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オーラルディスキネジアとは??

2025年6月9日

はじめに

オーラルディスキネジアという言葉を聞いたことはありますか。

「ディスキネジアなら聞いたことがあるかも」
「薬の副作用で説明された気がする」

そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。
オーラルディスキネジアは、悪癖として見過ごされてしまいがちです。
時に、本人ですらその症状に気が付かないこともあります。
しかし、症状が長く続くことで、お口の中だけにとどまらず、全身の健康を損なう恐れがあるのです。

今回は、オーラルディスキネジアについて、お話していきましょう。

目次

1. オーラルディスキネジアって、どんなこと?
2. オーラルディスキネジアによって生じる問題とは?
 ◆ お口の中のケガ、歯のすり減り
 ◆ 顎関節や顎骨への悪影響
 ◆ 摂食嚥下機能の低下
 ◆ 言語障害・社会的機能障害
3. オーラルディスキネジアの治療法
4. まとめ

1.オーラルディスキネジアって、どんなこと?

ディスキネジアとは、自分の意思とは関係なく、身体の一部分が動いてしまうことをいいます。

具体的には、「繰り返し唇をすぼめる」「舌を左右に動かす」「口をもぐもぐさせる」「口を突き出す」「歯を食いしばる」「目を閉じるとなかなか開かずしわを寄せている」「勝手に手が動いてしまう」「足が動いてしまって歩きにくい」「手に力が入って抜けない」「足が突っ張って歩きにくい」(厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル ジスキネジア」より抜粋)などが挙げられます。

この中で、お口の周囲に現れる動きのことを、オーラルディスキネジアと呼びます。

ディスキネジアには、明らかな原因がないものと、お薬の副作用として出現するものがあります。

ディスキネジアを引き起こすお薬としては、抗精神薬や、パーキンソン病の治療薬などが挙げられます。

このようなお薬を服用している方に関しては、上記のような症状がないか、常に気にかけておくことが大切です。

もし、心当たりがあれば、かかりつけの医師や、神経内科・精神科の医師に早めに相談するようにしましょう。

2.オーラルディスキネジアによって生じる問題とは?

オーラルディスキネジアによって、お口の中にどのような問題がでてくるのかをみていきましょう。

◆お口の中のケガ、歯のすり減り

お口や顔の筋肉が、自分の意思と関係なく動いてしまうため、舌や頬、唇を咬んでしまうことがあります。

また、歯と歯、歯と入れ歯が食いしばりなどによって慢性的に当たることにより、歯がすり減ることや、入れ歯や歯の被せ物が壊れてしまうことがあります。

◆顎関節や顎骨への悪影響

慢性的に顎を動かしていることによって、顎関節に炎症が生じ、痛み、口の開けづらさ、関節がずれてしまう(脱臼)ことなどがあります。

また、顎骨に常に力が加わることによって、顎の骨に炎症が生じることや、骨が痩せて入れ歯が合わなくなることがあります。

◆摂食嚥下機能の低下

お口や顔の筋肉が不規則に動いてしまうために、食べ物を咬んだり、飲み込んだりすることが難しくなることがあります。

それによって、十分な栄養をとることができずに、体重が減少してしまうこともあるのです。

◆言語障害・社会的機能障害

うまく発音ができなくなることや、自分自身で制御できない身体の動きのために、他人の目が気になってしまう方も少なくありません。

それによって、社会参加を控えてしまい、孤立・引きこもり・うつ病の発症などの危険性があります。

3.オーラルディスキネジアの治療法

ディスキネジアの治療法としては、原因が不明な場合は根本的な治療は難しく、症状に寄り添った対処療法を行っていくことになります。

薬剤の副作用の場合は、原因薬剤の減量・中止、他の薬剤への変更などを慎重に検討していきます。

お口の中の症状に対する対処法としては、以下のような方法があります。

  • 咬み合わせの調整を行い、出来るだけ歯に対する力が均等に分散するようにしていく。
  • すり減ってしまった被せ物や、入れ歯の作り直し。
  • とがっている歯を丸めるなど、外傷の予防。
  • 歯および顎関節への負担軽減のためのマウスピース製作。

これらは、その方のお口の中の状態や、症状に合わせて行っていくことが大切です。

4.まとめ

  • オーラルディスキネジアとは、自分の意思とは無関係に身体の一部分が動いてしまうことをいい、お口の周囲に現れる動きのことをオーラルディスキネジアと呼びます。
  • ディスキネジアの原因は明らかになっていないものもありますが、抗精神薬やパーキンソン病の治療薬などの副作用として出現することがあります。
  • オーラルディスキネジアによって、お口の中を咬んでしまうことや、歯のすり減り・入れ歯や被せ物の破損・顎関節や顎骨への悪影響が生じやすくなります。
    また、飲食がしにくくなり体重が落ちる・発音がしにくくなる・社会参加を控えるなど、精神的・身体的な影響もあります。
  • ディスキネジアの根本的な治療は難しい場合もありますが、原因薬剤の見直しや、症状に合わせた歯科的対処を行っていくことが重要です。

ディスキネジアは、周囲から見て病気なのか悪癖なのか、わかりにくいところがあります。

オーラルディスキネジアは、近くで接すると、その動きが目に付いてしまうので、気にされる方も多いでしょう。

また、そのまま放置してしまうと、様々な悪影響を生じかねません。

「あれっ?」と思ったら、まずは主治医の先生に相談してみましょう。

また、オーラルディスキネジアと診断された場合は、お口の中に影響が出ていないか歯科を受診することをおすすめします。

外出が難しいようでしたら、訪問歯科診療を検討してみるのも良いですね。

笠貫歯科クリニックでは、患者様に寄り添った診療を心掛けております。

何か困ったことや、気になることがございましたら、ご相談ください。

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