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親知らずがむし歯になったら抜くべき? むし歯になりやすい理由とは?

2024年8月29日

「親知らずはいつか抜かなきゃいけない?」
そう悩んでいる方も、多いようですね。
では、その親知らずがむし歯になったら??
絶対に抜かなければいけないのでしょうか。
そもそも、どうして虫歯になった親知らずは抜かなければいけないのでしょうか。

ここでは、親知らずとむし歯の関係について、親知らずがむし歯になった場合、どのような時に抜く必要があるのかをお話していきます。
また、親知らずがむし歯になりやすい理由についてもお話していきますね。

目次

1. 親知らずとは

親知らずとは、歯並びの最も後方に生える永久歯のことで、第三大臼歯、智歯(ちし)とも呼ばれます。
生える時期も永久歯の中で最も遅く、「気が付いたら生えていた」「親が知らないうちに生えていた」ということが多いので、「親知らず」と呼ばれるようになったそうです。

現代人の顎の大きさは小さくなってきていることから、歯の生えるスペースも少なくなっている傾向にあります。
それにより、現代人の親知らずは退化傾向にあります。
そのため、親知らずは手前の歯と比較して、形が小さいことも多く、先天的に存在しない方もいるのです。

もちろん、他の歯と同じように、真っすぐ生えてきて上下の歯で咬み合うケースもあります。
しかし、生えるスペースが足りないために斜めになって生えてくることや、歯の一部分だけ歯肉から顔を出して、その他の部分は歯肉の中に埋まっている状態のままになるケースも多く認められます。

2. 親知らずがむし歯になりやすい理由

「親知らずは虫歯になりやすい」という傾向にあります。
それはなぜなのでしょうか。
また、親知らずには、むし歯以外にも気をつけなければいけないことがあります。
「親知らずは抜いたほうが良い」という理由にも繋がりますので、あわせてみていきましょう。

◆2-1. 磨きにくさ

親知らずは、お口の中の最も奥に位置しているので、歯ブラシの毛先を届かせるのが難しい場所ということができます。
また、親知らずが完全に生えずに一部分だけ歯肉から顔をのぞかせている場合は、余計に歯ブラシの毛先が当たりにくくなります。
そのため、汚れがたまりやすく、細菌が増殖しやすいのです。

◆2-2. 萌出の方向・角度

歯列の中で、親知らずは最後に生えてきます。
そのため、親知らずが生えてこようとした時には、歯が生えるスペースが埋まってしまっていることも少なくありません。
萌出スペースが足りないことで、親知らずが斜めに生えてくることも多くなります。
すると、隣り合う歯との間に汚れの溜まりやすいスペースが生じやすくなります。
このようなスペースは、清掃がしにくい部位となり、むし歯になりやすくなるのです。

◆2-3. 咬み合わせに関与しない

親知らずが斜めに生えている場合や、反対側の親知らずが生えてこない場合など、咬み合う相手がいないことも親知らずにはよくあることです。
歯は食べ物を咬み砕く際に、歯の表面に付着している汚れが、食べ物と当たることによって除去されていく効果があります。
これを「自浄作用」といいます。
咬み合わせに関与しない歯には自浄作用が生じないので、一度付着した汚れがその場に停滞しやすくなります。

◆2-4. 親知らず特有の病気「智歯周囲炎」

親知らずには、むし歯以外にも気をつけなければいけない病気があります。
それは「智歯周囲炎」(ちししゅういえん)です。
親知らずの周囲には、汚れがたまりやすく、細菌が増殖しやすいという特徴があります。
智歯周囲炎とは、親知らず周囲で増殖した細菌の出す刺激や毒素などによって、歯周組織に炎症が生じることをいいます。
簡単に言うと、親知らずの周りが腫れて、痛みを生じてしまうのです。

放置すると腫れがひどくなり、顔が腫れることや、激しい痛み、発熱、開口障害などにもつながります。
智歯周囲炎の場合、投薬によって腫れや痛みといった症状を和らげることや、歯肉を切開して溜まった膿を出して腫れを引かせるなどの処置を行いますが、それは一時的な処置に過ぎません。
根本的な治療としては、炎症の原因となる親知らずの抜歯を行うしかありません。
一時的に炎症を抑えることはできても、今後いつ腫れるかわからないといったドキドキ感が、歯が存在する間は続くようになります。

