「飲み方で歯の摩耗が進む?」研究でわかった正しい飲み方
2025年12月28日
◯はじめに
「飲み物をズルズル飲むと歯がすり減るって本当?」「炭酸飲料やスポーツドリンクが歯に悪いのは知っているけど、飲み方も関係あるの?」そんな疑問を持ったことはありませんか。実は、同じ飲み物でも飲み方一つで歯へのダメージが大きく変わることが、近年の研究で明らかになっています。今回は、飲み方が歯の摩耗や侵食にどう影響するのか、そして日常生活でできる具体的な予防策について、わかりやすく解説します。
◯目次
◯歯の摩耗・侵食とは?
◆咬耗(かみ合わせによるすり減り)と侵食(酸による溶解)の違い
◆飲み物由来の侵食(erosive tooth wear)とは
◯飲み方が歯に与える影響メカニズム
◆飲む”方法”が歯の表面pHを変える
◆飲み物の性質(pH・緩衝能・カルシウム濃度)も重要
◆「すすぐ飲み方」と「一気飲み」の違い
◯実際に注意すべき飲み方パターン
◆ストローを使って長時間チビチビ飲む
◆就寝前・就寝中に飲む
◆飲料を口の中で転がして味わう
◯日常でできる実践的な予防・対策
◆飲む時は「短時間で一気に」
◆酸性飲料の直後は「水ですすぐ」または「乳製品で中和」
◆酸性飲料直後の歯磨きは避ける
◆定期検診で侵食チェックを受ける
◯まとめ
◯よくある質問(Q&A)
◯歯の摩耗・侵食とは?
◆咬耗(かみ合わせによるすり減り)と侵食(酸による溶解)の違い
歯の表面が削れてしまう原因には、大きく分けて2つのタイプがあります。
1つ目は「咬耗(こうもう)」と呼ばれる物理的なすり減りです。これは歯ぎしりや強い噛み合わせによって、歯と歯が擦れ合うことで起こります。
2つ目は「侵食(しんしょく)」と呼ばれる化学的な溶解です。こちらは酸が歯のエナメル質に直接触れることで、歯の表面からミネラル成分が溶け出してしまう現象です。
この2つは別々に起こることもありますが、多くの場合は同時進行します。その結果、冷たいものがしみる知覚過敏や、歯の見た目が変わってしまうといった問題が起きてしまいます。
◆飲み物由来の侵食(erosive tooth wear)とは
炭酸飲料、スポーツドリンク、オレンジジュースなどの柑橘系飲料、ワインといった酸性の強い飲み物を繰り返し飲むことで、歯のエナメル質が柔らかくなり、表面からミネラルが溶け出していきます。
これを「飲み物由来の侵食」と呼びます。1日に何度も飲んだり、長時間口の中に留めたりすることで、リスクはどんどん高まります。研究でも、酸性飲料を頻繁に飲む習慣が歯の侵食を引き起こす主な原因の一つであることが報告されています。
◯飲み方が歯に与える影響メカニズム
◆飲む”方法”が歯の表面pHを変える
同じ飲み物でも、「どう飲むか」によって歯の表面の酸性度(pH)が大きく変わることがわかっています。
研究によると、飲み物を口の中で含んだまま味わったり、少しずつチビチビとゆっくり飲んだりする方法は、歯の表面が長時間酸性の状態にさらされるため、侵食のリスクが高まります。
一方で、短時間でゴクゴクと一気に飲み込む方法なら、歯が酸に触れる時間が短くなるため、pHの低下も小さくて済みます。つまり、”チビチビ飲み”は科学的に見ても歯にとって危険な飲み方なのです。
◆飲み物の性質(pH・緩衝能・カルシウム濃度)も重要
飲み物が歯に与える影響は、単にpH(酸性度)が低いかどうかだけでは決まりません。他にも大切な要素があります。
まず「緩衝能」です。これは飲み物が酸性の状態を維持しやすい性質のことです。緩衝能が高いと、唾液で薄まっても酸性が長く続くため、歯への影響が大きくなります。
次に「カルシウムの量」も重要です。炭酸飲料やスポーツドリンクの多くは、pHが低く、緩衝能が高く、カルシウムがほとんど含まれていません。そのため歯からミネラルを奪いやすく、侵食を進めてしまいます。
逆に牛乳やチーズといった乳製品はカルシウムが豊富で、口の中の酸を中和したり、歯の再石灰化(修復)を助けたりする働きがあります。
◆「すすぐ飲み方」と「一気飲み」の違い
ワインを味わうように口の中で飲み物を転がしたり、じっくり味わうために口に含んだままにする習慣(スワリング)は、歯全体が長い時間酸に触れ続けるため、侵食の範囲が広がってしまいます。
一方、短時間でサッと飲み干せば、歯が酸にさらされる時間が短くなるため、ダメージを減らすことができます。ただし、飲む回数そのものが多ければ意味がないので、飲む頻度自体を減らすことも大切です。
◯実際に注意すべき飲み方パターン
◆ストローを使って長時間チビチビ飲む
デスクワークをしながら、ストローで少しずつ飲み続ける習慣はありませんか?
