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訪問歯科って実際に何をするのか

2025年5月3日

目次

  • 1. 訪問歯科の概要
    • 1-1. 訪問歯科とは
    • 1-2. 訪問歯科医の役割
  • 2. 訪問歯科のメリット・デメリット
    • 2-1. 患者さんにとってのメリット・デメリット
    • 2-2. 医療機関や介護施設にとってのメリット・デメリット
  • 3. 訪問歯科で提供されるサービス
    • 3-1. 診療サービス
    • 3-2. 予防サービス
    • 3-3. その他のサービス
  • 4. まとめ

1. 訪問歯科の概要

まずは、訪問歯科とはどのようなものなのかについて、みていきましょう。

1-1. 訪問歯科とは

訪問歯科とは、様々な理由で歯科診療所に通院することが困難な方に対して、歯科医師・歯科衛生士がご自宅または施設などに訪問し、歯科治療や口腔ケアを行うことをいいます。通院困難な理由としては、具体的には
・ 高齢により、歩行が困難な方
・ 介護保険施設や、介護老人施設に入所している方
・ 脳梗塞の後遺症や、パーキンソン病などの病気や、障害があることで身体が不自由な方
・ 歯科および口腔外科がない病院に入院中の方
など、様々です。

1-2. 訪問歯科医の役割

では、訪問歯科における歯科医師の役割とはなんでしょうか。それは、歯科診療所への通院が困難な方にも歯科医療を提供することです。
大きな病気に罹患することや、介護が必要になることで、それまでの生活から変化が生じ、お口の中の環境が大きく変化する方が多くいらっしゃいます。
それによって、入れ歯が合わなくなったり、歯がグラグラして食べ物が噛みにくくなったり、飲み込みにくさを感じるようになったりすることがよくあるのです。
また、身体が不自由な方ほど、お口の中の清掃などの日常のケアが行いにくくなります。
そのような方々が、歯科治療を諦めてしまうことなく、しっかりとした医療を受けることができるようにすることが、訪問歯科医の役割であると、我々は考えております。

2. 訪問歯科のメリット

訪問歯科は、患者さんにとってのメリットもあれば、医療・介護従事者にとってのメリットもあります。また、デメリットも存在します。

2-1. 患者さんにとってのメリット・デメリット

患者さんにとってのメリットをみていきましょう。
お身体が不自由な患者さん、および介助を行っている方にとって、決められた予約時間に合わせて到着するように外出するのは、とても大変なことです。
訪問歯科の場合は、歯科医師や歯科衛生士がご自宅に訪問するので、外出する必要がありません。
また、認知症などで精神的に不安定になりやすい患者さんにとって、いつもの環境で治療が受けられるということは、心的ストレスも最小限に抑えることができます。
また、外来への通院の際は、院内及び行き帰りの公共交通機関などで、不特定多数の人と接触することにより感染症などへの心配が出てきますが、訪問診療の場合はその心配も最小限にとどめることができます。

それに対してデメリットとしては、外来に来られる場合よりも、多少料金がかかってしまう点が挙げられます。
訪問歯科診療は医療保険が適応されるので、治療費自体は通院する場合と変わりません。
ただ、訪問歯科診療では「訪問診療費」などの料金がかかるため、合計の治療費は通院と比較すると少し高くなります。
詳しい金額に関しましては、患者さんの負担率によっても異なってきます。
また、院内で使用している器材全てをご自宅や施設に持ち込むことは出来ないため、治療内容に制限がかかることもあります。
ただ、その場所で、様々な方法での対処をとりつつ、出来うる限りの最善の治療を行っていきます。

2-2. 医療機関や介護施設にとってのメリット・デメリット

歯科医師側としては、いつもの生活の場に立ち会うことができるというのが最大のメリットです。
どのような環境で生活されているのかを知ることによって、治療計画や、口腔ケアの方法などを患者さんごとに合わせて、患者さん、および介助をされている方に提案していくことができます。
介護施設などに訪問する際には、患者さんのお口の中の状態や、毎日のケアの仕方(口腔内清掃や入れ歯の着脱の仕方など)を職員の方にお伝えすることができます。
まや、介護施設の方からも日々の生活や、困っていることなどがないかなど、情報共有することで、より良い介護環境を作っていくことができます。
デメリットとしては、特にご自宅への訪問診療の場合、1軒1軒廻るので、時間がかかり、1日に多くの患者さんのもとに行くことができません。
また、運べる器材や材料が限られるため、治療内容によっては、すぐに対処することが難しい場合があります。

