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人類はいつから歯を磨いているのか

2026年7月28日

◯はじめに

「歯を磨く」という行為は、今では朝晩の当たり前の習慣になっています。では、人類はいつ頃から歯を磨いていたのでしょうか。

実は、歯のケアの歴史はとても古く、木の枝や楊枝などの道具を使って、口の中を清潔に保とうとしてきた記録が残っています。現在のような歯ブラシや歯磨き粉が広く使われるようになったのは比較的新しい時代ですが、「歯をきれいにしたい」という意識は、はるか昔からありました。

今回は、歯磨きの歴史をたどりながら、日々のケアを見直すヒントをお伝えします。

◯目次

  • ◯古代〜中世:木の枝が”歯ブラシ”だった時代
    •  ◆世界最古の歯磨き道具「歯木(はぼく)」
    •  ◆宗教と歯磨きの深い関係
  • ◯日本の歯磨きの歴史
    •  ◆平安時代:楊枝(ようじ)と口臭の悩み
    •  ◆江戸時代:庶民に広がった房楊枝と歯磨き粉
    •  ◆明治以降:西洋式歯ブラシの上陸
  • ◯歯磨きの歴史から学べること
  • ◯まとめ

◯古代〜中世:木の枝が”歯ブラシ”だった時代

◆世界最古の歯磨き道具「歯木(はぼく)」

歯ブラシの原型とされるものに、「歯木(はぼく)」があります。これは木の枝の先を噛んで繊維状にし、その部分で歯をこする道具です。現代の歯ブラシとは形が違いますが、歯の表面をこすって汚れを落とすという意味では、現在の歯ブラシの原型と考えられています。

アジアや中東、アフリカの一部では、今でも歯木に近い道具が使われることがあります。たとえば、アラブ地域で知られる「ミスワク(Miswak)」は、木の枝を使った伝統的な口腔ケアの一つです。歯磨きが単なる身だしなみではなく、生活や文化に深く根づいていたことがうかがえます。

◆宗教と歯磨きの深い関係

歯磨きは、宗教的な清めの習慣とも関わってきました。仏教の世界でも、身を清める作法の一つとして口の中をきれいにすることが大切にされてきました。

鎌倉時代の僧である道元の著書『正法眼蔵』には、洗面や口を清める作法についての記述があります。歯や歯ぐき、舌をきれいにすることは、単なる清潔習慣だけでなく、日々の身だしなみや心を整える習慣としても大切にされていたことがうかがえます。

◯日本の歯磨きの歴史

◆平安時代:楊枝(ようじ)と口臭の悩み

日本でも、古くから楊枝を使った口腔ケアが行われていました。奈良・平安時代には、貴族や僧侶を中心に、楊枝や粉状の清掃剤を使って歯や口の中を清潔にする習慣があったとされています。

当時は、むし歯予防というよりも、口臭対策や身だしなみとしての意味合いが強かったようです。平安時代の絵巻物には、口臭を気にする人の様子が描かれているものもあり、昔の人々にとっても口のにおいは身近な悩みだったことが分かります。

◆江戸時代:庶民に広がった房楊枝と歯磨き粉

江戸時代になると、歯磨きの習慣は庶民にも広がっていきます。先端を叩いてブラシ状にした「房楊枝(ふさようじ)」が使われ、歯磨き粉も商品として売られるようになりました。

当時の歯磨き粉には、貝殻の粉、塩、炭の粉、香料などが使われていたといわれています。江戸の町では、房楊枝や歯磨き粉を売る商人も見られ、歯磨きは日常生活の一部になっていきました。

また、食生活が豊かになるにつれて、歯の汚れやむし歯への関心も高まっていったと考えられます。歯を清潔に保つことは、見た目や口臭の面でも大切にされていました。

◆明治以降:西洋式歯ブラシの上陸

明治時代になると、西洋式の歯ブラシが日本にも入ってきます。動物の毛を植えた歯ブラシや、現在の歯磨き粉に近い製品が使われるようになり、歯磨きは少しずつ近代的な形へ変わっていきました。

その後、学校教育や家庭での習慣づけを通して、歯磨きは多くの人にとって当たり前の習慣になっていきます。現在のように、朝晩に歯を磨く生活習慣が広く定着したのは、長い歴史の中では比較的新しいことです。

◯歯磨きの歴史から学べること

◆変わらない「歯を守りたい」という思い

歯木から房楊枝、そして現代の歯ブラシへと、歯磨きの道具は大きく進化してきました。しかし、「歯を清潔に保ちたい」「口の中を気持ちよく保ちたい」という思いは、昔から変わっていません。

一方で、現代はむし歯や歯周病の原因が科学的に分かるようになり、ただ磨くだけでなく、どこに汚れが残りやすいのか、どのように磨けばよいのかを考える時代になっています。

◆歯磨きは「毎日の習慣」だからこそ、質が問われる

毎日歯を磨いていても、磨き残しや歯石の付着を完全に防ぐことは簡単ではありません。特に歯と歯の間、歯ぐきの境目、奥歯の溝などは、汚れが残りやすい部分です。

厚生労働省の令和4年歯科疾患実態調査では、4mm以上の歯周ポケットを持つ人の割合は全体で47.9%とされています。毎日の歯磨きに加えて、歯科医院での定期的なチェックやクリーニングを受けることが、現代の予防歯科では大切です。

◯まとめ

歯磨きの歴史は古く、木の枝を使った歯木や楊枝など、時代に応じた道具を使いながら、人々は口の中を清潔に保とうとしてきました。日本でも、平安時代には楊枝を使った口腔ケアが行われ、江戸時代には房楊枝や歯磨き粉が庶民にも広がっていきました。

道具は変わっても、「歯を守りたい」という思いは今も昔も変わりません。ただし、現代ではむし歯や歯周病を予防するために、正しい歯磨きと定期的な歯科検診を組み合わせることが大切です。

毎日の歯磨きに加えて、ご自身では落としきれない汚れを歯科医院で定期的に除去してもらうことも、お口の健康を守る一歩になります。歯磨きの歴史をきっかけに、日々のケアを少し見直してみてはいかがでしょうか。

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