3. どんな時に、親知らずを抜くべきか

では、親知らずは全て抜かなければいけないのでしょうか。
ここでは、親知らずにむし歯が出来たとき、どんな時に抜かなければいかないのか。
どんな時は親知らずを抜かなくてもよいのかについて、みていきましょう。

◆3-1. 親知らずを抜いたほうが良いケース

親知らずがむし歯になった場合、どのような時は抜歯を選択したほうが良いのかをみていきましょう。

  • 自分で清掃することが難しい
    親知らずは、お口の奥の方に生えてきます。
    そのため、なかなかご自身で清掃を行うのが難しい場合もあるでしょう。
    それが原因でむし歯が出来ているとしたら、例えむし歯の治療を行ったとしても、再びむし歯になるリスクが非常に高くなります。
    そのような場合は、抜歯を検討するのが良いでしょう。
  • 隣の歯に悪影響を及ぼす
    親知らずが横向きに生えてきていて、隣の歯をグイグイ圧迫している場合や、親知らずがあることによって、隣の歯の親知らずと接している部分に汚れがたまりやすく、細菌の温床となりやすい場合。
    そのような時は、隣の歯を守るために、むし歯の有無に関わらず親知らずの抜歯を選択することがあります。
  • 咬み合わせに参加していない
    親知らずが斜めに生えていて、咬み合わない。
    咬み合う歯がないために、咬み合わせに参加していない。
    そのような場合は、頑張ってむし歯の治療を行う必要がないと考えられます。
    また、先述したように、咬み合わせに参加していない歯は汚れが付着しやすいため、管理も大変になります。
    ブリッジの土台となる・他部位への移植の可能性があるなど、その歯の利用価値があるという場合を除いて、無理に残す必要があるのか考える必要があります。
  • 何度か腫れたことがある
    先ほどお話した智歯周囲炎によって何度か腫れた経験がある歯がむし歯になった場合は、抜歯していくことをおすすめします。
    むし歯がなかった場合でも、頻繁に智歯周囲炎を繰り返す場合は、抜歯をおすすめします。

それには理由があります。
智歯周囲炎で腫れている時や、痛みがある時は、歯を抜くことはできません。
投薬などによって腫れを一旦鎮めてから、改めて抜歯をすることになるのです。
智歯周囲炎はいつ起こるかわかりません。
そのため、大切な仕事や試験の前などに智歯周囲炎が生じたとしても、すぐ抜歯を行うことができないのです。

女性の場合は、妊娠中や授乳中などで出来るだけ薬を服用したくない時期なども出てくるかもしれません。
そのようなことを考えると、頻繁に智歯周囲炎を繰り返す場合は、症状が落ち着いている時期に、ご自身のタイミングの良い時を見計らって抜歯をすることをおすすめします。

◆3-2. 親知らずを抜かなくても良いケース

では、親知らずを抜かずにむし歯治療を行ったほうが良い場合をみていきましょう。

  • まっすぐ生えていて、上下の歯で咬み合っている
  • 周囲の歯や咬み合わせなどに、悪影響を及ぼしていない
  • 移植、ブリッジの土台の歯として利用する可能性がある

もちろん、治療を行うにあたって、治療器具が歯まで届き、精密な治療を行うことが出来るということが大前提となります。
その上で、親知らずの抜歯に悩んでいるようであれば、一旦むし歯の治療を行い、その上で経過をみていくという方法もあるかと思います。

4.まとめ

  • 親知らずがむし歯になりやすいのは、親知らずが歯並びの最奥に位置すること、傾いて生えてくることや、歯肉に埋まった状態になることが多いため、清掃がしにくいことによる。
  • 親知らずは、歯の周囲に汚れが残りやすいことから、親知らず周囲歯肉に炎症が起こる「智歯周囲炎」になることがある。
  • 自分で清掃が難しい、隣の歯に悪影響を与える、咬み合わない、何度か腫れたことがある(智歯周囲炎)場合は、親知らずの抜歯を検討することを勧める。
  • まっすぐ生えていて、上下の歯で咬み合っている、移植やブリッジの土台として利用する可能性がある場合は、むし歯の治療を行い、親知らずを抜歯せず残していくことを検討する。