3. 訪問歯科で提供されるサービス

訪問歯科で提供されるサービスについて、みていきましょう。

3-1. 診療サービス

まずは、治療に関わる診療サービスをみていきます。
・ 虫歯、歯周病治療:高齢になってくると、歯の内部が狭くなり、虫歯で穴が空いても痛みを感じにくくなります。そのため、気付かないまま進行してしまうケースもあります。歯周病も自覚症状なく進行し、抜歯に至ることもあるため、定期的なチェックが大切です。
・ 入れ歯の作製、調整、修理:入れ歯は半永久的に使えるものではありません。歯肉や骨の形が変化するため、定期的な調整や修理が必要です。訪問歯科でも新規作製が可能です。
・ 口腔機能のリハビリテーション(摂食嚥下治療):食事に時間がかかったり、むせやすくなったりする場合は、摂食嚥下障害の可能性があります。原因に応じてマッサージやトレーニングなどの機能訓練を行います。

3-2. 予防サービス

病気になる前に予防することも大切ですね。
・ 口腔ケア:虫歯・歯周病予防だけでなく、誤嚥性肺炎の予防にもつながります。お口の筋肉を鍛えることは、表情や会話の豊かさにも影響します。
・ ブラッシング指導:患者さんの身体状況に合わせたケア方法を指導します。うがい動作も口の筋トレになります。日常に取り入れやすい方法を提案します。

3-3. その他のサービス

ご自宅や施設の環境に合わせたサポートも提供しています。
・ 口腔ケア用品の提案・提供:寝たきりか、うがいができるか等によって適した用品は異なります。患者さんに合わせたケア用品を提案・販売することも可能です。
・ 介助者向けの口腔ケアの指導:介助を行うご家族や職員に対して、口腔ケアの方法、入れ歯の取り扱い、誤嚥を防ぐ体勢など、日常ケアの指導も行います。

3-2. 予防サービス

病気になる前に予防することも大切ですね。予防サービスについても、みていきましょう。
・ 口腔ケア:お口の中を清潔に保つことで虫歯や歯周病を予防するだけでなく、さっぱりとした清涼感も得られます。また、細菌数を減らすことで誤嚥性肺炎のリスクも軽減できます。さらに、食事や笑顔、表情づくりに必要なお口まわりの筋肉を保つことができ、周囲とのコミュニケーションの質を高め、生活の質の向上につながります。
・ ブラッシング指導:身体が不自由な方には、使用可能な身体機能を見極めて、お一人お一人に合わせた清掃方法を指導します。うがいはお口の中を清掃するだけでなく、筋力トレーニングとしても有効です。

3-3. その他のサービス

ご自宅や施設など、普段生活している場所や介助を行う方に合わせたサービスを、訪問歯科診療では提供していきます。
・ 口腔ケア用品の提案・提供:寝たきりの方と、起き上がってうがいができる方ではケア方法が異なります。それぞれに合った歯ブラシや介助用ケア用品をご提案し、必要に応じてご購入いただくことも可能です。
・ 介助者向けの口腔ケアの指導:患者さんご本人でのケアが難しい場合は、日常的に介助を行う方に対し、口腔ケアの方法を指導します。また、食事中の誤嚥を防ぐ体勢の取り方、入れ歯の取り扱いや着脱方法など、毎日の生活に根ざしたアドバイスも行います。

まとめ

・ 訪問歯科とは、歯科診療所に通院することが困難な方に対して、歯科医師・歯科衛生士がご自宅または施設などに訪問し、歯科治療や口腔ケアを行うこと。
メリットとして、患者さんにとって外出することなく診療を受けることができるので、身体的・心理的ストレスを最小限に抑えることができる。
また、歯科医師にとっても、生活環境を知ることができるため、患者さん一人一人に合わせた対処や指導を行うことができる。
デメリットとしては、外来診療よりも少し治療費がかかること、治療内容に制限がかかる場合があることなどが挙げられる。

・ 訪問歯科では、虫歯・歯周病治療、入れ歯の作製・調整・修理、口腔機能のリハビリテーションといった診療サービスや、口腔ケア、ブラッシング指導といった予防サービス、口腔ケア用品の提案・提供や介助者向けの口腔ケアの指導なども行うことができる。

訪問歯科とは、単に悪いところ、病気のところを治療するだけではありません。
患者さんにとって、より良い暮らしができるよう、また、介助を行っている方の負担を軽減するよう、お手伝いしていくものです。
「以前よりも食事がしにくくなった」という方はもちろん、「お口の中のケアが出来ているか心配」「最近、せき込みやすくなってきた」など、お口のことで気になることがある場合も、訪問歯科を検討してみてはいかがでしょうか。

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