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摂食嚥下とは??

2024年10月14日

『山形県の日本料理店が、摂食嚥下がうまくいかない人にも見た目や味が楽しめる「ハレの日の食事」を提供している。』と今月、報道されていました。この日本料理店の支配人さんは、地域の医療・介護関係者が始めた「摂食嚥下がうまくいかない人の食事を考える研究会」に参加し、管理栄養士や言語聴覚士からアドバイスを受けながら、レシピを開発してきました。 地元産の地魚の握りずしや庄内牛のステーキなど、見た目がほぼ同じ料理を家族と一緒に楽しめることは、摂食嚥下がうまくいかない人にとって大きな喜びだそうです。

目次

  • 摂食嚥下とは
  • 摂食嚥下の5期モデルのメカニズム
  • 嚥下食とは
    • 調理のポイント
  • 子どもの摂食嚥下
    • 哺乳期
    • 離乳期
  • まとめ

摂食嚥下とは

摂食嚥下とは、食べ物や水分を口から胃に送り込む一連の動作のことです。摂食嚥下には、次にお話する5つの段階があります。
摂食嚥下は、加齢や病気などで障害されることがあります。摂食嚥下障害は、誤嚥(食べ物が気管に入ること)や誤嚥性肺炎(誤嚥で肺に細菌が入り炎症を起こすこと)などの合併症を引き起こす可能性があります。摂食嚥下障害は、生活の質や予後に影響します。摂食嚥下障害の診断と治療には、医師や歯科医師、言語聴覚士などの多職種の連携が必要です。

①摂食嚥下の5期モデルのメカニズム

摂食嚥下の5期モデルのメカニズムについて説明します。

⑴先行期

食べ物を視覚や嗅覚などで認識し、食欲や食べ方を判断する段階です。この時、脳の高次機能が働きます。食べ物に対する興味や好み、記憶や感情などが影響します。先行期に障害があると、食べ物を見ても反応しない、食べたくない、食べ方がわからないなどの問題が起こります。

⑵準備期

食べ物を口に運び、咀嚼して唾液と混ぜ合わせて飲み込みやすい状態にする段階です。この時、口腔の筋肉や歯が活動します。食べ物の硬さや大きさに合わせて咀嚼力や速度を調整します。準備期に障害があると、食べ物を口に入れるのが困難だったり、咀嚼できなかったり、唾液が不足したりすることがあります。

⑶口腔期

舌の運動で食べ物を咽頭に送り込む段階です。この時、舌と口蓋で食べ物を挟んで押し出します。舌は前方から口蓋に押し付けて圧力をかけます。口腔期に障害があると、舌の動きが弱くなったり、食べ物が口からこぼれたり、誤って咽頭に送り込んだりすることがあります。

⑷咽頭期

喉頭が挙上して嚥下反射が起こり、食べ物を気管から守りながら食道に送り込む段階です。この時、喉頭蓋や声帯が気道を閉鎖します。咽頭期に障害があると、嚥下反射が遅れたり、気道閉鎖が不完全だったりして誤嚥したりすることがあります。

⑸食道期

食道の蠕動運動で食べ物を胃に送り込む段階です。この時、食道括約筋が開閉して食べ物を進めます。食道期に障害があると、食道括約筋の収縮や弛緩が不十分だったり、逆流したりすることがあります。

嚥下食とは

嚥下食とは、嚥下機能が低下した人に適した食事のことです。嚥下機能とは、食べ物や水分を口から胃に送り込む能力のことです。嚥下機能が低下すると、誤嚥(食べ物が気管に入ること)や誤嚥性肺炎(誤嚥で肺に細菌が入り炎症を起こすこと)などのリスクが高まります。嚥下食は、このようなリスクを減らすために、食べ物の形態やとろみを調整して飲み込みやすくする食事です。

調理のポイント

嚥下食は、各レベルに応じて、食べ物の形態やとろみを調整して飲み込みやすくする必要があります。
嚥下食を調理する際のポイントは、以下のようになります。

  • 噛む力が弱い人には、食べ物を適度な厚みと大きさに切り、歯茎でつぶせる程度にやわらかく加熱します。例えば、肉は煮込んだりハンバーグにしたりします。
  • 口の中でまとめる力や飲み込む力が弱い人には、舌と上あごでつぶせる程度にやわらかく加熱するとともに、つなぎやとろみづけになる食材を加えて咽頭に送りやすい形状にします。例えば、野菜はペースト状にしたりあんかけにしたりします。
  • 飲み込みにくい食品は避けるか、工夫して調理します。例えば、硬くて噛みにくいもの(ごまなど)、ポロポロしてまとまらないもの(トウモロコシなど)、ペラペラして喉に貼りつきやすいもの(餅など)、パサパサして水分の少ないもの(パンなど)は、刻んだりミキサーにかけたりしてゼリー状やペースト状にするなどします。

子どもの摂食嚥下

子どもの摂食嚥下は、生まれてから徐々に発達していきますが、個人差や基礎疾患などによって障害が起こることがあります。子どもの摂食嚥下障害は、摂食嚥下機能の発達期であるという特徴があります。

②哺乳期

哺乳期とは、生後0ヶ月から5ヶ月くらいまでの期間で、主に母乳やミルクを飲むことで栄養を摂る段階です。哺乳期の子どもの摂食嚥下には、以下のような特徴があります。

 ◆②―⑴哺乳反射

哺乳反射とは、口に触れるものに反応して吸う動作をする反射です。哺乳反射は生まれつき備わっている機能で、生後5ヶ月くらいまでに消失します。

 ◆②―⑵呼吸と嚥下が同期

呼吸と嚥下は同じ気道を共有するため、同時に行うことはできません。成人では嚥下時に呼吸を一時的に止めますが、哺乳期の子どもは呼吸を止めずに嚥下することができます。これは、喉頭が高く位置し、気道と食道の入り口が近いためです。

 ◆②―⑶口腔内圧が高くなる

哺乳期の子どもは口腔内圧を高めることで母乳やミルクを効率的に吸うことができます。口腔内圧を高めるためには、唇や頬や舌などの口腔筋肉が活発に動きます。

③離乳期

離乳期とは、生後5ヶ月から12ヶ月くらいまでの期間で、主に固形物を食べることで栄養を摂る段階です。離乳期の子どもの摂食嚥下には、以下のような特徴があります。

 ◆③―⑴哺乳反射の消失

哺乳反射とは、口に触れるものに反応して吸う動作をする反射です。哺乳反射は生後5ヶ月くらいまでに消失します。

 ◆③―⑵咀嚼機能の発達

咀嚼機能とは、食物を歯や舌で細かく砕くことです。咀嚼機能は、歯の生え方や食物の硬さや大きさに応じて変化します。最初は歯茎で押しつぶす程度ですが、次第に臼歯で砕くようになります。

 ◆③―⑶成人嚥下へ移行

成人嚥下とは、食物を飲み込む際に呼吸を一時的に止めることです。哺乳期の子どもは呼吸を止めずに嚥下することができますが、離乳期になると呼吸と嚥下の協調が必要になります。

まとめ

嚥下障害の診断には、造影検査や内視鏡検査、唾液嚥下テストや水飲みテストなどを行います。
嚥下障害の治療には、食物の形態や量・速度・頻度の調整、姿勢や頭位の工夫、口腔ケア、リハビリテーションがあります。
嚥下障害は、重篤な合併症を防ぐために早期発見・早期介入が重要です。またそのニーズや希望に応じた個別化された治療計画を立てることが必要です。嚥下障害は、食事だけでなくコミュニケーションや社会参加にも影響するため、生活全体を支援する視点も大切です。

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