前歯と奥歯で「寿命」が違う——最初に失いやすい歯はどこか
2026年9月28日
◯目次
- ◯はじめに
- ◯歯の寿命
- ◆歯の種類別の寿命
- ◆奥歯より前歯の方が寿命が長い理由
- ◆前歯は下顎の方が寿命が長い理由
- ◆男性の方が女性よりも歯の寿命が長い理由
- ◯歯の寿命に関する豆知識
- ◆一番寿命が長い歯は?
- ◆一番寿命が短い歯は?
- ◆根管治療をした歯の寿命は短いの?
- ◯まとめ
◯はじめに
歯の種類別の寿命について、理由を考察しました。また、豆知識として寿命が最も長い歯、短い歯についてもご紹介しています。歯の種類によって失われやすさに違いがみられることがあります。歯の特徴を知り、毎日のケアに役立てていきましょう。
ぜひ、歯の寿命について知っていただきたいと思います。
まず、8020運動をご存じでしょうか。8020運動とは、1989年から当時の厚生省と日本歯科医師会が「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動を推奨し始めました。日本人の平均寿命に近い80歳で20本の歯を残すことができれば、食事の際に困ることが無く、食を楽しむことができます。8020の達成率は過去の調査と比べて上昇しており、高齢になっても多くの歯を保っている方が増えています。
歯の喪失や噛む機能の低下は、食べられる食品の種類や栄養状態に影響することがあります。また、歯の本数や口腔機能と全身の健康との関連についても、さまざまな研究が行われています。歯を残すことがどれだけ大事かが分かりますね。
今回は、歯の平均寿命はどれくらいなのか、また歯の種類が変わると寿命も変わるのかどうかについてお伝えしたいと思います。歯の健康を意識して、1本でも多く歯を守りましょう。
◯歯の寿命
前歯や奥歯のように歯の種類によって、寿命が異なります。こちらでは、歯の種類別の寿命と、その理由について考察してみましょう。
◆歯の種類別の寿命
厚生労働省の歯科疾患実態調査の歯の平均寿命の結果をご紹介します。
- 奥歯と比べると前歯の方が寿命が長い(前歯は60歳代だが、奥歯は50歳代)
- 前歯は下顎の方が寿命が長い(上顎前歯の平均寿命は60歳前後、下顎前歯の平均寿命は65歳前後)
- 男性の方が女性よりわずかに歯の寿命が長い
ことが分かりました。こちらの調査の結果は昭和62年と平成5年、平成11年の年次推移を比較しています。年代が新しくなるにつれ、歯の寿命は大幅に延びているので、その後も高齢者の残存歯数などには変化がみられるため、過去の『歯の平均寿命』の数値を現在の患者さんにそのまま当てはめることはできません。
◆奥歯より前歯の方が寿命が長い理由
奥歯の寿命が短い理由を考察してみました。下記のような理由が考えられます。
- 虫歯になりやすい
奥歯の噛む面には溝や凹凸があり、複雑な形をしています。そのため汚れが溜まりやすく虫歯になりやすいです。また、奥にあるため歯ブラシが届きにくいというのも虫歯になりやすい理由の1つです。虫歯が大きくなるほど失われる歯質も増え、治療範囲が大きくなることで歯の強度に影響する場合があります。
- 咬合力がかかる
私たちは食事をする際、奥歯で食べ物を咀嚼しています。奥歯は食べ物をすりつぶす役割を担っており、噛む際に大きな力を受けます。奥歯が失われやすい背景には、清掃の難しさや虫歯・歯周病の罹患状況、噛む力など、複数の要因が関係していると考えられます。
◆前歯は下顎の方が寿命が長い理由
- 下顎の骨が短い
前歯を比べると、前歯は上顎よりも下顎の方が寿命が長いです。下顎の骨は上顎の骨よりも分厚く、歯を支える力が強いと考えられます。
- 虫歯になりにくい
下顎前歯の近くには唾液腺の開口部があり、唾液の影響を受けやすい部位です。ただし、下顎前歯が比較的残りやすい理由を唾液だけで説明することはできず、歯の形態や口腔内での位置など複数の要因が関係すると考えられます。
◆男性の方が女性よりも歯の寿命が長い理由
実は男性の方が歯の寿命が長いです。理由としてはこちらのようなことが考えられます。
- 歯が丈夫である
女性に比べて男性の歯は大きく、エナメル質や象牙質が分厚い傾向があります。そのため、男性の方が歯が丈夫だと言えるでしょう。
- 女性はホルモンバランスの変化が激しいため
女性は、月経や妊娠、出産、閉経などがあるためホルモンバランスの変化に大きく影響を受けます。過去の統計では男女で歯の平均寿命に差がみられましたが、その理由を性別だけで説明することはできません。歯を失う原因には、虫歯や歯周病の状態、生活習慣、歯科受診の状況など、さまざまな要因が関係します。
◯歯の寿命に関する豆知識
こちらでは、歯の寿命に関する豆知識をご紹介します。誰かに披露したくなるような豆知識をご紹介するのでぜひ参考にしてくださいね。
◆一番寿命が長い歯は?
厚生労働省が行った歯科疾患実態調査での平成11年(1999年)のデータでは、男性の下顎犬歯の平均寿命が66.7年と、調査された歯の中で長い値を示していました。このデータは歯の平均寿命なので、自身の寿命まで歯が残っている方もたくさんいらっしゃるでしょう。比較的残りやすいとされた歯であっても、虫歯や歯周病になる可能性はあります。気になる症状がある場合は、セルフケアを見直すとともに歯科医院で状態を確認してもらいましょう。
◆一番寿命が短い歯は?
厚生労働省が行った歯科疾患実態調査での平成11年(1999年)のデータでは、女性の下顎第二大臼歯の平均寿命が49.4年と、調査された歯の中で短い値を示していました。奥歯が失われやすい背景には、清掃の難しさや虫歯・歯周病、噛む力など、複数の要因が関係していると考えられます。奥歯がなくなると咬みにくくなるので大切にしたいですね。
◆根管治療をした歯の寿命は短いの?
虫歯が進行し、歯髄にまで感染が広がると歯根内の歯髄を取り除く必要があります。虫歯などによって歯髄に強い炎症や感染が生じた場合には、歯髄を取り除く『抜髄』や、感染した根管内を清掃・消毒する『感染根管治療』などの根管治療が必要になることがあります。根管治療を受けた歯でも、適切な治療とケアによって長く使える場合があります。一方で、虫歯によって多くの歯質を失っている場合などは、健康な歯と比べて破折などのトラブルが起こりやすくなることがあります。根管治療が必要になる歯は、虫歯などによってすでに多くの歯質を失っていることがあります。さらに治療のために歯を削る必要があるため、残っている歯質が少ないほど破折のリスクが高くなることがあります。
虫歯が広がるまで放置せず、虫歯を早期に発見できれば、状態に応じて歯髄を残せる可能性が高まります。初期の虫歯では、状態によってフッ化物の活用やセルフケアの改善などで経過をみる場合もあります。
◯まとめ
歯の種類ごとに寿命が違うなんて驚きですね。歯の寿命も自分の寿命と同じくらいもたせたいものですね。歯の喪失や噛む機能の低下は食生活やQOLに影響するほか、全身の健康との関連についても研究されています。たかが歯と侮ることなく、できる限り歯の健康を保ちましょう。歯を長く保つためには、毎日のセルフケアに加え、虫歯や歯周病の予防・早期発見と、お口の状態に応じた適切な治療や管理が大切です。定期検診で、歯のチェックを行うのでぜひお越しください。

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