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インプラントとブリッジ、どちらがいいの?②(自分に合った治療法とは)

2024年4月8日

どうしても歯を残せずに抜歯した場合。

失った本数が少ない時の治療方法として、インプラントとブリッジで悩まれる方が多いですね。

前回は、インプラントとブリッジの治療方法の違いについてお話していきました。

今回は、どんな方にはどちらの治療法が向いているか、具体的にみていきましょう。

 

目次

1.インプラントとブリッジの違いとは

 1-1. インプラント

 1-2. ブリッジ

2.自分に合った治療法とは?

 2-1. インプラント治療が向いている方

 2-2. ブリッジ治療が向いている方

3.まとめ

 

 

1. インプラントとブリッジの違いとは

まず、インプラントとブリッジの基本的な治療方法の違いについて、おさらいしましょう。

 

1-1. インプラント

インプラントとは、歯を失ってしまった部位の顎骨に、歯根の代わりとなるチタン製のインプラント体を埋め込み、その上に土台を立てて、人工の歯を被せる治療法です。

前後の歯を削る必要がなく、咬む力もインプラント体が受け止めるので、周囲の歯に負担がかからないのが大きなメリットです。

デメリットとしては、インプラント体を埋め込む際に外科処置(外科手術)が必要となることや、インプラント体を埋め込む部位の顎骨の状態や、血管・神経の位置など、周囲組織の状態に影響されやすいというところがあります。

また、インプラント体が骨に定着する(くっつく)のを待つ必要があるため、治療期間が6カ月~1年程度かかります。

インプラントは保険適応されないため、全て自費診療となります。

使用するインプラント体の種類や、周囲組織の状態、人工の歯の素材などによって費用が異なりますので、自分に合った治療方法および費用を相談していくことをおすすめします。

 

 

1-2. ブリッジ

ブリッジとは、失った歯の両隣の歯を土台として、3本以上の人工歯を繋げて、橋をかけるように土台の歯と連結することによって失った歯を補う治療法です。

その歴史は古く、海外では紀元前からブリッジ治療が行われていたという記録があります。

メリットとして、土台となる歯があれば、骨などの周囲組織の状態に影響を受けることなく治療を行うことができること、保険適応内で治療を行うことができ、3~4週間と比較的短期間で治療を行うことが出来ることが挙げられます。

また、外科処置の必要性がないために、持病や全身状態に左右されにくい治療法でもあります。

デメリットとしては、なんといっても土台の歯を削る必要があるということ、また、土台の歯に負担がかかることが挙げられます。

 

 

2. 自分に合った治療法とは?

インプラントとブリッジ、どちらも優れた治療法です。

では、自分に合った治療法とは、どちらなのでしょうか。

それは、御自身が何を重要視していくかによります。

インプラントが向いている方、ブリッジが向いている方に分けてみていきましょう。

 

2-1. インプラント治療が向いている方

▶︎周囲の歯を削りたくない方

歯を失った理由にもよりますが、失った歯以外ほとんどが治療をしていない歯の場合や、前後の歯が詰め物、被せものなどで治療を行っていない歯の場合、ブリッジを入れるために大きく削ってしまうのは勿体ない・・・と、思わず考えてしまいます。

インプラントならば、周囲の歯を削ることなく治療を行うことが出来ます。

 

▶︎出来るだけ再治療をしたくない方

ブリッジの場合は、土台となる歯のむし歯、破折、歯周病などによって、ブリッジ全体の再治療が必要となることがあります。

インプラントとブリッジの10年生存率(10年後にその歯が問題なく使えているかの指標)は、保険診療のブリッジが50~70%なのに対して、インプラントは90%以上とのデータもあります。

土台となる歯があまり丈夫でない、再治療のリスクを伴う場合は、それに影響されない治療法であるインプラントを選んだほうが良いかもしれません。

 

▶︎自身の歯列の一番奥に歯を入れたい場合

ブリッジは、失った歯の前後に自身の歯が存在していることが必須条件となります。

一番後方の歯を失った場合や、治療予定の部位より後方の歯を既に失っている場合は、ブリッジによる治療は行うことが出来ません。

 

2-2. ブリッジ治療が向いている方

▶︎外科処置に抵抗がある方 全身疾患がある方

インプラントに外科手術はどうしても必要です。

「歯肉を切ったり、骨に穴をあけたりはしたくない!」という方は、ブリッジを選択すると良いでしょう。

また、全身疾患がある方や、服用しているお薬の関係で観血的処置(出血を伴う外科処置)を控えたほうが良い方は、ブリッジをおすすめします。

 

▶︎治療期間を短くしたい方

インプラントは、少なくとも半年は治療期間を考えておく必要があります。

インプラントの治療途中で転院することは難しいので、長期間の通院が困難な方は、インプラント治療を行うことは難しいかもしれません。

 

▶︎費用を出来るだけ抑えたい方

インプラントは、基本的に全て自費診療です。

使用する素材や、歯および周囲組織の状態によって費用は変わってきます。

 

ブリッジは保険適応内で治療を行うことが可能です。

その場合、土台の歯は銀歯になりますので、白い歯が希望の場合は自費診療となってきます。

 

両方を自費治療と考えた場合でも、費用を比較すると、ブリッジのほうが費用を抑えられる傾向にあります。

自費診療の場合は、お口の中の診査をした上で、詳細を相談していくことをおすすめします。

 

 

3.まとめ

インプラント治療が向いている方

周囲の歯を削りたくない

出来るだけ再治療をしたくない

自身の歯列の一番奥に歯を入れたい

 

ブリッジ治療が向いている方

外科処置に抵抗がある

全身疾患がある

治療期間を短くしたい

費用をできるだけ抑えたい

 

 

インプラントとブリッジの治療方法について、様々な視点から比較してみました。

どちらも優れた治療法であり、それと同時に、どちらにもメリット・デメリットが存在します。

 

お口の中の状態、全身状態などにより、歯科医師からどちらかを勧められる場合もあります。

一定の条件をクリアすれば、どちらを選択するか、御自身の希望に委ねられることもあるかと思います。

 

生きていく上で、お口の中の機能を維持していくことは、とても重要です。

どの治療法を選択するのか、御自身のお口の中の状態とあわせて、考えてみて下さい。

 

わからないことや、聞きたいことなどございましたら、一度相談にいらしてください。

御自身が納得して治療を受けていただけることができるよう、お手伝いしていきます。

 

インプラントとブリッジ、どちらがいいの?①〈治療方法の違い〉

2024年3月31日

何らかの理由で歯を失ってしまった時。

 

なくなった歯を補う方法としては、インプラント、ブリッジ、義歯(入れ歯)の3種類があります。

 

失った歯の本数が少ない場合、インプラントとブリッジで悩まれる方が多いですね。

ここでは、インプラントとブリッジの治療方法における違いについて、お話していきましょう。

 

目次

1.インプラントとブリッジ、どんな治療法?

2.インプラントとブリッジの治療における違いとは?

 ◆歯を削る必要性

 ◆外科処置の必要性

 ◆周囲組織の状態により受ける影響

 ◆咬合力、周囲の歯への負担

 ◆メンテナンス

 ◆治療期間

 ◆費用

3.まとめ

 

1.インプラントとブリッジ、どんな治療法?

インプラントとは、歯を失った部分の顎骨に、外科手術によってチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に土台を立てて、人工の歯を被せる方法です。

一方、ブリッジとは、失った歯の両隣の歯を削って土台を作り、3本以上の人工歯を繋げて、橋をかけるように土台の歯に取り付けることで、失った歯の部分を補う方法です。

 

2.インプラントとブリッジの治療における違いとは?

では、インプラントとブリッジの治療方法にどのような違いがあるのか、比較して見ていきましょう。

 

◆歯を削る必要性

インプラントの場合は、両隣の歯を削ることなく処置を行うことができます。

 

しかし、ブリッジの場合は、両隣の歯を土台として、連結した歯を被せていく治療法のため、土台となる歯を大きく削る必要があります。

これが、ブリッジの治療の最大のデメリットです。

むし歯1つない健康な歯であっても、ブリッジの土台とする場合は、歯の表面を全周削っていく必要があるのです。

また、歯が傾いている場合や、歯の内部にある神経が表面に近い場合は、削ったあとに痛みを生じることがあります。

その場合は、神経を取る処置も必要になってきます。

さらに、健康な歯の表面を大きく削ることによって、虫歯に対するリスクが高くなります。

 

そうはいっても、ブリッジで歯の表面を覆っていれば、むし歯になりにくいような気もしますね。

しかし、汚れの残りやすい歯の根元、つまり歯と歯肉のさかい目には、被せ物と自分の歯とのさかい目が存在します。

ここから、むし歯が発生することが多いのです。

また、自分の歯質量が少なくなっているので、虫歯が大きくなると、その歯を残すことが難しくもなるのです。

 

