歯科矯正は医療費控除の対象になるか?
2025年5月12日
歯科矯正と聞くと、高額な治療のイメージがあります。最近では、比較的安価な治療法も出てきていますが、それでも数十万円といったところです。できれば、家計の負担を少なく矯正治療を受けられたらいいですよね。ところが、歯科矯正治療は一般的に医療保険が効かない自由診療であるため医院によって価格はまちまちで保険診療の窓口負担額に比べると高額の支払いになることがおおいです。歯科矯正が必要と言われたけど、費用の負担が重すぎると感じた方は多いのではないでしょうか。今回は、歯科矯正の費用にまつわるお話を解説していきます。
目次
◯歯科矯正治療はどうして高額なの?
◯高額な医療費の負担を減らす、医療費控除とは?
◯医療費控除を申請したい場合の注意点
◯まとめ
歯科矯正治療はどうして高額なの?
歯科矯正治療の治療費は一般的に数十万円からとなります。これは、歯科矯正治療は医療保険の適用外となるためです。虫歯の治療などの場合、医療保険が適用されると、治療費のうち窓口で支払うのは1〜3割です。残りの7〜9割は、加入している保険組合などから支払われます。会社勤めをしている方であれば、お給料から社会保険料があらかじめ天引きされており、会社から支給される医療保険証を持って病院を受診することで窓口では1~3割の患者負担額を支払うという制度になっています。ところが、歯科矯正では医療保険の制度は適用にならず、患者さんが治療にかかった費用を窓口で全額支払うことになっています。保険外治療となるため、一般的な治療法はなく、医院によって治療法は様々で料金も医院ごとに異なります。歯科矯正治療は、高度な専門知識と技術が必要なため、治療できる医院が限られています。そのため、治療費は一般的に高額になってしまいます。
高額な医療費の負担を減らす、医療費控除とは?
医療費控除とは、所得税・住民税の所得控除のひとつです。つまり、支払った医療費が年間を通じて高額(10万円以上)になってしまった場合、確定申告を行うと支払った税金の一部を返してもらえる制度です。ここでポイントとなるのは、以下の2点です。①医療費を窓口で支払う時に割引になるわけではない点、②確定申告を行う必要があるという点です。医療費控除は、医療費負担が大きい家庭ではとてもありがたい制度ですが、窓口負担金を割り引いてくれるわけではないので、一度は全額を支払う必要があります。医療費控除は、窓口で支払った医療費が年間を通じて10万円以上の場合に適用になり、ご本人だけでなく扶養家族がいる場合には扶養家族の分も合算できます。確定申告を行う必要があるため、治療の証明となる領収書やデンタルローンの契約書などの書類を保管しておく必要があります。控除の対象になる医療費とは、治療にかかった費用だけでなく、通院の際の交通費も対象となりますので忘れずに計算しておきましょう。確定申告と聞くと、難しそうに感じますが、現在ではスマホで完結できるアプリなども開発されていますので、今までやったことがないという方でも書類作成ができるようになっています。
医療費控除を申請したい場合の注意点
国税庁のウェブサイトによると、「歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用」は医療費控除の対象になるとされています。歯科矯正治療の目的は様々ですが、「見た目をきれいにしたい」といった美容目的の歯科矯正治療の場合、医療費控除の対象になりません。矯正治療が医療費控除の対象となるのは、成長期の不正咬合によって正常な成長が妨げられたり、不正咬合によって噛めないなど機能的な問題が生じている場合です。就職や結婚に有利になるように見た目を改善したいという理由では控除の対象とならなかった例がありますので注意しましょう。歯科医師の先生の診断書を付けてもらえると安心できます。自分の場合は対象になるのかな?と思った場合には税理士さんに相談してみるとよいでしょう。
まとめ
医療費控除は所得控除のひとつです。利用することで、所得税と住民税を安くできる場合があります。治療費がかかっても、税金が安くなればトータルで支出を抑えることができるので、医療費が高くなった場合にはぜひ活用したいですね。歯科矯正治療の場合には、対象が限られていますので、注意が必要です。矯正治療を受ける歯科医師の先生に詳しく診断を聞き、医療費控除を利用したいという旨も相談してみるとよいでしょう。医療費控除は活用すると、扶養家族の分も含まれたり、通院にかかった交通費も計算出来たり、とてもありがたい制度です。国税庁のホームページでも詳しい解説がされていますので、申請前にはチェックして必要書類を揃えて行きましょう。税金制度や保険制度については、難しい話が多いですが、分からないときはお近くの税務署の窓口などでも相談に乗ってもらえますので、高額治療だからとあきらめず相談してみてくださいね。