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スポーツ選手マウスピースなぜ??

2024年4月27日

格闘技やラグビー、アメフトなど、スポーツ選手が競技中にマウスピースをしているところを見たことはありますか?

カラフルなマウスピースを装着している選手もいて、面白いですよね。

では、スポーツ選手は、何のためにマウスピースをしているのでしょうか。

「前歯が折れないようにガードしているのかな?」

それも、もちろんあります。

実は、それ以外にもスポーツ用マウスピースを使うことには、様々な理由があるのです。

 

ここでは、スポーツ用マウスピースについてお話していきましょう。

 

目次

1. スポーツ用マウスピースの役割

 1-1. ケガの防止

 1-2. 歯の破折・すり減り、顎関節症の予防

 1-3. 脳への衝撃を和らげる

 1-4. 肉体的・精神的な安定

 1-5. 相手を傷つけることの防止

2. スポーツ用マウスピースの種類

 2-1. 歯科医院で製作するスポーツ用マウスピース

 2-2. 市販のスポーツ用マウスピース

3. スポーツ用マウスピース使用時の注意点

4. まとめ

 

 

1. スポーツ用マウスピースの役割

日本では、ボクシングや格闘技、アメリカンフットボール、ラグビー、ラクロス(女子)などの競技で、スポーツ用マウスピース(マウスガード)の使用が義務化されています。

また、硬式野球やサッカー、バスケットボールでも、マウスピース使用が推奨されています。

では、なぜスポーツにおいて、マウスピースが必要なのか、スポーツ用マウスピースの役割についてみていきましょう。

 

1-1. ケガの防止

スポーツ用マウスピースは、顔面への衝撃を和らげて、顎や口の中、唇などのケガを防ぎます。

スポーツ用マウスピースを使用することで、歯の破折、顎骨の骨折、口唇や舌、頬の粘膜の切り傷などの予防につながります。

 

1-2. 歯の破折・すり減り、顎関節症の予防

運動中は、力をグッとこめる時など、しっかりと咬みしめる機会が多くなりますね。

一般的に、人間の咬む力は自分の体重と同じ位の強さがあると言われています。

体重80kgの方は、歯や顎に80kgの力がかかるのです!

スポーツ用マウスピースを使用することで、歯や、顎の関節などに強い力が加わることを防ぎ、歯の破折・すり減り、顎関節症を予防します。

 

1-3. 脳への衝撃を和らげる

正しい位置で、しっかりと咬み合わせることで、頭・顎・首がしっかりと固定されます。

すると、身体がぶつかった際などに、脳へ伝わる振動を和らげることができます。

それによって、脳しんとうなどの脳へのダメージを軽減することができます。

 

1-4. 肉体的・精神的な安定

咬み合わせを整え、安定させることは、肉体的・精神的な安定につながります。

肉体的には、身体全体のバランスが保たれることにより、体幹が整い、身体に均等な力をかけやすくなります。

正しい位置で咬みしめる(くいしばる)ことによって、筋力が約5%アップするとも言われています。

スポーツ用マウスピースを使用することで、強い瞬発力が生まれることや、運動能力の向上が期待できるのです。

 

また、ケガのリスクを下げることができるという安心感が、精神的な安定に繋がります。

リラックスできることから、積極的なプレーを行うことができるとも言われています。

 

1-5. 相手を傷つけることの防止

選手同士の接触があるスポーツでは、自分の歯が相手選手にぶつかることなどによって、意図せず相手を傷つけてしまうことがあります。

マウスピースを用いることにより、相手を傷つけるリスクを軽減することができます。

 

 

このような様々な役割が、スポーツ用マウスピースにはあるのです。

 

 

2. スポーツ用マウスピースの種類

「自分もスポーツ用マウスピースを使ってみようかな?」

では、スポーツ用マウスピースは、どこで、どうやって作ればよいのでしょうか。

スポーツ用マウスピースには、歯科医院で作る方法と、大体の形状が完成している状態で市販されているものを、御自身で自分用に調整する方法があります。

それぞれの作り方と、その特徴についてみていきましょう。

 

