか。少し解説しましょう。
審美障害
まず何よりも審美障害です、つまり、見た目の問題です。唇が割れているということはもちろんですが、唇周囲の筋肉は鼻を支えています。したがって、鼻の形が左右非対称になりやすく、また、扁平(潰れて見える)になるといった問題があります。
哺乳障害
乳幼児の場合、これが問題になりやすいです。唇が割れているため、飲み込む時に唇を閉じることができないためにミルクを飲み込みにくくなります。また。上顎の天井部分が割れているため、ミルクが、お鼻から漏れてくるようになったり、お口の中を陰圧にできないために上手に哺乳を行うことができなくなります。
ミルクは赤子にとっては重要な栄養源です。これが、できなくなってしまうと乳児の成長に悪影響を及ぼします。
海外などでは、医療が十分に発達していないために、これが原因となって亡くなってしまう方もいらっしゃいます。
中耳炎
耳の病気とどんな関連があるのかと疑問に思う方も多いと思います。これは口蓋裂を持っている方に守られる問題です。口蓋裂ではものを飲み込む時に口蓋を持ち上げる筋肉にも問題が生じています。この筋肉は耳の穴の内圧の調整や、耳の中に溜まった老廃物を外に出すための管と繋がっています。口蓋裂の場合、この働きがうまく機能せずに中耳炎を引き起こす場合があります。中耳炎が長期間放置されていると、難聴の原因になるため、早期の治療が必要です。
今回取り上げた以外にも、咬合や歯列の問題、言葉の問題、心理面での問題など、口唇口蓋裂を持っている方には様々な問題が生じます。これらを理解することが大切です。
口唇口蓋裂の治療
口唇口蓋裂に対しての治療は日本では確立されているといっていいでしょう。口唇口蓋裂患者さんに対しては、赤ちゃんの頃から、全身麻酔の手術を行わなければなりません。また、手術も1回や2回といった少ない回数ではなく、18歳〜20歳くらいになるまで多くの手術を経験することも多いです。患者さんの負担はもちろんのこと、そのご家族の心理的、社会的負担も非常に大きいです。詳しい治療法については、シリーズ第二弾としてまとめたいと思いますが、患者さんを支えるには、社会全体で患者さんをサポートする必要があります。そのためには、まずは病気を知ることから始めましょう。