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あなたのその歯、難しい抜歯になるかも?

2024年2月29日

歯医者さんが嫌われる理由は、怖いとか痛いといった理由がほとんどなのではないでしょうか。

そして、患者さんに最もストレスを与える治療が「抜歯」です。

 

皆さんの中には、この抜歯に苦い思い出を抱いている人も多いのではないでしょうか。

 

時間がかかった、痛い思いをしたなど、苦痛を強いる処置である抜歯ですが、皆さんの健康を守るためには必要な処置です。

 

今回は、抜歯の中でも簡単にはいかない「難抜歯」について解説します。

少し怖い内容になりますが、これを読んで、「こうならないように気をつけよう」という気持ちが少しでも高まってもらえれば幸いです。

なお、今回は、親知らずの抜歯以外の抜歯を解説します。親知らずの抜歯は続編を出しますので、心穏やかに待っていてください。

 

目次

① 筋縄ではいかない抜歯とは?

 ◆難抜歯とは?

 ◆どんな歯が対象になるの?

 

② 難抜歯の方法

 ◆歯肉切開・剥離

 ◆骨の削合

 ◆歯根分割

 

③偶発症

 ◆炎症反応

 ◆神経障害

 ◆ 抜歯窩治癒不全(ドライソケット)

 ◆出血斑

 

④まとめ

 

 

一筋縄ではいかない抜歯とは?

抜歯には、大きく分けて3つの種類があります。一つ目が「普通抜歯」です。普通抜歯とは、文字通り、抜歯をするための道具を用いて単純に歯を抜くことです。2つ目が「難抜歯」です。詳細については後述します。最後が「埋伏抜歯」です。これは親知らずの抜歯をイメージしてもらえればいいかなと思います。この親知らずの抜歯についても次回以降で詳しくお話ししますのでお楽しみにしていてください!!

 

◆難抜歯とは

さて、今回は「難抜歯」についてのお話しです。ここでいう難抜歯とは、普通抜歯に加えて、一手間加える必要のある抜歯を指します。抜歯の一手間とは、歯肉を切開したり、骨を削ったりする処置を指します。抜歯を行う歯に何らかの原因があり、単純に抜くことができない場合に何らかの処置を追加して、歯を取り出すことこそが「難抜歯」です。

 

◆どんな歯が対象になるの?

では、どのような歯が難抜歯の対象になるのでしょうか。基本的に原因は、抜かないといけない歯に問題があるからです。具体的には次の5つが代表的です。

⑴    歯が根っこだけになっている

虫歯などが原因で歯が根っこだけになっている状態を「残根(ざんこん)」と言います。残根の場合、歯が歯茎の中に入っている状態が多く、器具を入れる場所がありません。

⑵    根っこだけになった歯が骨の下に入っている

根っこだけの歯は、骨の下に入り込んでいる場合も少なくありません。このような場合にも、器具を挿入する場所を作る必要があります。

⑶    歯の根っこが複数あり、開いている

根っこが複数あったり、開きが大きかったりする場合、簡単に抜くことはできません。土に埋めた杭を2本一気に抜くことが難しいように、歯を抜く場合も、2つを一挙に抜くことはとても難しいです。

⑷    根っこの先端が大きくなっている

根っこの先端が大きくなっていることを「根肥大(こんひだい)」と言います。根肥大では、出口が小さいため、簡単に抜歯することができません。

⑸    根っこと骨が一体化している

長年炎症を繰り返している歯は時に、骨と一体化していることがあります。このような場合にも、難しい抜歯になると簡単にイメージできると思います。

 

このように、多くの場合歯が原因で、単純に器具のみで抜歯することが難しく、それ以外に一手間を加えて、抜歯しやすくすることがあります。

 

 

難抜歯の方法

それでは具体的にどのような処置を追加する必要があるのでしょうか。具体的な方法を3つ解説します。実際は、これらを組み合わせて、難抜歯を行うことがほとんどです。これらは、歯の状態によって使い分けられますが、多くの場合、複数の原因があるからです。

 

◆歯肉切開・剥離

一つ目が歯肉の切開と剥離(はくり)です。つまり、歯茎を切って、めくり上げることです。歯茎に覆われている時に用いられます。これによって、視野を確保することができます。

 

◆骨の削合

二つ目が骨を削る行為です。①と併せて用いられることがほとんどです。これは、骨の下に歯が残っている時に用いられます。骨を削り、残った歯を直視することができるようになります。また、骨と歯が癒着している場合、骨を削ることで、器具が入るスペースを作ることもできます。

 

◆歯根分割

最後が歯根を二つ以上に分ける歯根分割です。根っこが複数あったり、開き方が大きかったりする場合に用います。これを適切に行うことで、簡単に歯を抜くことができます。

 

偶発症

全ての医療には偶発症が生じます。偶発症とは、患者さんにとっての不利益の全てを指します。ここでは、難抜歯時にどのような偶発症が生じるのかを解説したいと思います。特に注意すべきものを4つ紹介したいと思います。また、中にはすぐに歯医者さんに連絡を入れるべきものもあるので、注意してください。

 

◆いわゆる炎症反応

最初は炎症反応です。具体的には、痛い、腫れた、赤くなったなどです。難抜歯では、切開や、骨を削る必要があります。このため、通常の普通抜歯よりも患者さんへのダメージが大きく、この炎症反応が強く出る傾向にあります。基本的には抜歯後2日をピークに良くなっていくものなので、歯医者さんからもらったお薬を飲んで様子を見ましょう。ただし、呼吸が苦しくなった、飲み込む時の喉の痛みや口が全く開かなくなったなどの症状がある場合はすぐにご連絡ください。

 

◆神経障害

骨の中には顔の皮膚の感覚を伝える神経が走っています。骨を削ったり、切開をしたりしたときに、これらの神経が傷ついてしまうと、感覚の異常が生じます。なので、抜歯後2、3時間経っても痺れが取れない場合には、歯医者さんにご連絡ください。

 

抜歯窩治癒不全(ドライソケット)

原因は詳しくわかっていませんが、抜歯後の治りが悪く、強い痛みを生じる方もいらっしゃいます。1週間経っても、強い痛みが続く場合は治癒不全を疑うので歯医者さんに連絡しましょう。

 

◆出血斑

血液サラサラのお薬を飲んでいる方によく見られます。青あざのようなものが生じます。基本的には吸収されるので、様子を見ておけば大丈夫です。

 

他にも、出血などもありますが、基本的には様子を見ておけば大丈夫な場合が多いのでここでは述べません。歯を抜いた後に歯医者さんで注意事項を聞かされると思いますが、それを守るようにしましょう。

 

まとめ

今回は、「難抜歯」についてお話ししました。大体のイメージを掴んでもらえればいいかなと思います。最も大切なことは、歯を抜かないような環境を整えるということです。日々のブラッシングや、定期的な受診で皆さんの歯を自分で守っていきましょう。

不幸にも、歯を抜くことになってしまった人は、前日、当日の注意点をしっかりと守り、何か気になることがあれば、歯医者さんに連絡することも大切です。何でも相談できる歯医者さんを持っておきましょう!

 

現代人に歯列不正が多いのはなぜ??

