虫歯以外に気をつけたい子供の歯の話 乳歯の大切な役割
2023年10月12日
子育て中の親御さんは、
お口の中で特に虫歯に気をつけていると思います。
確かに乳歯は永久歯に比べて、
歯も小さく虫歯の菌に対して弱いです。
実際フッ素を歯科医院で塗布してもらったりする方も多いのではないでしょうか?
その他に気になる事としては、
子供の歯並びが挙げられます。
歯並びは今後の長い人生の中で一生付き合っていくことになり、
見た目だけの問題だけでなく、
歯磨きのしやすさにも影響します。
その為、歯並びによっては虫歯や歯周病のなりやすさが
変わることもあるでしょう。乳
歯の段階で気をつけるべきことはどういう事なのかを今回取り上げたいと思います。
【目次】
・乳歯の役割
・乳歯が早く抜けてしまった場合と対処法
・乳歯がなかなか抜けない場合
・上の前歯の隙間が閉じない場合
・まとめ
【乳歯の役割】
乳歯の役割の一つとして、
大人の歯の並びをスムーズに誘導する役割があります。
一般的には子供の歯と歯の間には隙間があり、
専門的には発育空隙と呼ばれています。
また場所によっては霊長空隙という特別な名前がつけられています。
どちらも隙間の名前なのですが、
この隙間がある事によって大人の歯が上手く生えるかの
一つの指標になります。
たまに歯が隙間なく並んでいるお子さんもいますが、
それだけで将来的な歯並びの悪さに直結しません。
しかし、隙間があるお子さんと比べると少し注意が必要です。
また、一般的に子供の歯の方が幅が広いです。
乳歯と永久歯のこの幅の差がある事によって
大人の歯が上手く生える隙間を担保しています。
つまり、歯と歯の間の隙間と歯そのものが
歯並びに影響を与える可能性があるという事です。
【乳歯が早く抜けてしまった場合と対処法】
前述の様に乳歯は歯並びに影響します。
例えば、虫歯がひどく歯を抜かざるを得なくなった
場合はどうなるでしょうか。
基本的に歯は抜けた前後の歯が抜けた方に傾き、
噛み合っていた歯が伸びてくることが多いです。
乳歯の場合、歯の移動が起きてしまうと
大人の歯の生えるスペースがなくなってしまいます。
すると後の永久歯が頬側や舌側に傾いたり
移動したりして生えることになります。
子供の歯は適齢期前に抜いてしまうと
大人の歯並びに弊害が出てしまうので、
特別な理由がない限り適齢期まではしっかり残しておくことが大切です。
乳歯を早く抜かなくてはいけなくなってしまった場合には、
保隙(ほげき)という処置が必要になることがあります。
抜歯をしても歯が移動したり、
傾いたりしない様に歯に装置をつけることがあります。
保険診療でも可能なので、もしお子さんがその様な状況になってしまった場合でも
諦めずに歯科医師に相談してください。
保隙装置は様々ありますが、
大人の歯が生える時期になるまでは使用することが多いです。
そのため、虫歯になるリスクもやや高くなります。
虫歯にならない様により一層歯磨きには注意が必要です。
【乳歯がなかなか抜けない場合】
早く抜く事になってしまう場合と反対に、
大人の歯が少し生えているのに子供の歯が抜けずに残っている場合があり、
乳歯の晩期残存と言います。
同じような場所に2つの歯が混在する状況です。
子供の歯は大人の歯が生えて交換する時期になると
歯根吸収と言って根が少しずつなくなっていきます。
しかし、上手く根が吸収しない場合や、
歯茎に少し引っかかってしまっている場合はなかなか抜けないこともあります。
大人の歯が見えている場合には、
基本的に子供の歯は抜歯をした方が良いです。
そのまま残すと大人の歯並びに影響する場合もあります。
その他に大人の歯の生える方向が
違う向きに生えている場合もあります(異所萌出)。
なかなか抜けない場合も放置せずに歯科医院の受診をお勧めします。
頻度は多くありませんが、
永久歯が先天的に欠如している場合もあります。
多い場所として、
6歳臼歯の1本手前の歯(第二小臼歯)が挙げられます。
揺れてもいいはずなのに、
まったく揺れずに残っている場合には
永久歯が先天的にない場合もあります。
この場合は乳歯を永久歯として保存することが多いです。
【上の前歯の隙間が閉じない場合】
上の前歯は最初にハの字で生えてきます。
隙間も大きい為、
親御さんは心配することもあるかもしれません。
しかしこれは普通のことで心配はいりません。
犬歯が生え終わるくらいに徐々に隙間が閉じて、
ハの字に生えていた歯も真っ直ぐに移動してきます。
(稀に過剰歯と言って余計な歯が上の前歯と前歯の間に埋まっていることがあります)
この場合は大人の歯が生えそろっていても、
その部位が邪魔になってしまうので隙間が埋まりません。
過剰歯があるかどうかは、
レントゲンの写真を撮れば分かることが多いです。
逆に写真を撮らないと分からないことも多くあります。
処置としては、大変ですが埋まっている余分な歯を抜歯することになります。
麻酔をして歯茎を切って行うので
低年齢の子には酷かもしれませんが必要な処置になります。
【まとめ】
乳歯は今後の大人の歯並びを
左右する大切な役割がある事は、
ご理解頂けたかと思います。
乳歯を早期に無くすことは
歯並びに大きく影響する可能性が
高く処置が必要です。
逆に乳歯がずっと残る状態も
好ましくありません。
子供も大人も歯科医院は
苦手かもしれませんが、
子供のうちから徐々に
慣らしてもらうことも大切です。
定期的な歯科受診により、
虫歯や歯並びの状況は
確認してもらっていた方が良いと思われます。