歯の型取りで使う「ピンクのやつ」は何なのか
2026年8月21日
◯目次
- ◯はじめに
- ◯「ピンクのやつ」って何?
- ◆「ピンクのやつ」の正体
- ◆「ピンクのやつ」はいつ使うのか
- ◆「ピンクのやつ」の使い方
- ◆「ピンクのやつ」を飲み込むとどうなるの
- ◆「ピンクのやつ」はなぜ不快?
- ◯次世代の型取り「口腔内スキャナー」
- ◆口腔内スキャナーとは
- ◯まとめ
◯はじめに
「ピンクのやつ」つまりアルジネート印象材の正体について解説しています。アルジネート印象材はどうしても不快感があるため、近年では、アルジネート印象材を使わずに型取りができる口腔内スキャナーも普及してきています。口腔内スキャナーは小型のペン型スキャナーでお口の中を撮影するように読み取り、歯や歯列の形を3Dデータとして記録できる機器です。
この口腔内スキャナーの解説もしているので、ぜひ参考にしてください。
歯科医院での型取りが苦手な方はたくさんいらっしゃると思います。診療をしていると、型取りがつらい、オエっとなる、などお悩みをお持ちの方にたくさん出会います。残念ながら、詰め物や被せ物、入れ歯などを作るには、歯やお口の形を記録する工程が必要です。
しかし、最近では「ピンクのやつ」を使う型取りではなく、口腔内カメラで口腔内を撮影して、歯の型や歯列を3Dデータに変換できるようになりました。
こちらの記事では、従来の型取りである「ピンクのやつ」の正体や、型取りの最先端の技術をご紹介したいと思います。少しでも型取りの苦手意識がなくなれば、嬉しく思います。
◯「ピンクのやつ」って何?
歯科医院の型取りで使う「ピンクのやつ」が一体何なのかをこちらで解説したいと思います。このピンクのやつは一体何なの?と思っている方も多いのではないでしょうか。
◆「ピンクのやつ」の正体
一般的には「アルジネート印象材」と呼ばれます。口腔内の型取りを専門用語で「印象」と呼ぶので、「ピンクのやつ」で型取りをすることを「アルジネート印象」と言います。
では、アルジネートはどのようなものなのでしょうか。アルジネート印象材には、海藻由来のアルギン酸塩などが使われています。歯科用材料として口腔内で使用できるよう製造されています。
形状は粉末で、水と混ぜることにより短時間で固まり、ゴム状になります。この性質のおかげで型取りができます。
アルギン酸ナトリウムが持つ「水に溶けてゴム状に固まる」「短時間で固まる」性質を利用して、歯科だけでなく、アルギン酸塩は、食品添加物や化粧品、医薬品などさまざまな分野でも利用されています。
また、スキンケア製品のパックや、止血剤、胃腸薬の成分などの医薬品にも使われています。
◆「ピンクのやつ」はいつ使うのか
「ピンクのやつ」がアルジネート印象材だということがお分かりいただけたかと思います。では、具体的にアルジネート印象材を、歯科ではいつ使うかを解説したいと思います。
- ・詰め物や被せ物、入れ歯などを作るとき
- ・マウスピースを作る時
- ・矯正治療の歯型を作るとき
- ・インプラントの最終補綴物や仮歯を作る時
具体的に説明すると、虫歯があると歯を削って虫歯の部分を取り除き、詰め物や被せ物の形に歯を削って整えます。その歯の形を型取りして、その型の中に石膏を流しこんで歯の模型を作ることで、模型上で詰め物や被せ物を作ることが可能になります。入れ歯の場合は、歯や粘膜の型取りをし、型に石膏を流しこんで模型を作ることで、模型上で入れ歯を作ることができます。
つまりアルジネート印象材での型取りの目的は、歯や歯列の模型を作ることと言えます。
模型を作るために、アルジネート印象材で型取りをした後はできるだけ速やかに、型取りをしたアルジネートの中に石膏を流し込む必要があります。アルジネート印象材は時間が経つと変形してしまうので、変形してしまう前に石膏を流し込むことで精密な歯列模型を作ることができます。
