虫歯の治療方法 C2における虫歯治療の実際 直接と間接修復の違い
2025年1月19日
虫歯が神経に達することがないものの、エナメル質を超えて虫歯になった場合をC2といいます。治療法として大きく大別すると、直接(修復)法と間接(修復)法に分類されます。直接法は歯を削った後にその場でお口の中で詰めていく処置です。間接法というのは、歯を削った後に型取りをして、そこから作られる模型で詰め物を作り、それを歯に詰める処置になります。最近では型取りをせずに、口腔内に小型のスキャナーを入れてそれで詰め物を作る場合もあります。それぞれメリットとデメリットがあります。今回は良く用いられる詰め物の種類を説明していきます。
【目次】
- ◯直接修復
- ◯間接修復
- ◆メタルインレー
- ◆レジンインレー
- ◆セラミックインレー
- ◆その他
- ◯まとめ
直接修復
C2の場合は虫歯の状態にもよりますが、虫歯の部位を削り詰める処置(充填)が日常的に行われます。よく用いられるのは、コンポジットレジン充填です。予め虫歯を取った部位に接着剤のような処理剤を歯に塗布した後、歯の色に似た樹脂を詰める方法になります。この処置の利点として、基本的に虫歯の部分のみを取り除きそこを詰める事ができるという点です。
当たり前かと思われますが、一昔前まではレジン充填には難があり、歯とレジンが上手く接着しませんでした。しかしながら、接着の技術や物性の向上により今日では一般的に行われる様になりました。ただ、レジン充填処置は唾液や汚れなどの排除をしっかりと行わないと接着しません。唾液が入らないようにラバーダムと言って、ゴムのマスクの様なものをして唾液が入らない様にすることもあります。
その他に虫歯の場所によっては詰める事が難しい場所もあったり、虫歯の面積が大きかったりすることもあります。その時は間接修復法にする場合もあります。直接法で治せた方が治療回数の短縮につながるので、可能であればレジン充填を行います。その代わり1回の治療時間が長くかかる場合もあります。
充填処置は基本的に保険の範疇で行う事ができますが、充填処置を特に得意とされる先生は自由診療で行う事もあります。詰める樹脂の色を患者さんの歯の色に合わせられる様にしたり、詰める部位の形を他の歯とわからない様に整えたり、樹脂と歯がしっかりつくように接着剤に拘ったりする為です。
余談ですが、充填する際につける接着剤は保険の治療においても高額で、たった1mlでメーカーによって差異はありますが2400円位します。
間接修復
続いて間接法です。削った歯を型取りして、できた詰め物をセメントでつける処置です。型取りをする場合は、充填する場合よりも削る量が増える傾向にあります。詰め物自体が割れたり取れたりしない様にする為です。詰めるものにも種類があります。金属で作る場合、レジンを用いる場合、その他にもセラミックで詰める場合があります。詰め物はインレー又はアンレーと呼ばれます。
メタルインレー(保険の銀の詰め物)
一般的に保険治療では金属を使う場合の方がまだ多いと思います。今までずっと行われてきていた治療法です。ただし、金属アレルギーがある方や見た目が気になる方などには不向きになります。また、2次カリエスといって詰め物や被せ物の縁からまた虫歯が出来てしまう事があるのですが、この銀歯が入っている事が多いです。
レジンインレー(保険の白い詰め物)
レジンで詰める場合は基本的に厚みを金属と比べて削らないと割れる恐れがあります。やや削る量が増える為、削った後にしみる事や時として痛みが出る可能性があります。メタルインレーと異なり白くでき、金属アレルギーの心配はありません。経年的にレジンを使っている為、変色などの可能性があります。噛み合わせの負荷が強い部位の場合などは割れる可能性が高くなります。
セラミックインレー(自費の白い詰め物)
セラミックは保険での治療が認められていません。従って自由診療になります。セラミックも厚みがないと割れる可能性があるので、レジンと同じ様に歯を削る事になります。
セラミックの利点としては、見た目がきれいに仕上がる事、金属アレルギーの心配がない事、時間経過で色が変わらない事、汚れが付きにくい事(2次カリエスになりにくい)が挙げられます。
その他
金(ゴールド)を使った詰め物もあります。これも昔から用いられている自由診療の詰め物になります。金は金箔になるほどに薄く伸ばせる性質があります。削った後の歯の形は複雑なので、金の性質があると歯にフィットした詰め物になりやすくなります。
その為、2次カリエスにも保険のメタルインレーと比べてなりにくいです。保険で用いられる銀歯にも金は入っていますが、含有量は低いです。保険で使用する銀の詰め物は一般的に金が12%、パラジウムが20%、銀が40%から50%含まれています。従って銀歯はほぼ銀合金です。
まとめ
ここまで、直接法と間接法の違いやそれぞれの詰め物の違いを見てきましたが、それぞれにメリットとデメリットがあります。基本的にはレジン充填で済ませられればそうするのですが、場合によっては違う方法を選択します。
間接法になった場合には、患者さんに詰め物の選択をして頂く場面が出てきますので、今回の話を頭の隅に入れておいて頂けると良いかと思います。