2-1. 歯科医院で製作するスポーツ用マウスピース

作り方 

お口の中のチェックを行い、むし歯や歯周病など、マウスピースを作る前に必要な処置がないかを確認する。

歯および歯肉の形状の型取りを行い、その型を使って1人1人のお口の形に合ったマウスピースを製作していく。

出来上がったマウスピースをお口の中に入れて、咬み合わせのバランス調整や、お口の中に当たる箇所がないかどうかなどのチェック、および形態修正を行う。

特徴

精密な型取りを行うことにより、本人のお口の中にフィットするマウスピースを作ることができる。

・ 口を動かしても外れにくく、マウスピースを付けたまま会話や水分補給を行うことができる。

咬み合わせや辺縁の形状の調整を行うことができるので、違和感が少ない。

咬み合わせのバランスを調整することで、正しい位置でしっかり咬みしめることができるため、マウスピースの効果を最大限に発揮することができる。

スポーツ用マウスピースは保険適応外のため、費用がかかる。

スポーツ用マウスピースの製作は、自費診療の扱いになります。価格は医院によって異なりますので、問い合わせてみることをおすすめします。

 

2-2.市販のスポーツ用マウスピース

作り方 (スポーツ用マウスピースには様々な種類のものが販売されているため、ここでは一例を挙げて説明していきます。)

マウスピースを一定温度のお湯に浸して軟らかくし、自分の歯列と合わせて咬み込み、歯列の形状をマウスピースに写し取る。

冷やし固めた後、余計な部分をハサミで切り取る。

 

特徴

安価で、入手しやすい。

自分の歯並びと、マウスピースの形状が合わない場合がある。

咬み込む時にズレてしまうと、完成したマウスピースもズレが生じたままになる。

外れやすい。

 

3. スポーツ用マウスピース使用時の注意点

スポーツ用マウスピースを使用することによって、様々なメリットがあります。

しかし、注意点もありますので、みていきましょう。

 

むし歯になりやすい

マウスピースを装着している間は、歯にカバーをかけているようなものです。

通常であれば、歯面にとどまらず唾液で流されていく糖分も、マウスピースを装着することによって、ずっと同じ場所に留まり続けることになります。

それによって、むし歯のリスクが高くなるのです。

マウスピース使用中の水分補給は、糖分の含まれないものにしましょう。

スポーツドリンクには大量の糖分が含まれているため、注意が必要です。

マウスピース使用後は、出来るだけ歯磨きをしましょう。

それが難しいようであれば、うがいだけでもするように心掛けましょう。

 

マウスピースが不潔になりやすい

マウスピースを外した後そのまま放置してしまうと、マウスピース本体に細菌が繁殖します。

外した後は、出来るだけ早めに水洗する習慣をつけましょう。

また、着色や匂いが気になった場合は、マウスピース専用洗浄剤や、入れ歯洗浄剤などで漬け置き洗いをすることをおすすめします。

 

高温で変形しやすい

マウスピースは熱に弱く、高温になると変形しやすくなります。

洗う際には、お湯ではなく水で洗うようにしましょう。

また、屋外や車内など、直射日光が当たる場所や、暖房器具の近くに放置しないようにも注意が必要です。

 

歯肉が退縮しやすい

特に市販されている(自分で型を取る)マウスピースに多くみられます。

マウスピースが歯肉の形に合っておらず、強く当たっている場合。

その場所の歯肉に炎症が生じ、歯肉が下がってしまうことがあります。

定期的に検診を行い、マウスピースが自分のお口に合っているのかを確認するようにしましょう。

また、成長期には歯の位置や、歯肉の形だけでなく、顎の大きさも変化していきます。

同じマウスピースを装着し続けることで、顎の成長を妨げてしまう恐れがありますので、必ず検診を受けるようにしましょう。

 

4. まとめ

スポーツ用マウスピースは、自分及び相手選手の外傷や、歯の破折・すり減り、顎関節症を予防する。

・また、脳への衝撃を和らげる効果や、肉体的・精神的な安定感を得ることによる身体能力の向上を期待することができる。

スポーツ用マウスピースには、歯科医院で製作するものと、市販のマウスピースをご自身でお口の中に合わせていく方法のものがある。

スポーツ用マウスピースを使用することで、むし歯リスクの上昇や歯肉の退縮などのデメリットが考えられる。

・ お口の中、およびマウスピースを清潔に保つこと、定期的に歯科医院で検診を受けることが大切。

また、高温で変形しやすいので注意が必要。

 

 

スポーツ用マウスピースは、プロスポーツ選手だけが用いる特別なものではありません。

ケガの防止だけでなく、運動能力の向上も期待することができます。

スポーツをされている方だけではなく、お仕事などで力をグッと込める機会が多い方にも、スポーツ用マウスピースはおすすめしたいですね。

 

お口の中で、何か気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

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