人よりも歯の本数が多い?過剰歯
2024年8月20日
4月・5月は各学校(小学校、中学校、高校)で学校歯科健診が実施されます。
法律で学校歯科健診は6月30日までに行なうことになっています。学校歯科健診は、子どもが検診を通して、自分の歯や口腔の状態を知り、健康の保持増進の意識を高めるために行います。
歯科健診では様々な指摘がされますが、その中には過剰歯の指摘があります。
目次
◯過剰歯とは
◆過剰歯の種類
◯過剰歯の気づき方
◯過剰歯が引き起こすトラブル
◯過剰歯の治療法
◯まとめ
過剰歯とは
過剰歯とは、通常よりたくさんの歯が萌出する事です。上顎・下顎のどこの場所にも発生する可能性があるとされています。過剰歯の原因はまだはっきりとは分かっていません。遺伝的な原因や、お口の何らかの環境などが関係しているとされています。過剰歯の発生の割合は、日本人では全人口の約2%ぐらいの方にみられるとされています。アメリカやヨーロッパでも、全人口の約2%とされています。男女比について、日本では男性が女性よりも多いとされ、約2:1の割合で過剰歯がみられます。アメリカやヨーロッパでは、男女比に大きな差はないとされています。
◆過剰歯の種類
過剰歯は、順正と逆性に分けられます。
順正は、お口の中で、ふつうの歯と同じ方向に生えてくる過剰歯のことです。大臼歯の頬側に発生する臼傍歯や、上顎の正中に発生する正中過剰歯があります。
逆性とは、ふつうの歯と逆向きに生えてくる過剰歯のことです。親知らずの後ろに発生する第四大臼歯があります。
過剰歯の気づき方
過剰歯は、無症状であることが多いです。そのため、歯科医院でレントゲン撮影した時にみつかる事が多いです。「上顎の前歯に隙間があるのが心配、正しく永久歯が生えて来てない。」と思い歯科受診したところ、発見される事もあります。
自分で触ってみて気づくことがあります。過剰歯は、ふつうの歯と違う場所や向きに萌出しています。お口の中を歯ブラシで触ってみて、変な位置に歯がないかを確認してみましょう。
過剰歯が引き起こすトラブル
過剰歯は、歯並びの不正、歯肉炎や嚢胞(のうほう;液体等が入った袋状の構造の事です)などを引き起こします。
1. 過剰歯が永久歯の成長や生える場所にあるため、永久歯が萌出しにくい事があります。上顎の前歯の間に生える過剰歯(正中過剰歯)は、よく見かけます。
2. 上の前歯に隙間があいてしまうことがあります。正中過剰歯が、上顎の前歯を左右に押し広げる事で、隙間(すきっ歯ともいいます)を作ってしまいます。この隙間は、原因の過剰歯を抜歯しても自然に閉じない事もあります。
3. 永久歯の歯根を溶かしてしまう事もあります。過剰歯が骨中で成長すると、近くの永久歯の根元を溶かしてしまう事もあります。ダメージを受けると、根元の象牙質や神経が露出します。このため、この永久歯は、虫歯などの感染症にかかり易くなります。
4. 嚢胞(のうほう)ができる事があります。過剰歯が埋まっている骨の周りに嚢胞ができる事があります。この嚢胞が大きくなると、永久歯の根元を溶かしたり、細菌感染したりする危険性は、かなり高くなります。
過剰歯の治療法
過剰歯の治療法は、 主に抜歯です。症状に応じて歯科矯正も行います。過剰歯の向きや位置によって、抜歯の方法やタイミングが異なります。
順性過剰歯の抜歯をする場合は、生え揃うのを待ってから抜歯します。
逆性過剰歯の場合、歯茎の中に過剰歯が埋まっている事が多く、そのまま萌出しない事もあります。顎の骨の奥にあるため、レントゲンで確認します。顎の骨の奥深くに埋まり、他の歯に悪影響を与えない時は、抜歯せずに経過観察します。近くの歯に影響が出てしまう時は、抜歯します。正中過剰歯の抜歯は、歯科医院で多くみられます。抜歯する時は、早期に行うことが望ましいです。
純正過剰歯の抜歯をする場合は、ふつうの抜歯で、数分で終わることが多いです。
逆性過剰歯の場合、歯肉を剥離し、骨を削って過剰歯を露出してから、過剰歯を抜歯します。抜歯が終わったら、歯肉を元の位置で縫合して終わりです。縫合に使った糸は1、2週で抜糸します。抜歯前の準備、抜歯、縫合まで、数十分かかる事もあります。
子どもの恐怖心が強い場合、過剰歯が難易度の高い箇所にある場合、基礎疾患がある場合は、全身麻酔下で行う事もあります。全身の痛みや感覚を麻痺させる方法ですが、麻酔科医が常に監視しているため、安心して手術を受けられます。全身麻酔下で過剰歯の抜歯を行っても、翌日からは普段通りの生活に戻れる事が、ほとんどです。
まとめ
過剰歯という言葉を知っている方は、 歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手などの歯科関係者や、以前、過剰歯の治療を受けた事がある方が多いと思います 。
過剰歯の状態や治療法には個人差があります。自分の子供の過剰歯について正確に知りたい場合は、 歯科医院で診てもらうことが一番です 。