親知らずを抜くときの合併症と対策
2024年7月30日
歯を抜くということは、一定のリスクがつきものです。
今回はその中でも合併症が多く起こりやすい、親知らずを抜歯したときについて説明していきます。
目次
◯起こりやすい合併症
◆腫れ、痛み
◆出血
◆ドライソケット
◆神経麻痺
◯合併症が起きた時は?
◆ドライソケット
◆神経麻痺
◯まとめ
起こりやすい合併症
親知らずを抜いた時に起こりやすい合併症は次に挙げる4つがあります。
◆腫れ、痛み
親知らずに限ったことではありませんが、歯を抜いたときは腫れや痛みが生じることがあります。腫れも痛みも歯を抜いてから2〜3日がピークとなり、1週間ほどで徐々に落ち着いてくることが多いです。痛みが出たら鎮痛薬を飲むと、生活に支障が出ずに過ごせるでしょう。
◆出血
歯を抜いた後は血が止まりにくいことがあります。血液をサラサラにする薬を飲んでいる患者さんなどは特に血が止まりにくくなる傾向にあります。
血がなかなか止まらないときは、ガーゼを強く噛んで圧迫することで血が止まりやすくなります。ガーゼがないときは清潔なタオルなどを使いましょう。ティッシュは水分を含みやすいのであまりよくありません。また強いうがいはしないようにしましょう。
◆ドライソケット
歯を抜いた場所は血が固まり、かさぶたのようになって、それが治って歯ぐきとなっていきます。うがいをしすぎたり、舌や指で抜いた場所を触ったりしていると、かさぶたが剥がれてしまいます。そうなると歯ぐきができず、まわりの骨がむき出しになってしまい、激痛を伴うようになります。
この状態を「ドライソケット」といいます。
ドライソケットが治るまで1ヶ月以上かかることもあります。歯を抜いてから1週間以上痛みが続く場合は、このドライソケットを疑います。
◆神経麻痺
下あごには下歯槽神経や舌神経という唇や頬の感覚を司る神経が走っています。下の親知らずがあごの深いところに埋まっている場合はそれらの神経にとても近かったり、神経と接触している場合があります。
歯を抜くときに神経に触れて傷めてしまうと、麻酔が切れた後でも唇や頬にしびれる感じや違和感を生じることがあります。
神経が完全に切れてしまった場合などは、手で触れても全く何も感じないこともあります。
歯科医師が最も注意するのがこの神経麻痺です。
神経麻痺のリスクを少しでも減らすために、レントゲン写真をとって歯の位置や神経の走行を確認します。
合併症が起きたときは?
◆ドライソケット
ドライソケットになったかもしれないと思ったときは、まず抜いた歯医者さんに相談しましょう。
ドライソケットだった場合は痛みを抑えるための鎮痛剤と感染を防ぐための抗生物質を飲むことで悪化を防ぎます。
ドライソケットが重症化して骨に感染してしまった場合は抜歯した場所の汚れを取り除き、もう一度麻酔をして出血させてかさぶたをつくる処置をすることがあります。
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◆神経麻痺
歯を抜いた当日は麻酔が残っている可能性がありますが、歯を抜いた次の日まで痺れる感じが取れない場合は、神経麻痺が起きている可能性があります。そのときは歯を抜いた歯医者さんに相談しましょう。
神経麻痺の特徴は、唇やあごを触った感覚が鈍い、またはない、親知らずより手前の歯に違和感がある、歯がしみる感じがある、などです。
神経麻痺にはいくつか種類があります。
CTを撮影することで原因が判明することが多いです。
▶︎神経麻痺の特徴
神経麻痺の特徴は、唇やあごを触った感覚が鈍い、またはない、親知らずより手前の歯に違和感がある、歯がしみる感じがある、などです。
CTを撮影することで原因が判明することが多いです。
▶︎神経麻痺の種類
神経麻痺にはいくつか種類があります。
大まかに分けて、下記の3つが考えられます。
①神経が圧迫されている場合
歯を抜いたときの出血が抜いた穴に溜まって、神経を圧迫する場合があります
②神経が部分的に傷ついた場合
神経が歯に近かったり、一部接していたりすると、歯を抜くときの操作で神経の一部が傷ついてしまうことがあります。
③神経が断裂した場合
歯があごの奥深くにあって、歯を割って抜かなければならないときなどに、歯を割ったり削ったりする機械で神経を切ってしまうことがまれにあります。
▶︎神経麻痺時の対応
基本的にはどのパターンでもビタミンB12を摂ることをおすすめします。
ただ対応は同じですが、①〜③によって治る日数も異なってきます。
おおよそ目安としては、
①数日で治ることが多いです
②半年〜1年ほどかかることが多いです。
③神経が断裂してしまった場合は完全に治癒することは見込めないといわれています。
(※あくまで目安であり、個人差もございます。またビタミンB12を摂ったからと言って、必ず治るというわけではございません)
まとめ
上にあげたリスクがありますが、親知らずの状態によっては抜かないこともリスクとなります。そのため、利益とリスクを考えて、歯医者さんと相談して抜くかどうか決めるようにしましょう。
ドライソケットにならないようにするためには、抜いたあと強いうがいをしない、舌で抜いたところを触らない、などで防ぐことができます。神経麻痺に関しても、抜く前にレントゲンをとって位置を把握することでリスクを最小限に抑えることができます。
また、若ければ若いほど合併症が起きたときの治癒もはやく、骨の質もいいので難易度が下がります。そのため、親知らずを抜くのは早めに相談したほうがよいです。
親知らずを抜いたほうがいいのか気になったときは、ぜひ当院へご相談ください。