ただし、もしも土台となる歯が既に被せ物で覆われているのであれば、ブリッジのデメリットが大きく減少します。

既に入っている人工の歯を削って外し、形を整えた上で新しくブリッジを入れていく場合は、この治療において、御自身の歯を削る量が少量で済むことになるからです。

かといって、むし歯のリスクが低下するわけではないので、引き続き注意が必要ではあります。

 

◆外科処置の必要性

ブリッジは、外科処置の必要性はありません。

 

それに対してインプラントは、外科処置(外科手術)が必須となります。

局所麻酔(部分的な麻酔)をしっかり行うので、痛みを感じることはありませんが、歯肉の切開や、顎骨へインプラント体を埋める処置などの、外科手術を行う必要があるのです。

そのため、高血圧や糖尿病などの全身疾患がある場合は、施術自体を行うことが出来ない可能性があります。

また、外科手術の際には、顎骨内の神経や血管の損傷、術後の細菌感染、インプラント周囲炎、インプラント体が顎骨に定着しない、などといったトラブルが発生する可能性もあります。

 

◆周囲組織の状態により受ける影響

インプラントは、インプラント体を埋め込む部位の顎骨の厚み、高さ、密度や、その中を走行する神経、血管の位置など、周囲組織の状態がとても重要になってきます。

年齢を重ねるにつれて、顎骨も痩せてきやすいので、インプラントを保持出来るだけの骨の量がない場合や、骨の内部の状態が良好でないと、インプラント治療を行うことが出来ません。

また、隣接する歯や歯周組織に炎症が生じていると、インプラントの予後が悪くなってしまいます。

インプラント治療を行う前に、むし歯や歯周病の治療を終わらせておく必要があります。

 

ブリッジの場合は、失った歯の前後に土台となる歯があること、また、その歯に欠損部の咬み合う力を肩代わりできるだけの強度があることが必要となります。

また、失った歯が、強い咬合力を支える歯であった場合は、それを支えるために土台となる歯を増やすこともあります。

しかし、周囲組織の骨量や神経、血管の位置などには、影響は受けません。

 

◆咬合力、周囲の歯への負担

インプラントの場合、咬合力はインプラント体である人工の歯根で受け止めます。

そのため、周囲の歯に負担がかかることはありません。

 

ブリッジの場合、ブリッジ全体にかかる力を土台の歯で受け止めます。

つまり、欠損した部分の咬合力は、土台の歯が肩代わりすることとなり、その分、土台の歯に大きな負担がかかることになります。

 

◆メンテナンス

メンテナンスは、インプラント、ブリッジ共に必要になります。

 

ブリッジは、自分の歯である土台の歯がむし歯になったり、歯周病になったりしないよう、また、負担がかかりすぎて破折を起こしたりしないように気を付ける必要があります。

特にブリッジでは、御自身の歯がない部分である人工歯周辺の清掃が難しく、汚れが残りやすい為に、口臭やむし歯・歯周病の原因となりやすいので、注意が必要です。

 

インプラントは、むし歯にはなりません。

しかし、インプラント周囲が清潔に保たれていないと、歯肉に炎症が生じ、インプラント周囲組織に炎症が広がることがあります。

これをインプラント周囲炎といいます。

インプラント周囲炎を放置すると、顎骨内で炎症が拡がり、重大な感染症を引き起こしかねません。

インプラント体の除去の必要性が出てくる可能性もあります。

 

いずれにしても、インプラント、ブリッジ共に、メンテナンスが非常に重要であるという点には変わりありません。

 

◆治療期間

インプラントの治療期間は、6カ月~12カ月位です。

毎週通院するというより、「インプラント体が骨に定着する(くっつく)のを待つ」といった、経過観察の時間が長くかかります。

また、抜歯の後で傷口が落ち着いてからインプラントの手術を行う場合や、顎骨の量が足りずに骨を足す処置などが必要になる場合は、その分治療期間が長くかかります。

 

ブリッジの治療期間は、3~4週間位です。

歯の内部の治療(根管治療)などが必要となる場合は、その分治療期間が長くなります。

 

◆費用

ブリッジは、保険適応内で治療を行うことが可能です。

その場合は、土台となる歯は銀歯になります。

自費診療で、全て白い歯を入れることも可能です。

 

インプラントは、基本的に全て自費診療となります。

 

両方を自費治療と考えた場合でも、費用を比較すると、ブリッジのほうが費用を抑えられる傾向にあります。

自費診療の場合は、お口の中の診査をした上で、詳細を相談していくことをおすすめします。

 

 

3.まとめ

インプラントは、周囲の歯を削る必要はない。

→ブリッジは、失った歯の両隣の歯を大きく削る必要がある。

 

インプラントは、外科処置が必要である。

→ブリッジは、外科処置の必要はない。

 

インプラントは、周囲組織に影響を受ける。

→ブリッジは、土台となる歯の強度は必要だが、周囲組織の影響は受けない。

 

インプラントは、周囲の歯に負担がかかりにくい。

→ブリッジは、周囲の歯に大きな負担がかかる。

 

インプラント、ブリッジ共にメンテナンスは重要である。

 

インプラントの治療期間は約半年~1年。

→ブリッジの治療期間は、3~4週間。

 

インプラントは基本的に全て自費診療。

→ブリッジは、保険診療で行うこともできる。

 

 

インプラントとブリッジの治療方法について、様々な視点から比較してみました。

どちらも優れた治療法であり、それと同時に、どちらにもメリット・デメリットが存在します。

 

どの治療法を選択するのか、御自身のお口の中の状態とあわせて、考えてみて下さい。

次回は、どのような方に、どちらの治療法が適しているのかを見ていきたいと思います。

 

わからないことや、聞きたいことなどございましたら、一度相談にいらしてください。

御自身が納得して治療を受けていただけることができるよう、お手伝いしていきます。

 

予防により、結果的に虫歯や歯周病の治療よりも安く済む!?

2024年3月22日

予防の重要性を、聞きなれない切り口からお話していきます。

是非参考にして下さい。

 

◯目次

・虫歯、歯周病と予防

 ◆自宅での予防とは

 ◆歯科医院での予防とは

・予防の重要性

・海外の状況

・安く済みます

・予防のデメリット

・まとめ

 

◯虫歯、歯周病と予防

虫歯と歯周病は、ともに口内の細菌が原因で起こる病気です。虫歯は歯そのものに穴が開く病気です。歯周病は歯肉や骨に炎症を起こす病気で、虫歯の原因菌とは別の種類の細菌が原因です。

虫歯や歯周病を予防するためには、以下の3つの対策が重要です。

①プラークを取り除き、虫歯、歯周病の原因菌を少なくする事。

プラークは歯垢とも呼ばれ、細菌や食べかすなどが歯の表面に付着したものです。プラーク中の細菌が糖分を分解して酸を作り、歯を溶かしたり、歯周病を引き起こしたりします。プラークを取り除くためには、毎日のブラッシングが基本です。

②砂糖を含む食品の摂取頻度を制限する事。

砂糖の糖分は虫歯菌の餌になる為、摂りすぎると虫歯のリスクが高まります。特に食後や間食時に甘いものを食べると、口内の酸性度が上昇し、虫歯が進行し易くなります。

糖分を摂る回数を減らすためには、食事や間食の時間を決めて守ることが大切です。また、甘いものを食べた後はすぐに水を飲んだり、ガムを噛んだりして口内を中和させることも効果的です。

③再石灰化を促し、歯の質を強くする事。

再石灰化とは、酸によって溶け出したミネラル成分が再び歯に戻る現象です。再石灰化が促進されると、歯質が強化されて虫歯に対する抵抗力が高まります。

再石灰化を促すためには、フッ化物応用やシーラントなどが有効です。フッ化物は歯の表面に塗布することで、歯質を強くする効果があります。シーラントは歯の溝に樹脂を流し込むことで、プラークや細菌の侵入を防ぐ効果があります。

 

◆自宅での予防とは

歯科での予防とは、歯科医師や歯科衛生士からのアドバイスをもとに自分で行うセルフケアと、歯科医院で行うプロケアの両方を指します。

自宅での予防、自宅でのセルフケアには、以下のような方法があります。

①歯磨き:食後30分以内に行います。歯の表面や、歯と歯茎の隙間を丁寧に磨きます。力を入れすぎないように注意します。舌専用ブラシや口腔洗浄液なども効果的です。

②食事・生活習慣:栄養バランスのよい食事で免疫力を高めます。間食は控えるか、食べた後は水を飲んだりガムを噛んだりして口内を中和させます。喫煙は避けます。

③噛み合わせ:うつぶせ寝や頬杖などのクセは、歯並びを乱す原因になります。夜間の歯ぎしりや日中の食いしばりにも注意しましょう。

 

◆歯科医院での予防とは

歯科医院での予防、歯科医院でのプロケアには、以下のような処置があります。

①検査・診断:レントゲンや唾液検査などで、口内の状態をチェックします。虫歯や歯周病の有無や進行度、口内細菌数などを確認します。

 

②スケーリング:スケーラーという器具を使って、歯石を除去します。歯石は歯周病の原因となるため、定期的に取り除くことが大切です。

 

