ダイレクトボンディング治療とコンポジットレジン充填ってどう違うの?費用は?
2025年1月17日
みなさんはむし歯の治療をしたことがありますか?
むし歯を取ったあとの歯には白い詰め物をしたり、銀色の金属の詰め物をしたり、かぶせ物にしたりといろいろななおし方がありますが、この中の「白い詰め物」には「ダイレクトボンディング治療」と「コンポジットレジン充填」というものがあります。
この二つは似ているようで違う治療です。一体どのようなことが違うのでしょうか?
ダイレクトボンディングとコンポジットレジン充填の費用、メリット、デメリットについてお話します。
目次
- ◯むし歯治療の「白い詰め物」とは?
- ◯保険診療と自費診療の違い
- ◯コンポジットレジン充填の難しさ
- ◆色合わせの問題
- ◆接着力の問題
- ◆強度の問題
- ◆形を作るときの問題
- ◯ダイレクトボンディング治療でできること
- ◆むし歯じゃなくても治療ができる
- ◆じっくり治療することができる
- ◆保険適応外の材料が使用できる
- ◯まとめ
◯むし歯治療の「白い詰め物」とは?
むし歯を治療したとき、白い材料でなおしてほしいと思ったときにはセラミックスでの治療を思い浮かべるでしょうか?
セラミックスでの治療は保険診療の範囲内の治療ではなく、治療回数も型取りをしてから詰め物を入れるため複数回かかります。
しかし、白い材料でなおすために、保険診療内ででき、治療も一回で済む「コンポジットレジン充填」も存在します。
「コンポジットレジン」とはフィラーとよばれる陶材のような硬い粒が入ったレジン(プラスチックのような樹脂)で、むし歯の穴に詰めてから光を当てて硬めます。
このコンポジットレジン充填を保険診療でなく自費診療として行うことを「ダイレクトボンディング治療」と分けて呼んでいます。
保険診療ではなく、あえて自費診療で行う「ダイレクトボンディング」は「コンポジットレジン充填」と比較して良いものなのでしょうか。
◯保険診療と自費診療の違い
おおまかに言えば「コンポジットレジン充填」は保険診療、「ダイレクトボンディング治療」は自費診療です。
では、ダイレクトボンディング治療に保険がきかないのはなぜでしょうか。
◆保険診療とその限界
保険診療の範囲内で行われるむし歯治療は、国民健康保険や社会保険などの公的医療保険制度に基づいて提供される治療です。
保険診療では、基本的な治療を適切に提供することで、患者の健康を維持することを目的としています。そのため一定の基準に従った、標準的で最低限な治療法に限定され、基準にそぐわない治療の場合は、自費診療となることがあります。
▶︎見た目のよさの制限
保険診療では、見た目が良いかどうかという審美性よりもしっかり使えるかどうかという機能性や治療効果が重視されるため、使用される材料や方法に制限があります。
例えば、入念に色合わせをすることに制限があったり、むし歯がないのに銀の詰め物を外して白い詰め物にやり替えるということはできません。
さらに、かみ合わせやむし歯の範囲によっては割れやすいコンポジットレジンではなく、強い金属を選択しなければならなず、見た目に満足がいかないことがあります。
▶︎材料の制限
保険診療では、保険診療の適応となっている材料を用いて治療をしなければなりません。
患者さんにとってよりよい材料があっても、保険適応材料でないと使用することはできません。
一般的な治療ではそれでよいかもしれませんが、特殊なケースの場合、保険外の材料を使用したほうがよい場合があります。
▶︎時間の制限
保険診療では国によってむし歯の治療をした際にもらえる報酬が決められています。
「コンポジットレジン充填」の自己負担額は、むし歯一本あたり1000円前後(三割負担の場合)です。この報酬に対しかけられる時間は制限されることがあります。
◯コンポジットレジン充填の難しさ
保険診療では様々な制約がある中で、コンポジットレジン充填は、やり方により強度が落ちたり、見た目が悪くなったり、歯に汚れがつきやすくなったりと、技術が必要な材料です。
限られた材料と時間で行う場合、コンポジットレジンの良さが最大限出せない場合があります。
どんなことが難しいか以下に挙げていきます。
◆色合わせの問題
歯の色は1人1人違う色をしています。模様のある方もいらっしゃいますし、歯が薄く、透き通った透明の色をしている方もいらっしゃいます。
このような人間の天然の歯とむし歯を取った穴に詰めたコンポジットレジンの色を合わせていくには何種類ものコンポジットレジンを層状に重ねたりする必要があります。
また、詰めるための穴の形にも工夫が必要です。
◆接着力の問題
コンポジットレジンは水分に触れることでくっつきが悪くなります。口の中は唾液で濡れているため、しっかり乾燥させた状態で時間をかけて治療を行うためには工夫が必要になります。
◆強度の問題
コンポジットレジンは樹脂のため、欠ける場合があります。
もともと残った歯が少なく、薄ければ歯の根っこごと折れ、抜歯になることもあります。
コンポジットレジンがしっかり接着していて噛み合わせが調整されていれば欠けることも少なくなりますが、慎重な技術が必要になります。
◆形を作るときの問題
コンポジットレジン充填は歯科医がその場でやわらかい樹脂を形を整えながら詰め、光を当てて固めるものです。
そのため、歯と歯の間の形や噛み合わせの形を作るとき、隙間ができたり段差ができたりすると、汚れがつきやすくなったり歯と歯の間に食べ物が詰まるようになってしまいます。
しっかり適切な形を作る必要があります。
◯ダイレクトボンディング治療でできること
ダイレクトボンディング治療はコンポジットレジン充填ですが、保険外診療となるものです。保険治療のコンポジットレジン充填ではできないメリットについてお話します。
◆むし歯じゃなくても治療ができる
保険診療は病気にしか適応されないため、見た目が気になるという理由では詰め物をやり直すことができません。
その点、自費診療のダイレクトボンディング治療は銀の詰め物や着色した詰め物を白い詰め物でやり直したり、歯のないところに歯をいれたりすることができ、できる治療が広がります。
◆じっくり治療することができる
ダイレクトボンディング治療は自費診療のため、かかる時間や材料に合わせて料金が設定されています。そのため、お互いに納得するまで、材料の性質が最大限発揮されるように治療を行うことができます。
◆保険適応外の材料が使用できる
コンポジットレジンには保険適応になっていない材料が多数存在します。
みがいたときによりつやつやになったり、より色合わせがしやすかったり、より強度の高いものがあるので、ケースに合わせてそのような材料を使用することができます。
◯まとめ
ダイレクトボンディング治療とコンポジットレジン充填は、どちらもコンポジットレジンを用いた歯をなおす方法ですが、ダイレクトボンディング治療は保険外診療です。
そのため、保険診療に比べると費用がかかるものの、使用する材料、治療法、見た目の良さに違いがあります。
見た目がよく強度の強い材料や治療法を選択でき、自然で美しい仕上がりが期待できます。
気になる方はお気軽にご相談ください。