「ストローなら前歯に直接触れないから大丈夫」と思われがちですが、実はこれも危険な飲み方です。少量ずつ長時間飲み続けることで、口の中が常に酸性の状態に保たれ、結果的に歯全体の侵食リスクが高まってしまいます。
◆就寝前・就寝中に飲む
寝る直前に酸性飲料を飲むのは特に危険です。
睡眠中は唾液の分泌量が大幅に減るため、口の中を洗い流す自浄作用が弱まります。そのため酸が長時間口の中に留まり、侵食がどんどん進んでしまいます。就寝前の酸性飲料は絶対に避けましょう。
◆飲料を口の中で転がして味わう
ワインやお茶を味わうときに、口の中で転がすように飲む習慣(スワリング)は、歯全体が酸に触れる時間を大幅に増やしてしまいます。
その結果、広い範囲で侵食が起こりやすくなります。特に酸性の強い飲み物では、この飲み方は避けるべきです。
◯日常でできる実践的な予防・対策
◆飲む時は「短時間で一気に」
チビチビと長時間かけて飲むのではなく、短時間でサッと飲み切ることで、歯が酸に触れる時間を大幅に減らせます。
仕事中にこまめに飲みたい場合は、飲む時間を決めて「この時間にまとめて飲む」といった工夫をすると効果的です。
◆酸性飲料の直後は「水ですすぐ」または「乳製品で中和」
酸性の飲み物を飲んだ後は、すぐに水で軽く口をすすぐだけでも、口の中の酸を薄めることができます。
さらに効果的なのは、チーズや牛乳を摂ることです。これらに含まれるカルシウムやリンが歯の再石灰化を助け、保護効果が期待できます。また、糖分の入っていないガムを噛んで唾液の分泌を促すのも有効な方法です。
◆酸性飲料直後の歯磨きは避ける
「飲んだらすぐ歯を磨けばいい」と思っていませんか?実はこれは逆効果です。
酸で柔らかくなったエナメル質を、歯ブラシでゴシゴシこすってしまうと、物理的に削り取ってしまう恐れがあります。多くの歯科ガイドラインでは、酸性飲料を飲んだ後は30分〜1時間ほど待ってから歯を磨くことを推奨しています。
その待ち時間の間に、水で口をすすいだり、ガムを噛んで唾液を出したりすると良いでしょう。
◆定期検診で侵食チェックを受ける
歯の侵食は自覚症状が出にくいため、気づいたときにはかなり進行していることも少なくありません。
早期に発見できれば、フッ化物の塗布や生活習慣の見直しで進行を抑えることができます。酸性飲料を日常的に飲む習慣がある方は、3〜6ヶ月に一度は歯科検診を受けることをおすすめします。
◯まとめ
飲み物の「種類」だけでなく、「飲み方」が歯の摩耗や侵食に大きく影響することがおわかりいただけたでしょうか。
特に注意したいのは、「長時間にわたるチビチビ飲み」「口の中で含んだり転がしたりする習慣」「就寝前の酸性飲料の摂取」です。これらはリスクが高いため、日常生活で見直してみましょう。
歯を守るために今日からできる対策は次の通りです。
・飲むときは短時間で一気に飲む
・飲んだ後は水で軽く口をすすぐ
・飲んだ直後に歯を磨かず、30〜60分待つ
・乳製品や無糖ガムで唾液を増やし、再石灰化を助ける
もし気になる症状があれば早めに歯科を受診してください。小さな変化を見逃さないことが、大切な歯を守る第一歩です。
◯よくある質問(Q&A)
Q1:炭酸飲料を毎日飲んでいます。どうすれば歯に優しくなりますか?
A1:飲む回数を減らすことがまず大切です。飲むときは短時間で飲み切り、飲んだ後は水で口をすすぐか無糖キシリトールガムを噛む。就寝前は避けましょう。
Q2:ダイエット用の“ゼロカロリー飲料”でも影響ありますか?
A2:カロリーがゼロでも酸性であれば侵食リスクはあります。成分表示やpH情報に注意してください。
Q3:寝る前に温かい飲み物(レモンティーなど)を飲むのはどうですか?
A3:睡眠中は唾液分泌が低下するため、就寝直前の酸性飲料はリスクが高いです。可能なら就寝1時間以上前に済ませ、水で口をすすぐことをおすすめします。

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