2024年2月28日

歯並びが悪い、というと、真っ先に思い浮かべるのが、歯がガタガタに並んでいる状態ではないでしょうか。

この、歯並びがガタガタになってしまう歯列不正のことを叢生(そうせい)といいます。

現代の日本人には、この叢生(そうせい)という歯列不正が増加してきているのです。

 

今回は、この歯がガタガタに並んでしまう歯列不正が現代人に多い理由について、お話していきましょう。

 

目次

1. 歯並びがガタガタになってしまう原因

2. なぜ、現代人は顎が小さくなってしまったのか

3. 顎が小さくなることのデメリットとは

4. 下顎の成長を促すには

5. まとめ

 

1. 歯並びがガタガタになってしまう原因

歯並びがガタガタになってしまう原因は、大きく分けて2つ考えられます。

1つは、顎の大きさに対して、歯の大きさが大きいこと。

 

もう1つは、歯の大きさに対して、顎の大きさが小さいことです。

40年前のデータと比較すると、歯1本1本のサイズは少し大きくなっています。

 

それに対して、顎の大きさは、前後的な奥行きは大きくなっているものの、歯列の幅は大きくなっていません。

 

つまり、ほっそりとした、顎が細い顔貌が増えて、顎の幅がしっかりとした、いわゆるえらが張っているような顔貌が減少していることになります。

そして、この顎が細い顔貌の原因ともいえる、歯列の幅が大きくならずに前後的なアーチが長い骨格によって、出っ歯や、歯並びがガタガタになりやすくなっているのです。

 

2. なぜ、顎が小さくなってしまったのか

では、なぜ現代人の顎は細長く、小さくなってしまったのでしょうか。

 

それは、現代人の食生活にあると考えられています。

歯の大きさや本数は、環境要因にはあまり左右されず、遺伝的なものによって決定されやすいと言われています。

 

それに対して、顎の大きさは、遺伝的なものに加えて、周囲の筋肉から受ける刺激に影響を受けて、成長度合いが決定すると言われています。

江戸時代以前は、日本人は日常的に固いものを食べていました。

 

そのため、顎の筋肉が発達し、それによって顎の骨の幅や厚みが増加し、いわゆるエラが張った顔貌になりやすかったのです。

しかし、江戸時代以降の日本人は、固いものをあまり食べなくなってきました。

 

それによって、顎骨に加わる筋肉からの刺激も少なくなり、その結果として、顎骨の横幅の成長が促進されずに、全体的にほっそりとした顔貌となってきているのです。

 

3. 顎が小さくなることのデメリットとは

「小顔のほうが良い!」

 

そう思っていませんか?

 

しかし、筋肉量による影響を受けるのは、下の顎だけで、固いものを咬まないからと言って、顔全体が小さくなるわけではありません。

下の顎の幅が小さくなることは、むしろデメリットのほうが大きいのです。

 

小さな鉛筆立てに、沢山の鉛筆を入れるところを想像してみましょう。

きれいに納まりきらずに、グチャグチャな方向にはみ出るようになってしまいますね。

 

お口の中も同じです。

小さな顎には、全ての歯がきれいに並ぶことができません。

 

あとから生えてくる歯は、空いているスペースに周囲の歯を押しのけて無理やり生えてくるので、ねじれてしまったり、出っ歯になったり、頬側や舌側にはみ出した形で並んでしまうのです。

ガタガタに生えてしまうと、上下でしっかり咬みあわなくなります。

 

食べ物を咬むことができる面積が、少なくなってしまいますね。

また、歯並びがガタガタになればなるほど、歯磨きが難しくなります。

 

それによって、虫歯のリスクが上がるだけでなく、歯周病のリスクも高くなるのです。

また、前歯の角度やねじれ具合によってすき間が出来てしまうと、そこから息が漏れてしまい、発音にも悪影響を及ぼす恐れもあるのです。

 

4. 下顎の成長を促すには

下顎の成長を促すためには、子供の頃からしっかりと噛んで食べる習慣をつけることが大切です。

極端に固いものを食べる必要はありません。

 

普段の食事を、よく咬んで食べるようにしましょう。

 

根菜類など、噛み応えのあるものをメニューに加えるのも効果的ですね。

よく咬んで食べることによって、素材本来の味を感じやすくなるので、薄味でも充分に満足できるようになるというメリットもあります。

 

5. まとめ

歯並びがガタガタになってしまう原因とは、顎の大きさと歯の大きさとの不調和によります。

 

特に、現代人は固いものを食べる習慣に乏しいため、顎骨が発達しにくく、顎が小さい傾向にあります。

下顎の成長を促すためには、子供の頃からしっかりと噛んで食べる習慣をつけることが大切です。

 

しかし、それでも遺伝的要因が強く出ることなどによって、歯並びが悪くなってしまうこともあります。

歯並びは、見た目の問題に加えて、食べ物を噛む力が弱くなってしまったり、発音に影響が出たり、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまったりと、様々なデメリットを生み出します。

 

歯並びで気になることがございましたら、お気軽に当院にご相談ください。

 

入れ歯とは?(後編)

2024年2月22日

みなさんは入れ歯と聞いて、何を思い浮かべますでしょうか?

 

実は知ってそうで知らない「入れ歯」!

前編では、そもそも入れ歯とは何か?やどんな種類があるのかをご紹介しました!

 

(まだ見ていない方は▶︎こちらから)

 

後半では、そもそも入れ歯は何からできているのかや特殊な入れ歯などについてご紹介します!!

ぜひ、参考にしてみて下さいね!!

 

 

目次(後編)

3.入れ歯は何から出来ている?

 ◆「床」とは?

 ◆「人工歯」とは?

 ◆「クラスプ、バー」とは?

4.特殊な義歯

 ◆顎義歯・顎補綴(がくぎし・がくほてつ)

 ◆舌接触補助床(ぜつせっしょくほじょしょう)・PAP

 ◆スピーチエイド・パラタルリフト

5.まとめ

 

「入れ歯」は何から出来ている?

ここまで種類やメリットデメリットをご説明させていただきましたが

次に、そもそも入れ歯は何からできているかご紹介します!

 

入れ歯は床(しょう)と言われるものと人工歯(じんこうし)からなります。

局部義歯では更にクラスプと呼ばれる金具やバーと呼ばれる連結装置などが付属します。

 

◆「床」とは?

床とは義歯の土台となる部分です。入れ歯と言えばピンクのものを思い浮かべると思いますが、そのピンクの部分を床と言います。

なるべく自分の歯茎の色と違和感のない色で仕上げます。高齢の方や男性の方は少し暗めの色、女性や若い方の場合には繊維質の入った明るい色、というような感じです。

 

◆「人工歯」とは?

人工歯とは、その名のとおり人工の歯です。ピンクの床の上に人工歯を並べることで義歯で噛めるようになります。

人工歯と言っても種類がたくさんあり、患者さん個人個人の噛み合わせや噛み癖、顔の形や性別といった条件に合う人工歯を選択し、並べていきます。

材質も様々で、レジン歯と呼ばれる樹脂の材料を用いたものや、陶歯というセラミックのもの、金属からできたものまであります。

 

◆「クラスプ、バー」とは?

クラスプとは部分入れ歯にのみ付属するもので、入れ歯を固定するための「ツメ」のようなものです。バーは上あごや、下あごの離れた部分に入れ歯がまたがるような歯の欠損がある場合、橋渡しをする役目です。

クラスプやバーは保険診療か自由診療かによって形状が変わるとともに、残っている歯に可能な限り余計な負担をかけず、なおかつ、しっかり入れ歯が維持できるように歯科医師が設計します。

クラスプの種類によっては、一部歯を削る必要がある場合もあります。

 

特殊な義歯

ここまでは通常の義歯の種類やメリット・デメリットを紹介しました。

最後に、特殊な義歯についてご説明します。

 

特殊な義歯というのは、殆ど目にしたことがないと思います。

しかし、口腔癌などで通常の義歯を装着できなくなった患者さんは、そのような患者さん用の義歯があるのです。

 

◆顎義歯・顎補綴(がくぎし・がくほてつ)

歯肉にできる癌や咽頭の近くにできた癌を治療すると、上あごの骨や下あごの骨を切除するため、大きな穴が開き鼻と口がつながってしまうことや、あごの骨がえぐれてなくなってしまうことがあります。

そういった場合に、顎義歯とよばれる特殊な義歯で穴を塞ぎ、通常通りの食事を摂れるようにします。多くの場合は大学病院で製作しますが、一般の歯科医院でも製作出来る場合もありますので、かかりつけ歯科医院で相談してみましょう。

 

◆舌接触補助床(ぜつせっしょくほじょしょう)・PAP

舌接触補助床とは舌癌で舌の切除により動きが悪くなり、呑み込みがうまく出来ない、発音が出来ず、相手に言葉が伝わらないという方に装着する義歯です。

顎義歯と同じく、大学病院で製作されることが多い義歯ですが、一般歯科医院でも製作できることもあります。

 

◆スピーチエイド・パラタルリフト

これは主に唇顎口蓋裂の後遺症である、構音障害(こうおんしょうがい)に対して用いられる義歯です。唇顎口蓋裂のかたは咽頭(いんとう)の筋肉が動かず、うまく発音できないことがあります。その咽頭の筋肉の動きを補うための義歯です。一般歯科医院でも製作できる場合があります。

 

まとめ

知っているようで知らない入れ歯の世界…

いかがでしたでしょうか?