PMTC:回転式のブラシやラバーカップなどの器具と、フッ化物入り研磨剤や吸着剤を使って、歯の表面を磨き上げます。歯垢や着色汚れを取り除きます。

 

④フッ素塗布:歯の表面に高濃度のフッ素を塗布します。フッ素には、再石灰化の促進・歯質強化・菌の酸生産抑制などの効果があります。

 

⑤シーラント:奥歯の溝や歯の側面・裏面などをフッ素入りのレジンで塞いで、歯垢がたまりにくくします。虫歯予防に有効です。

定期的に検診を受けてプロケアを受けることと、毎日のセルフケアを怠らないことが、歯の健康を保つために重要です。歯科医師や歯科衛生士からのアドバイスを参考にして、自分に合った予防法を見つけましょう。

 

◯予防の重要性

歯科での予防の重要性は、以下のような点にあります。

①歯の健康を維持する

歯は一度失うと二度と元には戻りません。自分の歯を多く残すことで、咀嚼能力や発音能力を保ち、食事や会話を楽しむことができます。予防に定期的に通うことで、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療が可能になり、歯を削る量や抜く本数を減らすことができます。予防では、歯石除去やPMTCなどの処置によって、歯垢や着色汚れを除去し、歯の美しさや清潔さを保つことができます。

 

②全身の健康を維持する

歯や口腔の健康は全身の健康にも影響します。虫歯や歯周病は口腔内だけでなく、心臓病や糖尿病などの全身性疾患の発症や悪化にも関係しています。

歯周病の原因菌は血液に入り込んで動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。また、誤嚥性肺炎や認知症とも関連しています。予防では、口腔内細菌数を減らし、免疫力を高めることで、全身の健康を守ることができます。

 

◯海外の状況

海外では、歯科の予防への意識や実践はどのような状況なのでしょうか。ここでは、日本と比較して予防歯科が先進的とされるアメリカとドイツについて紹介します。

アメリカでは、歯科医院で定期的に検診やクリーニングを受けることが一般的です。ある調査では、直近一年間に歯の健康診断を目的として歯科医を受診した回数を聞いたところ、アメリカでは「2回」と回答した人が最も多く、日本では「直近一年間では受けていない」と回答した人が最も多いという結果でした。

ドイツでは、保険制度があり、保険者は半年毎に無料で検診を受けることができます。検診では、虫歯や歯周病だけでなく、口腔がんや咬合異常などもチェックされます。また、保険者は3年間連続して検診を受けると、治療費用の自己負担率が減額される制度があります。このように、ドイツでは予防歯科が国策として推進されています。

海外の状況をお話しました。日本でも予防歯科への関心は高まってきていますが、改善の余地があると言えるでしょう。自分の歯を大切にするためにも、定期的に検診を受けてプロケアを受けることと、毎日のセルフケアを怠らないことが重要です。

 

◯予防のメリット

予防歯科の経済的なメリットは、以下のような点にあります。

 

①治療費や時間の節約

予防歯科に定期的に通うことで、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療が可能になり、歯を削る量や抜く本数を減らすことができます。

虫歯や歯周病は放置すると重篤化し、治療費や時間がかかります。また、入れ歯やインプラントなどの補綴物も高額です。

予防歯科では、定期的な検診や処置によって、虫歯や歯周病の発生・進行を抑えることができます。これにより、治療費や時間の節約になります。

 

②全身性疾患の予防

歯や口腔の健康は全身の健康にも影響します。虫歯や歯周病は口腔内だけでなく、心臓病や糖尿病などの全身性疾患の発症や悪化にも関係しています。歯周病菌は血液に入り込んで動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。また、誤嚥性肺炎や認知症とも関連しています。予防歯科では、口腔内細菌数を減らし、免疫力を高めることで、全身の健康を守ることができます。これにより、将来的な医療費の負担も軽減することができます。

 

③生活の質の向上

歯は一度失うと二度と元には戻りません。自分の歯を多く残すことで、咀嚼能力や発音能力を保ち、食事や会話を楽しむことができます。歯が健康であれば、自信を持って笑顔になることができます。また、口臭や口内感染も防ぐことができます。歯石除去やPMTCによって、歯垢や着色汚れを除去し、歯の美しさや清潔さを保つことができます。

 

◯予防のデメリット

しかし、歯科での予防にはデメリットもあります。

費用や時間がかかる事です。歯科での予防には定期的に歯科医院に通う必要があります。

検診や処置には費用が発生するため、経済的な負担になる可能性があります。

また、歯科医院に通うためには時間や交通費もかかります。

仕事や家事などで忙しい方にとっては、通院することが難しい場合もあるでしょう。

 

◯まとめ

定期的に検診を受けてプロケアを受けることと、毎日のセルフケアを怠らないことが、生涯にわたる歯の健康を保つために重要です。快適な毎日を送れるよう今回書かせて頂きました。

 

抜歯シリーズ第3弾~みんなのお悩み、下の親知らず~

2024年3月19日

前回、前々回に引き続き抜歯シリーズとして、難しい抜歯について解説しました。

さて、今回は、抜歯シリーズ第3弾。

 

若い人を中心に、近年の日本人に多い、下顎の親知らずについてお話していきたいと思います。

第2弾でも書きましたが、親知らずの悩みを抱えている方は非常に多くいます。

 

特に、下の親知らずは、近年の日本人は顎の大きさが小さくなってきているため、

真っすぐ生えてくることが少なくなってきました。

 

横から生えてくる親知らずは、様々な悪影響を及ぼします。

 

しかし、皆さんがイメージするように厄介な処置になることが多いです。

これを読んで、少しでもそんな不安が解消できればいいなと思います。

少し怖いこともお話しますが、ご勘弁ください。。。

 

目次

① 下顎の親知らずの抜歯事情

  ◆清掃困難になっている場合

  ◆痛みや腫れを繰り返している

  ◆ 手前の歯に悪影響を与えている場合

  ◆矯正治療上必要な場合

 

②横から生えた親知らずを放置しておくと?

  ◆腫れや痛みを繰り返す

  ◆ 手前の歯をダメにする

  ◆顎の骨の炎症が生じる

 

③親知らずを抜く方法は?

  ◆局所麻酔

  ◆歯茎の切開

  ◆歯の頭の周りの骨の削合

  ◆歯の頭を分割

  ◆根っこの摘出

  ◆縫合

 

④すぐに歯科医院に連絡したほうがいい偶発症

  ◆血が止まらない

  ◆抜歯後3時間程度経過しても、顎や舌がしびれている

  ◆高熱や飲み込んだ時の痛みがある

 

⑤まとめ

 

①下顎の親知らずの抜歯事情

第2弾でも解説しましたが、親知らずは約18歳ごろに生えてくる歯です。上下左右に合計4本あり、歯列の最も後方に生えてくる特徴があります。近年、日本人は様々な原因のため、顎の大きさが小さくなってきているとされています。それに伴い、最後に生えてくる親知らずに必要なスペースが足りず、まっすぐ生えてこないという方が多くなっているのが現状です。それでは、すべての親知らずを抜歯しないといけないのでしょうか?いいえ。そんなことはありません。具体的に見てみましょう。

 

◆清掃困難になっている場合

まずは、自分でのお掃除が難しくなっている時です。親知らずが横から生えていると歯と歯の間が他の部分と異なります。このため、ものが詰まりやすかったり、糸ようじを使ってもなかなか汚れが取れなかったりします。汚れがたまり続けるとどうなるか分かりますよね?このような時には抜いてあげた方が良いかもしれません。

 

 

◆痛みや腫れを繰り返している

次に、横から生えている親知らずの周りの歯茎が腫れたり、痛くなったりすることを繰り返している場合です。これは、⑴と関連します。汚れが長時間ついたままだと、炎症反応が生じます。このような不快な現象を起こしている場合、原因除去をするために抜いてあげた方がいい場合があります。

 

◆手前の歯に悪影響を与えている場合

手前の歯(12歳臼歯)に悪影響を及ぼすことも少なくありません。具体的には、根っこの部分が虫歯になったり、最悪根っこを溶かしたりすることもあります。悪くなった歯の治療をすることはもちろんですが、原因となっている親知らずを取り除いてあげないと同じことを繰り返すことになるかもしれません。

 

◆矯正治療上必要な場合

矯正治療で歯を動かすために親知らずがあると動かしにくくなります。このため、矯正治療を行う場合、親知らずの抜歯を行うことを必須にしている先生もいらっしゃいます。

 

この4つの場合に下の親知らずの抜歯が必要になることがあります。すべての親知らずについて抜歯をしなければならないというわけではありません。自分の親知らずが気になる方は是非一度歯医者さんにご相談ください。

 

②横から生えた親知らずを放置しておくと?