むし歯の有無に関わらず、親知らずを抜く、抜かないで迷っている時は、歯科医院で相談してみましょう。
お口の中の状態は、人それぞれ異なります。
笠貫歯科クリニックでは、親知らずを残した場合、抜歯した場合のメリット・デメリットについて、しっかりと説明した上で、お口の中の将来について、一緒に相談させていただきます。

メタボリックシンドロームと歯周病

2024年8月26日

メタボと歯周病。
全く別の病気だと思われがちですが、実は、メタボと歯周病の間には、密接な相関関係があることをご存じですか?
今日は、メタボと歯周病について、両者の関係とその対処法についてお話ししていきましょう。

目次

1. メタボってなに? 肥満とは違うの?

まずは、メタボとは何なのか。肥満との違いについてみていきましょう。

身体の中には、2種類の「脂肪」が存在します。
「内臓脂肪」と「皮下脂肪」です。

肥満とは、脂肪の種類にかかわらず、身体に脂肪が過剰に蓄積した状態のことです。
肥満の基準としてはBMI指数で判断し、BMIが25以上のことを肥満とみなします。
(BMI : Body Mass Index 世界共通の肥満度の指標。体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m))

それに対して、身体の中に内臓脂肪の蓄積が認められるのがメタボリックシンドロームです。
日本におけるメタボリックシンドロームの基準は、腹囲が男性で85cm以上、女性で90㎝以上あるということに加えて、
高血圧・高血糖・脂質代謝異常のうち、2つ以上が基準値を超える状態になります。

内臓脂肪の蓄積は、動脈硬化や高血圧、糖尿病、心筋梗塞などの心臓病、脳卒中、高脂血症などの生活習慣病を引き起こしやすくします。
メタボリックシンドロームは内臓脂肪症候群とも言われ、生活習慣病の予防・重症化及び合併症を防止するために、2008年度からメタボリックシンドロームに着目した特定健康診査が行われるようになりました。
そして、2018年度から健診の際の質問票に歯科の要素が組み込まれました。
これは、メタボリックシンドロームに歯科領域が密接に関わっているということが、判明したからなのです。

2. メタボリックシンドロームと歯周病の関係

メタボリックシンドロームの人は、歯周病にかかりやすく、また悪化しやすいという統計結果が出ています。
また、歯周病はメタボリックシンドロームを悪化させる原因になることも知られています。

では、メタボリックシンドロームと歯周病がどのように関わっているのかをみていきましょう。

◆2-1. メタボリックシンドローム ➡ 歯周病

メタボリックシンドロームでは、内臓脂肪の蓄積量が多く認められます。
内臓脂肪が蓄積すると、炎症性物質(サイトカイン)が放出されます。
すると、血糖値を調節するインスリンの働きが悪くなり、血糖値が下がりにくくなります。(高インスリン血症)
その影響を受けて、全身の血管の状態が悪くなり、栄養や酸素を全身に運ぶ能力が低下し、免疫力も低下することとなります。
その結果、感染症にかかりやすくなったり、全身の臓器に悪影響が及んだりするのです。
歯周病という観点から考えてみると、歯肉および歯を支える歯槽骨の血流が悪くなることで、歯周病菌に対する免疫力が低下します。
その結果、歯周病になりやすく、また、悪化しやすくなるのです。