入れ歯は全てオーダーメイドです。

一人ひとり違う口の中、同じ入れ歯は世界に一つとしてありません。

24時間365日共に過ごす(かもしれない)入れ歯、やはり自分に合ったもの、ストレスなく使用できるものが良いですよね。

最後になりますが、入れ歯は生活するための「道具」です。

道具には定期的なメンテナンスが必要です。

かならず、自分の歯と同じく、かかりつけ歯科医院で定期的なメンテナンスを受けましょう。

入れ歯とは?(前編)

2024年2月18日

みなさんは入れ歯と聞いて、何を思い浮かべますでしょうか?

 

入れ歯と言えばおじいちゃん、おばあちゃんが付けてたような…

でも、ちゃんと見たことがない。

パカパカ外れちゃうのが入れ歯だよね?

口から飛び出してくるやつ…

 

そう、実は知っているようで知らないのが入れ歯なのです!

 

 

今回は、実際に使ってる人も、そうでない人も、これから入れ歯を考えている人にも

みんなにわかりやすく「入れ歯」について大解説します!

 

ぜひ、参考にしてみて下さいね!!

(長くなりましたので、前後半に分かれています!)

 

 

目次(前編)

1.入れ歯とは

 ◆保険診療の義歯

 ◆自由診療の義歯

2.入れ歯の種類、メリット・デメリット

 

「入れ歯」とは

皆さんが入れ歯と呼んでいるモノ、専門用語では「義歯(ぎし)」と呼びます。

義足や義眼、義手と同様に、失った歯の代わりを務めるものが「義歯」です。

 

また、部分入れ歯や総入れ歯と言われるものは、残っている歯があるかどうかで分別しています。

 

1本も歯が残っていない場合の義歯は「総義歯」や「フルデンチャー」、「全部床義歯」「コンプリートデンチャー」などと呼ばれます。

歯が1本でも残っている場合の義歯では「局部義歯」や「パーシャルデンチャー」、「局部床義歯」と呼ばれます。

 

「入れ歯」の種類

ここでは、「総義歯」「局部義歯」といった種類ではなく、保険診療や自由診療でどのような種類のものがあるか?ということについて説明したいと思います。

 

◆保険診療の義歯

保険診療の義歯は「レジン床義歯」と呼ばれる義歯のみとなります。

レジンとは、簡単に説明すると熱を加えて成型されるピンク色の樹脂を指します。

近年、ジェルネイルなどで多用されるレジンですが、そのレジンとは物性が少し違うもので、長時間熱を加えることで硬くなる性質を持っています。

硬めのプラスチックのような素材を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。

噛む力に耐えられるような強度を補填するためには厚みを確保しなければならないため、装着時の違和感や異物感が気になるかもしれません。

また、プラスチックのため味覚や温度を感じづらいというデメリットがあります。

局部義歯の場合には、保険診療でのクラスプは金属のみが使用できます。人工歯はレジン歯や硬質レジン歯と呼ばれるものを使用することが多いです。

審美性(見た目の美しさ)を重要視したものや、装着感を重視した義歯を保険診療内で製作することはむずかしく、保険診療の義歯の最大のデメリットと言えるでしょう。

ただし、保険診療の義歯は修理が容易であり、また、費用も安価であることがメリットとして挙げられます。

義歯を使用するのが初めて、という方や、まだまだ他に治療する必要のある歯が残っている、などの場合には保険の義歯をお勧めします。

 

◆自由診療の義歯

自由診療の義歯は、保険診療の義歯と比較して、強度や審美性はもちろんのこと装着感などが改善されます。

自由診療の義歯と一言で表しても、様々な種類・個性的な名前がつけられたものが多くありますので、代表的な義歯について説明します。

 

 

▶︎金属床義歯

自由診療の義歯と言えばこれ!というくらい昔から作られてきた義歯です。

金属床義歯のメリットはなんといっても薄く出来ることです。

特に総義歯の方の場合、上あごを大きく覆う必要があるため、保険診療の義歯だと違和感を訴える方がとても多いです。

そのような違和感を改善するのがこの金属床です。

上あごや下あごの裏側を薄い金属で覆うことによって、違和感の軽減とともに金属ならではの熱伝導性を利用し、温度などを感じやすくすることによって食事を美味しく摂ることができます。

金属の種類は強度と製作方法を考慮して、コバルトクロム合金が用いられることが多いですが、金やチタン、金属とは少し材質はちがいますがジルコニア等を用いることもあります。使用する金属については、かかりつけの歯科医院で相談してみましょう。

金属床のデメリットですが、とても精密に作られているため、何か不具合が生じた場合の調整や修理をしにくいという点です。ただし、可能な限りそのような不具合を減らすため、義歯の製作過程で時間をかけてチェックしていきます。

また、稀ですが敏感な患者様の場合、「金属味」というものが気になる場合があります。例えて言うと、缶ビールをそのまま飲んだ時のような金属の味が気になる、という方がなかにはいらっしゃいます。缶とは金属の種類が違うため、一概には言えませんが、気になる場合にはかかりつけ歯科医院で相談をおすすめします。

 

▶︎ノンクラスプデンチャー

こちらは主に局部義歯の方の自由診療の義歯となります。

その名の通り、クラスプと呼ばれる金属の「ツメ」がついていないため、審美性に優れています。また、金属のクラスプのように取り外しによる緩みを生じにくいため、長期にわたって快適な装着感を得ることが出来ます。

多くの歯が欠損しているようなケースには不向きな場合がありますが、金属と組み合わせて強度を補強することも出来ますので一度歯科医師に相談してみると良いでしょう。

デメリットとしては、金属床と同じく修理がしにくいことです。ノンクラスプデンチャーに使用される素材は、修理用の材料と接着しない場合が多く、修理を行う場合には技工所に預ける必要があります。また、素材自体に素晴らしく強度があるわけではないので、この義歯自体を推奨していない歯科医院もあります。

また、この義歯では歯茎が覆われるため、重度の歯周病などがある方には向かない場合があります。

とはいえ、審美性にはとても優れた義歯のため、入れ歯の見た目に悩んでいる方は一度相談してみてはいかがでしょうか。

 

▶︎アタッチメントオーバーデンチャー

アタッチメントオーバーデンチャーとは、磁石やホック、インプラントの力を利用して維持をする義歯のことです。

何本か歯が残っているけれど、クラスプをかけると歯がダメになってしまうかも…

顎の骨がやせていて、どんなに義歯を調整しても動いてしまう、痛みが消えない

などのケースで用いることがあります。

残っている歯と義歯に磁石やホックを組み込んで、入れ歯が歯茎に食い込むことなく維持出来るようになります。

また、インプラントを用いたものはインプラントオーバーデンチャーと呼ばれます。歯茎に何本かインプラントを埋入し、そのインプラントを支えにして義歯を維持します。

最近では、磁石を用いたアタッチメントデンチャーが保険適用となりましたが、磁石やホックを組み込む義歯には強度が必要なため、金属を組み込んだ義歯を同時に作ることが望ましいです。