さて、親知らずを抜きたくないと考える方もいらっしゃると思います。もちろんその選択も悪いわけではありません。いろいろと考えてご自身が抜かないという選択をしたのならば、それが患者さんにとってはベストな選択です。したがって、それを否定することはできません。ただし、横に生えている親知らずを放置していると恐ろしいことも起こりえます。ここではどんなことが起こるのかを解説します。

 

◆腫れや痛みを繰り返す

溜まった汚れからばい菌感染を起こしてしまい、そのたびに痛みや歯茎の腫れを繰り返すことになります。これらの感染が歯の周囲だけにとどまっていればいいのですが、最悪、頬っぺたや、顎の下に膿の塊を作ってしまい、出口を求めて皮膚を突き破ったり、喉の周囲まで溜まってしまい、気道が圧迫され窒息してしまうこともあります。これは大げさに解説しているわけではなく、全国の口腔外科病院では比較的よくみられることです。

 

 

◆手前の歯をダメにする

手前の歯(12歳臼歯)が虫歯になったり、根っこが溶けたりする原因になります。こうなると当然治療をしなければなりません。虫歯の治療をすると、詰め物の周りから虫歯が広がりやすくなります。また、神経を取ってしまうと、歯の寿命が短くなってしまいます。根っこが吸収してしまったら、最悪その歯を抜かなければなりません。

 

◆顎の骨の炎症が生じる

歯は顎の骨の中に埋まっています。細菌感染が歯茎を超えて顎の骨にまで及んだ状態を骨炎(こつえん)または骨髄炎(骨髄炎)といいます。この状態は非常に難治性です。顎の骨を腐らせてしまうこともあります。感染の範囲によっては顎の骨を切り取らないといけない場合もあるので注意が必要です。

 

このように、たかが親知らずと思っていても、侮るなかれ。親知らずが原因で生じる病気は厄介なものが多く、大掛かりな手術が必要になったり、入院が必要になることも少なくありません。そんなリスクを持っているのが、横から生えてきている親知らずです。

 

③親知らずを抜く方法は?

それでは具体的に親知らずを抜く方法を解説します。皆さんのイメージする治療通り、親知らずの抜歯は患者さんへのダメージが大きくなる傾向にあります。どんな手順で行われるか見ていきましょう。ここでは、横から生えている親知らずの一般的な抜歯方法を解説します。

 

◆局所麻酔

まずは、局所麻酔です。歯医者さんによって麻酔方法は異なりますが、歯の周りにのみ麻酔をすることが多いです。そのほかに、伝達麻酔といって顎半分が麻酔される方法をとる先生もいます。どちらも適切な麻酔方法ですので、そこはご安心ください。

 

◆歯茎の切開

麻酔が効いているのを確認したら、次は歯茎の切開です。歯を完全に見えるようにするために歯茎を切る必要があります。麻酔がしっかりと効いているので痛みは感じません。

 

◆歯の頭の周りの骨の削合

歯茎を切ってめくりあげると、歯の頭は骨の中に埋まっているのが見て取れます。骨の中に完全に埋まっている状態では当然取れません。ですので、歯の周りの骨を削り、歯を視認できる状態にする必要があります。ここでも、麻酔がしっかり効いているので痛みはほとんどありません。

 

◆歯の頭を分割

横から生えている親知らずでは、歯を2つ以上のパーツに分けて取り除くのが一般的な方法です。このため、歯を根っこと頭とに分ける必要があります。歯を削る機械を使って分割していきますが、神経の近くを削るので、痛みが出る方もいます。そんなときは遠慮なく、訴えるようにしましょう。きっと麻酔を追加してくれます。

 

<h3>根っこの摘出</h3>

さて、歯の頭を割って取れたら、残った根っこを取り出すのみ。ここまでくれば、ほぼ終了しているようなものですが、根っこの状態によってはさらにパーツを分ける必要があることもあります。

 

縫合

全てを取り切ったら最後は傷口を縫い合わせておしまいです。

 

このように、横から生えている親知らずを抜くには一筋縄ではいきません。歯の生え方や歯の大きさ・形は人によって異なるため、厄介な処置になりがちです。少し怖いイメージを持ったかもしれませんが、麻酔がしっかり効いている状態で行えば、痛みを感じることはほとんどありませんのでご安心下さい。

 

④すぐに歯科医院に連絡したほうがいい偶発症

さて親知らずの抜歯後すぐに歯医者さんに連絡したほうがいい偶発症もあります。ここでは、家に帰った後、どんな時に病院に連絡をいれたり、受診した方がよいかの目安となる症状をご紹介します。

 

◆血が止まらない

親知らずの抜歯は切開や骨を削ります。これにより、出血が生じます。通常は止血を確認したのち、帰宅になりますが、家に帰っても沸くような出血がある場合にはすぐに連絡をしましょう。

 

◆抜歯後3時間程度経過しても、顎や舌がしびれている

親知らずの周りには大きな神経が2本通っています。下唇の周りの感覚を伝える神経と舌の感覚を伝える神経です。歯を抜く時にこれらの神経を傷つけてしまうこともあります。通常麻酔薬は2~3時間程度で切れてきますので、それ以上経過しても下唇の周りや舌がしびれている場合にもすぐに連絡しましょう。

 

◆高熱や飲み込んだ時の痛みがある

抜歯後は炎症反応が生じるものです。しかし、その炎症がより広範囲に生じることもあります。そのような場合、39℃程度の高熱や、飲み込んだ時の痛みが生じることが特徴です。これらの症状があれば、早急に対応しなければなりませんので、すぐに連絡しましょう。

 

ここでは3つほど紹介しましたが、その他にも注意が必要な偶発症があります。歯を抜く前に歯医者さんで説明をしっかりと受けるようにしましょう。

 

⑤まとめ

今回は下の親知らずの怖いお話をしました。親知らずの抜歯では大学病院などの専門機関を紹介されることも少なくありません。より安全に抜歯をするためにも必要なことです。自分の親知らずがどうか気になる人は、是非一度ご相談ください。

 

抜歯シリーズ第2弾~上の親知らず~

2024年3月15日

抜歯をメインテーマに扱っています。

上下親知らずの親知らずも今後書く予定です。

 

全3部作の第2部です。

上顎親知らずを抜くときの方法や注意点をまとめています。

ネットの強い若い人たちの一番の悩みの親知らずについてです。

 

 

さて、前回、抜歯シリーズの第1弾として、難しい抜歯について解説しました。

今回は、その第2弾です。

 

特に若い女性のみなさんの悩みの種の「親知らず」に焦点をあてて、解説したいと思います。

 

親知らずも上下あり、それぞれ、特徴が異なるので、

今回は上の親知らずにフォーカスしていきたいと思います。

 

これを読んで、皆さんの不安の解消や、歯医者さんに受診するきっかけにしてほしいと思います。

ちなみに、下の親知らずについては次回の第3弾で詳しくお話します。

 

目次

①みんなは生えている?~親知らず~

 ◆親知らずって?
 ◆どんな歯を抜かないといけない?

 

親知らずの抜歯方法

 ◆見えている親知らず

 ◆骨の中に埋まっている親知らず

 

③上の親知らずの抜歯後の注意点

 ◆上顎洞への穿孔(せんこう)

 ◆鼻出血

 

④まとめ

 

◯みんなは生えている?~親知らず~

皆さんの中には、親知らずが生えている人も、生えていない人もいると思います。ではまずは、親知らずって何なのかから理解していきましょう。そして、皆さんが忌み嫌う親知らずですが、実は、すべての親知らずを抜かないといけないわけではありません。ではどのような場合に抜いてしまった方がいいのでしょうか。

 

 

◆親知らずって?

「親知らず」とは第3大臼歯のことを指します。大臼歯で最もイメージしやすいのは「6歳臼歯」や「12歳臼歯」だと思います。この12歳臼歯のさらに奥にある歯が「親知らず」です。親知らずは「智歯」と呼ばれることがあります。智歯は通常、18歳ごろに生えてくる歯で、高校生くらいから、気になる方も多いのではないでしょうか。

「親知らず」は本来、他の歯と同じようにまっすぐ素直に生えてくるものです。しかし、近年の日本人の顎の骨が小さくなっているなどの影響で、まっすぐ生えてこない場合もあり、様々な悪影響を及ぼすこともあります。

 

◆どんな歯を抜かないといけない?