◆2-2. 歯周病 ➡ メタボリックシンドローム

では、今度は歯周病側からみてみましょう。
歯周病では、歯周病性細菌が歯肉ポケット及び歯肉に入り込み、増殖します。
それによって、歯肉に炎症が生じます。
炎症によって歯肉内の血管が拡張し、歯周病原性細菌が血流に乗って心臓や全身に回ります。
近年の研究により、この歯周病原性細菌は、炎症性物質(サイトカイン)を放出することがわかってきました。
つまり、全身の血流に乗った歯周病原性細菌が炎症性物質(サイトカイン)を放出し、血糖値を調節するインスリンの効きを悪くするのです。
その結果、血糖値が下がりにくくなる高インスリン血症を引き起こします。
それによって、メタボリックシンドロームを発症・悪化させてしまうこととなるのです。

3. 歯科の観点からみた メタボで改善すべきこと・歯周病で改善すべきこと

ここでは、歯科としての観点からみた、メタボリックシンドローム、および歯周病の改善方法をみていきます。

◆3-1. 歯周病で改善すべきこと

歯周病からメタボリックシンドロームを引き起こさないように、どのようなことに気をつけていけば良いのかをみていきましょう。

1. 毎日の歯磨きをていねいに

歯周病予防の基本は、毎日の歯磨きですね。
自分に合った歯ブラシを使って、丁寧に磨く習慣をつけましょう。
歯ブラシだけではなく、歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助清掃具を用いることで、ぐっと効果が上がります。

2. 定期検診の受診

お口の中の状態や、生活習慣、持病の有無によっても定期検診の頻度は異なります。
決められた期間での定期検診を受けるようにしましょう。
検診の際には、むし歯の有無だけではなく、歯肉の状態や歯石の有無、ブラッシングの仕方などもチェックしていきます。
歯磨きの仕方は、どうしても癖がつきやすいものです。
歯科医院で磨き残しやブラッシング圧などのチェックを受けることで、ご自宅での毎日のブラッシングをより効果的に行うことが出来るようになります。
歯を支えている歯槽骨や顎骨、顎関節の状態なども、レントゲン写真などによって定期的に確認していくと良いでしょう。

◆3-2. メタボリックシンドロームで改善すべきこと

次に、メタボリックシンドロームを引き起こさないように、お口の中で出来ることをみていきましょう。

1. よく咬んで食べる

メタボリックシンドロームは、生活習慣病です。
そのため、改善のためには、生活習慣を見直すことが大切になってきます。
歯科の領域で、メタボ対策として出来ることは、「よく咬んで食べること」です。
よく咬んで食べることには、様々なメリットが存在します。

  • よく咬んで食べることにより早食べの習慣を改善することができる
  • よく咬むことにより、満腹中枢が刺激され、食べすぎを防ぐことができる
  • 咬むことにより唾液の分泌が促進され、唾液による口腔内の殺菌・消毒効果や自浄作用を期待することができる
  • 食べ物が細かく粉砕されることで、消化酵素と混ざりやすくなる。それにより、消化を助け、胃腸の負担を軽減することができる

2. 早めに歯の治療を行う

よく咬むためには、歯があることが必要です。
そのためにも、今ある歯を長く使っていくことが出来るようにしていく必要があります。
むし歯は放置しても治りません。
早めに治療を行うことで、失う歯質の量を最小限にすることが出来ます。
また、残せない歯や、既に失われた歯をそのまま放置してしまうことにより、周囲の歯まで悪影響を受けることが多くあります。
歯を失った部分は、ブリッジ、義歯、インプラントなどの補綴処置を行うことで、再び咬むことが出来るようになります。

3. 歯科検診を定期的に行う

歯を失う原因の第一位は、歯周病です。
そして、歯周病は、本人の自覚がないままに静かに進行していきやすい病気でもあります。
気付いた時には歯周病がかなり進行していた・・・ということにならないよう、定期的な検診を欠かさないようにしましょう。
また、歯を失う原因の第二位はむし歯です。
検診では、むし歯のチェックも行っていきますので、ご安心ください。