この義歯のデメリットは、磁石やホックを組み込む土台となる歯の神経の治療が必要となることです。また、インプラントの場合には、手術が必要となるため体への侵襲が大きく、持病がある場合や高齢の場合には治療を受けられないことがあります。

ただし、ご自身の歯を可能な限り残すことで顎の骨の吸収を食い止めることも可能ですし、インプラントが土台の場合には通常の義歯と比較して、しっかり噛むことができます。

 

▶︎コーヌステレスコープデンチャー

この義歯は最近ではあまり見かけなくなりましたが、審美性がいいこと、装着感がよく、よく噛めることから好んで希望される方もいます。

この義歯は自分の歯に被せる内冠(ないかん)とよばれるものと、義歯に組み込まれる外冠(がいかん)の摩擦力を利用して維持に用いるものを指します。

茶筒の原理を想像していただくとわかりやすいかもしれません。

多少の力では外れたり壊れたりすることがなく、自分の歯のような見た目と装着感が得られることが最大のメリットです。

ただし、製作が可能な歯科医師が限られていることや、自分の歯を削り神経の治療をする必要があること、かなり精密に作られているため修理が非常に困難であることなどのデメリットがあります。

 

▶︎コンフォートデンチャー

この義歯は最近多くの歯科医院で見られるようになりました。

入れ歯を入れていてもどうしても痛くて思うように噛めない、といった症状を改善する義歯です。

通常の義歯の裏側(歯茎側)にシリコーンのクッションを貼り付けることで、痛みなく、しっかり噛めるようになります。特に、義歯を装着し続けることで自分の歯茎の形状に馴染むため、歯茎が痩せてなかなか義歯が安定しない、という方にもお勧めです。

デメリットとしては、特殊なシリコーン材料を使用しているため、義歯洗浄剤は専用のものを取り寄せて使用する必要があるという点です。また、シリコーン材料は削りにくい素材のため、大幅な調整がむずかしくなります。

 

 

専門用語が多く、ここでお腹いっぱいという方もいらっしゃると思うので、今回はここまで!

 

後半は▶︎こちらから

歯が痛いときの対応

2024年2月8日

 歯が痛いけれども、歯医者に行けない! そんな時どうする?

 

急に歯の痛みを感じたとき。

深夜だったり、旅行中だったり・・・すぐに歯医者さんに行けないこともありますね。

「そんなとき、どうしよう??」

 

ここでは、歯が痛いけれども、歯科を受診できないときはどうしたら良いかについて、お話していきましょう。

 

 

目次

歯が痛いけれども、歯医者に行けないときは・・・

1. 痛み止めを服用する

2. 痛みのある部位を安静にする

3. 冷たいものを避ける

4. 温かいものを避ける

5. 優しく冷やす

5. お口の中を清潔に保つ

6. 栄養・睡眠をしっかり取る

7. 出来るだけ早めに歯科を受診する

8. まとめ

 

 1. 痛み止めを服用する

以前に歯科医院で処方された痛み止めがあるようでしたら、そちらを服用しましょう。

なければ、市販の痛み止めでも効果を発揮します。

用法・用量や、服用の間隔などを守って服用するよう、注意します。

 

痛み止めは、服用後すぐに痛みがなくなるものではなく、効果が出るまでは少し時間がかかることも、覚えておくと良いでしょう。

また、進行した虫歯の痛みは、痛み止めが効きにくいことがあります。

 

 

 2. 痛みのある部位を安静にする

痛みがある歯やその周囲組織を、出来るだけ安静にしましょう。

とはいっても、呼吸をしたり、水分を摂取したり・・・お口は、安静にすることが難しい部位ですね。

痛みのある部位では、出来るだけ食べ物を咬まないように気を付けましょう。

また、痛みのストレスによって、無意識に「くいしばり」をしてしまうこともあります。

くいしばりは、歯および周囲組織に大きな負担をかけます。

リラックスした状態では、上下の歯は互いに接触せず、2〜3㎜すき間が空いているのが普通です。

御自身の上下の歯が当たっていないか、確認してみましょう。

上下の歯同士が当たっている、しっかり咬んでしまっている場合は、少しすき間を開けるようにします。

その際、唇は閉じているほうが良いでしょう。

 

鈍い痛みの場合は、何となく気になってしまい、舌で触ってみたり、頬側から指でグリグリ押してみたり・・・と、無意識に痛みがあることを確認してしまうことがよくあります。

その刺激が、痛みを悪化させることもあるのです。

痛みのある場所は、出来るだけ安静にして、舌や指で触らないようにしましょう。

 

3. 冷たいものを避ける

痛みを誘うような刺激は、出来るだけ避けるようにしていきます。

冷たい飲み物や食べ物で痛みを感じる場合は、冷たい飲み物・食べ物を避けるようにしましょう。

帰宅時や歯磨き後のうがいも、ぬるま湯で行うと良いですね。

水道水の温水で十分です。

 

4. 温かいもの、温めることを避ける

温かい飲み物や食べ物で痛みが出る場合は、温かい飲み物・食べ物を避けるようにしましょう。

また、そのような場合は、血の巡りが良くなるような、体温が上がる行為は避けましょう。

具体的には、

激しく体を動かすような運動

湯船に長く浸かる

飲酒

などです。

 

5. 優しく冷やす

痛みがある部位を冷やしてあげることで、痛みが和らぐことがあります。

濡らしたタオルなどで、頬側から軽く冷やしてあげるようにしましょう。

この際、冷やしすぎないように注意しましょう。

あまり冷やしすぎてしまうと、血行障害を起こしてしまうことがあります。

保冷剤などを使用する場合は、タオルなどでしっかりくるむようにします。

抜歯など、血が出るような処置をした時や、内出血がある場合に冷やしすぎてしまうと、あとから青あざのようになることがあるので、特に気を付けましょう。

 

6. お口の中を清潔に保つ

痛みの原因は様々ですが、お口の中の細菌数が少ないほうが治りは良くなります。

出来るだけ、しっかりと歯磨きを行うようにしましょう。

歯ブラシを当てると痛みがある場合は、痛みが出ない範囲をしっかりと清潔にするようにして、お口の中全体の細菌数を少なく保ちます。

出来るだけ、フロスや歯間ブラシも併用していきます。

 

歯肉が腫れているときなどは、歯間ブラシを通すと出血することも多くあります。

痛みが伴うようであれば、無理して通す必要はありません。

しかし、「痛みはないが出血する」という場合は、歯肉を傷つけない程度に歯間ブラシを優しく動かして、内部に溜まっている血を外に出していくようにしましょう。

 

注意点もあります。

詰め物がとれた、歯の表面に穴があいている、といった場合は、どこまで清掃するべきでしょうか。

答えは「歯ブラシが届く範囲まで」です。

「穴の中に食べ物や汚れが詰まっている気がする・・・」

と感じても、穴の内部を爪楊枝などで触ってはいけません。

先端の尖ったものを入れることによって、内部の組織を破壊してしまう恐れがあります。

それどころか、周囲の細菌や汚れを、意図せず穴の中に押し込んでしまうことになる可能性も高いのです。

歯ブラシなどの清掃用具で届く範囲を磨くことで充分です。

 

7. 栄養・睡眠をしっかりとる

痛みがあるということは、身体が不調を訴えている合図になります。

充分な栄養および睡眠をとることで、身体を整え、免疫力を向上していくことも大切です。

食事は、歯への負担を軽くするために、あまり咬まなくても食べられるものが良いでしょう。

おかゆや、柔らかいおうどん、メニューを選択できない場合は、小さく切り分けてから口に入れるようにするだけでも、口を動かす必要が少なくなり、食べやすくなります。

 

8. 出来るだけ早めに歯科を受診する

虫歯の場合は、放っておいても治ることはありません。

状態や痛みの段階によって、一時的に痛みや腫れがおさまることもあるでしょう。

しかし、原因を取り除かないと、再び痛みに襲われる可能性が高くなります。

休日急患診療所を受診するという方法もありますが、基本的には応急処置のみになります。

出来るだけ早めに、歯科を受診するようにしましょう。

 