 「親知らず」と聞くと、「抜かないといけない」というイメージが強くあると思いますが、実際はそうではありません。まっすぐ生え、しっかりと機能している親知らずは本来は抜くべきではありません。では、どのような親知らずを抜くべきなのでしょうか。一言でいうとそれは「他の歯や骨に悪影響を及ぼす可能性のある歯」です。これ以外に矯正治療のために必要な場合もあります。具体的には、斜めや横を向いており、前の歯を押している場合や、痛みや腫れたことがあるもの、家でのケアがしにくい場合などです。

実際の歯医者さんでは、皆さんのお話を聞き、レントゲンやお口の中の診察を十分に行ったうえで、歯科医師が判断します。

このように、親知らずは抜かなくてもいい場合もあるので、まずは、歯医者さんに気軽に相談してみるといいかもしれません。

 

 

◯親知らずの抜歯方法

さて、親知らずを抜くことになった場合、どのような方法で歯を抜くことになるのでしょう。それは、歯が見えているかどうかで異なります。歯が少ししか見えておらず、大半が骨の中に入っている場合、簡単に歯を抜くことはできなくなってしまいます。それでは具体的に解説していきましょう。

 

◆見えている親知らず

歯が見えている場合、皆さんがイメージするような親知らずの抜歯になることは少ないです。慣れている歯医者さんであれば、非常に簡単に抜くことが多いです。時間にすると大体10分ほどでしょうか。

歯に力を加える器具を使って簡単に取り出すことができます。なので、上の親知らずの歯の頭が見えている場合は、比較的容易ですので、ご安心ください。

 

骨の中に埋まっている親知らず

さて、問題はこちらです。骨の中に埋まっている場合はどうでしょう。抜歯の基本として「歯の頭が見えていること」です。なので、歯が見える状態にする必要があります。つまり、歯茎を切って、骨を削り歯の頭が見えるようにする必要があります。一般的な親知らずの抜歯のイメージに近くなりますね。皆さんが怖くなるのも無理ありませんね。ですが安心してください。歯の頭が見えれば、比較的容易に歯を抜くことができるのが、上の親知らずの特徴です。また、麻酔をしっかりと効かせながら行うので、痛いということはほとんどありません。

 

親知らずの抜歯は簡単なものから難しいものまで、バリエーションが豊富です。世間では、怖いイメージが先行していますが、すべてがそうなるわけではありません。自分の親知らずを抜く必要があるのか、どれくらいの難易度になるのかをまずは信頼できる歯医者さんに相談してみましょう。

 

◯上の親知らずの抜歯後の注意点

上の親知らずを抜いた後にも注意するべきことがあります。抜歯後の腫れや痛みなどの一般的な注意点もありますが、ここでは、上の親知らずに特徴的な注意点について解説します。

 

◆上顎洞への穿孔(せんこう)

一つ目が上顎洞への穿孔です。すべての人は上顎洞という副鼻腔を持っています。上の大臼歯などの奥歯は人の構造上、根っこの先端がこの上顎洞と近い関係があり、中には、根っこの先端がこの上顎洞に貫通している場合もあります。このため、抜歯した拍子に、上顎洞に小さな穴があいてしまうことがあります。これが上顎洞への穿孔です。これを放置してしまうと、お水を飲んだ時に鼻からこぼれるということが起こります。ですがご安心ください。もしその兆候が確認された場合、処置を追加して穴をふさぐこともできます。

 

◆鼻出血

これは⑴の理由と似ています。先ほど述べた上顎洞は最終的に鼻腔と交通しています。歯を抜くと少なからず出血するものです。この出血が原因で、上顎洞に血がたまり、鼻をかんだ時に血がにじむということが起こりえます。これも安心してください。出血といっても、大量出血するほどのものではありませんし、基本的に数時間程度で止血されるものです。

 

このように、一般的に気を付けるべきこと以外に、上の親知らずを抜いた場合に特有の注意点があります。これらが生じても基本的には対処することは可能なので、ご安心ください。

 

◯まとめ

さて、今回は上の親知らずの抜歯について詳しく見ていきました。親知らずの抜歯と言えば、怖いイメージがありますが、すべてがそうなるわけではありません。また、すべての親知らずを抜かないといけないというわけでもありません。自分の親知らずがどうなのかはお近くの歯医者さんに相談してみましょう。

あなたのその歯、難しい抜歯になるかも?

2024年2月29日

歯医者さんが嫌われる理由は、怖いとか痛いといった理由がほとんどなのではないでしょうか。

そして、患者さんに最もストレスを与える治療が「抜歯」です。

 

皆さんの中には、この抜歯に苦い思い出を抱いている人も多いのではないでしょうか。

 

時間がかかった、痛い思いをしたなど、苦痛を強いる処置である抜歯ですが、皆さんの健康を守るためには必要な処置です。

 

今回は、抜歯の中でも簡単にはいかない「難抜歯」について解説します。

少し怖い内容になりますが、これを読んで、「こうならないように気をつけよう」という気持ちが少しでも高まってもらえれば幸いです。

なお、今回は、親知らずの抜歯以外の抜歯を解説します。親知らずの抜歯は続編を出しますので、心穏やかに待っていてください。

 

目次

① 筋縄ではいかない抜歯とは?

 ◆難抜歯とは?

 ◆どんな歯が対象になるの?

 

② 難抜歯の方法

 ◆歯肉切開・剥離

 ◆骨の削合

 ◆歯根分割

 

③偶発症

 ◆炎症反応

 ◆神経障害

 ◆ 抜歯窩治癒不全(ドライソケット)

 ◆出血斑

 

④まとめ

 

 

一筋縄ではいかない抜歯とは?

抜歯には、大きく分けて3つの種類があります。一つ目が「普通抜歯」です。普通抜歯とは、文字通り、抜歯をするための道具を用いて単純に歯を抜くことです。2つ目が「難抜歯」です。詳細については後述します。最後が「埋伏抜歯」です。これは親知らずの抜歯をイメージしてもらえればいいかなと思います。この親知らずの抜歯についても次回以降で詳しくお話ししますのでお楽しみにしていてください!!

 

◆難抜歯とは

さて、今回は「難抜歯」についてのお話しです。ここでいう難抜歯とは、普通抜歯に加えて、一手間加える必要のある抜歯を指します。抜歯の一手間とは、歯肉を切開したり、骨を削ったりする処置を指します。抜歯を行う歯に何らかの原因があり、単純に抜くことができない場合に何らかの処置を追加して、歯を取り出すことこそが「難抜歯」です。

 

◆どんな歯が対象になるの?

では、どのような歯が難抜歯の対象になるのでしょうか。基本的に原因は、抜かないといけない歯に問題があるからです。具体的には次の5つが代表的です。

⑴    歯が根っこだけになっている

虫歯などが原因で歯が根っこだけになっている状態を「残根(ざんこん)」と言います。残根の場合、歯が歯茎の中に入っている状態が多く、器具を入れる場所がありません。

⑵    根っこだけになった歯が骨の下に入っている

根っこだけの歯は、骨の下に入り込んでいる場合も少なくありません。このような場合にも、器具を挿入する場所を作る必要があります。

⑶    歯の根っこが複数あり、開いている

根っこが複数あったり、開きが大きかったりする場合、簡単に抜くことはできません。土に埋めた杭を2本一気に抜くことが難しいように、歯を抜く場合も、2つを一挙に抜くことはとても難しいです。

⑷    根っこの先端が大きくなっている

根っこの先端が大きくなっていることを「根肥大(こんひだい)」と言います。根肥大では、出口が小さいため、簡単に抜歯することができません。

⑸    根っこと骨が一体化している

長年炎症を繰り返している歯は時に、骨と一体化していることがあります。このような場合にも、難しい抜歯になると簡単にイメージできると思います。

 

このように、多くの場合歯が原因で、単純に器具のみで抜歯することが難しく、それ以外に一手間を加えて、抜歯しやすくすることがあります。

 

 

難抜歯の方法

それでは具体的にどのような処置を追加する必要があるのでしょうか。具体的な方法を3つ解説します。実際は、これらを組み合わせて、難抜歯を行うことがほとんどです。これらは、歯の状態によって使い分けられますが、多くの場合、複数の原因があるからです。

 

◆歯肉切開・剥離

一つ目が歯肉の切開と剥離(はくり)です。つまり、歯茎を切って、めくり上げることです。歯茎に覆われている時に用いられます。これによって、視野を確保することができます。

 

◆骨の削合

二つ目が骨を削る行為です。①と併せて用いられることがほとんどです。これは、骨の下に歯が残っている時に用いられます。骨を削り、残った歯を直視することができるようになります。また、骨と歯が癒着している場合、骨を削ることで、器具が入るスペースを作ることもできます。

 

◆歯根分割

最後が歯根を二つ以上に分ける歯根分割です。根っこが複数あったり、開き方が大きかったりする場合に用います。これを適切に行うことで、簡単に歯を抜くことができます。

 

偶発症

全ての医療には偶発症が生じます。偶発症とは、患者さんにとっての不利益の全てを指します。ここでは、難抜歯時にどのような偶発症が生じるのかを解説したいと思います。特に注意すべきものを4つ紹介したいと思います。また、中にはすぐに歯医者さんに連絡を入れるべきものもあるので、注意してください。

 

◆いわゆる炎症反応

最初は炎症反応です。具体的には、痛い、腫れた、赤くなったなどです。難抜歯では、切開や、骨を削る必要があります。このため、通常の普通抜歯よりも患者さんへのダメージが大きく、この炎症反応が強く出る傾向にあります。基本的には抜歯後2日をピークに良くなっていくものなので、歯医者さんからもらったお薬を飲んで様子を見ましょう。ただし、呼吸が苦しくなった、飲み込む時の喉の痛みや口が全く開かなくなったなどの症状がある場合はすぐにご連絡ください。

 

◆神経障害

骨の中には顔の皮膚の感覚を伝える神経が走っています。骨を削ったり、切開をしたりしたときに、これらの神経が傷ついてしまうと、感覚の異常が生じます。なので、抜歯後2、3時間経っても痺れが取れない場合には、歯医者さんにご連絡ください。

 

抜歯窩治癒不全(ドライソケット)

原因は詳しくわかっていませんが、抜歯後の治りが悪く、強い痛みを生じる方もいらっしゃいます。1週間経っても、強い痛みが続く場合は治癒不全を疑うので歯医者さんに連絡しましょう。

 

◆出血斑

血液サラサラのお薬を飲んでいる方によく見られます。青あざのようなものが生じます。基本的には吸収されるので、様子を見ておけば大丈夫です。

 

他にも、出血などもありますが、基本的には様子を見ておけば大丈夫な場合が多いのでここでは述べません。歯を抜いた後に歯医者さんで注意事項を聞かされると思いますが、それを守るようにしましょう。

 

まとめ

今回は、「難抜歯」についてお話ししました。大体のイメージを掴んでもらえればいいかなと思います。最も大切なことは、歯を抜かないような環境を整えるということです。日々のブラッシングや、定期的な受診で皆さんの歯を自分で守っていきましょう。

不幸にも、歯を抜くことになってしまった人は、前日、当日の注意点をしっかりと守り、何か気になることがあれば、歯医者さんに連絡することも大切です。何でも相談できる歯医者さんを持っておきましょう!

