将来は、口腔内から全身疾患発見へ
2026年6月28日
◯はじめに
口腔内と全身の健康がどう関係しているかをメタボリックドミノの概念から説明しています。口腔内の健康を守る重要性を知っていただきたいと思います。
また近年では、唾液や呼気を用いて病気のリスクや状態を評価する技術が発展してきました。唾液は単なる消化液ではなく、たくさんの情報を持っており、その成分から様々なことが分かるようになってきています。
唾液や呼気中の何を調べてどんな病気が判明するかも合わせて解説しているので、従来の痛みを伴う検査が苦手な人はぜひ参考にしてください。
◯目次
- ◯お口と全身の健康の関係
- ◆歯の数と全身の健康
- ◆メタボリックドミノ
- ◯口腔内から病気の発見ができる時代
- ◆歯科医院で分かること
- ◆糖尿病
- ◆アルツハイマー病
- ◆がん
- ◆新型コロナウイルス
- ◯まとめ
◯お口と全身の健康の関係
歯の数が、全身の健康に関係していることをご存知でしょうか。また、メタボリックドミノという健康の概念についてご存知でしょうか。
実はお口の健康が、全身の健康に影響を及ぼすことが最近の研究で分かってきました。言い換えると、全身の健康を守るにはお口の健康を守る必要があるというわけです。
こちらの記事では、お口の健康と全身の健康についての関係を解説しています。口腔ケアの重要性を意識してもらうきっかけになれば、と思います。
◆歯の数と全身の健康
歯の数が減ると、認知症や骨折のリスクが増えることが研究で分かっています。では、歯の数が減ることでどんな不具合が起こるかをみていきましょう。
- 歯の数が0〜9本になると、要介護となるオッズ比が約15倍になる
- 歯の数が減るほど、入院日数が長い
- 歯を20本以上失うと、大腿骨骨折のリスクが約5倍になる
- 歯が減るほど死亡危険度が増える
上記のような研究結果から、虫歯や歯周病で歯がなくなってしまうと、体が弱ってしまうことが示されました。歯の数と全身の健康にこのような相関があるだなんて驚きですね。歯が大切だということが、お分かりいただけたかと思います。
◆メタボリックドミノ
近年、メタボリックドミノという健康概念が提唱されています。生活習慣の乱れから、高血圧・高血糖・脂質異常といったメタボリックシンドロームの状態を経て、動脈硬化が進行し、最終的に心筋梗塞や脳卒中・腎不全・認知症等の命に関わる重大な病気がドミノ倒しのように連鎖していく状態を言います。このドミノの最上流には、お口の健康状態が位置すると考えられています。
お口の健康、つまり虫歯や歯周病が命に関わる病気を引き起こすきっかけになるのです。このドミノが倒れないようにするためにも、お口の健康を守りましょう。
◯口腔内から病気の発見ができる時代
お口の健康が、どれだけ全身の健康にとっても大切かを分かっていただけたかと思います。口腔内の研究は更に進み、近年、口腔内から病気の発見が可能になってきました。
唾液や呼気を用いた検査の発展により、採血を行わずに評価できる項目が増えてきましたので、より簡単に病気の検査ができるようになります。痛い思いをせずに検査ができるのは嬉しいですね。どんな病気が分かるようになったかをご紹介します。
◆歯科医院で分かること
唾液の成分から、虫歯や歯周病のなりやすさや口臭の有無が分かります。唾液中の虫歯菌・歯周病菌の数やpH、酸を中和する緩衝能、アンモニアの濃度等を調べます。検査で自分のリスクを数値化することによって、客観的に病気のなりやすさを評価することができます。
◆糖尿病
従来の糖尿病の検査はまず血液検査をすることが一般的ですが、息の成分から糖尿病の進行度の評価ができるようになる方法が開発されました。糖尿病患者の呼気には健常者よりも高濃度のアセトンが含まれています。このアセトンとセンサー中の酵素が化学反応し、呼気中のアセトンを測定することで、糖尿病の進行度を評価できるようになりました。
◆アルツハイマー病
アルツハイマー病の患者の唾液中のインターロイキン-34(IL-34)が健常者と比べて有意に上昇していることが分かりました。IL-34はアルツハイマー病の発症や進行に関わるサイトカインで、認知症の進行度を図る指標となります。
また、唾液中のアミロイドが脳のアミロイド蓄積と正の相関を示すことが分かりました。アミロイドはアルツハイマー型の認知症の原因物質で、脳内に異常に蓄積すると神経細胞を破壊し、記憶障害や認知機能低下を引き起こすことが知られています。脳にアミロイドが蓄積されると、唾液中のアミロイド濃度が高くなることが分かりました。
IL-34もアミロイドも唾液のみの検査なので、簡単に低コストでできます。これにより認知症の進行が、客観的に数値で評価することも可能になりました。
◆がん
唾液中の代謝物から、口腔がん・肺がん・大腸がん・膵臓がん・乳がんなどのがんリスクを評価できるようになりました。現在のがんリスクがお手軽に調べられるので、がんの早期発見・早期治療につなげることができます。
◆新型コロナウイルス
新型コロナウイルスに罹患すると、唾液中にも新型コロナウイルスがみられるようになります。唾液検査で新型コロナウイルスに罹患しているかどうかが分かるというわけです。現在は、鼻に綿棒を入れて鼻の粘液を拭い取る検査が主流ですが、唾液検査の精度が上がっており、最近では精度はどちらも同等だという結果が出ています。
唾液検査は患者への負担も少なく、医療従事者への感染リスクも減るので今後、メジャーになってくる検査法だと思われます。
◯まとめ
技術が進歩して、唾液や息だけで様々な病気が分かるようになりました。採血や、鼻腔の粘液摂取は痛みを伴い、苦手な人も多かったのではないでしょうか。検査が簡単にでき、病気の早期発見につながる可能性が高まったのは嬉しいですね。今後、もっと多くの病気がお口の検査だけで分かるようになることを期待したいです。
また、メタボリックドミノが示すように、お口の健康は全身の健康につながっています。お口の健康を維持するためには口腔内をキレイに保つことが大切です。毎日の丁寧な歯磨きを心がけましょう。
また、歯科医院での定期検診は、虫歯や歯周病等の早期発見・早期治療につながります。定期検診にもぜひお越しください。

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