9. まとめ </h2>

歯に痛みを感じるが、直ぐに歯科を受診出来ないときは・・・

痛み止めを服用する。(処方薬・市販薬どちらでも可)

痛みのある部位を安静にする、舌や指で刺激しない。

冷たいものを避け、うがいはぬるま湯で行う。

血行が良くなるような運動・長風呂・飲酒は避ける

水でぬらしたタオルを頬側から当てるなど、優しく冷やす。

お口の中を清潔に保つ。痛みが出ない範囲での口腔内清掃の徹底を。

栄養・睡眠をしっかりとり、身体を整え、免疫力を上げる。

出来るだけ早くに歯科を受診する。

 

 

歯に痛みを感じた時、御自身で出来る対処法について、お話しました。

一番良いのは、早めに歯科を受診していただくことです。

痛みが落ち着いたとしても、後日診察を受け、痛みの原因が何だったのかを調べておくと、今後のためになりますね。

また、予期せぬ痛みが出ないように、日頃から定期健診を受診することもおすすめです。

 

笠貫歯科クリニックでは、予約診療の他に、急患対応も行っております。

皆様のお口の中が健やかでいられるよう、お手伝いができたらと思っております。

 

歯ブラシの種類と使い分けのポイント

2024年1月23日

みなさん、実は歯ブラシには、基本の歯ブラシと補助的に使う歯ブラシの2種類があることをご存知でしたか?

綺麗に歯を磨くためには、よい歯ブラシを選ぶことが必要です。

特徴をおさえ一人一人に合ったものを選ぶことが重要です。

 

そこで今回は、歯ブラシの種類についてと使い分けのポイントについてお話させて頂きます。是非、参考にしてみてください!

 

目次

◯基本の歯ブラシ

 ◆ヘッドの大きさ

 ◆毛先のタイプ

 ◆柄の形

◯補助的に使う歯ブラシ

 ◆ワンタフトブラシ

 ◆歯間ブラシ

◯歯ブラシの毛の硬さ

◯まとめ

 

 

 

◯基本の歯ブラシ

 

先ほども述べさせていただきましたが、

歯ブラシには、基本の歯ブラシと補助的に使う歯ブラシの2種類がございます。

 

まず基本の歯ブラシに関してします!

 ◆ヘッドの大きさ

歯ブラシのヘッドの大きさは、歯と歯茎に合わせて選ぶことが重要です。一般的には、「自分の上の前歯2本分より少し小さめのもの」がおすすめです。このくらいのサイズのヘッドでは、歯の裏側や奥歯にも届きやすく、歯茎に当たりにくいからです。

 

◆毛先のタイプ

一般的には、毛先が丸く加工された柔らかめの歯ブラシがおすすめです。これは、歯茎を傷つけにくく、プラークを除去しやすいからです。

歯ブラシの毛先のタイプには、以下のような種類があります。 

▶︎1.丸毛

歯茎を傷つけにくいです。

 

▶︎2.テーパード毛

歯と歯茎の隙間にも入り込みやすいです。

 

▶︎3.ウェーブ毛

歯の凹凸に沿って磨きやすいです。

 

◆柄の形

歯ブラシの柄の形は、歯磨きの際の握りやすさや操作性に影響します。

一般的には、直線型や曲線型のものが多く見られますが、他にも様々な形があります。

歯ブラシの柄の形には、以下のような種類があります。

▶︎①直線型

柄の形が直線になっているもので、シンプルで使いやすいです。歯ブラシの角度を自由に調整できるので、歯の表面や裏側など、磨きたい部分に合わせて使えます。ただし、柄の長さや太さによっては、握りにくい場合もあります。

 

▶︎②曲線型

柄の形が曲線になっているもので、手にフィットしやすいです。歯ブラシの角度が決まっているので、正しい磨き方を身につけやすいです。ただし、柄の曲がり具合によっては、磨きにくい部分もあります。

 

▶︎③三角型

柄の形が三角になっているもので、安定感があります。歯ブラシの角度が変わりにくいので、一定の圧力で磨きやすいです。ただし、柄の角度や大きさによっては、手に合わない場合もあります。

 

▶︎④四角型

柄の形が四角になっているもので、持ちやすいです。歯ブラシの角度が変わりやすいので、細かい部分にも対応できます。ただし、柄のエッジや厚みによっては、手に当たって痛い場合もあります。

 

▶︎⑤円筒型

柄の形が円筒になっているもので、滑りにくいです。歯ブラシの角度を自在に変えられるので、歯の形に合わせて使えます。ただし、柄の直径や素材によっては、握力が必要な場合もあります。

基本の歯ブラシについては、以上です。歯磨きの効果や快適さに大きく影響しますので、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。

 

 

 

 

◯補助的に使う歯ブラシ

 

補助的に使う歯ブラシとは、基本の歯ブラシだけでは磨きにくい部分に使うもので、ワンタフトブラシや歯間ブラシなどがあります。 

◆ワンタフトブラシ

ワンタフトブラシとは、毛束が一つだけの小さな歯ブラシのことで、歯と歯茎の境目や歯の裏側、奥歯の噛み合わせ面など、磨きにくい部分に使います。ワンタフトブラシには、以下のような特徴があります。

・毛束が一つだけなので、細かい部分にも届きやすく、プラークを除去しやすいです。

・毛先が丸く加工された柔らかめのものが多く、歯茎を傷つけにくいです。

・柄が曲がっているものや、角度が調整できるものもあり、操作性が高いです。

毛束の形や大きさによって、用途が異なります。例えば、円形のものは、歯と歯茎の境目や歯の裏側に使いやすく、楕円形のものは、奥歯の噛み合わせ面に使いやすいです。

 

◆歯間ブラシ

歯間ブラシとは、歯と歯の間に挿入してプラークを、除去するもので、ワイヤーに毛が巻き付いた形をしています。歯間ブラシを使うと、ブラシが歯と歯の間に入り込んで、プラークをかき出しやすいです。

歯間の大きさに合わせて、サイズを選ぶことが重要です。サイズが小さすぎると、効果が低くなりますし、大きすぎると、歯茎を傷つける恐れがあります。

ワイヤーの素材や太さによって、柔軟性や耐久性が異なります。例えば、ステンレスのものは、硬くて丈夫ですが、歯に当たると痛い場合がありますし、プラスチックのものは、柔らかくて滑りやすいですが、すぐに折れる場合があります。

 

 

 

◯歯ブラシの毛の硬さ

歯ブラシの毛の硬さには、以下のような種類があります。 

◆柔らかい

毛の硬さが柔らかいもので、歯茎が弱い人や出血しやすい人におすすめです。柔らかい歯ブラシは、歯と歯茎の隙間にも入り込んでプラークを除去しやすく、歯茎を傷つけにくいです。ただし、柔らかすぎると、歯の表面に付着したプラークを除去できない場合もあります。

 

◆普通

毛の硬さが普通のもので、歯と歯茎の状態が良好な人におすすめです。普通の歯ブラシは、歯の表面に付着したプラークを除去しやすく、歯茎に適度な刺激を与えることができます。ただし、歯茎に当たると痛い場合や、歯茎が引っ込む場合もあります。

 

◆硬い

毛の硬さが硬いもので、歯の表面が汚れやすい人や歯石ができやすい人におすすめです。硬い歯ブラシは、歯の表面に付着したプラークや歯石をかき出しやすく、歯の白さを保つことができます。ただし、歯茎を傷つけやすく、歯茎の炎症や出血を引き起こす恐れがあります。

 

◯まとめ

歯ブラシの種類と使い分けのポイントについては、以上です。歯磨きは、歯と歯茎の健康にとって非常に重要なことですので、自分に合った歯ブラシを選んで、毎日丁寧に磨くようにしましょう。歯科医院でのケアと自宅でのケアを併せて行うことが効果的です。

 

歯科治療で使われる素材を比較しよう!