◆「ピンクのやつ」の使い方
アルジネート印象材は、どうやって使うかを解説します。アルジネート印象材は粉末で水と混ぜることでゴム状になります。機械で混ぜている歯科医院もありますし、昔ながらの手練りで混ぜることも多いです。
手順をご紹介します。
- ・患者さんのお口のサイズに合う型取りのためのトレーを選びます。
- ・アルジネートの粉末と水を混ぜ、すばやく練ります。
- ・材料が均一に混ざったら、アルジネート印象材を盛り付けます。
- ・アルジネート印象材を盛ったトレーをお口の中に入れ、歯列に合わせて保持し、型取りをします。
- ・固まったらトレーごとそっとお口の中から外し、必要な洗浄・消毒処理を行います
- ・できるだけ早めに型の中に石膏を流し込み模型を作ります。
◆「ピンクのやつ」を飲み込むとどうなるの
アルジネート印象材を誤って飲み込んでしまった方もいらっしゃると思います。少量を誤って飲み込んだ場合、多くは大きな問題になりませんが、体調に異変がある場合は歯科医師に相談してください。
体内で吸収されることはなく、そのまま排出されます。しかし多量に飲み込んでしまった場合、気管に入ってしまった場合は、すぐに歯科医師にご相談ください。
アルジネートは一塊でトレーに盛り付けるため、大きさも大きく、簡単に飲み込めるものではないのでご安心ください。
◆「ピンクのやつ」はなぜ不快?
では、アルジネートによる印象はなぜ不快なのでしょうか。それは、ゴム状になったアルジネート印象材やトレーが、喉の奥に流れたり舌に触れることで、体が異物とみなし、嘔吐反射を起こしてしまうからです。嘔吐反射とは、「吐きそうになる」「オエッ」となる反射のことです。個人差も大きく、緊張状態によって起こる頻度、反射の強さが異なります。
対策としては、
- ・固まるまで鼻でゆっくり息をする
- ・チェアーを少し起こしてもらう
- ・歯科医師に事前に相談して小さなトレーにしてもらったり、アルジネート印象材を流れないようにしてもらう
- ・「口腔内スキャナー」を使用している歯科医院を選ぶ
などがあります。
◯次世代の型取り「口腔内スキャナー」
こちらでは、「口腔内スキャナー」についてご紹介します。最近では、口腔内スキャナーを導入している歯科医院も多く、アルジネート印象材を使わずに型取りができるようになりました。
◆口腔内スキャナーとは
口腔内スキャナーとは、ペン型のカメラで口腔内を撮影して、歯や歯並びの形状を3Dデータ化して画像で見ることができるデジタル機器のことです。従来の印象材と比べて異物感が少なく、嘔吐反射の負担を軽減できる場合があります。
また、デジタルデータとして記録でき、症例によっては効率よく精度の高い型取りが可能です。
しかし、治療内容や使用する装置によって保険適用の可否が異なります。
事前に歯科医師にご相談ください。
◯まとめ
詰め物や被せ物、入れ歯などを作る際には、歯やお口の形を正確に記録する型取りが必要です。従来はアルジネート印象材などが広く使われてきました。マウスピース、入れ歯、インレーなどの詰め物、クラウンなどの被せ物を作る上で、型取りは欠かせません。しかし、異物感が強く、嘔吐反射が起こりやすいところが大きなデメリットです。我々、歯科医院側も少しでも不快感がなくなるよう、工夫は凝らしているのですが、残念ながら不快感を完全になくすことは難しい場合もあります。
どうしても嘔吐反射を避けたい方は、口腔内スキャナーを導入している歯科医院を探すことをおすすめします。

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