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虫歯はどのようにして進行するのか

2023年10月1日

“虫歯”と聞くと、どういった印象をお持ちでしょうか。

 

痛い、しみる、歯に穴が開く、色が変わるなど
様々な症状が出ると思います。

 

虫歯の大きさによって治療法も変わってきます。
今回は歯の構造から虫歯の進行度を見ていきたいと思います。

 

 

歯の構造を見てみる

虫歯の進行を見ていく上で、
歯の構造がわかっていた方が理解しやすいと思います。

ここから先は歯の構造をそれぞれ見ていきます。

 

 

エナメル質

歯はいくつもの異なる性質を持つ固い組織の複合体です。

歯は口の中から見える白い部分をエナメル質といい、
人体で最も固い組織となります。

 

厚みは部位によって異なりますが約2㎜程度です。
硬さを調べる試験の一つであるモース硬さ
(1から10で表される。1が柔らかく、10が非常に固い)で調べると、
ダイヤモンドが10であるのに対し、
エナメル質は7程度、ガラスは5なのでとても固い事がわかります。

 

これほど固いにも関わらず、酸には弱い性質を持っているため虫歯になる事になります。
エナメル質には神経や血管がなく結晶のような構造になっています。

 

従って、エナメル質に虫歯ができたとしても症状は出ません。

エナメル質が欠ける事があった場合には再び戻る事はありません。

 

 

象牙質

象牙質は歯の内部の硬組織で
歯髄(歯の神経)を取り囲むように存在します。

 

エナメル質は歯の頭(歯冠)に存在していますが、
歯の根(歯根)には存在していません。

 

セメント質という違う硬組織で覆われています。

 

一方、象牙質は歯の頭から根の方まで存在する硬組織になります。
虫歯はここまでくると何らかの症状が出てくる事があります。

 

歯が虫歯で欠けたりする場合はエナメル質に留まらず、
象牙質まで虫歯が到達している場合がよくあります。

 

象牙質はエナメル質よりも有機質の含有量が多く、
硬さはエナメル質のそれより低いです。
モース硬さ6程度です。

 

エナメル質と象牙質の境をエナメル象牙境(エナメルゾウゲキョウ)といいますが、
虫歯が入るとこの境に沿って広がりを見せる事があります。

 

特に若い方がなる虫歯は、
穿通性う蝕(センツウセイウショク)と言って、
この傾向が高くなり虫歯の入り口が小さいのに中で広がり、
深く虫歯が進行する事がよくあります。

 

歯髄

歯の神経です。
歯髄の周りは象牙質で覆われていますが、
実は歯髄の中の細胞が象牙質の構造の一部に神経の突起を少し伸ばしています。

 

歯髄は血管や細胞がある為、
例えば虫歯が歯に侵入してくると虫歯が
内部に入らないように第三象牙質と言って
歯髄の象牙質寄りの部分に象牙質を作ろうとします。

 

一般的にここまで虫歯が入ると、
基本的に激痛を生じるはずなのですが、
虫歯の状態によっては、
痛みをあまり感じずに歯髄まで虫歯が及んでいる場合もあります。

 

 

 

虫歯の進行度
ここまで歯の構造を念頭において、
どこまで虫歯が入るとどの様な治療をしなくてはいけないのでしょうか。

 

虫歯の治療方法は幾つかありますが、虫歯の進行度で主に治療法が異なります。
C(caries:カリエス)は虫歯を意味します。

 

C1(エナメル質内の虫歯)

エナメル質内に限局している虫歯の場合は、

時として削る事はせずに場合によってはフッ素塗布などで経過を見る場合もあります。

フッ素を塗布することにより、再石灰化を図る狙いです。

エナメル質内の虫歯であれば、

削る事がかえってその歯にダメージを与えてしまう事も考えられるからです。

エナメル質内でも虫歯が進行しやすい部位の場合や見た目に影響が出る場合は

削って治療する場合もあります。

検診でCO(シーオー)というものを見たことがあるかもしれないですが、

検診特有の表記で経過観察歯というものになります。この場合は削る事はしません。

 

C2(象牙質に及ぶ虫歯)

虫歯が象牙質にまで及ぶ場合は、

虫歯の部位を削って詰める。

 

または削った後に歯型を取って出来た詰め物を

付ける処置が一般的に行われています。

 

C3(歯髄に及ぶ虫歯)

歯の神経にまで及ぶ虫歯の場合は、

痛みの有無や状況により、

詰める処置や神経をとる処置が行われます。

神経を取った場合はその後、詰めるか冠など被せて治していきます。

 

C4(残根状態)

虫歯をそのまま放っておいた場合、
歯が折れて歯根しか残らない場合もあります。

 

その場合は治療をして冠を被せられるか検討し、

難しければ抜歯になることが多いです。

 

歯根だけ残っている場合、神経の有無によらず痛みがあまりない事があります。

患者さんは痛くないので放っておきますが、

その間も徐々に虫歯は歯根に入り込み、
歯科医院に受診すると抜歯を選択させられる場面は少なくありません。

 

昔は歯を抜くことが多かったかもしれませんが、

現在ではなるべく残す様に歯科医師は努力しますしその様に大学で学びます。

従って、痛くない歯の抜歯を進められる場合は余程状態が悪いと考えられます。

 

 

まとめ

歯の構造から虫歯の進行状態を確認してきました。

虫歯は痛みの大きさが虫歯の大きさに必ずしも比例しません。

 

痛みが無いにもかかわらず、内部で進行する事は珍しくありません。
小さい虫歯であれば数回の治療で済み、場合によっては1回で終わらせる事も可能かもしれません。
普段から虫歯を作らないように、そして定期検診により虫歯の早期発見・早期治療を心がけたいものです。

 

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