2024年1月17日

 歯科治療で使われる素材を比較してみましょう!

虫歯というのは、放っておいても治るものではありませんね。

そして、いったん虫歯になって穴があいてしまった場所は、その形や機能を歯以外の素材で回復していく必要があります。

ここでは、歯科で用いられる治療用の素材について、特徴やメリット・デメリットについても説明していきます。

 

今回の記事はこんな方におすすめです!

どの素材で治療を行うか迷っている方

自分のお口の中の素材がどのようなものか知りたい方

 

目次 

 

1. アマルガム

2. 歯科鋳造用金銀パラジウム合金

3. コンポジットレジン

4. ハイブリッドセラミック

5. セラミック

6. 歯科用金合金

7. まとめ

 

 

1.アマルガム

アマルガムとは、無機水銀40~50%、銀35%、スズ9%、銅6%、少量の亜鉛から成る合金です。

加工がしやすく、凹凸のある穴にも隙間なく詰めることができ、また、抗菌性があるために治療後再び虫歯になる可能性が非常に低いということで、昔はよく虫歯の治療に使用されてきました。

しかし、水銀における健康被害が報告されたため、2016年以降は保険適応外となり、現在では使用されていません。

ですが、昔治療したアマルガムがお口の中に残っている方もいらっしゃいます。

水銀は、合金の状態であればほとんど害を及ぼさないのですが、咬んだ時の摩擦などのわずかな刺激によって蒸発し、体内に取り込まれてしまうことが報告されています。

お口の中にアマルガムが残っている場合は、他の素材に置き換えていくことをおすすめします。

 

2.歯科鋳造用金銀パラジウム合金

いわゆる「保険適応の銀歯」で使用されている合金がこれに当たります。

金12%、パラジウム20%、銀50%前後、銅20%前後、その他亜鉛、インジウム、イリジウム、スズなどから成ります。

メリットとして、強度が高いので、小さな詰め物から、大きな被せ物やブリッジなどにも使用することができます。(メタルインレー、メタルクラウン、メタルブリッジなど)

また、保険適応のため、価格を安く抑えることが可能です。

しかし、金属色のため、審美性に劣ります。

また、金属アレルギーの原因となる可能性があります。

特にパラジウムによるアレルギーの発症が多く報告されています。

 

3.コンポジットレジン

「CR(シーアール)」、「レジン」などとも呼ばれます。

プラスチックに強度を増すためにフィラーと呼ばれる硬い素材を混ぜた、いわゆる「強化型のプラスチック」ということが出来るでしょう。

保険適応されている白い素材になります。

小さなう蝕の部分に直接詰めることが出来るので、歯を削る量を最小限に抑えることができます。

また、保険適応の前歯の被せ物は、硬質レジン前装冠と呼ばれ、これは金属で製作したフレームの表側に当たる部分にコンポジットレジンを貼り付けて作られています。

裏側は金属ですが、表から見ると白い歯に見えるので、上下の前歯6本の被せ物の保険治療に用いることができます。

しかし、レジンには吸水性があるので、時間が経つにつれて変色や劣化が生じてしまうというデメリットがあります。

また、吸水性によって、プラークなどの汚れも付着しやすくなりますので、しっかりとしたプラークコントロールが必要になってきます。

強度はあまり強くないので、力の大きく加わる部位には使用できません。

硬質レジン前装冠のように金属のフレームを使用せずに、コンポジットレジンのみで製作されるレジンジャケットクラウンという被せ物もありますが、こちらは強度があまり強くないという理由から、使用できる症例に限りがあります。

 

4.ハイブリッドセラミック

コンポジットレジンの強度を上げるために、セラミックの粉末を混ぜたものになります。

それによって、透明感が増すなどの審美性も向上します。

自費のインレー、クラウンに用いられます。

セラミックと名前についてはいますが、どちらかというとレジンの性質が強く、吸水性があり、時間経過と共に着色・変色が認められます。

また、詰め物(インレー)、被せ物(クラウン)に使用できますが、強度がそれほど強くないので、注意が必要です。

近年、CAD/CAM冠(キャドカムカン)という名称で保険の被せ物にも適応となりました。

こちらを使用するには様々な条件がありますので、ご自身の歯に適応するかご相談ください。

 

5.セラミック

無機物を加熱処理し焼き固めたもののことをいい、陶器をイメージしていただけるとわかりやすいかと思います。

コンポジットレジンよりも硬く、とても審美性が良い素材です。

保険適応されないため、自費診療となります。

オールセラミック、e-max、ジルコニアなど様々な種類があり、それぞれに特徴がありますので、詳しくはお問い合せください。

 

6.歯科用金合金 

歯科で用いる金合金とは、金に銀や銅、プラチナなどを加えた合金になります。

保険適応されないため、自費診療となります。

金100%では柔らかすぎるので、使用用途によってその配合を変えて用います。

適合性が良く、経年劣化もほとんど生じないので、2次う蝕になりにくい素材です。

また、生体親和性が高く、歯と同じ位の硬さとしなやかさを持つので、歯の根や、咬みあう歯に対する負担を最小限に抑えることができます。

欠点としては、金色のために審美性に劣るという点です。

また、金属アレルギーの可能性があります。

 

まとめ

アマルガム : 昔よく使用された素材。健康被害が報告されているため、再治療をおすすめします。

金銀パラジウム合金(銀歯) : 強度が高く、詰め物から被せ物まで幅広く使用できる。保険適応。審美性に劣る。金属アレルギーの可能性あり。

コンポジットレジン : 歯を削る量を最小限に抑えて治療することができる。白色で目立たない。保険適応。強度が弱いので、大きな詰め物には使用できない。吸水性があり、着色、変色といった経年劣化がある。

ハイブリッドセラミック : セラミックの粉末を加えることによって、強度と審美性を向上させた素材。保険、自費両方で取扱われる。保険適応されるのは被せ物(クラウン)のみ。様々な条件があるので適応となるかは確認が必要。

セラミック : 審美性に優れ、強度的にも強い。オールセラミック、e-max、ジルコニアなど様々な種類がある。自費診療のみで用いられる。

歯科用金合金 : 生体親和性が高く、歯への負担が少ない優れた素材。審美性に劣る。自費診療のみ。

 

歯科治療では、様々な素材を用います。

虫歯などによって失ってしまった部位を、出来るだけその場所に適した素材で補っていくことが出来るように、素材も日々進化しています。

コンポジットレジンも、10年前と比較すると強度や審美性も向上してきました。

金属を使わないCAD/CAM冠が保険適応されたことなども、大きな変化といえるでしょう。

自分のお口にはどのような素材が適しているのか、どのようなものが選択できるのか、お口の中の状態を確認しながらカウンセリングしていくこともできます。

気になるところなどございましたら、ご相談ください。

 

歯の神経の治療 抜髄・根治と治療法について

2024年1月11日

根管治療は歯を残せるかの瀬戸際かもしれない

一般的な虫歯の治療は、虫歯の部位を削って樹脂を詰めたり、型を採り出来たものを歯に詰めたりする処置が一般的です。しかし、虫歯の状況など歯の状態によっては根管治療といって歯の根の治療(神経を取る治療)をしなくてはならない時があります。どのような時にそうなるのか、どのような治療をするのかを確認しておきましょう。

 

【目次】

・どんな時に神経の処置をするのか

・どういう治療をするのか

・神経を取った歯が痛くなる?

・神経を取った後の歯はどうするのか

・まとめ

 

どんな時に神経の処置をするのか?