4. まとめ

  • メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積に加えて、高血圧・高血糖・脂質代謝異常が認められることにより、心臓病や糖尿病・脳卒中などの生活習慣病になるリスクが高い状態のこと
  • メタボリックシンドロームでは血流の流れが悪くなり、歯周病になりやすく、悪化しやすい
  • 歯周病では、メタボリックシンドロームでの血流の流れを悪くする物質(サイトカイン)と同じサイトカインの放出が認められるため、メタボリックシンドロームの発症・悪化を引き起こしやすくなる。
  • つまり、メタボリックシンドロームと歯周病は、お互いにその発症と悪化に関与している。
  • 歯周病で改善すべきことは、「毎日の歯磨き」「定期的な歯科検診の受診」である
  • メタボリックシンドロームで改善すべき口腔内のこととしては、「よく咬んで食べる」「早めに歯科治療を行う」「定期的な歯科検診の受診」である

メタボリックシンドロームと歯周病。
この2つは、お互い体に悪影響を与えてしまう間柄なのです。

しかし、別の視点からみれば、メタボリックシンドロームを改善することは、歯周病の進行抑制となり、
また、歯周病を改善することは、メタボリックシンドロームの発症および進行を抑えることが出来るともいえるのです。

将来の生活習慣病を予防するためにも、今できることを実行していきましょう。
笠貫歯科クリニックでは、お口の中から皆様の全身の健康作りのお手伝いをしていきます。

お口の中で気になることがあれば、何でもご相談ください。

人よりも歯の本数が多い?過剰歯

2024年8月20日

4月・5月は各学校(小学校、中学校、高校)で学校歯科健診が実施されます。

法律で学校歯科健診は6月30日までに行なうことになっています。学校歯科健診は、子どもが検診を通して、自分の歯や口腔の状態を知り、健康の保持増進の意識を高めるために行います。

歯科健診では様々な指摘がされますが、その中には過剰歯の指摘があります。

 

目次
◯過剰歯とは
 ◆過剰歯の種類
◯過剰歯の気づき方
◯過剰歯が引き起こすトラブル
◯過剰歯の治療法
◯まとめ

 

 

 

過剰歯とは

過剰歯とは、通常よりたくさんの歯が萌出する事です。上顎・下顎のどこの場所にも発生する可能性があるとされています。過剰歯の原因はまだはっきりとは分かっていません。遺伝的な原因や、お口の何らかの環境などが関係しているとされています。過剰歯の発生の割合は、日本人では全人口の約2%ぐらいの方にみられるとされています。アメリカやヨーロッパでも、全人口の約2%とされています。男女比について、日本では男性が女性よりも多いとされ、約2:1の割合で過剰歯がみられます。アメリカやヨーロッパでは、男女比に大きな差はないとされています。

◆過剰歯の種類

過剰歯は、順正と逆性に分けられます。
順正は、お口の中で、ふつうの歯と同じ方向に生えてくる過剰歯のことです。大臼歯の頬側に発生する臼傍歯や、上顎の正中に発生する正中過剰歯があります。
逆性とは、ふつうの歯と逆向きに生えてくる過剰歯のことです。親知らずの後ろに発生する第四大臼歯があります。

 

 

 

過剰歯の気づき方

過剰歯は、無症状であることが多いです。そのため、歯科医院でレントゲン撮影した時にみつかる事が多いです。「上顎の前歯に隙間があるのが心配、正しく永久歯が生えて来てない。」と思い歯科受診したところ、発見される事もあります。
自分で触ってみて気づくことがあります。過剰歯は、ふつうの歯と違う場所や向きに萌出しています。お口の中を歯ブラシで触ってみて、変な位置に歯がないかを確認してみましょう。

 

 

 

過剰歯が引き起こすトラブル

過剰歯は、歯並びの不正、歯肉炎や嚢胞(のうほう;液体等が入った袋状の構造の事です)などを引き起こします。
1. 過剰歯が永久歯の成長や生える場所にあるため、永久歯が萌出しにくい事があります。上顎の前歯の間に生える過剰歯(正中過剰歯)は、よく見かけます。
2. 上の前歯に隙間があいてしまうことがあります。正中過剰歯が、上顎の前歯を左右に押し広げる事で、隙間(すきっ歯ともいいます)を作ってしまいます。この隙間は、原因の過剰歯を抜歯しても自然に閉じない事もあります。
3. 永久歯の歯根を溶かしてしまう事もあります。過剰歯が骨中で成長すると、近くの永久歯の根元を溶かしてしまう事もあります。ダメージを受けると、根元の象牙質や神経が露出します。このため、この永久歯は、虫歯などの感染症にかかり易くなります。
4. 嚢胞(のうほう)ができる事があります。過剰歯が埋まっている骨の周りに嚢胞ができる事があります。この嚢胞が大きくなると、永久歯の根元を溶かしたり、細菌感染したりする危険性は、かなり高くなります。

