お子さんの睡眠時無呼吸症候群とその問題点について
2026年2月23日
はじめに
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が止まり、眠りが不十分になることで日中に眠気が出る病気です。
この病気が世間に知られるきっかけとして、公共交通機関の運転手の居眠り事故があったことから、大人の方の病気と思われがちですが、実はお子さんにも起こり得る病気です。
15歳以下のお子さんの2%ほどに睡眠時無呼吸症候群が見られるという報告もあります。
今回は、子どもの睡眠時無呼吸症候群についてご紹介します。
この記事を最後までお読みいただけると、子どもの睡眠時無呼吸症候群がどのような病気なのか、どのような問題があるのか、どのようにして治すのかなどがお分かりいただけると思います。
目次
・子どもの睡眠時無呼吸症候群について
ー 子どもの睡眠時無呼吸症候群とは
ー 重症度の分類
・症状
ー 睡眠中の症状
ー 起きた時の症状
ー 日中の症状
・子どもの睡眠時無呼吸症候群の問題点
ー 脳への悪影響
ー 顎の骨格の成長への悪影響
ー 学校の成績への悪影響
ー 心臓血管系への悪影響
ー 身体の成長発育への悪影響
・治療法
ー 耳鼻科的な治療法
ー 歯科的な治療法
・予防法
・まとめ
子どもの睡眠時無呼吸症候群について
子どもの睡眠時無呼吸症候群は、15歳までのお子さんの睡眠時無呼吸症候群です。
子どもの睡眠時無呼吸症候群とは
寝ている間に呼吸停止が2回以上認められる場合、睡眠時無呼吸症候群とみなされます。
大人との違い
子どもの睡眠時無呼吸症候群と大人の睡眠時無呼吸症候群では、判断する基準が異なります。
大人の睡眠時無呼吸症候群は、『10秒以上の呼吸停止が7時間ほどの睡眠中に30回以上、もしくは1時間に5回以上認められるもの』とされています。
子どものそれでは、呼吸停止の時間は問われませんし、回数も2回分と少なくなっています。
子どもの方が、睡眠時無呼吸症候群とみなすハードルが低いことがわかります。
重症度の分類
子どもの睡眠時無呼吸症候群も、大人と同じく呼吸停止の回数から『軽症』『中等症』『重症』の3つに分類されています。
軽症:1時間あたり1回以上5回未満
中等症:1時間あたり5回以上10回未満
重症:1時間あたり10回以上
大人との違い
重症度分類も大人と子どもでは異なります。
大人では、
軽症:1時間あたり5回以上15回未満
中等症:1時間あたり15回以上30回未満
重症:1時間あたり30回以上
とされているので、子どもの方がよりシビアに重症度分類がなされていることがわかります。
症状
子どもの睡眠時無呼吸症候群では、次のような症状が見られます。
睡眠中の症状
睡眠中の症状としては、次のようなものが挙げられます。
いびき
舌が空気の通り道を塞いでしまうので、いびきをかいたり、寝息が荒くなったりします。
眠りの質の低下
呼吸が止まるので、眠りが浅くなり、熟睡できなくなります。
おねしょ
ホルモンバランスの変化によりおねしょの頻度が高まります。
起きた時の症状
朝起きたときは、次のような症状が現れます。
寝起きの悪さ
寝ているようで眠れていないので、寝不足となり、起こしてもなかなか目を覚まさないほど、寝起きが悪くなります。
お口の乾燥感
呼吸が苦しくなり無意識のうちに口で呼吸することで、お口が乾燥します。
日中の症状
寝ている間だけでなく、日中にも症状が現れます。
居眠り
寝不足により居眠りしやすくなります。
集中力の低下
眠たさが取れないので、ぼーっとしてしまい集中力も下がります。
イライラ
寝不足で疲れが取れず、ストレスがたまりイライラしがちになります。
子どもの睡眠時無呼吸症候群の問題点
子どもの睡眠時無呼吸症候群の方が、大人よりも基準や重症度分類がシビアになっているのは、ここに挙げるさまざまな問題点があるからです。
脳への悪影響
脳は体の中で最も酸素や栄養を必要とする組織のひとつです。