 

現代人に歯列不正が多いのはなぜ??

2024年2月28日

歯並びが悪い、というと、真っ先に思い浮かべるのが、歯がガタガタに並んでいる状態ではないでしょうか。

この、歯並びがガタガタになってしまう歯列不正のことを叢生(そうせい)といいます。

現代の日本人には、この叢生(そうせい)という歯列不正が増加してきているのです。

 

今回は、この歯がガタガタに並んでしまう歯列不正が現代人に多い理由について、お話していきましょう。

 

目次

1. 歯並びがガタガタになってしまう原因

2. なぜ、現代人は顎が小さくなってしまったのか

3. 顎が小さくなることのデメリットとは

4. 下顎の成長を促すには

5. まとめ

 

1. 歯並びがガタガタになってしまう原因

歯並びがガタガタになってしまう原因は、大きく分けて2つ考えられます。

1つは、顎の大きさに対して、歯の大きさが大きいこと。

 

もう1つは、歯の大きさに対して、顎の大きさが小さいことです。

40年前のデータと比較すると、歯1本1本のサイズは少し大きくなっています。

 

それに対して、顎の大きさは、前後的な奥行きは大きくなっているものの、歯列の幅は大きくなっていません。

 

つまり、ほっそりとした、顎が細い顔貌が増えて、顎の幅がしっかりとした、いわゆるえらが張っているような顔貌が減少していることになります。

そして、この顎が細い顔貌の原因ともいえる、歯列の幅が大きくならずに前後的なアーチが長い骨格によって、出っ歯や、歯並びがガタガタになりやすくなっているのです。

 

2. なぜ、顎が小さくなってしまったのか

では、なぜ現代人の顎は細長く、小さくなってしまったのでしょうか。

 

それは、現代人の食生活にあると考えられています。

歯の大きさや本数は、環境要因にはあまり左右されず、遺伝的なものによって決定されやすいと言われています。

 

それに対して、顎の大きさは、遺伝的なものに加えて、周囲の筋肉から受ける刺激に影響を受けて、成長度合いが決定すると言われています。

江戸時代以前は、日本人は日常的に固いものを食べていました。

 

そのため、顎の筋肉が発達し、それによって顎の骨の幅や厚みが増加し、いわゆるエラが張った顔貌になりやすかったのです。

しかし、江戸時代以降の日本人は、固いものをあまり食べなくなってきました。

 

それによって、顎骨に加わる筋肉からの刺激も少なくなり、その結果として、顎骨の横幅の成長が促進されずに、全体的にほっそりとした顔貌となってきているのです。

 

3. 顎が小さくなることのデメリットとは

「小顔のほうが良い!」

 

そう思っていませんか?

 

しかし、筋肉量による影響を受けるのは、下の顎だけで、固いものを咬まないからと言って、顔全体が小さくなるわけではありません。

下の顎の幅が小さくなることは、むしろデメリットのほうが大きいのです。

 

小さな鉛筆立てに、沢山の鉛筆を入れるところを想像してみましょう。

きれいに納まりきらずに、グチャグチャな方向にはみ出るようになってしまいますね。

 

お口の中も同じです。

小さな顎には、全ての歯がきれいに並ぶことができません。

 

あとから生えてくる歯は、空いているスペースに周囲の歯を押しのけて無理やり生えてくるので、ねじれてしまったり、出っ歯になったり、頬側や舌側にはみ出した形で並んでしまうのです。

ガタガタに生えてしまうと、上下でしっかり咬みあわなくなります。

 

食べ物を咬むことができる面積が、少なくなってしまいますね。

また、歯並びがガタガタになればなるほど、歯磨きが難しくなります。

 

それによって、虫歯のリスクが上がるだけでなく、歯周病のリスクも高くなるのです。

また、前歯の角度やねじれ具合によってすき間が出来てしまうと、そこから息が漏れてしまい、発音にも悪影響を及ぼす恐れもあるのです。

 

4. 下顎の成長を促すには

下顎の成長を促すためには、子供の頃からしっかりと噛んで食べる習慣をつけることが大切です。

極端に固いものを食べる必要はありません。

 

普段の食事を、よく咬んで食べるようにしましょう。

 

根菜類など、噛み応えのあるものをメニューに加えるのも効果的ですね。

よく咬んで食べることによって、素材本来の味を感じやすくなるので、薄味でも充分に満足できるようになるというメリットもあります。

 

5. まとめ

歯並びがガタガタになってしまう原因とは、顎の大きさと歯の大きさとの不調和によります。

 

特に、現代人は固いものを食べる習慣に乏しいため、顎骨が発達しにくく、顎が小さい傾向にあります。

下顎の成長を促すためには、子供の頃からしっかりと噛んで食べる習慣をつけることが大切です。

 

しかし、それでも遺伝的要因が強く出ることなどによって、歯並びが悪くなってしまうこともあります。

歯並びは、見た目の問題に加えて、食べ物を噛む力が弱くなってしまったり、発音に影響が出たり、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまったりと、様々なデメリットを生み出します。

 

歯並びで気になることがございましたら、お気軽に当院にご相談ください。

 

入れ歯とは?(後編)

2024年2月22日

みなさんは入れ歯と聞いて、何を思い浮かべますでしょうか?

 

実は知ってそうで知らない「入れ歯」!

前編では、そもそも入れ歯とは何か?やどんな種類があるのかをご紹介しました!

 

(まだ見ていない方は▶︎こちらから)

 

後半では、そもそも入れ歯は何からできているのかや特殊な入れ歯などについてご紹介します!!

ぜひ、参考にしてみて下さいね!!

 

 

目次(後編)

3.入れ歯は何から出来ている?

 ◆「床」とは?

 ◆「人工歯」とは?

 ◆「クラスプ、バー」とは?

4.特殊な義歯

 ◆顎義歯・顎補綴(がくぎし・がくほてつ)

 ◆舌接触補助床(ぜつせっしょくほじょしょう)・PAP

 ◆スピーチエイド・パラタルリフト

5.まとめ

 

「入れ歯」は何から出来ている?

ここまで種類やメリットデメリットをご説明させていただきましたが

次に、そもそも入れ歯は何からできているかご紹介します!

 

入れ歯は床(しょう)と言われるものと人工歯(じんこうし)からなります。

局部義歯では更にクラスプと呼ばれる金具やバーと呼ばれる連結装置などが付属します。

 

◆「床」とは?

床とは義歯の土台となる部分です。入れ歯と言えばピンクのものを思い浮かべると思いますが、そのピンクの部分を床と言います。

なるべく自分の歯茎の色と違和感のない色で仕上げます。高齢の方や男性の方は少し暗めの色、女性や若い方の場合には繊維質の入った明るい色、というような感じです。

 

◆「人工歯」とは?

人工歯とは、その名のとおり人工の歯です。ピンクの床の上に人工歯を並べることで義歯で噛めるようになります。

人工歯と言っても種類がたくさんあり、患者さん個人個人の噛み合わせや噛み癖、顔の形や性別といった条件に合う人工歯を選択し、並べていきます。

材質も様々で、レジン歯と呼ばれる樹脂の材料を用いたものや、陶歯というセラミックのもの、金属からできたものまであります。

 

◆「クラスプ、バー」とは?