 

 

 

過剰歯の治療法

過剰歯の治療法は、 主に抜歯です。症状に応じて歯科矯正も行います。過剰歯の向きや位置によって、抜歯の方法やタイミングが異なります。
順性過剰歯の抜歯をする場合は、生え揃うのを待ってから抜歯します。
逆性過剰歯の場合、歯茎の中に過剰歯が埋まっている事が多く、そのまま萌出しない事もあります。顎の骨の奥にあるため、レントゲンで確認します。顎の骨の奥深くに埋まり、他の歯に悪影響を与えない時は、抜歯せずに経過観察します。近くの歯に影響が出てしまう時は、抜歯します。正中過剰歯の抜歯は、歯科医院で多くみられます。抜歯する時は、早期に行うことが望ましいです。

 

純正過剰歯の抜歯をする場合は、ふつうの抜歯で、数分で終わることが多いです。
逆性過剰歯の場合、歯肉を剥離し、骨を削って過剰歯を露出してから、過剰歯を抜歯します。抜歯が終わったら、歯肉を元の位置で縫合して終わりです。縫合に使った糸は1、2週で抜糸します。抜歯前の準備、抜歯、縫合まで、数十分かかる事もあります。
子どもの恐怖心が強い場合、過剰歯が難易度の高い箇所にある場合、基礎疾患がある場合は、全身麻酔下で行う事もあります。全身の痛みや感覚を麻痺させる方法ですが、麻酔科医が常に監視しているため、安心して手術を受けられます。全身麻酔下で過剰歯の抜歯を行っても、翌日からは普段通りの生活に戻れる事が、ほとんどです。

 

 

 

まとめ

過剰歯という言葉を知っている方は、 歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手などの歯科関係者や、以前、過剰歯の治療を受けた事がある方が多いと思います 。
過剰歯の状態や治療法には個人差があります。自分の子供の過剰歯について正確に知りたい場合は、 歯科医院で診てもらうことが一番です 。

睡眠時無呼吸症候群治療における歯科医院の役割とは?

2024年8月18日

【目次】

・睡眠時無呼吸症候群とは
・睡眠時無呼吸症候群の治療
・睡眠時無呼吸症候群において歯科医院で行う治療
・まとめ

 

 

 

 

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群はテレビ番組などメディアを通じて広く知れ渡ってきていると思います。寝ている間によくいびきをかく方や無意識に呼吸が止まっている状態を見聞きしたことがあるかもしれません。しかし、症状や治療方法、何科を受診すべきかよく分からないことがあると思います。今回は睡眠時無呼吸症候群について確認します。

定義と症状

睡眠時無呼吸症候群は(Sleep Apnea Syndrome)SASと呼ばれることもあります。睡眠時無呼吸症候群の医学的定義では、10秒以上呼吸が止まる『無呼吸』や呼吸が弱くなる『低呼吸』が1時間あたり5回以上繰り返される状態をいいます。症状として代表的なものに、睡眠時のいびきや息苦しさ、夜間に何度も目が覚める、昼間の眠気、起床時の倦怠感などが挙げられます。夜間寝ている間には通常体は休まりますが、無呼吸の場合には体が低酸素状態になってしまいます。体は低酸素状態を改善させるために心拍数を上げようとするため、脳も身体も覚醒したような状態になり休まることがありません。結果として、上記のような症状が出てしまいます。

 

 

