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すきっぱという歯列不正と舌圧の関係

2025年7月25日

はじめに

歯列不正の1つに「すきっぱ」というものがあります。
これは、歯と歯の間にすき間が空いている状態で、「空隙歯列弓(くうげきしれつきゅう)」とも呼ばれます。
この「すきっぱ」には様々な原因があるのですが、その1つに舌圧(ぜつあつ)というものがあります。
今回は、「すきっぱ」と舌圧の関係について、お話していきましょう。

目次

1. 歯並びと筋肉のバランス
2. 舌圧がもたらす不正咬合
3. 舌圧が高くなる原因について
 ◆3-1. 指しゃぶり癖や舌突出癖
 ◆3-2. 低位舌
 ◆3-3. 歯の本数が足りない、すき間が存在する
 ◆3-4. 口呼吸
4. すきっぱのデメリット
5. 舌圧による不正咬合の治療で大切なこと
6. まとめ

1. 歯並びと筋肉のバランス

歯は、顎骨によって支えられていますが、実は、筋肉によっても支えられています。
歯の外側には、頬の筋肉(頬筋)や、唇周囲の筋肉(口輪筋)があります。
そして、これらの筋肉によって、歯は外側から内側に向かって押されています。
それと同時に、筋肉の塊から成る舌によって、内側から外側に向かって押されているのです。
つまり、歯は常に外側と内側の筋から押され、その押される力のバランスによって適正な位置に並んでいることができるのです。
このことを「バクシネータ メカニズム(頬筋機能機構)」と呼び、舌が歯を押す力を「舌圧(ぜつあつ)」といいます。
では、この舌圧が強すぎる場合は、どうなるのでしょうか。

2. 舌圧がもたらす不正咬合

きれいな歯並びや咬み合わせを維持するのには、外側と内側からの筋力のバランスが重要になってきます。
遺伝的に舌の大きさが大きい場合や、外側から押される力よりも、内側から押される舌圧のほうが強いと、歯が外側に向かって傾いてしまうことや、歯と歯の間にすき間が空く「すきっぱ」になってしまうことなどがあります。
成長期においては、この筋力のバランスが顎骨の成長にも関わってきます。
また、成人の方の場合も、歯並び、および咬み合わせを維持していくために、このバランスが大切になってくるのです。

3. 舌圧が高くなる原因について

舌圧が高くなる原因にはどのようなことがあるのかをみていきましょう。

3-1. 指しゃぶり癖や舌突出癖

幼少期に指しゃぶりの癖があると、前歯が前方に向かって傾いてしまいます。
その結果、奥歯でしっかり咬んでも、上下の前歯の間にすき間ができてしまう、いわゆる「開咬(かいこう)」という歯並びになりやすくなります。
さらに、開咬の場合は食べ物、飲み物を飲み込む際に上下の前歯のすき間に舌を突出させる「舌突出癖」が生じやすくなります。
これによって、飲み込むたびに舌圧が歯に加わることになるのです。

3-2. 低位舌

正常なリラックスしたお口の中の状態では、舌は上顎の前歯の裏側の根元から奥に少し入った「スポット」と呼ばれる位置に舌の先端が軽く触れており、適度に緊張した状態を保っています。
上下の歯と歯の間には少しすき間が空いていて、唇は閉じられている。
この状態が、リラックスした状態でのお口の中の理想的な位置関係となります。
しかし、舌が大きい場合や、舌に全く力が入っておらず、だらんとしている場合は、舌が低い位置にあり、上下歯列の間に挟まっていたり、下顎の歯列の内側いっぱいに広がっていて、常に下顎の歯並びを外側に圧迫していたりします。
舌が低い位置にあると鼻呼吸がしにくいために、口呼吸にもなりやすくなります。

3-3. 歯の本数が足りない、すき間が存在する

乳歯が早く抜けてしまった場合や、虫歯などによって早期に歯を失った場合、歯並びの一部にすき間が生じることになります。
そのすき間に舌を入れる(突出する)癖があると、舌の力によって周囲の歯が外側に向かって傾いてくるなど、歯並びがずれてしまいやすくなります。