 

P0INT☝️:何もしていなくても痛い時や神経を取ったはずの歯が痛む時には要注意。

 

虫歯が神経近くまで進行すると、何もしなくても痛みが出ることがよくあります。一般的に虫歯の治療は虫歯の部位を削り、詰める処置がなされます。

しかし、自発痛という何もしなくても痛みが出ている場合には神経を取る処置が行われることが多いです。見た目には大きく欠けていなくても、歯と歯の間や詰め物と自分の歯の間から虫歯が内部で大きく進行している場合もあり、見た目だけで判断することは難しい場合があります。レントゲン写真を撮ると大きく穴があいている所見があることが珍しくありません。こういった場合には専門的には抜髄という処置が行われます。

 一方で神経を取った歯にも神経の治療をする時があります。これは以前に神経の処置をしたにもかかわらず、痛くて咬めない、歯茎におできの様なものができた場合などが該当します。根の先を根尖というのですが、その周囲に炎症が起きるとそのような症状を呈します。この場合、一度詰め物や被せ物を外して根の治療をすることがあります。神経を取って被せてもどこからか細菌が入り込んで炎症を起こすことがあり、その場合に行われる処置です。

 どちらも根の掃除をしていますが、前者は抜髄、後者は感染根管治療という名で区別されています。どちらかというと、後者の方が治療回数や時間がかかることが多いと思います。

 

どういう治療をするのか

 

P0INT☝️:抜髄も感染根管治療も見た目には区別できないが目的が異なる。

 

抜髄に関しては歯の中の神経組織を取り除く処置を行います。感染根管治療は根の中の感染源や汚染物質を取り除き根管の中をきれいにする処置を行います。どちらもファイルという針のようなものを用いて根の中を掃除します。根の中がきれいになり次第、感染物質が根の中に入らないように材料を根の中にしっかりと詰め込み蓋をします。感染根管治療の場合には、根の中が感染しており、汚染物質をしっかりと取り除かないといけません。その為、1、2回で根の治療が終わらない場合もあります。自由診療で根管治療を行っている歯科医院もあるのですが、そこでは1回でなるべく根管を綺麗にするようにするために時間をしっかりとって行われることが多いようです。歯科医によって使用器具や材料にもこだわって、マイクロスコープやラバーダムを用いて治療される場合が多いと思います。最近ではニッケルチタンファイルというものが保険適用になりました。これは、今まで自由診療で使用されていたファイルで、根の中の形態に沿うようなしなやかなファイルです。1本当たりの単価が高い為、保険診療では採算が取れず使用しにくい状況でしたが、マイクロスコープを有している歯科医院では保険での算定が認められるようになりました。使用したから必ず治るわけではありませんが、歯科医師も患者さんも恩恵があるものと思われます。

 

神経を取った歯が痛くなる?

P0INT☝️:神経を取った後でも痛みが出る場合はあり、痛み止め等で対応してもらう事がある。

 

話は変わりますが、根管治療を行った後は歯やその周囲に痛みが出ることがあります。歯の神経を取ったのになぜ痛くなるのか。治療前は痛くなかったのに治療後から痛くなった。という疑問や不信を抱いてしまう事があると思います。まず、根管治療は歯の神経を取るという歯にとって負荷が大きい治療です。麻酔が切れた後や治療後に痛みが出ることがあります。また、根管治療においては根尖付近(炎症部位)を触ることになるので、一時的に急激に痛みが出ることがあります。そのため、痛くなかった歯が痛くなるという事が生じてしまう事があります。患者さんは不信感を抱くことになってしまうかもしれませんが、そうならないように予防的に痛み止めや抗生剤を処方されることがあると思います。もちろん、必ず痛みが出るわけではありませんし、痛みが出るのが嫌だからと治療を行わないとより深刻な事態を招くこともあるので注意が必要です。

 

神経を取った後の歯はどうするのか</h2>

P0INT☝️:詰め物や被せることが可能であれば行うが、場合によっては入れ歯の支えにする。

 

根管治療が幸い奏功すれば、詰め物をしたり、被せたりして元の形態に戻すように処置を進めていきます。この際に、白い材料にするか、保険の材料にするか選択をするようになります。選択肢は歯科医院や歯の状態により異なるのでよく相談するようにしましょう。しかし、根管治療が上手くいっても被せるには頼りない歯も存在します。その場合には歯の根だけ残す場合もあります。入れ歯を装着中であれば、場合によっては入れ歯の安定に使えるように形を整えたり、材料を根に組み込んだりする場合もあります。

 

まとめ

根管治療は歯を残す最終手段の様な側面があり、痛みが引かない、根の中から膿がずっと出る、歯にヒビや割れがある場合などは抜歯になる事があります。治療に関しても感染根管治療になってしまうと汚染物質を除去しなくてはいけないので場合によっては治療回数や時間が多くかかることも少なくありません。治療を開始してから痛みが引いたからと来院を止めてしまう患者さんもいらっしゃいます。しかし、治っているわけではないので痛みが再発したり、根管の汚染がさらに酷くなったりと状況が当初より悪化するケースもあります。治療が始まったら、歯を残すためにも治療にしっかりと通いましょう。

 

歯肉から血が出た!原因は?対処法は?

2024年1月8日

ブラッシングをした時、血が出た経験はありませんか。
「歯ブラシで傷つけてしまったかも」
その可能性もありますね。
しかし、優しく磨いても、歯肉から血が出ることがあります。
これは何故でしょう。
また、血が出た時は、触らず安静にしておく必要があるのでしょうか。

目次

◯ブラッシングで血が出る原因
◯歯肉炎で出血するメカニズム
◯出血を止めるには
◯出血が止まらない場合
◯歯肉炎から歯周病へ
◯まとめ

 

 

 

◯ブラッシングで血が出る原因

 

ブラッシングで出血する原因は、いくつか考えられます。
力を入れて磨き過ぎたとき、硬めの歯ブラシでゴシゴシ磨いたとき、もともと口内炎などの傷があり、そこに歯ブラシが触れてしまい出血することもあります。
しかし、ブラッシングで出血する原因の多くは、歯肉が腫れて炎症を起こしていることによります。

 

 

 

◯歯肉炎で出血するメカニズム

 

歯肉炎とは、歯肉の中で炎症反応が起きている状態のことをいいます。
歯肉炎が進行していくと、歯周病になっていくのですが、ここではまず、歯肉に限局した炎症である歯肉炎のメカニズムをみていきましょう。

歯肉炎の原因の多くは、お口の中の清掃不良によります。
歯と歯肉のさかい目の部分は、くぼみになっており、汚れが残りやすい部位です。
そこに細菌が集まり、塊状になっていきます。
これをプラーク(歯垢)といます。
すると、身体の免疫機能が、細菌を排除しようと動き出します。
歯肉に存在する「毛細血管」という細い血管が広がり、血流を増やすことによって、白血球をなどの免疫細胞を沢山運んで、細菌に対抗しようとするのです。
毛細血管は、もともと細く弱い血管なので、大量の血液を運んでくることで、少しの刺激でも破れやすくなります。
薄いゴム製の水風船を限界まで膨らませているようなものです。
そのため、ブラッシングなどの刺激で破れ、血が出てしまうのです。
毛細血管は、敵である細菌(プラーク)がいなくなれば、いつもの血流量に戻ります。
つまり、ブラッシングで出血するということは、その部位に細菌が存在し、今まさに血流を増やして細菌と戦おうとしている状態であるということができるのです。

 

 

 

◯出血を止めるには

 

細菌がいなくなれば、血流も元に戻り、通常のブラッシングでは出血しなくなります。
つまり、出血を止めるには、歯ブラシで優しくブラッシングを行い、残っている汚れと細菌をきれいにしていく必要があります。
適正なブラッシングは歯肉のマッサージ効果もあるので、よりいっそう血流が増加し、最初はどうしても出血するでしょう。
しかし、汚れと細菌を除去することが出来れば、歯肉に対する攻撃もなくなります。
それによって、毛細血管も通常の太さに戻り、刺激に対しても破れにくくなります。
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、出血を止めるには、出血を厭わずしっかりブラッシングするのが最善なのです。

 

 

 

◯出血が止まらない場合は

 