睡眠時無呼吸症候群では、呼吸が止まることで寝ている間の血液中の酸素濃度が低下しますので、脳に十分な酸素が送り届けられず、脳の成長発育に悪影響を与えます。
この結果、注意力の低下や多動、集中力の低下、感情の不安定性を引き起こす可能性が指摘されています。
なお、脳への影響は軽症の睡眠時無呼吸症候群であっても起こり得るほか、睡眠時無呼吸症候群に至らないいびきでも生じることがあります。
顎の骨格の成長への悪影響
睡眠時無呼吸症候群の影響は、顎を中心とするお顔の骨格の成長発育にも及びます。
睡眠中の呼吸状態の悪化を補うための呼吸により、顔つきが面長でしまりがなくなったり、表情筋がゆるんだりするからです。
また、常にお口をぽかんと開けた状態にもなりやすい上、顎の骨格が十分成長できなくなり、歯並びが悪くなる原因にもなります。
学校の成績への悪影響
前述した脳の神経細胞への影響は、記憶を司る海馬という部分にも及びます。
海馬の神経細胞が変性すると、記憶力が低下します。
集中力の低下、日中の眠気なども重なり、学校の成績に悪影響を及ぼすお子さんも多いです。
心臓血管系への悪影響
大人の方では、睡眠時無呼吸症候群により心臓血管系の病気のリスクが高まりますが、これは子どもの睡眠時無呼吸症候群、特に重症例で同様のリスクがあります。
身体の成長発育への悪影響
子どもの睡眠時無呼吸症候群では、扁桃腺が過度に大きくなることが多く、食べ物の飲み込みに支障をきたすことがあります。
そうなると、栄養不足によりお子さんの身長が伸びにくくなったり、体重が増えにくくなったりします。
治療法
子どもの睡眠時無呼吸症候群は速やかに治療を行う必要があります。
治療法は、耳鼻科的な治療法と歯科的な治療法に分けられます。
耳鼻科的な治療法
鼻が詰まりにより睡眠時無呼吸症候群になっているなら、鼻詰まりに対するお薬を処方します。
薬を使っても良くならない場合は、扁桃腺を摘出したり、アデノイドを切除したりするなどの外科処置が選ばれます。
歯科的な治療法
上顎の歯並びが狭い場合や下顎骨の大きさが小さいために舌が喉の方に落ち込んで空気の通り道が狭められている睡眠時無呼吸症候群の場合は、矯正治療が効果的です。
例えば、拡大装置という矯正装置を使って、上顎骨の大きさを広げます。
すると、上顎骨が広がるに伴って、下顎の骨も広がり、お口の容積が拡大します。
お口の容積が拡大すると、舌を収めるスペースも大きくなり、舌が喉の方に落ち込みにくくなり、寝ている間の空気の通り道が確保でき、睡眠時無呼吸症候群が改善できます。
予防法
お子さんが睡眠時無呼吸症候群にならないようにするために大切なことは、顎を含めた、お顔の成長発育です。
小さな頃から柔らかいものばかり食べるのではなく、硬いものを食べる、しっかり噛むことで、顎の骨格の成長発育を促進させましょう。
また、虫歯を放置すると歯並びが乱れ、顎の成長スペースが狭くなってしまうため、小さな頃から虫歯ができないように歯科医院で定期的に虫歯予防を受けるようにしましょう。
まとめ
今回は、子どもの睡眠時無呼吸症候群についてお話ししました。
子どもの睡眠時無呼吸症候群は、15歳ごろまでのお子さんが寝ている間に2回分の呼吸が止まる病気です。
子どもの場合、顎の骨格や脳の成長発育、学習障害などの原因になります。
お子さんの寝起きが悪い、寝息やいびきが気になる、口で呼吸しているなどが見られたら、睡眠時無呼吸症候群かもしれません。
歯科では睡眠時無呼吸症候群を診断することはできませんが、疑わしいかどうかは判断できます。
また当院では、お子さんの睡眠時無呼吸症候群に対し、歯科的な原因が考えられる場合は矯正治療など歯科的な対応を行っています。
お子さんのいびきや寝ている間の息の仕方などが気になる方は、当院でぜひご相談ください。

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