歯周病予防のためにできること!
2024年9月20日
皆さんは歯周病にどのようなイメージがあるでしょうか?
昔は歯槽膿漏と呼ばれていました。テレビや広告で歯周病予防の歯みがき粉の宣伝をみることも多いですよね。
歯周病は日本人の30代の3人に2人が罹患しており、45歳以上では半数以上の方が歯周病と言われるほどの国民病です。実は日本人が歯を失う原因の第一位はむし歯ではなく歯周病なのです!
そして歯周病はお口の中だけでなく、糖尿病や心臓病、誤嚥性肺炎など様々な全身疾患に悪影響を及ぼすことが知られています。
健康寿命を延ばすためにはお口の健康が大切。そしてそのためには歯周病予防が欠かせません!
この記事では、歯周病がどのような病気なのか、またその予防のために重要なポイントについてご紹介します。
目次
- ◯歯周病とはどのような病気か
- ◆歯周病の原因
- ◆歯周病はどのように進行するか
- ◆歯周病の症状
- ◯歯周病が全身に及ぼす影響
- ◯歯周病予防のために大切なこと
- ◆日々のセルフケア
- ◆クリニックでのプロフェッショナルケア
- ◆できれば禁煙を!
- ◯まとめ
歯周病とはどのような病気か
歯周病の原因
私たちの口の中には300〜700種類もの細菌がいると言われており、その中には歯周病の原因となる歯周病原細菌と呼ばれる細菌がいます。
歯周病の原因となるのは、この細菌の塊である歯垢(プラーク)です。
食事で糖分を摂ると、その糖を元にネバネバした物質を生成する細菌が増えます。もし歯磨きが不十分だと、このネバネバした物質に細菌が付着し、固まりとなって歯垢(プラーク)を作ります。プラーク1gには、なんと1000億個もの細菌が含まれており、これが歯周病を引き起こす原因となります。
歯周病はどのように進行するか
歯周病の原因となる細菌は酸素を嫌うため、歯の周りの歯周ポケットを好みます。
プラーク中の細菌が歯周ポケットの中に侵入し、歯ぐきを攻撃する毒素を出すことで歯ぐきに炎症が起こることで歯周病が始まります。
初期の状態であれば、歯磨きでプラークをしっかりと取り除くことで歯ぐきは元の状態に戻ります。しかしプラークが付いて時間が経つと、さらに強固にくっつきなかなか取れにくくなります。
歯ぐきの炎症が進行すると、炎症が歯ぐきだけでなく歯を支える骨にまで広がり骨が溶け始めます。すると歯周ポケットが深くなり、最近はどんどん歯ぐき奥まで侵入します。こうなると歯磨きでプラークを取り除くことは難しくなります。こうして歯周病は進行していきます。
炎症が進むと歯を支える骨が溶けていき、歯がぐらぐらしたり最終的には歯が抜けてしまうこともあるのです。
歯周病の症状
歯周病の初期は歯ぐきの赤みや歯磨きの時の出血などの症状が現れます。痛みはないことが多く、自覚症状がないことも少なくありません。
歯周病が進行すると、歯ぐきの腫れや歯ぐきが下がることにより歯が長くなったように見えることもあります。歯がぐらぐらし始めたり、歯の根が露出することで知覚過敏の症状が出る場合もあります。
歯周病が重度になると、歯ぐきから膿が出たり口臭も強くなります。歯のぐらぐらが大きくなり、噛むことが難しくなったり自然と歯が抜けてしまうこともあるのです。
歯周病が全身に及ぼす影響
歯周病は細菌が歯周ポケットに侵入し、歯ぐきに炎症を繰り返している状態です。このため、歯周病の方は常に口の中で炎症が起きています。
この炎症によって生じる毒性物質が歯ぐきの血管に侵入し、全身に回ると様々な病気に悪影響を及ぼします。
例えば、糖尿病です炎症性物質は血糖値を低下させるインスリンの働きを邪魔し、血糖値を下げにくくします。その結果糖尿病を悪化させます。
糖尿病の方の歯周病治療を行うと、糖尿病の数値が改善することが知られています。
また動脈硬化を誘導し心筋梗塞や狭心症のリスクを高めたり、妊娠中の方が歯周病に罹患していると早産や低出生体重児のリスクが高まります。
歯周病予防のために大切なこと
歯周病の原因は口腔内の細菌の塊であるプラークです。
歯周病予防のためにはこのプラークを物理的にしっかりと取り除くことが大切です。
日々のセルフケア
歯周病予防に最も大切なことは日々の歯磨きです。歯磨きの仕方を習ったことがありますか?
定期的に歯科医院に通いお口の中をきれいにしても、日々の歯磨きが不十分でプラークがたまっていると歯周病は進行してしまいます。
大人になってから歯磨きの仕方を習ったことがない、という方も多いと思います。
お口の中の状態によって適切な歯ブラシやフロス・歯間ブラシなどの補助器具の選択や使い方は変わります。
是非一度クリニックで歯磨きの仕方についてご相談ください!
クリニックでのプロフェッショナルケア
毎日の歯磨きをしっかり行っていても、どうしても磨き残しが生じる部分があります。また、残ったプラークが硬い歯石になると歯磨きでは取り除けません。
これを防ぐためには、定期的に歯科医院でのプロフェッショナルケアを受けることが重要です。専門家によるケアで、細かな部分まで徹底的にプラークを取り除くことで、より健康的な口腔環境を維持することができます。
できれば禁煙を!
タバコを吸うと血管が収縮し、歯ぐきへの血流が悪化します。その結果、喫煙者は歯周病が進行しやすく、治療しても回復が難しくなることが知られています。
さらに、タバコは歯周病だけでなく、さまざまな健康問題にも悪影響を及ぼします。歯周病の予防には禁煙が非常に効果的です。
まとめ
歯周病はとても多い病気ですが、初期のうちは自覚症状が少なく気が付いた時には進行してしまっていることが少なくありません。歯周病の悪化はお口の中はもちろん、全身にも様々な悪影響を及ぼします。
歯周病の予防には日々のセルフケアと定期的な歯科検診が欠かせません!
健康なお口と身体で健康寿命を延ばすために、是非歯科医院にいらしてくださいね。