ていねいにブラッシングを行っても、歯肉からの出血が止まらない場合もあります。
プラークは、歯面に付着してから時間が経つと、お口の中のカルシウム成分などとくっついて、歯石と呼ばれる硬い状態に変化します。
プラークは歯ブラシで除去できますが、歯石に変化すると歯ブラシでは除去できなくなります。
また、歯肉の下の見えにくい場所にむし歯が出来ていることや、歯根の中で起こった炎症が歯肉に及んでいる可能性なども考えられます。

歯ブラシでていねいに磨いても歯肉からに出血が止まらない場合は、歯科医院で診てもらうようにしましょう。
歯石が原因の場合は、機械で歯石を除去していくことが出来ますよ。

 

 

 

◯歯肉炎から歯周病へ 

ここまでのお話は、歯と歯肉のさかい目あたりで生じている現象です。
歯肉に炎症がおこるので、歯肉炎と呼ばれます。
しかし実際は、この歯と歯肉のさかい目から、歯周ポケットを伝って歯肉のより深い場所へ、炎症は進行していきやすくなります。
歯周ポケットの中で生じた炎症は、深くなればなるほど、御自身での清掃によって改善していくことが難しくなっていきます。
また、炎症が進行していくと、歯槽骨を溶かす歯周病へと進行してきます。
一旦溶かされた骨は、自然に元には戻りません。
出来るだけ早い段階で食い止めていくようにしましょう。

 

 

 

◯まとめ

POINT①:ブラッシングで出血する原因の多くが歯肉炎であり、清掃不良によって生じることが多い。
POINT②:歯肉からの出血を止めるには、炎症の原因である細菌や汚れをブラッシングによって取り除く必要がある。
POINT③:ブラッシングで改善しない場合は、歯ブラシで除去出来ない歯石が付着していることや、別の原因が隠れている可能性もあるので、歯科医院で診てもらうことを勧める。

歯肉炎から歯周病へは気が付かないうちに進行していきます。
気が付いた時には重度の歯周病で歯を失ってしまうことも。
歯肉からの出血は、身体からの大切なサインなのです。
ブラッシングで出血する部位は、意識してしっかり磨くようにしましょう。
また、歯肉からの出血は、血液の病気などが原因の可能性もあります。
歯肉から一度出血するとなかなか止まらない、などといった症状には注意が必要です。

当医院では、定期的な検診および歯科医院での歯石除去を含めたクリーニングをおすすめしております。

歯肉からの出血や、お口の中のことで気になることがありましたら、ご相談ください。

 

知覚過敏の原因となる歯磨き粉の成分

2023年12月16日

みなさん、知覚過敏症はご存知ですか?

知覚過敏症は正式には「象牙質知覚過敏症」といって、冷たいものを飲んだり食べたりしたときや、歯を磨いたときに歯がしみる症状が出ることをいいます。

 

原因は、歯のいちばん表面にある「エナメル質」が虫歯や歯がすり減ることによって削れたり剥がれてしまい、その下の「象牙質」が剥き出しになってしまうことです。

 

象牙質には歯の神経が存在するため、冷たいものや歯ブラシの刺激によってしみると感じてしまうのです。

 

知覚過敏の原因のひとつに、みなさんが普段使っている歯磨き粉の成分「研磨剤」があるのではないかと言われています。

 

今回はその研磨剤が知覚過敏を引き起こす可能性についてお話しします。

 

目次

◯歯磨き粉に含まれている「研磨剤」とは?

◯研磨剤が知覚過敏を引き起こすメカニズム

 ◆エナメル質を削ってしまう

 ◆神経を刺激する

◯研磨剤入りの歯磨き粉を使うメリットとデメリット

 ◆メリット

 ◆デメリット

◯知覚過敏用の歯磨き粉

◯まとめ

 

 

歯磨き粉に含まれている「研磨剤」とは?

わたしたちが日頃使っている歯磨き粉はさまざまな有効成分が含まれていますが、その中でも研磨剤は歯の表面にあるエナメル質の部分に付着した汚れや着色を落とすことを目的とした成分です。

歯磨き粉の種類によってさまざまな物質が使われていますが、主に「リン酸水素ナトリウム」「炭酸カルシウム」「炭酸水素ナトリウム」「無水ケイ素」が使われていることが多いです。現在一般的に販売されている歯磨き粉に含まれている研磨剤には歯を削るほどの力はないと考えて良いですが、粒子が粗いものであればあるほど着色を落としやすい一方で、歯が削れるリスクは高くなります。

 

研磨剤が知覚過敏を引き起こすメカニズム

 

エナメル質を削ってしまう

研磨剤は歯磨きのときに、歯ブラシを使って歯の表面の汚れをこすり落とす働きがあります。正しい歯ブラシの使い方をしていればエナメル質を削ってしまうことはありませんが、力を入れすぎたり、正しい歯ブラシの使い方ができていないと、過剰に歯を削ってしまっている可能性があります。エナメル質は硬い性質を持っていますが、正しくない歯ブラシの使い方をしていると削れて、象牙質が剥き出しになってしまいます。

自分ではできていると思っていても、意外と間違った歯磨きをしているかもしれません。歯科医院へ行って正しい歯の磨き方をしっかり教えてもらいましょう。

 

 

神経への刺激

象牙質は細かい管状の構造をしており、神経が集まっている歯髄までの距離がとても近いです。象牙質に入り込んでいる神経もあります。普段は剥き出しになった象牙質は唾液の成分によって守られているのですが、何らかの原因で守られる力が弱くなると刺激を神経が敏感に感じ取り、痛みを感じてしまいます。これが知覚過敏の原因のひとつとなります。

 

 

研磨剤入りの歯磨き粉を使うメリットとデメリット

メリット

研磨剤入りの歯磨き粉を使うと、知覚過敏の原因になる可能性があることは上記のとおりですが、一方でメリットもあります。

知覚過敏の原因になるからといって研磨剤入りの歯磨き粉が悪いわけではありません。研磨剤は歯ブラシのブラッシングだけでは落としきれない汚れを取り除いてくれます。

たとえば、タバコやワイン、コーヒーをよく飲む方は、これらによる汚れはブラッシングだけでは簡単に取り除くことができませんが、研磨剤入りの歯磨き粉を使うことで取り除くことができます。

また、歯の表面を削ることにより、歯を白く見せるホワイトニング効果もあります。

 

◆デメリット

研磨剤入りの歯磨き粉を使うデメリットは、知覚過敏の原因になること以外にも歯ぐきの炎症を起こしてしまう可能性があります。

研磨剤は硬く、ザラザラした物質のため、歯ブラシで磨くことによって歯ぐきにこすりつけることになります。また、唾液や水に溶けないため、歯磨きの後のうがいが不十分だと研磨剤が口の中に残ってしまうことがあります。口の中に残った研磨剤に食べ残しが付き、歯ぐきに炎症が起きてしまう可能性もあります。そのため、研磨剤入りの歯磨き粉を使う際はしっかりうがいをして歯磨き粉を口の中に残さないようにしましょう。

 

知覚過敏用の歯磨き粉

世の中には、知覚過敏用の歯磨き粉で研磨剤の入っていないものも販売されています。知覚過敏に効果的な成分として、「硝酸カリウム」「塩化アルミニウム」があります。これらは歯の層に働き、歯髄神経の過敏性を和らげる効果があります。

また、フッ素配合の歯磨き粉を使用するのも効果的です。フッ素は象牙質の表面をコーティングすることができるので、歯を刺激から守ることができます。

当院では知覚過敏用の歯磨き粉も販売しておりますので、ひとりひとりに合った歯磨き粉をおすすめすることができます。ぜひご相談ください。

 

◯まとめ

研磨剤入りの歯磨き粉は知覚過敏の原因となる可能性がありますが、正しい使い方をしていれば知覚過敏になることはありません。

歯科医院で正しい歯の磨き方を教えてもらいましょう。

 

初診「個別」相談へのご案内

当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。

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