クラスプとは部分入れ歯にのみ付属するもので、入れ歯を固定するための「ツメ」のようなものです。バーは上あごや、下あごの離れた部分に入れ歯がまたがるような歯の欠損がある場合、橋渡しをする役目です。

クラスプやバーは保険診療か自由診療かによって形状が変わるとともに、残っている歯に可能な限り余計な負担をかけず、なおかつ、しっかり入れ歯が維持できるように歯科医師が設計します。

クラスプの種類によっては、一部歯を削る必要がある場合もあります。

 

特殊な義歯

ここまでは通常の義歯の種類やメリット・デメリットを紹介しました。

最後に、特殊な義歯についてご説明します。

 

特殊な義歯というのは、殆ど目にしたことがないと思います。

しかし、口腔癌などで通常の義歯を装着できなくなった患者さんは、そのような患者さん用の義歯があるのです。

 

◆顎義歯・顎補綴(がくぎし・がくほてつ)

歯肉にできる癌や咽頭の近くにできた癌を治療すると、上あごの骨や下あごの骨を切除するため、大きな穴が開き鼻と口がつながってしまうことや、あごの骨がえぐれてなくなってしまうことがあります。

そういった場合に、顎義歯とよばれる特殊な義歯で穴を塞ぎ、通常通りの食事を摂れるようにします。多くの場合は大学病院で製作しますが、一般の歯科医院でも製作出来る場合もありますので、かかりつけ歯科医院で相談してみましょう。

 

◆舌接触補助床(ぜつせっしょくほじょしょう)・PAP

舌接触補助床とは舌癌で舌の切除により動きが悪くなり、呑み込みがうまく出来ない、発音が出来ず、相手に言葉が伝わらないという方に装着する義歯です。

顎義歯と同じく、大学病院で製作されることが多い義歯ですが、一般歯科医院でも製作できることもあります。

 

◆スピーチエイド・パラタルリフト

これは主に唇顎口蓋裂の後遺症である、構音障害(こうおんしょうがい)に対して用いられる義歯です。唇顎口蓋裂のかたは咽頭(いんとう)の筋肉が動かず、うまく発音できないことがあります。その咽頭の筋肉の動きを補うための義歯です。一般歯科医院でも製作できる場合があります。

 

まとめ

知っているようで知らない入れ歯の世界…

いかがでしたでしょうか?

入れ歯は全てオーダーメイドです。

一人ひとり違う口の中、同じ入れ歯は世界に一つとしてありません。

24時間365日共に過ごす(かもしれない)入れ歯、やはり自分に合ったもの、ストレスなく使用できるものが良いですよね。

最後になりますが、入れ歯は生活するための「道具」です。

道具には定期的なメンテナンスが必要です。

かならず、自分の歯と同じく、かかりつけ歯科医院で定期的なメンテナンスを受けましょう。

入れ歯とは?(前編)

2024年2月18日

みなさんは入れ歯と聞いて、何を思い浮かべますでしょうか?

 

入れ歯と言えばおじいちゃん、おばあちゃんが付けてたような…

でも、ちゃんと見たことがない。

パカパカ外れちゃうのが入れ歯だよね?

口から飛び出してくるやつ…

 

そう、実は知っているようで知らないのが入れ歯なのです!

 

 

今回は、実際に使ってる人も、そうでない人も、これから入れ歯を考えている人にも

みんなにわかりやすく「入れ歯」について大解説します!

 

ぜひ、参考にしてみて下さいね!!

(長くなりましたので、前後半に分かれています!)

 

 

目次(前編)

1.入れ歯とは

 ◆保険診療の義歯

 ◆自由診療の義歯

2.入れ歯の種類、メリット・デメリット

 

「入れ歯」とは

皆さんが入れ歯と呼んでいるモノ、専門用語では「義歯(ぎし)」と呼びます。

義足や義眼、義手と同様に、失った歯の代わりを務めるものが「義歯」です。

 

また、部分入れ歯や総入れ歯と言われるものは、残っている歯があるかどうかで分別しています。

 

1本も歯が残っていない場合の義歯は「総義歯」や「フルデンチャー」、「全部床義歯」「コンプリートデンチャー」などと呼ばれます。

歯が1本でも残っている場合の義歯では「局部義歯」や「パーシャルデンチャー」、「局部床義歯」と呼ばれます。

 

「入れ歯」の種類

ここでは、「総義歯」「局部義歯」といった種類ではなく、保険診療や自由診療でどのような種類のものがあるか?ということについて説明したいと思います。

 

◆保険診療の義歯

保険診療の義歯は「レジン床義歯」と呼ばれる義歯のみとなります。

レジンとは、簡単に説明すると熱を加えて成型されるピンク色の樹脂を指します。

近年、ジェルネイルなどで多用されるレジンですが、そのレジンとは物性が少し違うもので、長時間熱を加えることで硬くなる性質を持っています。

硬めのプラスチックのような素材を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。

噛む力に耐えられるような強度を補填するためには厚みを確保しなければならないため、装着時の違和感や異物感が気になるかもしれません。

また、プラスチックのため味覚や温度を感じづらいというデメリットがあります。

局部義歯の場合には、保険診療でのクラスプは金属のみが使用できます。人工歯はレジン歯や硬質レジン歯と呼ばれるものを使用することが多いです。

審美性(見た目の美しさ)を重要視したものや、装着感を重視した義歯を保険診療内で製作することはむずかしく、保険診療の義歯の最大のデメリットと言えるでしょう。

ただし、保険診療の義歯は修理が容易であり、また、費用も安価であることがメリットとして挙げられます。

義歯を使用するのが初めて、という方や、まだまだ他に治療する必要のある歯が残っている、などの場合には保険の義歯をお勧めします。

 

◆自由診療の義歯

自由診療の義歯は、保険診療の義歯と比較して、強度や審美性はもちろんのこと装着感などが改善されます。

自由診療の義歯と一言で表しても、様々な種類・個性的な名前がつけられたものが多くありますので、代表的な義歯について説明します。

 

 

▶︎金属床義歯

自由診療の義歯と言えばこれ!というくらい昔から作られてきた義歯です。

金属床義歯のメリットはなんといっても薄く出来ることです。

特に総義歯の方の場合、上あごを大きく覆う必要があるため、保険診療の義歯だと違和感を訴える方がとても多いです。

そのような違和感を改善するのがこの金属床です。

上あごや下あごの裏側を薄い金属で覆うことによって、違和感の軽減とともに金属ならではの熱伝導性を利用し、温度などを感じやすくすることによって食事を美味しく摂ることができます。

金属の種類は強度と製作方法を考慮して、コバルトクロム合金が用いられることが多いですが、金やチタン、金属とは少し材質はちがいますがジルコニア等を用いることもあります。使用する金属については、かかりつけの歯科医院で相談してみましょう。

金属床のデメリットですが、とても精密に作られているため、何か不具合が生じた場合の調整や修理をしにくいという点です。ただし、可能な限りそのような不具合を減らすため、義歯の製作過程で時間をかけてチェックしていきます。

また、稀ですが敏感な患者様の場合、「金属味」というものが気になる場合があります。例えて言うと、缶ビールをそのまま飲んだ時のような金属の味が気になる、という方がなかにはいらっしゃいます。缶とは金属の種類が違うため、一概には言えませんが、気になる場合にはかかりつけ歯科医院で相談をおすすめします。

 

▶︎ノンクラスプデンチャー

こちらは主に局部義歯の方の自由診療の義歯となります。

その名の通り、クラスプと呼ばれる金属の「ツメ」がついていないため、審美性に優れています。また、金属のクラスプのように取り外しによる緩みを生じにくいため、長期にわたって快適な装着感を得ることが出来ます。

多くの歯が欠損しているようなケースには不向きな場合がありますが、金属と組み合わせて強度を補強することも出来ますので一度歯科医師に相談してみると良いでしょう。

デメリットとしては、金属床と同じく修理がしにくいことです。ノンクラスプデンチャーに使用される素材は、修理用の材料と接着しない場合が多く、修理を行う場合には技工所に預ける必要があります。また、素材自体に素晴らしく強度があるわけではないので、この義歯自体を推奨していない歯科医院もあります。

また、この義歯では歯茎が覆われるため、重度の歯周病などがある方には向かない場合があります。

とはいえ、審美性にはとても優れた義歯のため、入れ歯の見た目に悩んでいる方は一度相談してみてはいかがでしょうか。

 

▶︎アタッチメントオーバーデンチャー

アタッチメントオーバーデンチャーとは、磁石やホック、インプラントの力を利用して維持をする義歯のことです。

何本か歯が残っているけれど、クラスプをかけると歯がダメになってしまうかも…

顎の骨がやせていて、どんなに義歯を調整しても動いてしまう、痛みが消えない

などのケースで用いることがあります。

残っている歯と義歯に磁石やホックを組み込んで、入れ歯が歯茎に食い込むことなく維持出来るようになります。

また、インプラントを用いたものはインプラントオーバーデンチャーと呼ばれます。歯茎に何本かインプラントを埋入し、そのインプラントを支えにして義歯を維持します。

最近では、磁石を用いたアタッチメントデンチャーが保険適用となりましたが、磁石やホックを組み込む義歯には強度が必要なため、金属を組み込んだ義歯を同時に作ることが望ましいです。

この義歯のデメリットは、磁石やホックを組み込む土台となる歯の神経の治療が必要となることです。また、インプラントの場合には、手術が必要となるため体への侵襲が大きく、持病がある場合や高齢の場合には治療を受けられないことがあります。

