歯肉から血が出た!原因は?対処法は?
2024年1月8日
ブラッシングをした時、血が出た経験はありませんか。
「歯ブラシで傷つけてしまったかも」
その可能性もありますね。
しかし、優しく磨いても、歯肉から血が出ることがあります。
これは何故でしょう。
また、血が出た時は、触らず安静にしておく必要があるのでしょうか。
目次
◯ブラッシングで血が出る原因
◯歯肉炎で出血するメカニズム
◯出血を止めるには
◯出血が止まらない場合
◯歯肉炎から歯周病へ
◯まとめ
◯ブラッシングで血が出る原因
ブラッシングで出血する原因は、いくつか考えられます。
力を入れて磨き過ぎたとき、硬めの歯ブラシでゴシゴシ磨いたとき、もともと口内炎などの傷があり、そこに歯ブラシが触れてしまい出血することもあります。
しかし、ブラッシングで出血する原因の多くは、歯肉が腫れて炎症を起こしていることによります。
◯歯肉炎で出血するメカニズム
歯肉炎とは、歯肉の中で炎症反応が起きている状態のことをいいます。
歯肉炎が進行していくと、歯周病になっていくのですが、ここではまず、歯肉に限局した炎症である歯肉炎のメカニズムをみていきましょう。
歯肉炎の原因の多くは、お口の中の清掃不良によります。
歯と歯肉のさかい目の部分は、くぼみになっており、汚れが残りやすい部位です。
そこに細菌が集まり、塊状になっていきます。
これをプラーク(歯垢)といます。
すると、身体の免疫機能が、細菌を排除しようと動き出します。
歯肉に存在する「毛細血管」という細い血管が広がり、血流を増やすことによって、白血球をなどの免疫細胞を沢山運んで、細菌に対抗しようとするのです。
毛細血管は、もともと細く弱い血管なので、大量の血液を運んでくることで、少しの刺激でも破れやすくなります。
薄いゴム製の水風船を限界まで膨らませているようなものです。
そのため、ブラッシングなどの刺激で破れ、血が出てしまうのです。
毛細血管は、敵である細菌(プラーク)がいなくなれば、いつもの血流量に戻ります。
つまり、ブラッシングで出血するということは、その部位に細菌が存在し、今まさに血流を増やして細菌と戦おうとしている状態であるということができるのです。
◯出血を止めるには
細菌がいなくなれば、血流も元に戻り、通常のブラッシングでは出血しなくなります。
つまり、出血を止めるには、歯ブラシで優しくブラッシングを行い、残っている汚れと細菌をきれいにしていく必要があります。
適正なブラッシングは歯肉のマッサージ効果もあるので、よりいっそう血流が増加し、最初はどうしても出血するでしょう。
しかし、汚れと細菌を除去することが出来れば、歯肉に対する攻撃もなくなります。
それによって、毛細血管も通常の太さに戻り、刺激に対しても破れにくくなります。
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、出血を止めるには、出血を厭わずしっかりブラッシングするのが最善なのです。
◯出血が止まらない場合は
ていねいにブラッシングを行っても、歯肉からの出血が止まらない場合もあります。
プラークは、歯面に付着してから時間が経つと、お口の中のカルシウム成分などとくっついて、歯石と呼ばれる硬い状態に変化します。
プラークは歯ブラシで除去できますが、歯石に変化すると歯ブラシでは除去できなくなります。
また、歯肉の下の見えにくい場所にむし歯が出来ていることや、歯根の中で起こった炎症が歯肉に及んでいる可能性なども考えられます。
歯ブラシでていねいに磨いても歯肉からに出血が止まらない場合は、歯科医院で診てもらうようにしましょう。
歯石が原因の場合は、機械で歯石を除去していくことが出来ますよ。
◯歯肉炎から歯周病へ
ここまでのお話は、歯と歯肉のさかい目あたりで生じている現象です。
歯肉に炎症がおこるので、歯肉炎と呼ばれます。
しかし実際は、この歯と歯肉のさかい目から、歯周ポケットを伝って歯肉のより深い場所へ、炎症は進行していきやすくなります。
歯周ポケットの中で生じた炎症は、深くなればなるほど、御自身での清掃によって改善していくことが難しくなっていきます。
また、炎症が進行していくと、歯槽骨を溶かす歯周病へと進行してきます。
一旦溶かされた骨は、自然に元には戻りません。
出来るだけ早い段階で食い止めていくようにしましょう。
◯まとめ
POINT①:ブラッシングで出血する原因の多くが歯肉炎であり、清掃不良によって生じることが多い。
POINT②:歯肉からの出血を止めるには、炎症の原因である細菌や汚れをブラッシングによって取り除く必要がある。
POINT③:ブラッシングで改善しない場合は、歯ブラシで除去出来ない歯石が付着していることや、別の原因が隠れている可能性もあるので、歯科医院で診てもらうことを勧める。
歯肉炎から歯周病へは気が付かないうちに進行していきます。
気が付いた時には重度の歯周病で歯を失ってしまうことも。
歯肉からの出血は、身体からの大切なサインなのです。
ブラッシングで出血する部位は、意識してしっかり磨くようにしましょう。
また、歯肉からの出血は、血液の病気などが原因の可能性もあります。
歯肉から一度出血するとなかなか止まらない、などといった症状には注意が必要です。
当医院では、定期的な検診および歯科医院での歯石除去を含めたクリーニングをおすすめしております。
歯肉からの出血や、お口の中のことで気になることがありましたら、ご相談ください。