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あなたのその歯、難しい抜歯になるかも?

2024年2月29日

歯医者さんが嫌われる理由は、怖いとか痛いといった理由がほとんどなのではないでしょうか。

そして、患者さんに最もストレスを与える治療が「抜歯」です。

 

皆さんの中には、この抜歯に苦い思い出を抱いている人も多いのではないでしょうか。

 

時間がかかった、痛い思いをしたなど、苦痛を強いる処置である抜歯ですが、皆さんの健康を守るためには必要な処置です。

 

今回は、抜歯の中でも簡単にはいかない「難抜歯」について解説します。

少し怖い内容になりますが、これを読んで、「こうならないように気をつけよう」という気持ちが少しでも高まってもらえれば幸いです。

なお、今回は、親知らずの抜歯以外の抜歯を解説します。親知らずの抜歯は続編を出しますので、心穏やかに待っていてください。

 

目次

① 筋縄ではいかない抜歯とは?

 ◆難抜歯とは?

 ◆どんな歯が対象になるの?

 

② 難抜歯の方法

 ◆歯肉切開・剥離

 ◆骨の削合

 ◆歯根分割

 

③偶発症

 ◆炎症反応

 ◆神経障害

 ◆ 抜歯窩治癒不全(ドライソケット)

 ◆出血斑

 

④まとめ

 

 

一筋縄ではいかない抜歯とは?

抜歯には、大きく分けて3つの種類があります。一つ目が「普通抜歯」です。普通抜歯とは、文字通り、抜歯をするための道具を用いて単純に歯を抜くことです。2つ目が「難抜歯」です。詳細については後述します。最後が「埋伏抜歯」です。これは親知らずの抜歯をイメージしてもらえればいいかなと思います。この親知らずの抜歯についても次回以降で詳しくお話ししますのでお楽しみにしていてください!!

 

◆難抜歯とは

さて、今回は「難抜歯」についてのお話しです。ここでいう難抜歯とは、普通抜歯に加えて、一手間加える必要のある抜歯を指します。抜歯の一手間とは、歯肉を切開したり、骨を削ったりする処置を指します。抜歯を行う歯に何らかの原因があり、単純に抜くことができない場合に何らかの処置を追加して、歯を取り出すことこそが「難抜歯」です。

 

◆どんな歯が対象になるの?

では、どのような歯が難抜歯の対象になるのでしょうか。基本的に原因は、抜かないといけない歯に問題があるからです。具体的には次の5つが代表的です。

⑴    歯が根っこだけになっている

虫歯などが原因で歯が根っこだけになっている状態を「残根(ざんこん)」と言います。残根の場合、歯が歯茎の中に入っている状態が多く、器具を入れる場所がありません。

⑵    根っこだけになった歯が骨の下に入っている

根っこだけの歯は、骨の下に入り込んでいる場合も少なくありません。このような場合にも、器具を挿入する場所を作る必要があります。

⑶    歯の根っこが複数あり、開いている

根っこが複数あったり、開きが大きかったりする場合、簡単に抜くことはできません。土に埋めた杭を2本一気に抜くことが難しいように、歯を抜く場合も、2つを一挙に抜くことはとても難しいです。

⑷    根っこの先端が大きくなっている

根っこの先端が大きくなっていることを「根肥大(こんひだい)」と言います。根肥大では、出口が小さいため、簡単に抜歯することができません。

⑸    根っこと骨が一体化している

長年炎症を繰り返している歯は時に、骨と一体化していることがあります。このような場合にも、難しい抜歯になると簡単にイメージできると思います。

 

このように、多くの場合歯が原因で、単純に器具のみで抜歯することが難しく、それ以外に一手間を加えて、抜歯しやすくすることがあります。

 

 

難抜歯の方法

それでは具体的にどのような処置を追加する必要があるのでしょうか。具体的な方法を3つ解説します。実際は、これらを組み合わせて、難抜歯を行うことがほとんどです。これらは、歯の状態によって使い分けられますが、多くの場合、複数の原因があるからです。

 

◆歯肉切開・剥離

一つ目が歯肉の切開と剥離(はくり)です。つまり、歯茎を切って、めくり上げることです。歯茎に覆われている時に用いられます。これによって、視野を確保することができます。

 

◆骨の削合

二つ目が骨を削る行為です。①と併せて用いられることがほとんどです。これは、骨の下に歯が残っている時に用いられます。骨を削り、残った歯を直視することができるようになります。また、骨と歯が癒着している場合、骨を削ることで、器具が入るスペースを作ることもできます。

 

◆歯根分割

最後が歯根を二つ以上に分ける歯根分割です。根っこが複数あったり、開き方が大きかったりする場合に用います。これを適切に行うことで、簡単に歯を抜くことができます。

 

偶発症

全ての医療には偶発症が生じます。偶発症とは、患者さんにとっての不利益の全てを指します。ここでは、難抜歯時にどのような偶発症が生じるのかを解説したいと思います。特に注意すべきものを4つ紹介したいと思います。また、中にはすぐに歯医者さんに連絡を入れるべきものもあるので、注意してください。

 

◆いわゆる炎症反応

最初は炎症反応です。具体的には、痛い、腫れた、赤くなったなどです。難抜歯では、切開や、骨を削る必要があります。このため、通常の普通抜歯よりも患者さんへのダメージが大きく、この炎症反応が強く出る傾向にあります。基本的には抜歯後2日をピークに良くなっていくものなので、歯医者さんからもらったお薬を飲んで様子を見ましょう。ただし、呼吸が苦しくなった、飲み込む時の喉の痛みや口が全く開かなくなったなどの症状がある場合はすぐにご連絡ください。

 

◆神経障害

骨の中には顔の皮膚の感覚を伝える神経が走っています。骨を削ったり、切開をしたりしたときに、これらの神経が傷ついてしまうと、感覚の異常が生じます。なので、抜歯後2、3時間経っても痺れが取れない場合には、歯医者さんにご連絡ください。

 

抜歯窩治癒不全(ドライソケット)

原因は詳しくわかっていませんが、抜歯後の治りが悪く、強い痛みを生じる方もいらっしゃいます。1週間経っても、強い痛みが続く場合は治癒不全を疑うので歯医者さんに連絡しましょう。

 

◆出血斑

血液サラサラのお薬を飲んでいる方によく見られます。青あざのようなものが生じます。基本的には吸収されるので、様子を見ておけば大丈夫です。

 

他にも、出血などもありますが、基本的には様子を見ておけば大丈夫な場合が多いのでここでは述べません。歯を抜いた後に歯医者さんで注意事項を聞かされると思いますが、それを守るようにしましょう。

 

まとめ

今回は、「難抜歯」についてお話ししました。大体のイメージを掴んでもらえればいいかなと思います。最も大切なことは、歯を抜かないような環境を整えるということです。日々のブラッシングや、定期的な受診で皆さんの歯を自分で守っていきましょう。

不幸にも、歯を抜くことになってしまった人は、前日、当日の注意点をしっかりと守り、何か気になることがあれば、歯医者さんに連絡することも大切です。何でも相談できる歯医者さんを持っておきましょう!

 

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