病態

睡眠時無呼吸症候群では鼻からの空気の通り道が狭くなり呼吸が止まってしまう場合や呼吸を司る脳の働きが落ちてしまうために起こる場合、それらが混合している場合が考えられます。寝てる間は舌が喉の奥に落ち込みやすくなり、人によっては完全に気道を塞いでしまいます。特に肥満の方が多いとされていますが、それ以外にも舌が元々大きい方、鼻呼吸ができない方、顎が小さい方や喉の奥の扁桃腺の形態が大きい場合などに起こりやすいです。

 

 

危険性

たかが無呼吸と思われるかもしれませんが、睡眠中の低酸素は高血圧や脳卒中、糖尿病や高脂血症などの合併を引き起こす可能性があります。その他に仕事などで機械や車などを使用する方は日中の眠気は大きな事故につながる可能性もあります。検査や治療を早期に行うことは重要です。

 

 

診断

診断には患者さんに対する問診票、特に日中の眠気を評価するためにエプワース眠気尺度というものが用いられます。いくつかの項目が点数かされ合計点数でどの程度眠気が強いのかを判断します。その他には簡易検査や精密検査があります。脳波や血中の酸素量、心電図、目や顎の筋肉の動きや胸部・腹部の動きなどを確認するものです。このような精密検査では入院が必要なこともあります。

 

 

 

 

睡眠時無呼吸症候群の治療

治療法にはいくつかありますが、代表的なものには
①CPAP療法
②マウスピースなどのオーラルアプライアンス
③減量療法
④耳鼻科的外科療法
⑤顎顔面外科療法
などが挙げられます。それぞれを確認しましょう。

治療①:CPAP療法

CPAP療法(シーパップ療法)は聞いたことがある治療かもしれません。経鼻的気道持続陽圧療法を指します。具体的には鼻にマスクをつけ特殊な機械で圧力をかけて空気を送り込む治療法です。圧力により空気の流れが滞らず、呼吸が止まらないようにします。

 

治療②:オーラルアプライアンス

歯科医院における治療ではこちらがメインになることが多いかもしれません。睡眠時無呼吸症候群の場合に使用するものは、通常のマウスピースと異なり上下が一体型になっているものが多いと思われます。下顎を前に出した状態で固定してマウスピースを装着することにより、舌が奥に落ち込まずに気道を確保する方法です。歯にあてがって装着するため、残っている歯が少ない場合や元々鼻呼吸ができない方には不向きとなります。

 

 

治療③:減量療法

睡眠時無呼吸症候群の中でも、肥満による影響が考えられる場合には減量による治療も大切です。食事療法や運動療法により改善を図ることがあります。

 

 

治療④:耳鼻科的外科療法

睡眠時無呼吸症候群の原因となり得る扁桃の肥大や鼻中隔の彎曲などは耳鼻科領域での外科治療を行う場合があります。その他、鼻性の蓄膿症がある時なども治療を行うこともあるでしょう。

 

 

治療⑤:顎顔面外科療法

下顎が小さい場合など顎の骨格に原因がある場合には、顎に対しての治療を行う場合があります。全身麻酔下での治療となります。顎自体を前方に出すことにより気道を広げて改善する方法です。

 

 

 

 

 

睡眠時無呼吸症候群において歯科医院で行う治療

治療方法をいくつか確認してきましたが、一般的な歯科医院での治療は主に口腔内のオーラルアプライアンス治療が一般的です。治療については医科における診断が必要になります。保険内でオーラルアプライアンスを作成する場合には、まずは呼吸器内科や耳鼻咽喉科などの医科受診が必要となります。その後、装置の作成依頼があった場合に作成が可能となります。歯科では一般的に作成可能ですが、装置の作成が可能かどうか受診前に電話などで確認してから受診した方が良いと思われます。

 

 

 

 

まとめ

睡眠時無呼吸症候群の症状や病態などの基本的な事項、治療方法や歯科医院での治療の介入について確認してきました。一般的な歯科医院でも治療は可能ですが、保険内での治療の場合には医科での診断が必要になります。歯科医院では一般的にはマウスピースによる治療が多いのが現状です。歯科医院によっては装置の種類などが異なるため、治療を希望する方は受診前に電話等で治療の可否や使用する装置の種類などを確認しておくのがよいかもしれません。

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当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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