3-4. 口呼吸

慢性的な鼻炎やアデノイドなどの疾患によって鼻呼吸がうまく出来ないと、口呼吸になります。
また、最近では鼻の疾患がなくても、お口の周りの筋力不足によって、常にポカンとお口を開いているお子さんをよく見かけます。
口呼吸は、歯の内側と外側のバランスが崩れやすくなります。
歯の外側の筋肉が弱くなり、舌も低い位置にあることによって、内側から歯列を圧迫する力が常に加わってしまうのです。

このようにして、舌圧が高くなることによって、「すきっぱ」になりやすくなってしまうのです。

4. すきっぱのデメリット

すきっぱにはどのようなデメリットがあるのかをみていきましょう。

  • 歯と歯の間のすき間から空気が漏れるので、サ行、タ行の発音が不明瞭になりやすくなります。
    大人になってから、滑舌が気になる方も多くみられます。
  • 歯と歯のすき間に食べかすが詰まることで、口臭や虫歯、歯周病のリスクが高まります。
  • 歯と歯の間にすき間があることによって食べ物が挟まりやすく、しっかり咬むことが難しくなります。
    食べ物をあまり咬まずに丸のみしてしまう習慣が付きやすく、それによって消化器官への負担が大きくなります。
  • 歯は、隣接する歯と接していることによって、支え合っています。
    咬む力が加わったとき、食物を咬んでいない歯も、隣で一緒に支えてくれているのです。
    歯と歯の間にすき間があると、1本の歯にかかった咬み合う力を周囲の歯に分散することができず、負担過多になります。
    その結果、歯の寿命が短くなることが考えられます。
  • 前歯部のすきっぱの場合は他人からみて目立ちやすいので、見た目を気にされる方が多いです。
    歯を見せて笑うことをためらったり、しゃべる際に口元を隠す癖がついたりと、コンプレックスに感じてしまう方が多いようです。

5. 舌圧による不正咬合の治療で大切なこと

舌圧によって、すきっぱになった場合、矯正治療によって外側に広がったアーチを小さくすることが可能です。
しかし、その前に大切なことがあります。

それは、不正咬合の原因をしっかりと診断し、取り除くことです。
不正咬合の原因を改善せずに矯正治療を行い、歯をきれいに並べたとしても、またすぐ後戻りしてしまいます。

特に、悪習癖による舌圧が原因の歯列不正の場合、矯正治療によって歯を内側に動かす力をいくら加えても、舌圧によって歯を外側に押す力が同時に加わっている状態では、歯を適正な位置に移動することができずに、いつまで経っても治療が進まない恐れもあります。

まずは筋機能療法などによって、舌の位置や動きを改善し、舌圧のコントロールをした上で、歯を動かす治療に進んでいくようにしましょう。

6. まとめ

  • 歯は、顎骨だけではなく、筋肉によっても支えられています。
    そのため、顎骨と歯の大きさの関係だけでなく、周囲の筋のバランスが崩れることが歯列不正につながることもあります。
    その一つが、舌圧が強いことによる、すきっぱという歯列不正です。
  • 舌圧が高くなる原因としては、舌習癖や舌の大きさ、口呼吸などがあります。
  • すきっぱのデメリットとしては、発音障害、虫歯や歯周病のリスク、歯や消化器官への負担増大、審美性の低下などがあります。
  • 舌圧が原因の不正咬合の場合、歯を動かす矯正治療に入る前に、まずは舌習癖などの原因を取り除いた上で、歯の動的治療に進むことが大切です。

舌圧が原因の不正咬合の場合、舌圧を排除できないまま矯正治療を行うと、例え歯がきれいに並んだとしても、保定装置を一生使い続けないと後戻りが起こりやすくなります。

それどころか、舌圧が高いまま矯正治療を開始した場合、歯並びを内側に動かす矯正治療の力と、外側に圧迫する舌圧が拮抗してしまい、歯が動かないまま治療期間が果てしなく長くなってしまう危険もあります。

当院では、現在の歯並びだけではなく、どうして歯列不正が生じたのか、その原因をしっかり究明した上で、矯正治療に取り組んでまいります。

歯並びで気になることがございましたら、お気軽に当院にご相談ください。

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