ただし、ご自身の歯を可能な限り残すことで顎の骨の吸収を食い止めることも可能ですし、インプラントが土台の場合には通常の義歯と比較して、しっかり噛むことができます。

 

▶︎コーヌステレスコープデンチャー

この義歯は最近ではあまり見かけなくなりましたが、審美性がいいこと、装着感がよく、よく噛めることから好んで希望される方もいます。

この義歯は自分の歯に被せる内冠(ないかん)とよばれるものと、義歯に組み込まれる外冠(がいかん)の摩擦力を利用して維持に用いるものを指します。

茶筒の原理を想像していただくとわかりやすいかもしれません。

多少の力では外れたり壊れたりすることがなく、自分の歯のような見た目と装着感が得られることが最大のメリットです。

ただし、製作が可能な歯科医師が限られていることや、自分の歯を削り神経の治療をする必要があること、かなり精密に作られているため修理が非常に困難であることなどのデメリットがあります。

 

▶︎コンフォートデンチャー

この義歯は最近多くの歯科医院で見られるようになりました。

入れ歯を入れていてもどうしても痛くて思うように噛めない、といった症状を改善する義歯です。

通常の義歯の裏側(歯茎側)にシリコーンのクッションを貼り付けることで、痛みなく、しっかり噛めるようになります。特に、義歯を装着し続けることで自分の歯茎の形状に馴染むため、歯茎が痩せてなかなか義歯が安定しない、という方にもお勧めです。

デメリットとしては、特殊なシリコーン材料を使用しているため、義歯洗浄剤は専用のものを取り寄せて使用する必要があるという点です。また、シリコーン材料は削りにくい素材のため、大幅な調整がむずかしくなります。

 

 

専門用語が多く、ここでお腹いっぱいという方もいらっしゃると思うので、今回はここまで!

 

後半は▶︎こちらから

歯が痛いときの対応

2024年2月8日

 歯が痛いけれども、歯医者に行けない! そんな時どうする?

 

急に歯の痛みを感じたとき。

深夜だったり、旅行中だったり・・・すぐに歯医者さんに行けないこともありますね。

「そんなとき、どうしよう??」

 

ここでは、歯が痛いけれども、歯科を受診できないときはどうしたら良いかについて、お話していきましょう。

 

 

目次

歯が痛いけれども、歯医者に行けないときは・・・

1. 痛み止めを服用する

2. 痛みのある部位を安静にする

3. 冷たいものを避ける

4. 温かいものを避ける

5. 優しく冷やす

5. お口の中を清潔に保つ

6. 栄養・睡眠をしっかり取る

7. 出来るだけ早めに歯科を受診する

8. まとめ

 

 1. 痛み止めを服用する

以前に歯科医院で処方された痛み止めがあるようでしたら、そちらを服用しましょう。

なければ、市販の痛み止めでも効果を発揮します。

用法・用量や、服用の間隔などを守って服用するよう、注意します。

 

痛み止めは、服用後すぐに痛みがなくなるものではなく、効果が出るまでは少し時間がかかることも、覚えておくと良いでしょう。

また、進行した虫歯の痛みは、痛み止めが効きにくいことがあります。

 

 

 2. 痛みのある部位を安静にする

痛みがある歯やその周囲組織を、出来るだけ安静にしましょう。

とはいっても、呼吸をしたり、水分を摂取したり・・・お口は、安静にすることが難しい部位ですね。

痛みのある部位では、出来るだけ食べ物を咬まないように気を付けましょう。

また、痛みのストレスによって、無意識に「くいしばり」をしてしまうこともあります。

くいしばりは、歯および周囲組織に大きな負担をかけます。

リラックスした状態では、上下の歯は互いに接触せず、2〜3㎜すき間が空いているのが普通です。

御自身の上下の歯が当たっていないか、確認してみましょう。

上下の歯同士が当たっている、しっかり咬んでしまっている場合は、少しすき間を開けるようにします。

その際、唇は閉じているほうが良いでしょう。

 

鈍い痛みの場合は、何となく気になってしまい、舌で触ってみたり、頬側から指でグリグリ押してみたり・・・と、無意識に痛みがあることを確認してしまうことがよくあります。

その刺激が、痛みを悪化させることもあるのです。

痛みのある場所は、出来るだけ安静にして、舌や指で触らないようにしましょう。

 

3. 冷たいものを避ける

痛みを誘うような刺激は、出来るだけ避けるようにしていきます。

冷たい飲み物や食べ物で痛みを感じる場合は、冷たい飲み物・食べ物を避けるようにしましょう。

帰宅時や歯磨き後のうがいも、ぬるま湯で行うと良いですね。

水道水の温水で十分です。

 

4. 温かいもの、温めることを避ける

温かい飲み物や食べ物で痛みが出る場合は、温かい飲み物・食べ物を避けるようにしましょう。

また、そのような場合は、血の巡りが良くなるような、体温が上がる行為は避けましょう。

具体的には、

激しく体を動かすような運動

湯船に長く浸かる

飲酒

などです。

 

5. 優しく冷やす

痛みがある部位を冷やしてあげることで、痛みが和らぐことがあります。

濡らしたタオルなどで、頬側から軽く冷やしてあげるようにしましょう。

この際、冷やしすぎないように注意しましょう。

あまり冷やしすぎてしまうと、血行障害を起こしてしまうことがあります。

保冷剤などを使用する場合は、タオルなどでしっかりくるむようにします。

抜歯など、血が出るような処置をした時や、内出血がある場合に冷やしすぎてしまうと、あとから青あざのようになることがあるので、特に気を付けましょう。

 

6. お口の中を清潔に保つ

痛みの原因は様々ですが、お口の中の細菌数が少ないほうが治りは良くなります。

出来るだけ、しっかりと歯磨きを行うようにしましょう。

歯ブラシを当てると痛みがある場合は、痛みが出ない範囲をしっかりと清潔にするようにして、お口の中全体の細菌数を少なく保ちます。

出来るだけ、フロスや歯間ブラシも併用していきます。

 

歯肉が腫れているときなどは、歯間ブラシを通すと出血することも多くあります。

痛みが伴うようであれば、無理して通す必要はありません。

しかし、「痛みはないが出血する」という場合は、歯肉を傷つけない程度に歯間ブラシを優しく動かして、内部に溜まっている血を外に出していくようにしましょう。

 

注意点もあります。

詰め物がとれた、歯の表面に穴があいている、といった場合は、どこまで清掃するべきでしょうか。

答えは「歯ブラシが届く範囲まで」です。

「穴の中に食べ物や汚れが詰まっている気がする・・・」

と感じても、穴の内部を爪楊枝などで触ってはいけません。

先端の尖ったものを入れることによって、内部の組織を破壊してしまう恐れがあります。

それどころか、周囲の細菌や汚れを、意図せず穴の中に押し込んでしまうことになる可能性も高いのです。

歯ブラシなどの清掃用具で届く範囲を磨くことで充分です。

 

7. 栄養・睡眠をしっかりとる

痛みがあるということは、身体が不調を訴えている合図になります。

充分な栄養および睡眠をとることで、身体を整え、免疫力を向上していくことも大切です。

食事は、歯への負担を軽くするために、あまり咬まなくても食べられるものが良いでしょう。

おかゆや、柔らかいおうどん、メニューを選択できない場合は、小さく切り分けてから口に入れるようにするだけでも、口を動かす必要が少なくなり、食べやすくなります。

 

8. 出来るだけ早めに歯科を受診する

虫歯の場合は、放っておいても治ることはありません。

状態や痛みの段階によって、一時的に痛みや腫れがおさまることもあるでしょう。

しかし、原因を取り除かないと、再び痛みに襲われる可能性が高くなります。

休日急患診療所を受診するという方法もありますが、基本的には応急処置のみになります。

出来るだけ早めに、歯科を受診するようにしましょう。

 

9. まとめ </h2>

歯に痛みを感じるが、直ぐに歯科を受診出来ないときは・・・

痛み止めを服用する。(処方薬・市販薬どちらでも可)

痛みのある部位を安静にする、舌や指で刺激しない。

冷たいものを避け、うがいはぬるま湯で行う。

血行が良くなるような運動・長風呂・飲酒は避ける

水でぬらしたタオルを頬側から当てるなど、優しく冷やす。

お口の中を清潔に保つ。痛みが出ない範囲での口腔内清掃の徹底を。

栄養・睡眠をしっかりとり、身体を整え、免疫力を上げる。

出来るだけ早くに歯科を受診する。

 

 

歯に痛みを感じた時、御自身で出来る対処法について、お話しました。

一番良いのは、早めに歯科を受診していただくことです。

痛みが落ち着いたとしても、後日診察を受け、痛みの原因が何だったのかを調べておくと、今後のためになりますね。

また、予期せぬ痛みが出ないように、日頃から定期健診を受診することもおすすめです。

 

笠貫歯科クリニックでは、予約診療の他に、急患対応も行っております。

皆様のお口の中が健やかでいられるよう、お手伝いができたらと思っております。

 

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当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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